スケジュール順

[P1] ポスターセッション1

9月13日(水) 12:30 - 14:30 会場:202,203講義室
  • P1-1F
    小田切史士 (青山学院大学 社会情報学研究科)
    小出諒 (東京大学 学際情報学府)
    鈴木宏昭 (青山学院大学 人間科学部)
    洞察問題解決時にワーキングメモリに負荷をかけると,パフォーマンスが改善する可能性が考えられる.本研究は被験者を三条件に分け,それぞれワーキングメモリに対して異なる負荷を与えた際の,洞察問題解決時の影響を検討した.結果は、解決率に対して促進的な効果は見られなかったものの、ワーキングメモリへの負荷によって制約の緩和を促すことが示唆された.また負荷のかかる部位が異なると,促進される制約緩和のパターンに差異がみられた.
  • P1-2F
    下嶋篤 (同志社大学文化情報学部)
    Dave Barker-Plummer (Center for the Study of Language and Information)
    図的表現の重要な特徴の一つは、複数の図要素が集まって特定の知覚的パターンを形成し、それによって大局的な情報を伝えることができることである。本発表では、論理学的アプローチにより、そもそもなぜそうした知覚的パターンが特定の意味をもつのかを明らかにする。また、こうした論理的知見が、図の知覚的パターンの読解に必要な心理的条件や、関連するいくつかの重要な心理的現象の機序にどのような光を当てるのかについても考察する。
  • P1-3F
    光田基郎 (大阪教育福祉専門学校)
    「情報の量と分析の必要性」を述べた31文を専門学校生51名に画面で 閲読させて、対面での小集団討議を求めた際、集団内の司会者群は「閲読中の視点変更の程度」の評定値と内容理解成績とが負相関、「集団内のリーダーシップの評定値」とは正相関を得るが、それ以外の参加者役、役割を決めない対等群は逆の相関を示す。以上より類推による既知感促進とメタ認知制御の抑制を示唆した。
  • P1-4F
    宇野正明 (代々木ゼミナール)
    本研究の目的は、習熟による学習方略の質的変化から学びの全体構造を明らかにすることにある。まず学びの全体性を3層構造と仮定した調査項目を作成し、習熟の進行によって層を超えた意識づけが生じることを検証した。次に実際の学習場面におけるノートや作文を取り上げ、習熟による表現の変化を分析した。両者の研究から、同じ学習方略を用いても習熟の違いで異なる意味付けがなされること、それは上層が下層を組み込みながら活用する包含関係で進行することを確認した。
  • P1-5F
    鶴島彰 (セコム株式会社 IS研究所)
    鶴島・小松崎[1]は、進化シミュレーションにより、危険な状況下での人間の行動モデルを生成した。本稿では、まず多属性効用理論を使ってこのモデルを分析し、いくつかの性質を抽出し、次に個々の性質について人間を使った実験を行うという二段階の手法によりモデルの検証を試みる。
  • P1-6F
    松林翔太 (名古屋大学大学院 情報科学研究科)
    三輪和久 (名古屋大学大学院 情報学研究科)
    寺井仁 (近畿大学 産業理工学部)
    変則的な事例に対して,表面的な入出力に着目する記述的対処方略と,構造的なメカニズムに着目する説明的対処方略を定義し,それぞれの性質について実験を通して検証を行った.その結果,課題の難易度が低く単純な場合は説明的方略のほうが課題成績は高かった一方,複雑な場合には記述的方略のほうが要したコストも小さく,成績が高いことが示された.特に,従来研究ではあまり重要視されてこなかった記述的方略の性質を明らかにすることができた.
  • P1-7F
    白砂大 (東京大学大学院総合文化研究科)
    本田秀仁 (東京大学大学院総合文化研究科)
    松香敏彦 (千葉大学文学部認知情報科学講座)
    植田一博 (東京大学大学院総合文化研究科)
    二者択一課題において,問題文で提示された対象と選択肢との双方のfamiliarityの類似性に基づく推論方略「familiarity-matching」,および具体的な知識を利用したと考えられる複数の推論方略について,各推論プロセスをモデル化し,参加者の選択をどの程度予測できるかを検証した。結果,familiarity-matchingが広く利用されること,また主観的困難度の高い問題では多数の属性が考慮されやすいことが示唆された。
  • P1-8F
    入江諒 (金沢工業大学 工学部 電子情報通信工学科)
    金野武司 (金沢工業大学 工学部 電子情報通信工学科)
    人は他者の「人らしい動き」をどのような特徴から読み取っているのだろうか.本研究では,仮想的なオブジェクトを介して他者(人または計算機)と視覚的にインタラクションする実験を設計した.その結果,人どうしでのオブジェクトの運動には同調傾向が現れ,相関係数として定量化できることを確認した.ただし,動作パターンおよびアンケートの分析から,人らしい動きの評価には相関係数は不十分であり,ターンテイキングの定量的な評価が必要であることを我々は指摘する.
  • P1-9F
    髙岸悟 (放送大学)
    本研究の目的は、① 学習者・保護者・研究者の協調により学習者がより賢くなれる型を作ること、② その型を用いて学習者が自らの学習上の問題解決を主体的に行えるようになること、の2点である。また、今回は3つのケースを取り上げたが、まだ始めたばかりの研究で、思うような結果を出せていない。今後は、問題設定、三者の話し合いの場、またその前後のスタイルを改善していく予定である。
  • P1-10F
    河上章太郎 (金沢工業大学 工学部 電子情報通信工学科)
    金野武司 (金沢工業大学 工学部 電子情報通信工学科)
    人は,記号に字義通りの意味と言外の意味を割り当て,互いにコミュニケーションをする.我々は,人と計算モデルによる記号コミュニケーションによる実験を行なった.先行研究では,計算モデルどうしのシミュレーションでは協調課題を解けることが確認された.しかし,本稿ではそれと同じ仕組みが,人との間ではうまく機能しなかったことを報告する.また,その原因は計算モデルが失敗事例を学習する仕組みがないからではないかと示唆する.
  • P1-11F
    阿部慶賀 (岐阜聖徳学園大学)
    本研究では透明性錯覚におけるメッセージの内容と伝達の文脈による影響を実験によって検討した。実験では褒め言葉と貶し言葉の2パターンのメッセージのタイプと、それらを相手に伝えるべく言う状況および気づかれないように言う状況の2種類の状況について、各条件化での透明性錯覚の程度を比較した。
  • P1-12F
    中村國則 (成城大学社会イノベーション学部)
    本研究の目的は,最低金額のアンカリング効果が寄付という行為についてもみられるのか、そして画像による感情の操作の影響をどう受けるのかを検討することである.この目的のため,寄付対象に画像を提示して説明する条件とそうでない条件を設定し,条件間で寄付金額がどう変動するか,そして最低金額の値の影響がどう働くかを検討した.分析の結果,画像の有無によらず寄付という状況でも効果はみられた.
  • P1-13F
    浅原正幸 (人間文化研究機構 国立国語研究所)
    加藤祥 (人間文化研究機構 国立国語研究所)
    本研究では『現代日本語書き言葉均衡コーパス』に対して付与された、読み時間と分類語彙表番号に基づく統語・意味分類の対照を行う。線形混合モデルに基づく統計分析では、統語分類において動詞文節がほかの文節より有意に読み時間が短くなる傾向と、意味分類において関係を表す文節がほかの文節より有意によみじかんが短くなる傾向が確認された。
  • P1-14F
    森田純哉 (静岡大学)
    金野武司 (金沢工業大学)
    奥田次郎 (京都産業大学)
    鮫島和行 (玉川大学)
    李冠宏 (北陸先端科学技術大学院大学)
    藤原正幸 (北陸先端科学技術大学院大学)
    橋本敬 (北陸先端科学技術大学院大学)
    本研究は,コミュニケーションシステムの共有に関与する認知プロセスをシミュレーションによって検討する.構築したモデルには,明示的に他者を模倣する戦略に加え,自他の記憶が非明示的に混在するプロセスを組み入れた.シミュレーションの結果,後者のプロセスを組み入れることで,明示的な模倣を行わずとも,二者間で共通のコミュニケーションシステムが生成されることが確かめられた.
  • P1-15F
    大貫祐大郎 (東京大学 大学院)
    本田秀仁 (東京大学 大学院)
    松香敏彦 (千葉大学)
    植田一博 (東京大学 大学院)
    意思決定時の確率情報に対する主観的な重みづけであるリスク態度が、ギャンブル課題に対して単独評価をするか、あるいは並列評価をするのかの違いで変化するのかを検証した。そして,評価法の違いによって生じる認知プロセスの変化を行動実験データ、“仮想的”な実験参加者シミュレーション、認知モデリングによって検証した。その結果、評価法によりリスク態度は変化し、その変化は不確実性事象に対して人が持つ信念の変化から捉えられる可能性が示された。
  • P1-16F
    動物訓練における動作・発話行動の相互学習
    ※大会ホームページでの公開が許可されていません
    鮫島和行 (玉川大学脳科学研究所)
    村井千寿子 (精華女子短期大学)
    島田将喜 (帝京科学大学)
    動物訓練場面において、社会的シグナル交換の相互学習の存在を検証するために、サル訓練場面の動作、訓練戦略と音声発話分析を行った。動物は多様な動作を初期に行い、目標行動を獲得するに応じて、人も初期には多様な指令・結果返還を用いるが、より少ない単純化された発話や動作のみが残った。結果から示唆される社会的信号の相互学習の心理機構を知ることは、ヒト間で行われている意思疎通の共通原理解明の糸口、および人と意思疎通する機械の基礎技術となる。
  • P1-17F
    目的や動機が反実仮想の未来改善機能に与える影響に関する検討
    ※大会ホームページでの公開が許可されていません
    北原由絵 (名古屋大学 情報科学研究科 メディア科学専攻)
    三輪和久 (名古屋大学 情報学研究科 心理・認知科学専攻)
    反実仮想の研究は,上向きと下向き2つの反事実の概念を取り扱ってきた.これは,後悔などのネガティブ感情を伴うと言われている.また,後悔感情が未来改善のモチベーションに繋がることも,先行研究によって明らかとなっている.本研究は,目的をふり返ることの有無が,反実仮想における未来改善機能にどのように影響するのかを明らかにすること,および反実仮想によって喚起される後悔と未来改善機能の関係を検討した.
  • P1-18F
    牛久香織 (心泉學舎)
     本研究では,球状の野菜および果物を識別する過程で色・大きさ・断面・視覚的特徴・触覚的特徴・味覚特徴・食材として使用された場合の献立についての知識・旬の季節に関する知識はどのように作用するのかについて4学齢の幼児を対象に横断的に調査を行なった.結果,同種の形状の対象を識別する際には色と大きさが重要な判断基準になるものの,同種の形状の対象について識別する手立ては対象によって異なることが示唆された.
  • P1-19F
    本田秀仁 (東京大学大学院総合文化研究科)
    藤崎樹 (東京大学大学院総合文化研究科)
    植田一博 (東京大学大学院総合文化研究科)
    本研究では,日本語の表記法が食品認知に与える影響について検討を行った.具体的には,レモンとキウイの表記を漢字またはカタカナで呈示して, その果物の購買意欲, 高級感, また美味しそうに感じるかを尋ねた. 結果として,日本語の表記は食品認知に影響を与えることが明らかになった.特に表記の希少性と可読性が相互に影響を与え,希少でありかつ可読な表記は商品の購買意欲を高める効果があることを示した.
  • P1-20F
    須藤智 (静岡大学大学教育センター)
    大木朱美 ((株)KDDI 総合研究所)
    新井田統 ((株)KDDI 総合研究所)
    本研究では,高齢者のスマートフォンの利用学習に対するグループ学習型講習会の介入効果を検討した。グループ学習型講習会では,実際のスマートフォンの利用場面を再現し,支援者と共にグループでスマートフォンを利用した。実験は4週間行われ,1週目の4週目のユーザビリティテストの成績を比較検討した。実験の結果,グループ学習群の4週目の利用成績は対照群よりも有意に向上した。発表では,結果をもとに高齢者のIT機器の利用学習の支援デザインを議論する。
  • P1-21F
    沼口裕太 (慶應義塾大学環境情報学部)
    諏訪正樹 (慶應義塾大学環境情報学部)
    坂井田瑠衣 ( 日本学術振興会/慶應義塾大学環境情報学部)
    本研究は第一筆者がマルチタスクとして複数の品目を作る調理行動を行い、それを対象にマイクロスリップを分析する。 調理行動は作る品目である目的に関して上位行為・下位行為の階層構造にわけることができ、それぞれの継ぎ目で現れるマイクロスリップの数を数えた。 結果として目的の継ぎ目でのマイクロスリップの数が多いことから、マルチタスクではタスク間の替わり目にマイクロスリップが発生しやすいことがわかった。
  • P1-22F
    松本一樹 (東京大学大学院教育学研究科)
    Tomasz Rutkowski (BCI Lab)
    岡田猛 (東京大学大学院教育学研究科)
    本研究では、芸術鑑賞において、鑑賞者が作品の創作経験を有していることで、そうでない場合と比べどのような変化が生じるか検証する実験を行った。結果として、実験中に作品創作を経験した参加者は、そうでない参加者と比べ、作品をポジティブに評価する傾向を示した。さらにこの認知メカニズムを検討するため、同時に測定した脳波と心理指標を併せて分析したところ、作品の背後にある創作プロセスの認識が作品の印象形成に関わる重要な要素であることが示唆された。
  • P1-23F
    森山信也 (東京電機大学大学院理工学研究科)
    安田哲也 (十文字学園女子大学人間発達心理学科)
    小林春美 (東京電機大学理工学部)
    指示詞「これ・それ・あれ」の使い分けについては、単に対象物との距離だけでなく、可触性や可視性、所有権等も影響することが過去の研究から示されている。本研究では、レーザーポインターを使用することによって、人が自分の視点からの見えに基づいて指示詞を使用するのか、自分と他者両方の視点からの見えに基づいて指示詞を使用するのかを検討した。今回の実験の結果からは、指示詞の使用は自分の視点からの見えに基づいたものであると考えられた。
  • P1-24F
    山川真由 (名古屋大学大学院教育発達科学研究科)
    清河幸子 (名古屋大学大学院教育発達科学研究科)
    本研究では共通点の探索がアイデア生成に及ぼす影響を検討した。「タオルの通常とは異なる使用法」を考える課題に取り組む前に,タオルと関連性の低い語との共通点を探索する条件(共通点探索条件)と,タオルからの連想語を列挙する条件(連想語列挙条件)を設定した。共通点探索条件において,タオルの顕在的でない特徴の活性化が促進されることが確認されたものの,アイデアの質に及ぼす影響は見られなかった。
  • P1-25F
    脳活動による統語処理優位性仮説の検討 −日本語の場合−
    ※大会ホームページでの公開が許可されていません
    趙立翠 (金沢大学人間社会環境研究科)
    安永大地 (金沢大学歴史言語文化学系)
    入江浩司 (金沢大学歴史言語文化学系)
    小島治幸 (金沢大学人間科学系)
    本研究は,統語処理優位性仮説を検証した。刺激として,意味逸脱句,統語逸脱句,統制句の3種類を用いた。参加者は,刺激を黙読し再認した。課題遂行中の参加者の脳内酸化ヘモグロビン(Oxy-Hb)濃度の変化を近赤外分光法(NIRS)を用いて測定した。分析の結果,意味逸脱句のとき,左下前頭回と左中側頭回が活性化した。統語逸脱句のとき,左中側頭回は活性化しなかった。これらの結果によって,日本語においても統語処理の優位性があることが示唆された。
  • P1-26F
    杉本磨美 (電気通信大学 情報理工学研究科)
    伊藤毅志 (電気通信大学 情報理工学研究科)
    人狼は、近年注目を集める不確定情報ゲームである。しかし、認知科学的にプレイヤの思考過程を調べた研究はまだ少ない。本研究では、5人人狼を対象に、役職としての情報を得られない村人を対象に、どのように意思決定を行っているのかを調べて、その意思決定過程のモデルを提案する。
  • P1-27F
    母子間の視線コミュニケーション空間の発達:歩行発達との関連から
    ※大会ホームページでの公開が許可されていません
    山本寛樹 (京都大学大学院文学研究科)
    佐藤徳 (富山大学人間発達科学部)
    板倉昭二 (京都大学大学院文学研究科)
    歩行獲得によって乳児の視野にはより遠い位置が映り、乳児はより遠い物体を探索するようになる。このような歩行獲得に伴う遠方への探索傾向が社会的場面でもみられるのかを検討するため、日常場面での母子間の視線交渉が生じた距離を歩行獲得の前後で比較した。7組の母子を対象に、乳児が生後10-16か月の間、縦断的参与観察を行った。視線交渉が生じる母子間距離は歩行獲得の前後で変わらず、歩行獲得後の遠方への探索傾向は物理的場面に限定されることを示した。
  • P1-28F
    西崎友規子 (京都工芸繊維大学)
    永井聖剛 (立命館大学)
    マルチタスク遂行における個人差のメカニズム解明を目的とし,「自動車運転中に会話を行う」状況を想定し,認知的リソース容量が少ないと仮定される実験参加者群が,マルチタスク遂行においてどのような行動を見せるか検討を行った。認知的リソース容量が少ない人達は,運転走行課題遂行中に計算課題や数カウント課題が課された方が,より高い運転パフォーマンスを示すことが明らかになった。
  • P1-29F
    福田将人 (慶応義塾大学)
    諏訪正樹 (慶応義塾大学)
    人間にとって「食」は非常に豊かな「体験」であり、「食体験」は様々なものごと(変数)で彩られている。本研究は第一著者の生活上での体験をもとに、「豊かな食体験」とは如何なるものごとかを一人称研究[4]として探究することである。生活領域の「食における身体性」を探るため、食体験はどのような変数で彩られており、それに留意できた時どのような体感、そして解釈/意味付けが得られるのかを詳細に探究する。
  • P1-30F
    ユーザーイノベーション研究の展望と課題
    ※大会ホームページでの公開が許可されていません
    今村新 (JAIST 北陸先端技術大学院大学)
    永井由佳里 (JAIST)
    谷口俊平 (JAIST)
    市場経済を前提する先進国の多くでUberやAirBnBに代表されるシェアリングエコノミーが進展し、市場経済における既存の商習慣へ徐々に影響を与えている。従来の商習慣を介さずにユーザー自身の再発明が他者へ伝播する消費プロセスはエコノミー環境に変容を迫る。本研究では、ユーザーイノベーション研究に関する研究を整理しながら、最終消費者によるイノベーションに注目した研究の可能性と課題を論じる
  • P1-31F
    平田佐智子 (株式会社イデアラボ)
    宇野良子 (東京農工大学)
    大海悠太 (東京工芸大学)
    林淑克 (Reading大学)
    オノマトペ(擬音語・擬態語)の性質として、「パワン」などの新しい形の臨時オノマトペも自由に創作できる点があげられる。本研究では、臨時オノマトペがどのような状況で生成されるのかを検討するため、仮想的な触覚テクスチャにオノマトペ表現を付与する実験を行った。その結果、物理的テクスチャにはより慣習的なオノマトペが使用され、より新奇である反応遅延テクスチャには、より臨時オノマトペが多く使用されることがわかった。
  • P1-32F
    馬田一郎 (株式会社KDDI総合研究所)
    伊集院幸輝 (同志社大学)
    山本誠一 (同志社大学)
    3人会話における発話中の視線行動について比較分析を進めている。母語と比較して言語能力の劣る第2言語では、その不足を補うために視覚的情報を用いている可能性があり、母語の場合とは違う視線行動をとっていることが予測される。本研究では、(i)話者による聞き手への注視時間、(ii)聞き手による話者への注視時間、(iii)沈黙時の注視時間、について発話機能を考慮しつつ量的分析を行い、第2言語会話と母語会話での傾向の違いを検討する。
  • P1-33F
    人数が多いほど共同作業はうまくいくのか?--家具組立課題に関する一検討--
    ※大会ホームページでの公開が許可されていません
    鈴木紀子 (帝塚山大学)
    今城真由香 (同志社大学)
    正田悠 (立命館大学)
    阪田真己子 (同志社大学)
    伊藤紀子 (同志社大学)
    山本倫也 (関西学院大学)
    筆者らは、直接対面型のインタラクションにおいて、参加人数の違いがインタラクションに与える影響に着目している。本稿では、家具組立課題を題材とし、参加人数を1 名・2 名・5 名に変化させた場合における課題の成否および課題終了時間に与える影響を調べた。さらに、参加者と組立に用いる材料とのインタラクションに焦点を当て、参加人数の違いが参加者の作業負荷に与える影響について比較検討を行なった結果について報告する。
  • P1-34F
    齋藤ひとみ (愛知教育大学)
    梅本崚太郎 (愛知教育大学)
    高橋芳奈 (愛知教育大学)
    野々垣真帆 (愛知教育大学)
    林穂波 (愛知教育大学)
    村上律子 (愛知教育大学)
    森岡優樹 (愛知教育大学)
    安田成 (愛知教育大学)
    本研究では,音のインタラクションにおけるエージェンシー認知の誘発要因について検討する.齋藤・中野(2016)では,エージェンシー認知については条件間に有意な差は確認できなかったが,意図ありの方が相手の音を真似るコピーチャンクや特定の音を鳴らしあうメロディチャンクの数が多い傾向にあることが明らかになった.本研究では,先行研究の問題点に基づき,実験システムを修正した.本論文では,実験の途中経過について報告する.
  • P1-35F
    ドラムによる多人数インタラクションが参与者の生理反応に及ぼす影響
    ※大会ホームページでの公開が許可されていません
    正田悠 (立命館大学総合科学技術研究機構)
    鈴木紀子 (帝塚山大学経営学部)
    阪田真己子 (同志社大学文化情報学部)
    伊坂忠夫 (立命館大学スポーツ健康科学部)
    多人数インタラクションの心理的・生理的基盤を探究するため,1人,2人,3人でドラムを叩きあう実験を実施し,そのときの心拍を測定した。その結果,1人条件にくらべ3人条件において,心拍数ならびに交感神経-副交感神経バランスが高くなることが示された。さらに,参与者のコミュニケーション能力やチーム志向能力が,3人でのセッションにおける心理的・生理的反応に影響を及ぼすことが示された。
  • P1-36F
    階層的規則発見に関する実験的検討
    ※大会ホームページでの公開が許可されていません
    寺井仁 (近畿大学)
    横山翔 (近畿大学)
    三輪和久 (名古屋大学)
    藤村聡太 (近畿大学)
    中山剛太郎 (近畿大学)
    本研究では,大局的な構造(上位規則)への認知が,局所的な規則(下位規則)の発見とそれに基づく現象の説明的理解に及ぼす影響について,ライフゲーム(Conway’s Game of Life)を規則発見課題とした実験的な検討を行った.その結果,(1)上位規則を含まない条件であっても,上位規則に類する構造を積極的に見出すこと,また,(2)上位規則を生み出している下位規則の探求に進むことが困難であることが明らかとなった.
  • P1-37F
    タイピングミスの傾向に基づいたパスワード作成手法の検討
    ※大会ホームページでの公開が許可されていません
    藤原咲子 (岩手県立大学)
    小倉加奈代 (岩手県立大学)
    Bhed Bahadur Bista (岩手県立大学)
    高田豊雄 (岩手県立大学)
    パスワードの入力フォームの多くは,入力文字を伏字にすることで,パスワードの秘匿性を保っている.しかし伏字のフォームではユーザが入力した文字を確認することができず,タイピングミスが起こりやすく認証に失敗することがしばしばある.本研究では,タイピングミスの起こりにくいパスワードを作成することを目的とし,ユーザのタイピングミスの傾向分析,類型化に基づいたパスワード生成手法を提案し,その有用性を検討する.
  • P1-38F
    谷川由紀子 (NEC/筑波大学大学院)
    原田悦子 (筑波大学人間系)
    工学系と人文系の学生を対象とする質問紙調査を行い,使いにくい情報システムの利用場面での感じ方や行動,使いにくさに対する認識,さらにICT利用スキルやモノづくりへの意識を分析した.また各学部の1年生と3年生以上の比較を行った.その結果,使いやすさの主要因に対する認識は不変だが,使いにくさに直面した場合の感情,使いにくさの評価基準,使いやすさに向けた改善項目の優先順位づけに違いが確認され,違いの発生に工学教育が影響する可能性が示唆された.
  • P1-39
    西尾千尋 (東京大学大学院)
    乳児が実際に歩行を学習する環境である家庭で起こる自発的な歩行のサイズを調査するために、2名の乳児について独立歩行開始から3ヶ月間の家庭での歩行を観察した。ひとまとまりの歩行の50%は10歩未満の歩数で構成されていた。また、一度に50歩以上歩くことができるようになっても10歩以下の歩行は継続して観察された。
  • P1-40
    松永理恵 (神奈川大学人間科学部)
    ハルトノピトヨ (中京大学工学部)
    横澤宏一 (北海道大学大学院保健科学研究院)
    阿部純一 (北海道大学名誉教授)
    聞き手は,所属する文化の音楽に曝されることで文化特異的な調性スキーマを習得する。現代日本は,西洋音楽と日本伝統音楽の両方が存在するバイミュージカルな環境にある。では,このような環境で育つ日本人の調性的感覚は年齢と共にどのように変化していくのであろうか。本発表ではこの疑問を,横断的研究法により調べた一連の実験結果を報告する。
  • P1-41
    プロダクトマテリアルの質感創出と質感認知の試行
    ※大会ホームページでの公開が許可されていません
    永井由佳里 (北陸先端科学技術大学院大学)
    宮田一乘 (北陸先端科学技術大学院大学)
    日高昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    松村和明 (北陸先端科学技術大学院大学)
    長尾祐樹 (北陸先端科学技術大学院大学)
    本研究は、コンピュータサイエンスおよび、マテリアルサイエンスの融合研究を遂行するこ とで、新しい材料による質感創出を目指すとともに、プロダクトデザインへの応用により ユーザ経験をより豊かにすることを目的としている。この目的に対し、新材料開発プロジェ クトの基盤として、質感認知に焦点を絞り、認知科学の議論を踏まえた新しい質感創出への展開を目標とする
  • P1-42
    湯本淳史 (明治大学大学院理工学研究科)
    嶋田総太郎 (明治大学理工学部)
    内受容感覚は心拍などの身体内部の生理状態についての感覚であり、身体所有感にも寄与していると考えられている。一方、ラバーハンド錯覚は自己の手とラバーハンドに同時に視触覚刺激を与えることでラバーハンドに対して身体所有感を抱く錯覚である。本研究では、心拍に同期して光るラバーハンドに対しても同様に身体所有感が生じるかどうかを検討した。その結果、内受容感覚フィードバックを視覚的に与えることでラバーハンド錯覚が生じることが確認できた。
  • P1-43
    宿利由希子 (神戸大学大学院)
    本研究は,個人名の印象と人物像(年齢・職業)の整合性に注目し,キラキラネームと非キラキラネームの持ち主の印象評定を行った.その結果,日本語母語話者は特定の個人名からある程度共通した年齢や職業を連想し,ある程度共通した印象評価をすることがわかった.また,特定の非キラキラネームから連想した人物像と,実際の年齢・職業に整合性がないと,その個人名の持ち主への勤勉性に関する評価が下がる可能性が示唆された.
  • P1-44
    ドアと人のインタラクション-なぜドアが開けられないのか-
    ※大会ホームページでの公開が許可されていません
    加藤由香利 (成城大学)
    新垣紀子 (成城大学)
    「なぜドアが開けられないのか」に注目し、開けやすいドアに必要な要素を明らかにすることを目的とした。人がドアに対してとる行動について、取っ手の種類による違いと、サイン(押、引)の有無による違いについて観察調査を行った。その結果、取っ手の種類によらず押して開ける人が多く、これは押す行動が体の移動方向に逆らわないからだと考えられる。また、サインがある場合、その通りに開ける人が多く、サインによって「ドアが開けられない」ことを防げるといえる。
  • P1-45
    山森良枝 (同志社大学)
    In this paper we will be concerned with the adjectival interpretation of inflected tense morphemes –ta in Japanese predicates in Japanese adnominal clauses.
  • P1-46
    リスク選択において参照点を聞き出す簡単な方法
    ※大会ホームページでの公開が許可されていません
    犬童健良 (関東学園大学経済学部)
    プロスペクト理論に代表されるリスク選択の記述的意思決定モデルの問題点は,参照点に依拠していながら,「参照する」という認知過程の理解が貧弱であることにあると思われる.このためアレの背理のような古典的アノマリーについても実は系統的に説明できていない.本論文は,クジの結果ペアの気になる程度を数値化したポテンシャル値に基づき,参照点を推論する手続きを提案し,アレの背理にかんする先行研究のアンケート調査実験データを用いて検証する.
  • P1-47
    本多明子 (至学館大学健康科学部)
     本論文の目的は,認知言語学の用法基盤理論,構文文法論の考えの一つである構文間の「継承リンク(Inheritance Link)」について,言語獲得の側面から構文の継承モデルを示すことである.本論文で取り上げる構文は英語の動詞不変化詞構文である.本論文ではCHILDESの言語資料をもとに,こどもがどのような構文を使用しながら英語の動詞不変化詞構文を獲得していくのかその過程を考察することを通して上記モデルを提示する.
  • P1-48
    池田彩夏 (京都大学文学研究科)
    奥村優子 (NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
    小林哲生 (NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
    板倉昭二 (京都大学文学研究科)
    協力は一般的にはポジティブな行為であるが、不正を促進するというネガティブな側面も持つ。本研究では、6-7歳児を対象に、負の協力がどのような状況下で生じるか、また、児童が負の協力にどのように関与しているのかを検討した。実験の結果、参加児は、他者と協力関係にあり不正が互いの利益となるとき、また、他者と協働関係にありかつ自分自身の報酬が高水準で確保されている時に受動的な負の協力を示すことが明らかとなった。
  • P1-49
    高齢運転者の軽度認知障害が運転技能に与える影響に関する研究
    ※大会ホームページでの公開が許可されていません
    河野直子 (名古屋大学)
    岩本邦弘 (名古屋大学)
    青木宏文 (名古屋大学)
    尾崎紀夫 (名古屋大学)
    高齢期に生じる軽度認知障害が運転技能および運転行動に与える影響を理解するため, 65歳以上の運転者を対象とした追跡調査 (The study of Driving Risk and Individual Variables for Elderly drivers: DRIVE study)を進めている。調査は1.5年毎に行う施設調査と半年毎に行われる郵送調査とから成るが, 今回はベースライン調査で得られた情報に基づき報告する。
  • P1-50F
    趙曌 (広島大学)
    酒井弘 (早稲田大学)
    本研究では,他動詞文中で目的語を表示する格助詞の学習に有効であった高省略分の出現頻度を操作することで,インプット中にどれほどの項省略文が出現すればそれは格助詞の学習に効果を発揮するのかについて検討した.結果,実際のインプット中の出現頻度である80%の出現率,さらにはそれよりも少ない20%の出現率でも,項省略文はその効果を発揮し,子どもは格助詞の学習に成功していた.
  • P1-51
    藤木大介 (広島大学大学院教育学研究科)
    二宮由樹 (名古屋大学大学院情報学研究科)
    堀井順平 (愛知教育大学大学院教育学研究科)
    外尾恵美子 (愛知教育大学大学院教育学研究科)
    課題への集中はパフォーマンスに影響する。一方,注意に問題があっても自己評価が正確な場合パフォーマンスが低下しないことも示されている。したがって,集中力の劣る者でもそれを自覚化させた場合,補償的に思考状態を変化させ,課題成績が高くなる可能性がある.そこで,持続的注意に関する検査の結果をフィードバックすることが思考状態や読解成績に影響を及ぼすか検討した結果,課題に関連する思考が増え,持続的注意の劣る参加者は読解成績が向上することが示された.