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言語

  • O2-1
    石本啓一郎 (立教大学大学院文学研究科)
    文字獲得過程において,文字が道具として使用されない段階から,道具として使用される段階への移行が見られる。本研究は,この移行における課題遂行の仕方の変化に着目し,課題遂行を制御するプライベートスピーチ(PS)の機能の発達を描くことを目的とした。記憶の道具としてメモをかく課題で,文字を書いた子ども31人(年長・小1)を分析対象とし,書字中のPSの機能を微視的に分析した。その結果,文字が道具になるにつれてPSの機能が変化することが示された。
  • O2-2
    安田哲也 (十文字学園女子大学)
    伊藤恵子 (十文字学園女子大学)
    高田栄子 (埼玉医科大学)
    小林春美 (東京電機大学)
    本研究は、賞賛と皮肉の発話意図の理解がどのように異なるかを、2つの文脈と発話意図の要因を映像刺激によりASD児とTD児を対象に調べた。ASD児とTD児共に文脈と発話が肯定的に一致した場合は賞賛を選択し、肯定的な文脈で否定的な発話の発話意図が一致しない場合は皮肉を選択することが示唆された。数人のASD児は、肯定的な文脈で否定的な発話がなされた場合に賞賛と判断していたことから、先行研究と同様に字義的に発話意図を解釈していたと考えられる。
  • O2-3
    佐治伸郎 (鎌倉女子大学)
    王沖 (大連理工大学)
    洪春子 (お茶の水女子大学大学院)
    大庭真人 (慶應義塾大学)
    本研究は情報共有志向性に基づくコミュニケーション上の要請が,子どもの語意体系の習得にどのように影響を与えるか調査した.実験では,4, 6歳児が28の「切る/壊す」事態を表す動画を見て,1)共有条件では子どもが共に動画を見る他者に,2)非共有条件では動画が見えない他者にその内容を伝えてもらった.両条件における語の使い分けを調査すると,4歳児では非共有条件において他の年齢/条件とは異なる語運用を行う傾向が見られた.
  • OS01-5
    金野武司 (金沢工業大学 工学部 電子情報通信学科)
    橋本敬 (北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科)
    奥田次郎 (京都産業大学 コンピュータ理工学部 インテリジェントシステム学科)
    鮫島和行 (玉川大学 脳科学研究所 基礎脳科学研究センター)
    李冠宏 (北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科)
    人間は多くの場合,相手からの記号的なメッセージに対して,推論する相手の意図に基づいて特定する記号の意味と行動を結びつける.そのためこの方法は,他者との間で解釈学的循環を形成することが指摘されている.本研究では,このような循環を形成する主体の認知機構をモデルベース強化学習によりモデル化する.そして,二者で人工的な言語を作成する課題における参加者の行動データにこのモデルを適用し,その当てはまりの良さを尤度を用いて評価する.
  • OS10-4
    森下美和 (神戸学院大学)
    2020年の東京オリンピック開催に向け,「観光立国」が重要な国策的課題となっている.神戸市は,1868年の開港以来,国際都市として海外との交流により発展してきたが,グローバル経済が発展し,国内外で都市間競争が激化する中,さまざまな取り組みを行っている.そのうちの大きな柱に「インバウンド観光誘致」があり,発表者の担当するゼミにおいても神戸市と連携した活動を行っている.これまでの活動内容および学生自身による気づきと行動変容について報告する.
  • OS14-1
    山田雅敏 (常葉大学)
    里大輔 (常葉大学)
    坂本勝信 (常葉大学)
    小山ゆう (常葉大学)
    砂子岳彦 (常葉大学)
    竹内勇剛 (静岡大学創造科学技術大学院)
    本研究は,身体知と言語化に関する情報システムの解明を目的とする.先行研究では,学習者の一人称視点の言語化が,身体知の熟達に有効なツールであることが報告されている.一方,現象学の盲点ともいうべき他者性について,十分に議論されていないことが課題として残されている.そこで本研究では,他者性を考慮した身体知と言語化のモデルを構築し,実践的検証を行った.結果から、思考的パラメータに属する言語化が,身体知の熟達を妨げる可能性が示唆された.
  • OS14-2
    布山美慕 (慶應義塾大学SFC研究所)
    日高昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    熱中し我を忘れて読む状態は,物語理解や読後の信念変化など他の認知的機能との関連が指摘されており,近年注目されている.しかし,熱中し忘我する際に関する読者の自己報告の信頼性は高くないと推測され,内観報告のみでは状態を特徴づけることは難しい.本研究は,この熱中や忘我状態がそもそも一貫した同一性をもつ状態なのか明らかにすることを目的とし,同一性について議論を行った上で,これまでの著者らの実験結果から読者の熱中状態の同一性を議論する.
  • P1-8
    方思源 (早稲田大学人間科学研究科)
    松居辰則 (早稲田大学人間科学学術院)
    本研究の心理学実験では、日本語の基本色名における色の中心度とその色に対する短期記憶パフォーマンスとの間に相関関係は認められなかった。一方、色の中心度と弁別度との間に正の相関関係を認めることができた。先行研究の知見を考慮すれば、この結果は「言語別基本色名の中心度効果」が言語により強さが異なる可能性を示唆している。また、「普遍的基本色名の中心度効果」の普遍性ないしは存在に疑問を投げ、この中心度効果は弁別度効果である可能性も示唆している。
  • P1-9
    佐山公一 (小樽商科大学商学部)
     服飾ブランドのイメージの長期的な変容を実験的に調べた。誤帰属実験の結果,ブランドイメージに対する有名性は,年を追うごとに小さくなるが,記憶の誤帰属は生じることが分かった。服飾ブランドのブランドイメージは「高級感」「個性」「新しさ」因子からなることが分かった。実在ブランドと学習した/していない架空ブランドとの違いは,「新しさ」因子の大きさの違いで,「新しさ」因子が有名性に影響している。
  • P1-10
    齊藤都 (名古屋大学大学院国際言語文化研究科)
    佐治伸郎 (鎌倉女子大学)
    廣田昭久 (鎌倉女子大学子ども心理学科)
    本研究は4,5歳児において,これまで難しいとされてきた視点の入れ替わりのある物語を使用した類推問題において,自発的な言語化がどのような影響を与えるのかを検討した.結果として,言語使用はベースとターゲットの構造化を促し,類推を促進した.一方で,視点の入れ替わりを言語化する際に,正しく言語化できた子どもよりも,できなかった子どもの方が転移に成功しやすいことが示された.言語化によるラベルづけが類推に影響与えていると考えられた.
  • P1-15
    林楓 (立命館大学情報理工学研究科)
    中島諒 (立命館大学情報理工学研究科)
    長坂翔吾 (立命館大学情報理工学研究科)
    谷口忠大 (立命館大学情報理工学部)
    連続した発話文からの語彙獲得は幼児の言語獲得にとって重要な問題である.NPB-DAAは人間の音声信号のみから言語モデルと音響モデルを同時推定する教師なし語彙獲得手法であり,単一話者の音声データを用いた場合,深層学習に基づいた特徴抽出が可能なDSAEと組み合わせることで語彙獲得の精度が向上する.本研究では,複数話者の音声データからの教師なし語彙獲得を行い,その実験結果について詳報する.
  • P1-17
    山森良枝 (同志社大学)
    日本語の述語には(ス)ル形・(シ)タ形の両方が使用できる場合と片方しか使用できない場合がある。本研究では、Carlson(1977)の存在論を援用して、ル形とタ形の分布を支配する制約を明らかにする。
  • P1-18
    伊東昌子 (常磐大学 人間科学部)
    本研究は電子メール上のメッセージ文の文末に使用された顔文字に関して,関係構築初期に受け取ったメッセージ文の顔文字量が,受け手が送り手と会って話すときに保ちたい距離に与える影響を,ストップディスタンス法を採用して測定した.参加者は大学生である.その結果,顔文字が無い場合と少数の場合は,距離はプロクセミクスにおける個体距離(私的会話を楽しむ距離)の遠方相に留まったが,多用された場合は,社会距離にまで退く結果となった.
  • P1-19
    水野りか (中部大学人文学部心理学科)
    松井孝雄 (中部大学人文学部心理学科)
    視覚呈示された同音異義語の語彙アクセス過程では音韻から形態へのフィードバックが生じるとされる。本研究では同音異義語が聴覚呈示されても同様のフィードバックが生じるか否かを検討した。聴覚呈示で音韻から形態へのフィードバックが生じないなら同音異義語効果は認められないが,生じるなら同音異義語効果が認められると予想された。結果は後者で,聴覚呈示でも音韻から形態へのフィードバックが生じる支持的証拠が得られた。
  • P1-20
    白水優太朗 (東京工業大学社会理工学研究科)
    寺井あすか (公立はこだて未来大学システム情報科学部)
    王婉瑩 (清華大学人文学院)
    中川正宣 (大妻女子大学人間生活文化研究所)
    「主語(S)が目的語(O)を動詞(V)」という形式の文章を対象とし、文章の適切性がどのように判断されているかについて検討した。本研究ではコーパスに基づく3種類の計算モデル(ネットワークモデル2種・ベイズモデル)を構築し、シミュレーション結果と心理実験結果の比較を行った。その結果、ベイズモデルがより人間の行う文生成を表現しており、主語・目的語・動詞の共起頻度に基づき文章の適切性が判断されている可能性が示唆された。
  • P1-21
    黒田航 (杏林大学)
    阿部慶賀 (岐阜聖徳学園大学)
    横野光 (富士通研究所)
    田川拓海 (つくば大学)
    金丸敏幸 (京都大学高等教育研究所)
    小林雄一郎 (東洋大学)
    土屋智行 (九州大学)
    浅尾仁彦 (情報通信研究機構けいはんな研究センター)
    本発表は研究発表とは違う.その目的は,第一著者を代表者として科学研究費の助成を受けた研究「言語研究者の容認度評定力の認証システムの試作:容認度評定データベースを基礎にして」の周知と,研究プロジェクトへの協力の呼びかけである.特に評定課題の刺激となる日本語文集合の選定で,プロジェクト外のいる研究者 ---言語学者や心理学者--- からの希望を受け付けたいと思っている.
  • P2-2
    岩崎実希 (群馬県立県民健康科学大学 診療放射線学部)
    米持圭太 (群馬県立県民健康科学大学 診療放射線学部)
    柏倉健一 (群馬県立県民健康科学大学 診療放射線学部)
    鈴木智也 (群馬県立県民健康科学大学 診療放射線学部)
    大山博史 (群馬県立県民健康科学大学 診療放射線学部)
    松島直希 (群馬県立県民健康科学大学 診療放射線学部)
    阿部一美 (群馬県立県民健康科学大学大学院 診療放射線学研究科)
    本研究は、写真と「ボケ」コメントからなるユーモア画像を被験者に提示し、両者が持つ情報のギャップが生みだすユーモア感覚によって賦活した脳部位をfMRIを用いて調査した。この結果、被験者がユーモアを感じているときに「ボケ」コメントを付加することで、島皮質が賦活した。本結果から、①島皮質の機能は嫌悪の情動喚起のみならず、快情動を含むこと、②コメントが与えるユーモアで特徴的に賦活されることが示唆された。
  • P2-12
    本多明子 (至学館大学 健康科学部)
     本研究は,幼児を対象とした外国語(英語)活動において認知言語学的観点に基づく教育を実践し,そのなかで得られた教育効果について分析を行うことを目的とする.構文の定着率向上を図る上で,構文を構成している動詞や名詞などの構成素の一部に新たな言語要素を組み入れていくこと,つまり,構文間の形式と形式を繋ぐ「連結」と機能と機能を繋ぐ「接続」が重要であることを示す.
  • P2-22
    菅谷友亮 (京都大学大学院)
    本発表では形容詞の意味論及び語用論的分析を基に価値付与 (evaluation) の認知プロセスについて議論する。価値付与には比較対象と基準値の関係で判断される『相対的価値付与』と判断基準のみを判断理由とする『絶対的価値付与』があるが、日常的な価値付与はどちらか一方に分類されるのではなく、それらが混合し二重基準により価値付与される事が自然だと考えられる。又、その前提に於いて複雑な様相を呈する認知プロセスの全体象を提示する。
  • P2-25
    猪原敬介 (電気通信大学大学院情報理工学研究科(日本学術振興会))
    内海彰 (電気通信大学大学院情報理工学研究科)
    本研究は,物語文・説明文・Webテキストの読書習慣と単語連想の関連についてのコーパス分析を行ったものである。予測として,コーパスに対応するテキストタイプの読書経験の多い群の連想強度分布は,そのテキストタイプのコーパスから計算されたLSA類似度分布との相関が高い」という結果が得られると考えた。その結果,一部を除き,必ずしも予測どおりの結果を得ることができなかった。本研究から得られる示唆と,今後の改善点について議論した。
  • P2-26
    張寓杰 (東邦大学理学部情報科学科)
    張亜麗 (清華大学外国語学部日本語学科)
    寺井あすか (公立はこだて未来大学システム情報科学部)
    王婉瑩 (清華大学外国語学部日本語学科)
    菊地賢一 (東邦大学理学部情報科学科)
    中川正宣 (大妻女子大学人間生活文化研究所)
    本研究では、中国語の大規模言語データの統計解析に基づき、述語動詞の影響を考慮した帰納的推論の計算モデルを構成し、心理学実験を行い、計算モデルの妥当性を検証した。さらに本モデルと張他(2013)で構築された中国語の計算モデルと比較し、本研究で構成した計算モデルが中国語の帰納的推論における述語動詞の影響をより正確に表現できていることを実証した。
  • P2-27
    中村太戯留 (慶應義塾大学 / 東京工科大学)
    隠喩的表現の面白さには「何かが間違っている」という感覚が重要と考えられる.本研究では,21名の大学生に,面白さはその感覚を伴うのか,それは論理的説明は可能かについて調査した.結果,過半数が面白いと回答した表現では,約半数の参加者は間違いの関与を支持する一方,残りは支持しなかった.論理的説明に関しても同様であった.従って,面白さの判断には間違いの発見のみではなく他の要因も関与する可能性が示唆された.
  • P2-28
    定延利之 (神戸大学)
    現代日本語共通語では,アクセントはその語ごとに決まっていると伝統的に考えられてきた.これに対して筆者は,この通説が発話モード次第では不当になることを示している.本発表はアクセントが語ごとに決定されていない場合がさらにあることを主張する.感動詞・コピュラ・格助詞・終助詞のアクセントが語ごとには決まらず,発話構造における位置によって決まる場合があるということを具体的に示す.
  • P2-29
    近年「身体性」の概念理論は古典的概念理論と対立したが、身体性理論の欠陥も指摘され、議論が行き詰まっている。本論文で身体性理論による発見を受け止めながら、最も妥当な解釈を言語哲学における反表象主義へとつなげ、「概念」という固定物に依存しない認知のモデルとして、発話行為の状況を事例記憶として記録する言語理解のモデルを提案し、その言語学的可能性を探る。
  • P2-30
    川端良子 (国立国語研究所、千葉大学)
    松香敏彦 (千葉大学文学部)
    伝康晴 (千葉大学文学部)
    Clarkand Schaefer(1989)は、さまざまなパターンで基盤化が達成されることを示しているが、どのような状況において,どのようなパターンで基盤化が行われるかについては十分に研究が行われていない。本研究では、日本語地図課題対話コーパスを用いて、聞き手の理解が、話し手の言語表現によってどのように異なるかを分析した。その結果、言語表現によって基盤化のプロセスが異なることをが示された。
  • P2-31
    平田佐智子 (株式会社イデアラボ)
    小松孝徳 (明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科)
    本研究では、文字がもつ形態(直線や曲線)がある印象(やわらかさ・固さ)をもたらす現象を形態象徴(figural symbolism)と呼び、この現象が日本語の文字で見られるかどうかを検討した。丸い・角ばった吹き出しの画像とひらがな・カタカナを刺激とした実験を行い、組み合わせによって反応時間に変化が見られるか確認した。その結果、カタカナと角ばった吹き出しの組みあわせにおいて反応時間が短くなる現象が観察された。
  • P2-32
    粟津俊二 (実践女子大学)
    身体性認知科学では、行為文理解時に、文が意味する行為の実行と共通する神経回路が活性化し、知覚運動シミュレーションが発生すると考える。この知覚運動シミュレーションに、動詞の時相が影響するか検討した。日本人母語話者に日本語の手行為文あるいは心的行為文を単純相と完了相で提示し、文の有意味性を判断させた。反応時間を分析した結果、単純相では心的行為文が、完了相では手行為文への反応が早かった。これは、時相がシミュレーションに影響することを示す
  • P2-43
    小島隆次 (滋賀医科大学医学部)
    本研究は、言語的経路指示と指示の際に参照する地図の向きの関係について検討するために、地図の向きを独立変数とし、地図上に指定された始点から、特定の位置を通過して目的地までたどり着けるように、始点にいる人物に対して言葉のみによって経路を指示するようにといった課題を、回答者に課す調査を行った。その結果、地図の向きが言語的経路記述に対して、特定の条件下で影響をもたらすことが示唆された。
  • P2-47
    山本真秀 (神戸大学発達科学部)
    野中哲士 (神戸大学大学院人間発達環境学研究科)
    声楽や合唱の指導の現場では,ジェスチャーや比喩が頻繁に使用される.本研究では,声楽のレッスンにおいて使用されるジェスチャーや言葉に注目する.レッスンの場で先生と生徒の間でどのようにして意図が共有されているのかを明らかにするために,ジェスチャーや言葉,先生の指示ついての生徒の解釈について分析を行った.その結果,一つの指示の後にそれを補足するような指示があること,また,背景にいくつかの指示を含んでいる指示が存在することがわかった.
  • P2-49
    小泉千尋 (青山学院大学大学院社会情報学研究科博士後期課程)
    本研究はサイエンスカフェにおいて、参加者のメンバーシップ(話題提供者、母親、学生など)がどのように変化するかについて検討した。結果、ファシリテーターによる参加者の他のメンバーシップへの言及がメンバーシップ変化を促し、個人の経験や感情を語ることを可能にしていた。また話題提供者は「話題提供者」として参加者のニーズに応じながらも,他のメンバーシップへと変化することで参加者とは異なる自身の見解を提示することを可能にしていた.