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[OS10] ICT による観光資源開発支援:心理学的効果を応用した期待感向上

9月16日(金) 13:00 - 15:30 会場:A23(情報科学研究科棟2階)
 様々なサービスにおいて、標準化と個別化はジレンマになりうる課題である。これは旅行・観光サービスについても例外ではない。インターネットにより日常が際限なく広がり世界の均一化が進む。食事や地図などの情報提供が旅の利便性を向上させる一方で、地域固有の文化をどのように外国人や次の世代に伝えていくのか。日本固有の文化をどのように多言語化するのか、様々な課題が残る。
 これまで、ICTを利用した様々な観光資源開発支援技術が開発され、各地で実証実験や実用化が行われてきたが、有効な手段となっていないのが現状である。既に700あまり存在するご当地アプリは、無料であってもインストール数は必ずしも多くない。このような現状を生んでいるのは、ICT技術そのものが十分に成熟していないことも一因であるが、観光情報を個々のサービス利用者のニーズに合わせて伝える,観光地に期待を持たせるように伝える,記憶に残りやすいように伝えるなど,利用者の心理面を考慮した情報提供が実現できていないのが主要な要因であると考えられる.観光情報を単なる地域の情報の山盛りではなく、どのようにユーザにとっての未知の部分を作り期待してもらうか、それをどのように発信することで、魅力的な情報として注意を惹き覚えてもらうかなどの様々な課題について、認知科学的アプローチによる検討が必要である。
 そこで、本セッションでは、例えば、観光の心理学モデル、インバウンド旅行者向けの多言語による観光情報提示における認知モデル、hospitality communicationなどをテーマとし、非日常の経験としての旅の魅力・文化を国内外の観光客に情報提供する仕組みを、認知科学の観点から議論する。
  • OS10-1
  • OS10-2
    伊藤篤 (宇都宮大学)
    平松裕子 (中央大学 経済学部)
    上田一貴 (東京大学)
    羽多野裕之 (宇都宮大学)
    佐藤美恵 (宇都宮大学)
    佐藤文博 (中央大学)
    渡辺裕 (宇都宮大学)
    佐々木陽 ((株)GClue)
    本論文では,宇都宮大学と中央大学が総務省からの受託した「観光客の満足度向上のための情報提供技術の研究開発」の概要を述べ,次に,ビーコンから発信しとしてApple Watchを装着して,日光駅から神橋までの歩いた時にビーコンに気がつく割合は69〜100%,平均85%と,非常に高い割合となった.スマホ端末を手に持った場合が60%であったことを考慮すると,非常に有望な情報配信方法であることがわかった.
  • OS10-3
    増田孝男 (中央大学 経済学部)
    佐藤文博 (中央大学)
    平松裕子 (中央大学 経済学部)
    伊藤篤 (宇都宮大学)
    佐々木陽 ((株)GClue)
    2014年より,中央大学は宇都宮大学とともに,「日光」の観光活性化の手段としてスマートフォンの高度利用による「観光客の満足度向上のための情報提供技術の研究開発」を進めてきた. 本論文では特に修学旅行生などに対する学習効果の向上を目的に, Zeigarnik effectを利用した心理学的アプローチを考慮した調査実証に言及する.被験者のアプリ利用からみられる風景への着眼点の創出,記憶定着,アプリ評価など実施結果について述べる.
  • OS10-4
    森下美和 (神戸学院大学)
    2020年の東京オリンピック開催に向け,「観光立国」が重要な国策的課題となっている.神戸市は,1868年の開港以来,国際都市として海外との交流により発展してきたが,グローバル経済が発展し,国内外で都市間競争が激化する中,さまざまな取り組みを行っている.そのうちの大きな柱に「インバウンド観光誘致」があり,発表者の担当するゼミにおいても神戸市と連携した活動を行っている.これまでの活動内容および学生自身による気づきと行動変容について報告する.
  • OS10-5
    倉田沙織 (宇都宮大学)
    森博志 (宇都宮大学)
    外山史 (宇都宮大学)
    東海林健二 (宇都宮大学)
    伊藤篤 (宇都宮大学)
    本研究では,カラー写真のような参照画像を下敷きにして描いた入力線画に対し自動で彩色を行った結果を実時間で更新し,彩色線画を印刷するシステムの観光地における効果的な利活用の可能性について検討する. 描いた絵画を絵葉書にする事による旅行の思い出共有,絵描き動作による被写体内容の印象付けを行う. また,利用場所,利用端末についてのアンケートを実施し,観光地での快適な使用環境についても議論する.
  • OS10-6
    物体認識型ARの観光支援システムへの応用可能性の検討
    ※大会ホームページでの公開が許可されていません
    加藤昇 (宇都宮大学大学院工学研究科情報システム科学専攻)
    佐藤美恵 (宇都宮大学)
    伊藤篤 (宇都宮大学)
    近年,AR技術を観光分野に利用することでユーザに観光に関連した情報を表示し,観光を支援しようという活動が行われている.本研究は,AR技術による観光支援を目的として,観光風景に適さない幾何学的なマーカではなく,観光地に存在する鑑賞対象の3次元物体をARマーカとして設定し,鑑賞対象への付加情報をユーザに表示する観光支援システムを開発する.そして,観光支援ツールとして,本システムの情報の視認性とツールとしての操作性について調査する.