研究分野で検索

推論・問題解決

  • O3-2
    織田涼 (立命館大学文学部)
    服部雅史 (立命館大学文学部)
    本研究では,問題解決における潜在ヒントの利用に,解決者の状態や特性の個人差が及ぼす影響を検討した.遠隔連想テストの一部の問題でヒントを閾下提示した.ヒントによる正答率の上昇効果と外向性および開放性の特性と正の相関が示され,環境からの情報受容性が高いほどヒントが利用されやすいことが示差された.また,ヒントの効果と覚醒水準の負の相関が示された.覚醒水準の上昇による認知機能の向上が,潜在ヒントの利用を妨害したと考えられた.
  • O3-3
    阿部慶賀 (岐阜聖徳学園大学)
    本研究では重さ刺激の事前提示が後続の価値判断に与える影響を検討した。実験ではジュースの印象評価について、ジュースの品質と量は同じでありながら、コップが重い条件と腕に重りがある条件、追加の重量負荷のない統制条件を設けて比較した。その結果、同じ重さでも評価対象物であるコップが重い方が、腕が重い条件より価値を高く評価することが示された。
  • O3-4
    堀江美早 (名古屋大学教育学部)
    野々部佐紀 (名古屋大学教育学部)
    鈴木悠平 (名古屋大学教育学部)
    清河幸子 (名古屋大学大学院教育発達科学研究科)
    本研究では,他者の取り組みを観察する際の構えが洞察問題解決に及ぼす影響を検討した.実験参加者は,他者の取り組みのうち,よい点に着目するよう促された他者利点観察条件,よくない点に着目するよう促された他者欠点観察条件,観察のない条件の3条件のいずれかに割り当てられ,30秒ごとの取り組みと観察を繰り返しながらTパズルに取り組むよう指示された.その結果,解決成績に条件間に差は見られず,着眼点の固定は促進効果をむしろ損ねた可能性が示唆された.
  • OS06-3
    白砂大 (千葉大学)
    松香敏彦 (千葉大学文学部)
    本研究は,因果強度判断課題における主題化効果の影響を検討することを目的とした。課題では,実験参加者が操作可能な「標的原因」と操作不可能な「文脈」のそれぞれが結果事象をどのくらい引き起こすかを判定させた。結果として,文脈への判定時には主題化効果は有利に働かなかったが,標的原因への判定時には主題化効果が多少ながら有意に働くことが示唆された。
  • OS08-3
    石井成郎 (愛知きわみ看護短期大学)
    鈴木裕利 (中部大学)
    板井陽俊 (中部大学)
    山下隆義 (中部大学)
    本研究では教育場面におけるグループワークの創造性に関して,(1)グループの社会的スキルとパフォーマンスの関係,(2)グループの社会的スキルと学習効果の関係について検討を行った.大学のプログラミング教育におけるグループワークを分析した結果,(1)社会的スキルの高い学習者ペアは高いパフォーマンスを発揮していた,(2)とくに社会的スキルに差のあるペアの社会的スキルが授業後に向上していたことが確認された.
  • OS09-1
    横山拓 (青山学院大学社会情報学研究科)
    鈴木宏昭 (青山学院大学)
    本論文は洞察問題解決の熟達化におけるメタ学習のプロセスを明らかにする.被験者1名に複数の洞察問題を解かせる実験を行ったところ,被験者が多様な問題群に対する向き合い方,すなわち知覚と行為を協調させながら,外的環境との巧みな相互作用を通じて問題を解決しようとする態勢(disposition)を形成していくことが示された.この過程は学習や発見の起こし方それ自体が学習されるメタ学習の過程であり,定型的熟達化や特定の解決策の学習とは区別される.
  • OS09-3
    寺井仁 (近畿大学産業理工学部)
    三輪和久 (名古屋大学大学院情報科学研究科)
    松林翔太 (名古屋大学大学院情報科学研究科)
    遠山直宏 (名古屋大学大学院情報科学研究科)
    本研究では,初期の説明(先行説明)を根本的に覆す事実(キーファクト)が与えられた後,説明の再構築を行う過程を対象に,説明の根本的な転換(説明転換)の成否とキーファクトへの注意との関係について,眼球運動測定を用いた検討を行った.実験の結果,(1)キーファクトが与えられた後,一旦はキーファクトへの注意が抑制されること,(2)説明転換に成功した参加者は,説明転換の直前にキーファクトへの注意が高まっていたことが明らかにされた.
  • OS09-5
    山川真由 (名古屋大学大学院教育発達科学研究科)
    清河幸子 (名古屋大学大学院教育発達科学研究科)
     新奇なアイデアを生み出すには通常とは異なる枠組みで知識を用いることが重要となる。本研究では対象間の共通性を発見することを通じたカテゴリの再構成について検討した。参加者は2つの対象の関連性評定と共通点の発見が求められた。結果として,対象間の関連性が低いほど発見された共通点は少なく,妥当性も低かったが,独自性と面白さは高かった。以上より,離れた対象の共通点を発見することで新奇なアイデアのベースが作られることが示唆された。
  • OS09-6
    山下美穂 (名古屋大学大学院教育発達科学研究科)
    木村友香梨 (名古屋大学教育学部)
    小室弘樹 (名古屋大学教育学部)
    中村優花 (名古屋大学教育学部)
    清河幸子 (名古屋大学大学院教育発達科学研究科)
    中山清香 (名古屋大学教育学部)
    本研究はオブジェクトとの相互作用で得られる情報,特に,視覚的入力が創造的なアイデア生成に及ぼす影響を検討した.大学生64名を対象にプラスチック板の使い道を考える課題を実施した結果,オブジェクトと相互作用出来る場合に創造的なアイデアの生成が促されることが明らかになった.また,オブジェクトと相互作用時に視覚的入力を制限した場合には,触覚的情報に着目したアイデアがより多く生成されることが示された.
  • P1-7
    岩田眞樹子 (放送大学教養学部(みどり市立笠懸南中学校))
    日々の授業実践において、多くの教師は、生徒の実態に応じて、指導のねらいを達成するために、指導内容を変えずに、より効果的な指導方法を教師が探究的に選択していく。今回、授業において、指導内容をそのままに、指導方法を変えたときに、根拠を適切に用いて課題解決ができる生徒がどのように増えるかを見て取りながら,子供の問題解決を効果的に支える「足場掛け」について考察した.
  • P1-17
    石黒千晶 (東京大学大学院教育学研究科)
    岡田猛 (東京大学大学院教育学研究科)
    本研究は芸術表現経験が触発体験にどのように影響するかを検討した。その際に、媒介変数として、芸術表現への有能感と芸術鑑賞の態度を仮定し、自分と他者の表現を伴う鑑賞態度が最も触発体験を予測し、芸術表現経験は芸術表現の有能感と自分と他者の表現を伴う鑑賞態度を媒介して触発体験に影響するという仮説を立てた。185名の大学(院)生を対象に仮説を検証する調査を実施した。重回帰分析と構造方程式モデリングの結果、仮説が部分的に支持された。
  • P1-22
    佐藤有理 (東京大学大学院総合文化研究科)
    杉本雄太郎 (慶應義塾大学 論理と感性のグローバル研究センター)
    植田一博 (東京大学大学院総合文化研究科)
    図的推論における外的表現として、仮想現実物と現実物を同時に使用する拡張現実ARに着目した。条件文の推論課題と共に、前提文に対応するように物を配置する実験を行った。「もしPなら、Q。かつR。」からの「P」や「Q」の導出は必ず正しいとは言えないが、PとQが仮想現実物として与えられた拡張現実の環境における正答率は、全てが現実物として与えられた場合よりも高かった。拡張現実物の存在の仕方と条件文の連言解釈回避の点から、ARの認知効果の説明を行う。
  • P1-28
    太田垣歩 (神戸大学発達科学部)
    野中哲士 (神戸大学人間発達環境学研究科)
    会話から昼夜のサイクルへの適応にいたるまで,外部イベントのタイミングに対して行動を調整することは,日々の活動において重要な位置を占めている.本研究では,人々がエスカレーターに乗る際に,どのようにタイミング制御を行っているかを理解することを目的としている.エスカレーターに乗る場面における人々の行動を2種類の異なる速さのエスカレーターで観察したところ,着地に至る3歩の滞空時間や,接地タイミングにばらつきが見られた.
  • P1-31
    中野優子 (東京大学大学院学際情報学府)
    岡田猛 (東京大学大学院教育学研究科)
    熟達した振付家・ダンサーの森山開次氏に注目し,コンテンポラリーダンスにおける振付創作過程を,認知プロセスと身体プロセスの関わり合いという観点から検討した.結果,振付創作における認知プロセスは「着想の観点」「具現化の観点」「目的」の観点から捉えられ,これらの内容は,異なる特徴を持つ3つのフェイズを経て移り変わることが明らかになった。更に認知プロセスは,実際の身体運動である身体プロセスと輻輳的に相互作用しながら展開することも明らかになった。
  • P1-32
    清水大地 (東京大学大学院教育学研究科)
    岡田猛 (東京大学大学院教育学研究科)
    本研究では,熟達者の有する即興的な表現方略について,ブレイクダンスを対象とした長期的なフィールドワークを行った.その際,既に獲得している5つの技術を複数回に渡る実践でどのように使用しているか,その使用方法はどのように変化するのかに着目した.結果として,熟達者は,各技術について3つのレベルから変更を加えつつ状況に適応した表現を行うこと,ある程度基本的なパターンを構築しつつ,状況に応じてそれらを変更して利用することが示唆された.
  • P2-25
    張寓杰 (東邦大学理学部情報科学科)
    孫星越 (東京工業大学大学院社会理工学研究科)
    菊地賢一 (東邦大学理学部情報科学科)
    中川正宣 (東京工業大学大学院社会理工学研究科)
    本研究では、中国語における名詞と動詞の関係に名詞と形容詞(名詞修飾語)の関係を加え、大規模言語データの統計解析に基づき、確率的言語知識構造を再構築して、中国語における帰納的推論の計算モデルを構成し、心理学実験によりモデルの妥当性を検証する。さらに、本研究で構築した新しいモデルと先行研究のモデルを比較し、シミュレーションの結果が改善されていることを検証する。
  • P2-26
    金野武司 (北陸先端科学技術大学院大学 知識科学研究科)
    橋本敬 (北陸先端科学技術大学院大学 知識科学研究科)
    記号的なコミュニケーションにおいて,人は字義通りの意味だけではなく言外の意味を伝える.本稿では,これらの意味を伝えるための記号的なコミュニケーションシステムの形成実験を実施し,そこで得られる行動傾向を再現する計算モデルを構築する.この計算モデルを用いて我々は,言外の意味の成立には記号から意味を推定する仕組みだけでなく,その推定に基づく行動のシミュレーションと,先行的な行動価値の修正メカニズムが必要であることを示す.
  • P2-27
    福田怜生 (学習院大学大学院)
    本研究の目的は,広告への移入を向上させる要因を明らかにすることである。移入とは、消費者が物語に没頭した状態と定義され,広告の説得効果を向上させる状態としてマーケティング研究などから注目を集めている。しかし、これまでの研究では、移入を向上させる要因は十分に検討されてこなかった。そこで本研究では、広告形式と商品画像に着目し、これらが移入に及ぼす影響について検討を行った結果、物語形式と高品質商品の画像が移入を向上させることが明らかになった。
  • P3-7
    大崎理乃 (岡山大学)
    三宅なほみ (東京大学)
     本研究は,協調学習における理解深化過程を明らかにすることを目的とするものである.今回の発表では,ツールとしての機能機構図の有用性検討のため,教材に対応する機能機構階層図を作成し,学習者の発話を分析した結果,あるレベルの理解のために他のレベルの知識を使いながら説明を構築していること,あるレベルの説明に一定の合意に到達することで次のレベルに対する問いが発生し,対話のレベルが移動することが確認されたことを報告する.
  • P3-8
    大門貴之 (筑波大学人間総合科学研究科心理専攻)
    原田悦子 (筑波大学人間系心理学域)
    須藤智 (静岡大学 大学教育センター)
    高齢者に共通するIT機器に対する学習困難さに関して,先行研究では系列的な問題解決の学習が高齢者と若年者で異なることを示した.本研究はその学習メカニズムを明らかにし実験データの説明を試みるためモデル比較ができるシミュレーションを行った.実験データから2つのシンプルな経路選択ルールを設定し1000回反復したところ,若年成人のデータについては部分的に実測値と適合を示したが,高齢者の学習を説明するにはより複雑なルールが必要であることが示された.
  • P3-23
    安念保昌 (愛知みずほ大学人間科学部)
    Kosslyn課題でどの様な性差があるかを明らかにした。参加者は239名。その結果、女性の方向音痴群は、移動距離と所要時間に相関がみられないが、方位正確群は、有意な正相関がみられた。また、重回帰分析の結果、女性仮想群では、場所の記憶因子が、男性では、方位と回転因子が方向音痴に影響を持った。以上の結果から、女性は、記憶したランドマークをひとつずつ追いながら、空間的表象内を移動するのに対し、男性は経路情報に集中していることが示唆された。
  • P3-31
    山森良枝 (同志社大学)
    ある表現Eの持つ前提(presupposition)は、Eの先行情報に含まれるとされるが、前提の投射は常に左から右に行われるとは限らない。本論では、「Pかもしれない」を対象に、「か」「も」と直近の文脈との意味論的関係に着目して「Pかもしれない」の論理構造を明らかにする。また、その結果から、複文における前提の投射の仕組についても考察する。
ページのトップへ戻る