日時: | 2015年8月31日(月)13:00 ~ |
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9月2日(水)15:30 | |
場所: | 神奈川県箱根市 |
箱根湯本富士屋ホテル | |
小田急線箱根湯本駅より徒歩可能 |
定員: | 60名(若手研究者を優先します) |
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対象: | 広く認知科学に興味を持つ学生・研究者。日本認知科学会の会員には限りません。 |
参加費: | 25000円(一日あるいは二日の部分参加の場合は15000円) |
宿泊費: | 14000円(3名~5名での相部屋) |
26000円(シングル) | |
*宿泊費には夕食および朝食が含まれます。 | |
*学生の参加者には日本認知科学会から10000円の参加費の補助があります。 | |
*学生の参加定員は併せて30名です。 | |
*相部屋の部屋割りは事務局にお任せいただきますが、ご要望があれば下記問い合わせ先までメールでお知らせ下さい。 | |
問合せ先: | 日本認知科学会事務局 jcss@jcss.gr.jp |
主催: | 日本認知科学会 |
申し込み: | 東武トップツアーズ(株)専用ページからお申し込み下さい。 |
認知科学会のサマースクールは2011年から始まり,今年で第五回となりました。これまで,安西先生のレクチャーをはじめ,シニアの先生方の解説、若手研究者の発表とシニアの方々とのディスカッション,学生・若手・中堅・シニアの方々の忌憚のない交流,などが実現されてきました。シニアの先生方の長い経験に培われた深い事象の理解や考え方が,このような交流を通じて伝えられることは,若手の方々の研究のスタートには極めて有用であり,それを組織的に行うことをサマースクールは目指しています。研究者は往々にして先端的な知識を得ることこそが,より発展した研究につながると考えます。しかし実際には,先端的な知識もまた基礎的な知識の延長であり,基礎的な事象の深い理解がなければ先端に行きつくことはできません。また,他分野の研究者との深い議論は,私達の頭をゆさぶり,一人ではローカルミニマムにはまっていた思考を新しい領域に引き出してくれます。実際には,このような議論や交流が,先端を切り開く新しい発想につながるのだと思います。異分野についての学習,特に深い理解は心的な負担が大きいのは事実です。
本サマースクールの参加者には,そのような壁を乗り越え,多くの方々との深い議論を通じて,新しい研究分野を開拓してほしい。認知科学会はそのようなチャレンジを積極的に支援します.
日本認知科学会・会長
大森隆司
世界的に見て優れた研究の多くが、多様な背景(研究方法、研究分野、文化、国籍、その他)を持つ研究者同士が対話を重ね、刺激しあう場から生まれるようになってきたように思います。
行動実験、脳機能研究、ビッグデータ処理などの方法に通じた研究者の共同研究が増えていることはご存じの通り、被引用回数の多い論文が国際共同研究から生まれる割合も急速に高くなっています(文科省科学技術政策研究所調査)。最近では、複数の研究方法をマスターした一人の研究者が、世界に先駆けた成果を次々と挙げることも目につくようになりました。
しかし、とくに日本の国内では、いまだに若手研究者や院生の多くが、何年も同じような人たちと過ごし、限られた所属分野、お仕着せの研究方法、自分の周囲の先生や学会の狭い研究人脈といった、「多様性のない研究の場」に生きているように見えます。
世界の研究環境の変化と無縁のガラパゴス的生活をしていれば、ストレスもそれほど感じなくて済み、表面的には有意義な研究をしている気になれるのかもしれません。しかし、研究の方法や考え方の似た者同士からは、世界の第一線から見ると重箱の隅をつついた結果しか出てこない、世界はすでにそういう時代に入っているのです。
認知科学に関心を持つ若い研究者や院生には、内輪に籠った分野ごとの研究文化や各分野の伝統的な研究法に囚われず、新しい研究方法を開拓していってほしい。そして、多様な研究者と刺激しあって、ワクワクするような学術の世界を創り出してほしい。とくに、世界の第一線に飛び込んで力いっぱい頑張ってほしい。それが私の願いです。
サマースクールの創設に尽力された横澤一彦元会長は、自らの研究として視覚の「科学」を標榜しておられます。また、鈴木宏昭前会長は、本学会が「対話」の場であってほしいと言っておられます。5回目になるサマースクールが、世界の学術動向にも沿った、多様性に基づく開かれた研究へのステップになること、「科学」の方法論を開拓しつつ「対話」を通して新しい学術の世界を創り上げていくエネルギー源になることを、心から期待しています。
独立行政法人日本学術振興会
安西祐一郎
12:30 | 受付開始 |
13:00 | サマースクール開講挨拶 大森隆司 |
13:10 | セッション(1) |
「汎用人工知能──脳全体の計算機能はどこまでモデリングできるか」 | |
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企画:山川宏(ドワンゴ人工知能研究所) | |
講師:山川宏(ドワンゴ人工知能研究所)・ | |
現在の,神経科学や,人工知能,認知科学の知見を重ねあわせることで,脳の全体的な計算機能をどの程度までモデルか可能であるかについて考えてみたいと思います. | |
具体的には以下の様な観点を考えています. | |
・機械学習と脳全体の対応について: 山川宏 | |
・深層学習は人の認知機能をどこまで実現できるか:PFI/PFN(依 頼中) | |
・情動系に関わるの計算モデル: 荒川直也様 | |
19:00 | 夕食・懇親会 |
20:00− | イブニングセッション(1) |
「汎用人工知能を考える上で派生する研究トピックと方法論」 | |
22:00 |
9:00- | 若手研究者プレゼンテーション(1) |
10:20 | 「話者の指示表現選択の確率モデル」 |
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折田奈甫(東北大学大学院情報科学研究科) | |
話者は、例えばAliceという実体(指示対象)を言語で指示する時に、"Alice"や"she"などの指示表現を選択し用いる。本研究は、このような話者による指示表現選択をベイジアンモデルを用いて形式化し、話者の指示表現選択が、その指示対象の持つ確率と指示表現の持つ情報量を考慮することにより説明できると提案する。また本発表では、最近のベイジアンモデルを用いた言語の理解・産出・獲得の研究やその賛否を問う議論を紹介しながら、言語の確率モデルについて議論を深めたい。 | |
10:30- | 若手研究者プレゼンテーション(2) |
12:00 | 「錯覚を題材とした認知メカニズムの研究」 |
福田玄明(東京大学大学院総合文化研究科) | |
発表者らが発見した色の錯視を紹介し、実験、モデル化により、感覚入力がどのように処理され、意識される知覚、認知に至るのかを検討した結果を紹介する。具体的には、実在する色が知覚されず、物理的には実在しない錯覚色のみが知覚される反対色のコマ、記憶や知識が知覚される色に影響する記憶色現象についての実験結果から、我々の認知システムがどのような計算を行っているのかを考察する。 | |
13:30 | セッション(2) |
「神経回路の全容解明は認知機能の理解にどう役に立つのか? | |
─革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト」 | |
企画:松田哲也(玉川大学・革新脳PO) | |
講師:岡野栄之(慶應義塾大学・革新脳PL) | |
須原哲也(放射線医学総合研究所・革新脳臨床研究Gメンバー) | |
中村克樹(京都大学霊長類研究所・革新脳中核拠点参画機関代表) | |
松田哲也(玉川大学・革新脳PO) | |
2014年から日本の国家プロジェクトとして「革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト(革新脳:Brain MINDS)」が開始されました。 | |
脳は、千数百億個の神経細胞からなるネットワークにより構成されており、脳を理解するためには細胞1つの活動だけではなくその活動がネットワーク上どのように伝達されるのかを明らかにすることが必要不可欠です。そのためには、脳神経細胞間の構造的な繋がりを調べ、正確な神経回路図を作成し、その回路上を信号が伝わる原理原則を解明する研究が必要です。 | |
革新脳では、10年間で脳の構造と機能を様々な階層でマッピングすることを目指しています。このセッションでは、このような構造・機能マップは認知機能の理解にどう役立つのかについて考えてみたいと思います。 | |
19:00 | 夕食 |
20:00− | イブニングセッション(2)「TBA」 |
22:00 | 未定(未定) |
9:00- | 若手研究者プレゼンテーション(3) |
10:20 | 「発達早期における向社会性」 |
鹿子木康弘(京都大学大学院教育学研究科) | |
近年,乳幼児期の向社会行動に関する多くの知見が蓄積されるとともに,発達早期におけるヒトの生来的な向社会性に関する議論がなされるようになっている。しかしながら,乳児期早期の向社会性を明らかにした実証的研究は少ない。そこで本発表では,発達早期の向社会性を明らかにすることを目的とした二つの研究を紹介する。具体的には,前言語期である6ヶ月児や10ヶ月児を対象に,幾何学図形のアニメーションを用い,アニメーション中のキャラクターに対する乳児の態度を検証した研究を紹介する。また併せて,発達早期の向社会性が発達のタイムラインにおいてどのように変容するかについても議論したい。 | |
10:30- | セッション(3) |
「新しい時代の学習・教育環境と思考の認知科学」 | |
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12:00 | 企画:鈴木 宏昭(青山学院大学) |
講師:安西祐一郎(日本学術振興会) | |
楠見孝(京都大学) | |
白水始(国立教育政策研究所) | |
PISA型学力,21世紀型スキル,昨年の中教審答申における入試改革などに見られるように知識,価値の生産者を育てる教育が求められています.そこでは素早く正確な情報の貯蔵と検索だけでなく,情報を吟味しながら主体的に取捨選択し,論を構成し,それをわかりやすく伝える力の育成が求められています.このセッションではこれまでの思考、学習の認知科学の蓄積が,新しい時代の知性の育成にどのように関与できるのかを検討したいと思います. | |
10:30 | 趣旨説明 |
鈴木 宏昭(青山学院大学) | |
10:40 | 思考の認知科学と教育・入試改革 |
安西祐一郎(日本学術振興会) | |
11:40 | ディスカッション |
13:30 | 批判的思考の基礎と応用 |
楠見孝(京都大学) | |
14:10 | 学習科学の理論と方法 |
白水始(国立教育政策研究所) | |
14:50 | 総合討論 |
15:15 | クロージング |
15:30 | 終了 |