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日本認知科学会

入会のご案内

「認知科学」特集(第33巻第1号・2026年3月号)論文募集のお知らせ(プロポーザル締切延期)

特集タイトル「人文学の新しい次元:量子論のメガネで覗く」


掲載予定巻号:2026年3月号(Vol.33, No.1)
担当編集者:田中彰吾(東海大学)・入來篤史(理化学研究所)

企画趣旨:


 人類文明の近代史を特徴づける「(古典)科学的世界観」は,自然のみならず社会や人間の心までをも対象化して,直線的因果関係に還元して分析することで予測と制御を可能にし,多大な成功をおさめてきた.しかし,現代社会は,その成熟と複雑化によって,古典科学が還元的近似によって抽象化してきた現実現象の根底にある多層的因果構造の複雑さに直面し,その結果,現代の科学者は,理解・予測・制御の限界に戸惑っているように見える.
 認知科学も,心の働きを情報処理に見立てて理解することで,認知・行動過程の予測と制御を目指してきた.情報処理的アプローチは,人工知能開発,言語モデルの構築,ロボティクスへの応用,精神疾患の理解と治療など,様々な方向で成果を得た.その一方で,記号接地やフレーム問題が身体性認知科学の登場を促し,情報処理への還元的近似によって捨象された心の次元が捉え直された.それでも依然として,認知科学は「心」に潜む多層的因果構造の複雑さに迫りきれておらず,「(古典)科学的世界観」に足止めされたままである.
 約100年前に発見された量子物理学の「不確定性原理」が,この古典的な機械論的・決定論的世界観を覆したことはよく知られているだろう.ただし,この転覆がもたらした「(量子)科学的世界観」は未だミクロな科学のレベルにとどまり,心や文化といった等身大の人間世界にまで拡張されるには至っていない.しかし,量子コンピュータの実用化が現実的になりつつある現在,この新技術は,このような複雑な因果構造を操作する革新的な方法を提供し,人文学と自然科学を統合する新しい次元を開拓することで,人間文明の歴史に新たな時代を切り開くかもしれない.
 本特集では,この様な「人文学の新しい次元」を探索する野心的で挑戦的な論考を募集する.認知科学の学際性を活かし,すでに研究が進展している量子認知だけでなく,人類進化,発達,自己,意思決定,群集心理,先住民族知など,多様なテーマに関する論考を通じて人文学を刷新することを狙いとする.

特集で扱う論文テーマの例(以下は例で,これらに限定されない):
  • 科学史における量子論的世界観の意義

  • 認知科学に対して量子論が潜在的に持っているインパクト

  • 古典確率論から量子確率論へ

  • 量子コンピュータの実用化に伴う認知科学・人工知能の刷新

  • 意識研究に量子論がもたらす変革

  • 量子論から理解する人類進化

  • 先住民族知と量子論的世界観の親和性

応募資格:


認知科学の研究者であれば、誰でも投稿できる(査読・掲載に関わる費用等について、詳しくは『認知科学』の投稿規程を参照する)。

応募方法:


 本特集では、プロポーザル方式で原稿を募集する。執筆を希望する場合は、プロポーザル投稿をすませた上、期日までに論文原稿を送付する必要がある。プロポーザル投稿は、2025年4月10日(木)までに、論文タイトル、論文種別(研究論文、展望論文、短報論文、あるいは資料論文)、著者氏名・所属・連絡先(住所、電話番号、e-mailアドレス)、800字程度のアブストラクト、キーワード(5個程度)を電子メールにて提出する。投稿する論文は、「認知科学」の投稿規程執筆要領にしたがうものとする。
 提出後、10日以内に受領確認のメールを著者に送付する。論文投稿は電子投稿システムで行う。投稿方法の詳細はプロポーザル採択者にメールで通知する。

プロポーザル提出先:


プロポーザル投稿は以下のアドレスに提出するものとする。
 cstokusyu33-1[at]jcss.gr.jp
 [at]を@に置き換えること

スケジュール:


 おおむね下記のスケジュールを予定している。諸事情により変更の可能性がある。
  • 2024年10月中旬:CFP配布開始

  • 2025年3月20日2025年4月10日: プロポーザル投稿締切 (延長しました)

  • 2025年3月末2025年4月30日: プロポーザル採択通知(執筆依頼) (延期しました)

  • 2025年5月20日2025年5月31日: 論文投稿締切 (延期しました)

  • 2025年7月中旬: 第1回査読結果返送

  • 2025年10月上旬: 第2回査読結果返送

  • 2025年11月15日: 最終稿提出締切(これより遅れた原稿は、次号以降の一般号掲載となる。)

  • 2026年3月1日:第33巻第1号掲載

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