研究分野別一覧

思考・知識

  • OS03-4
    公募発表
    原田 悦子 (筑波大学人間系)
    荒井はつね (筑波大学)
    人はどのように漫画を読むのか,そのプロセスを明らかにしていくための一つの方法として,「異なる目的のために異なる読み方をしている」個々の読者間での比較がある.本研究はその一例として,二次創作経験者とそうではない一般読者との間で,読み過程の比較検討を行った.その結果,漫画に対する読みの量的な相違,ならびにその結果としての記憶成績の相違等が示された.また読み過程における発話内容の分析から,そこで行われている読み過程について,考察を行った.
  • OS03-5
    公募発表
    古藤 陽 (東京大学大学院)
    清水 大地 (東京大学大学院)
    岡田 猛 (東京大学教育学研究科)
    本研究では,日常におけるものの見方の変化を促す美術鑑賞教育の手法を提案し,大学生を対象とするワークショップ実践によりその効果検証を行った.ワークショップ前半では美術作品,後半では日常的に身近にある対象を題材として,観察を踏まえて対象の魅力を見出し,その魅力を伝える文章をグループで共同執筆することを求めた. 本稿は古藤・清水・岡田(2021)の発表内容に基づき,ワークショップ中のグループでの発話により焦点を当て,分析を行ったものである.
  • OS05-3
    公募発表
    西川 純平 (静岡大学)
    森田 純哉 (静岡大学)
    言語発達の過程の一部は音韻意識と呼ばれる能力に支えられる. 発達の過程では,音韻意識が未熟なために起こる誤りが報告されている. このような能力の形成をうまく支援するためには,個人の認知特性を考慮することが重要になる. 本稿では,人の内部プロセスに対応するモデルを組み込んだ支援システムを提案する. 個人に対応するモデルを持つシステムにより音韻意識の形成を支援する仕組みを構築することを目指す.
  • OS05-4
    公募発表
    長島 一真 (静岡大学)
    森田 純哉 (静岡大学)
    竹内 勇剛 (静岡大学)
    Marrによれば認知モデルを表す階層として計算論とアルゴリズムの水準が区別される.これらの水準は相互に関連しているが,そのつながりは必ずしも明確ではない.そこで本研究では,アルゴリズムの水準の認知モデルを,計算論の観点から検討し,妥当性を付与することを目指す.本報告では,知的好奇心のACT-Rモデルの振る舞いを計算論に基づくベイジアンネットワークを用いて分析した.その結果,知的好奇心の仮説とACT-Rモデル間で整合する特徴が現れた.
  • O1-3
    伊藤 貴昭 (明治大学)
    本研究では,理解を確認するための説明活動が,説明者および聞き手の理解に及ぼす影響を検討した。大学生ペアを対象に,Zoomを利用して,遠隔での説明活動を実施した結果,説明者と聞き手の得点には差が見られなかったが,説明前後における自己評価の変化と得点との間に両者で異なる結果が得られた。説明者は自己評価を下げる一方,聞き手は自己評価を上げており,また,自己評価の変化と得点とは逆相関の関係が見られた。
  • O1-4
    中山 一輝 (大阪大学大学院基礎工学研究科システム科学領域システム創成専攻博士前期課程1年)
    高橋 英之 (大阪大学大学院)
    石川 悟 (北星学園大学)
    伴 碧 (大阪大学大学院基礎工学研究科)
    石黒 浩 (大阪大学大学院基礎工学研究科)
    本稿では,心の多様性の一例として,内言(声に出さない心的な思考)がどれだけ個体間で異なっているのか,それを定量的,定性的に明らかにすることを目指す.さらに,そのような内的な心的過程の可視化を進めていくことにより実現する,個人によりあったサービスや補助などの提供の可能性について議論を行いたい.
  • O2-1
    中村 國則 (成城大学社会イノベーション学部)
    低頻度の過大評価,高頻度の過小評価は不確実性下の意思決定の古典的知見の1つである.本研究は新型コロナウィルスの感染状況に関する推定についてこの現象が成立するかを検討することを目的とし,100の国・地域について新型コロナウィルスの感染者数の推定を参加者に求めた.その結果,低頻度の過大評価・高頻度の過小評価という現象は再現できたものの,その原因については先行研究の仮説と異なる可能性が示唆された.
  • O3-2
    佐藤 有理 (東京大学大学院総合文化研究科)
    峯島 宏次 (慶應義塾大学文学部)
    植田 一博 (東京大学)
    視覚表現は否定を描くことができるだろうか.この問題を,写真とコミックイラストの実世界視覚表現のデータ分析を用いて検討する.まず,画像キャプショニング課題を用いた実験により,一部の視覚表現が否定を表現できることを示す.さらに,否定に関連する画像の分類課題を用いた実験を行い,機械学習(深層学習CNN)と人間のパフォーマンスを比較する.その結果,人は画像には直接描かれていない背景知識や常識を利用して否定を認識することを議論する.
  • O4-2
    髙橋 麻衣子 (東京大学 先端科学技術研究センター)
    中邑 賢龍 (東京大学 先端科学技術研究センター)
    小・中学生を対象として,オンライン学習と体験学習を組み合わせた活動をベースにした学びを実施した。日本全国から参加者を募り,各自が自宅の「最高気温と最低気温を測定する」という活動を実施し,オンライン学習で共有することで,オンラインならではの集合知の形成が可能となった。さらに,温度計をつくる活動をハイブリッド形式で行なったところ,対面参加とオンライン参加の学習者の間で着目する側面が異なることが示唆された。
  • P1-11F
    白砂 大 (追手門学院大学)
    本田 秀仁 (追手門学院大学)
    松香 敏彦 (千葉大学)
    植田 一博 (東京大学)
    人が行うヒューリスティックの使用について, 従来にない新たな課題構造のもとで, 正確性のみならず使用可能性の両側面から検証した。行動データの分析から, 人は課題構造に応じて, 使用できる機会が多く, かつ正答をより多く導くことのできるヒューリスティックを使っていることが示唆された。本研究の知見は, 人がいかにして正確な判断を行っているかについてより深く理解するための契機になると考えられる。
  • P1-17
    中村 太戯留 (武蔵野大学)
    扁桃体の関連性感知は,主体にとって意味ある情報を「見いだす」ことである.その際に「保護されている」という認識の枠組みを伴った遊び状態であるときにユーモアが生じると考えられている.この理論は,優越理論における攻撃性を見いだすとき,エネルギー理論における抑圧された暴力的ないし性的な要因を見いだすとき,そして不調和解消理論における新たな関係性や間違いを見いだすとき,ユーモアが生じると捉えると,これらの先行理論と整合するように見える.
  • P1-20
    荒井 武蔵 (千葉工業大学大学院)
    山崎 治 (千葉工業大学)
    本研究は,論証型,アイディア提案型の異なる性質をもつ課題を設定し,限定された範囲とクラウドソーシングによる広範囲からの意見に含まれる多様性の多寡および情報の質の特徴を明らかにすることを目的とした.結果として,アイディア提案課題において,クラウドソーシングによる意見収集では他とは異なる単独のアイディアが得やすいものの,創造的な活動への寄与という観点からみると,価値が高い意見収集とは言えないことがわかった.
  • P1-21
    橋本 直美 (明治大学)
    嶋田 総太郎 (明治大学理工学部)
    マインドフルネス瞑想の実践は、ストレス社会の中で精神的健康を保つために、有益な効果をもたらすと考えられる。本研究では4週間のオンライン瞑想トレーニングコースを作成し、その効果を検証した。アンケート調査の結果、トレーニングコースは参加者のマインドフルネスの程度と自尊感情を高める効果があり、トレーニング終了後1か月経過時でもその効果が持続している可能性が示唆された。また、マインドフルネスの程度と自尊感情の高さに相関関係があることも示された。
  • P1-35
    江 維豪 (神戸大学)
    正田 悠 (立命館大学スポーツ健康科学部)
    本研究では,主観的Well-being(SWB)と心理的Well-being(PWB)を対象に,それぞれの下位尺度の間における関連を探索した.オンライン調査で321人の大学生のデータを分析した.パス解析を行った結果,PWBを構成する因子の一部がSWBに影響を及ぼすことが示された.また,PWBのうち,環境制御力と自律性の影響がみられなかったという結果から,日本人大学生において特有のWell-beingの存在が示唆された.
  • P1-37
    吉田 悠真 (千葉工業大学大学院)
    山崎 治 (千葉工業大学)
    科学コミュニケーションのような知識差のあるメンバ間での知識共有では,知識が多い人から知識が少ない人への一方向なコミュニケーションになりやすい.そこで,本研究では知識が少ない人の理解度を知識が多い人と知識が少ない人に共有することで,双方向なコミュニケーションが実現し知識が少ない人の理解度が向上するかを調査した.調査の結果,最終テストの合計正答数に違いがみられ,理解度共有あり群において最終テストの合計正答数が多くなる結果となった.
  • P1-40
    光田 基郎 (ノースアジア大学 経済学部)
    認知科学会大会発表の要約 誤信念理解を主題とした絵本を大画面で学生に読み聞かせ,その内容理解の下位技能(作業記憶での誤信念理解に必要な正反応抑止と文法理解,別の長文理解成績が示す作業記憶,類推等)を検討した。特に,誤信念理解で誤解内容の理解のみを求めたか又は人を誤信念に従わせる意図の理解も必要な欺きの理解かの差による作業記憶負荷と下位技能のクラスターを対比して,真実の表象と誤信念内容との比較過程研究の指針を求めた基礎実験である。
  • P1-41F
    池田 駿介 (東京電機大学)
    布山 美慕 (早稲田大学)
    西郷 甲矢人 (長浜バイオ大学)
    高橋 達二 (東京電機大学)
    意味の創造過程と類推・転移学習を探究するための仮説として近年に提案された,不定自然変換理論(TINT)に基づく比喩理解モデルの2種類のシミュレーションを慣習性の異なる3つの比喩を対象に行った.また,実験によって,人間の比喩解釈となる対応づけのデータを収集し,これをシミュレーション結果との比較を行なった.その結果,慣習性の高い比喩と低い比喩では人間に近い判断ができ,慣習性の中程度の比喩では人間とは異なる判断を行なった.
  • P1-43
    浅川 伸一 (東京女子大学情報処理センター)
    近藤 公久 (工学院大学情報学部情報デザイン学科)
    日本語 wikipedia を用いて訓練した単語のベクトル表現集合を意味空間とし,これらに対して射影変換によって文脈効果が得られるかを検討した結果を報告する。射影変換を用いることの利点は,階層構造で表現された意味概念では,詳細な記述,操作,検索過程などと直接関連させることが困難な心的操作を表現可能なことである。射影変換が文脈効果を表す心的操作の一部と見なすことで推論や検索過程が記述可能と考えられる。
  • P1-51
    美馬 義亮 (公立はこだて未来大学)
    知識概念は,「表現の対象」を表わす複数の言葉(キーワード)間の関係(概念マップ)として表現されると考えてみる.記号間の関係にすぎない形式知も,学習者がそれらを解釈する活動(グラウンディング,接地)を通して,概念理解を促すことができる.本稿では「圏論」の考え方の一部を援用し,人間の概念獲得プロセスの解釈を試みる.
  • P1-53
    花房 柚祐 (明治大学理工学研究科)
    嶋田 総太郎 (明治大学理工学部)
    小川 有希子 (法政大学社会学部)
    ハンセン病で人々の差別的な態度を受けていた主人公を描いた映画『あん』を鑑賞することで、病気に対する潜在的差別意識は変化するのかIATで調べると同時に、映画鑑賞中の脳活動をNIRSで計測し、脳活動をISC 解析することで潜在的差別意識の変化に関与する脳メカニズムを検討した。その結果、病気に対する潜在的差別意識が低減した群は左半球のTPJで増加した群のISC値と有意な差が見られ、TPJのISC値と潜在的差別意識の変化量に相関が見られた。
  • P1-57F
    蓬田 息吹 (東京大学教育学研究科博士後期課程)
    清水 大地 (東京大学大学院)
    岡田 猛 (東京大学教育学研究科)
    芸術の創作において,知覚や感覚運動処理などの身体に基づく要素を利用することの重要性は,様々な先行研究により指摘されている。本研究では,言語芸術の一領域である俳句において,その創作に関わる知覚のうち,言葉の響きに対する知覚が活性化した状態で創作を行うことの効果について検討する。具体的には,日常的な俳句創作経験を有しない大学生・大学院生を対象としたオンライン創作実験を行い,実験で作られた俳句とその創作プロセスをそれぞれ分析する。
  • P1-58F
    塚村 祐希 (東京大学 大学院総合文化研究科 広域科学専攻 広域システム科学系 修士課程)
    若井 大成 (東京大学 大学院教育学研究科 総合教育科学専攻 教育心理学コース 修士課程)
    下條 朝也 (名古屋大学 大学院情報学研究科 心理・認知科学専攻 博士課程)
    因果的説明におけるlatent scope biasとは,生起しているか不明な事象を含まない説明の方が,含む説明よりも選好されるというバイアスである。先行研究では,このバイアスが生じる過程についての仮説が提唱されているが,そもそもこれが生じる条件は十分検討されていない。 本研究では,説明内の事象(scope)の数がバイアスに与える影響を調べる。これにより,バイアスが生じる条件を明らかにし,先行研究の仮説を間接的に検討する。
  • P1-64
    任田 成良 (近畿大学)
    寺井 仁 (近畿大学)
    疑似科学は,科学的事実の欠如や論理の飛躍を含んでいる. このような疑似科学への信奉は,科学的判断が伴うのであろうか.本研究では,疑似科学に対する「信奉」に「科学的判断」及び「科学的態度」が与える影響について検討した.その結果,疑似科学の中でも,複雑な現象を含む言説に対し,科学に対する全般的な興味・関心が高いほど,科学的であると判断し,信奉が高まる一方で,理科学習に対する動機付けが高いほどその信奉に抑制がかかることが示唆された.
  • P2-20
    黒田 航 (杏林大学医学部)
    阿部 慶賀 (和光大学現代人間学部)
    粟津 俊二 (実践女子大学教育学部)
    寺井 あすか (公立はこだて未来大学 システム情報科学部)
    土屋 智行 (九州大学言語文化学部)
    日本語容認度評定データ (ARDJ) では容認度評定を得るために466種類の刺激文を使用した.その後,同一文から読み時間データを追加収集し評定値データと対応づけた.黒田ら (2020) はこのデータの回帰分析から,読み時間と容認性判断との間に明確な相関が見出せない事を報告した.本研究はRPART を使ってこの結果を再評価した.読み時間と容認度判断との相関は,限定的かつ複雑である事が示唆された.
  • P2-30
    本田 秀仁 (追手門学院大学)
    香川 璃奈 (筑波大学)
    白砂 大 (追手門学院大学)
    本研究では,数値推定の際に,回答フォーマットによって(数値で回答を求める vs. 尺度で回答を求める),回答にどのような違いが生じるかについて認知実験を実施して検討を行った.結果として,数値で回答を求めた際は特定の数値を用いて回答されやすくなることが明らかになった.また,このような回答傾向の違いは,よりよい集合知を達成する上で影響を与えることが計算機シミュレーションによって明らかになった.
  • P2-34
    田村 昌彦 (立命館大学)
    稲津 康弘 (農研機構)
    江渡 浩一郎 (産業技術総合研究所)
    松原 和也 (立命館大学)
    天野 祥吾 (立命館大学)
    野中 朋美 (立命館大学)
    松村 耕平 (立命館大学)
    永井 聖剛 (立命館大学)
    サトウタツヤ (立命館大学)
    堀口 逸子 (東京理科大学)
    和田 有史 (立命館大学)
    食に関する知識尺度を用い,中高生に対して調査を実施することで,食に関する知識獲得に対する探索的な検討を行った.調査の結果,中高生の添加物・安全性に関する知識は,他の知識よりも尺度の基準集団である大人に近いことが示された.このことは,一般消費者が高等学校卒業後,添加物・安全性に関する知識をあまり獲得していないことを示唆するものである.
  • P2-35
    周 豪特 (北陸先端科学技術大学院大学 知識科学系)
    橋本 敬 (JAIST)
    李 冠宏 (北陸先端科学技術大学院大学 知識科学系)
    人間がロボットの心や社会性を理解できれば,ロボットと人間は長期的な関係を持てるようになるだろう.本論文は,長期的な関係を維持するために, 新しい概念を生み出す思考の一つである概念融合を促すロボットと人の間の対話を提案する.この対話は2つの概念についての説明と概念を結合したものについての説明が含まれている.本稿ではこの対話の効果を検討する実験の計画を示す.
  • P2-36F
    浅野 恭四郎 (静岡大学大学院総合科学技術研究科)
    須藤 早喜 (静岡大学大学院総合科学技術研究科)
    光田 航 (NTT メディアインテリジェンス研究所)
    東中 竜一郎 (NTT メディアインテリジェンス研究所)
    竹内 勇剛 (静岡大学)
    対話における基盤化は対話者間における共通認識の形成を指し,円滑な進行と相互理解において重要な役割を果たす.基盤化の対象の様相や構造が複雑な時,形状などの細部を明示する表現や,細部を明示しない比喩などの全体的表現が用いられるが,これらの違いが基盤化に与える影響の相違は十分に検討されていない.そこで本研究では前者の表現と後者の表現に異なる重みを与え基盤化された確率を予測するモデルを提案し,対話における基盤化の確信度の変化を考察した.
  • P2-39F
    山川 真由 (名古屋大学大学院情報学研究科)
    小島 一晃 (帝京大学)
    横山 真衣 (帝京大学)
    三輪 和久 (名古屋大学)
    本発表では、大学の認知心理学の授業における学習者の説明活動に関する実践について報告する。系列位置効果を題材とし、その情報処理プロセスを可視化したグラフを提示することの効果を検討した。その結果、学習者にこのグラフを観察させることにより、情報処理プロセスに基づく説明が促進されることが示された。
  • P2-41
    山口 琢 (フリー)
    新美 礼彦 (公立はこだて未来大学)
    大場 みち子 (公立はこだて未来大学)
    人とコンピュータで数の整列プロセスは似てるのか?9個の数の整列プロセスを、移動対象の時間的な共起関係で分析した。まず9行9列の共起行列を目視で比較し、次に目視の結果をクラスタリングで機械的に再現できるか試みた。目視比較では、桁数が少ないとき人による整列は選択ソートに似ていた。クラスタリングでは、桁数が少ないとき人による整列はクラスターを作ったが、人による整列が選択ソートに似ているとは言えなかった。
  • P2-61F
    田岡 祐樹 (東京工業大学)
    岡崎 祐樹 (東京工業大学)
    伊藤 鈴 (東京工業大学)
    齊藤 滋規 (東京工業大学)
    本研究の目的は,洞察問題解決過程における固着からの制約緩和に孵化のタイミングが与える影響の検証である. 実験では80名の研究協力者は,それぞれインパスが意識に上る前あるいは後に孵化を行い,孵化のタイミングが制約緩和に与える影響を検証した.結果,孵化のタイミングによって制約緩和までの時間に影響があることが示された.これは今後の創造的課題解決に関する手法の発展に活かせる知見となり得る.
  • P2-62F
    伊藤 鈴 (東京工業大学)
    田岡 祐樹 (東京工業大学)
    岡崎 祐樹 (東京工業大学)
    齊藤 滋規 (東京工業大学)
    本研究の目的は,洞察問題解決過程におけるひらめきや行き詰まりと瞳孔反応の関係を調査することである.6人の被験者にアイトラッカーを装着させ,洞察問題の一つである16点問題に取り組む過程の瞳孔径を計測した.その結果,問題に取り組むことによる認知負荷が瞳孔径に反映されることを確認した.また,ひらめきの前後で瞳孔が散大していく様子が見受けられた.ひらめきや行き詰まりのメカニズムを明らかにすることで,創造的課題解決に関する手法の発展に貢献できる.
  • P2-64
    小池 勇輝 (明治大学大学院理工学研究科)
    嶋田 総太郎 (明治大学理工学部)
    自己身体認識は自己の身体以外にも起こることが報告されており、一例として仮想現実上(VR)のアバターに対して自己身体認識が働くフルボディ錯覚(FBI)がある。本実験では被験者はVR上で医者のアバターへFBIした場合と遅延によりFBIが阻害された場合の2条件で作業を行った。その際のエグゼクティブ機能と性格への影響を調査した。結果、FBIが生起するとその対象の象徴的な意味が引き起こされ、被験者自身の性格や認知機能が変化する可能性が示された。