研究分野

思考・知識

  • OS2-1-2
    公募発表
    小林 梨紗 (筑波大学人間総合科学学術院/聖徳大学)
    松原 正樹 (筑波大学図書館情報メディア系/慶應義塾大学)
    本研究は,幼児教育や療法における音楽実践を対象に,演奏者の即興的な応答の様相とその背景にある音楽の性質を検討した.3つの事例を分析し,模倣・補完・展開・同期といった応答の型や,音楽的・身体的・文脈的資源の活用が確認された.あわせて,音楽の曖昧性・同時性・連続性が,意味の共創を支える変数として機能している可能性が示唆された.
  • OS3-1-2
    公募発表
    田中 吉史 (金沢工業大学)
    高柳 蘭 (金沢工業大学)
    同人作家による二次創作への動機づけと創作プロセスについて、7人の同人作家へのインタビューにより検討した。二次創作ではキャラクターに対する愛着を基盤とし、原作に書かれていない情報や、原作とは異なる仮定を置くことで創作を始めていた。二次創作では原作のキャラクターから大きく逸脱しないことが制約条件となっていた。また自作に対するファン共同体の読者からのフィードバックが、二次創作活動を継続する動機となっていることが示唆された。
  • P1-4
    髙岸 悟 (放送大学)
    本研究の目的は,6歳と76歳の創造性の特徴を比較検討したうえで,両者の協働活動で創造性がどのように変化するかを探ることである.幼児と高齢者の協働活動で創造性がどのように変化するかをテーマにした論文は,管見の限りみあたらない.本研究では,6歳児と76歳の創造性を測定するために,新たな幼児用の描画テストを創り,さらに新たな指標として「奇抜性」と「魅力性」の2軸を採用した.その結果, 協働 > 6歳 ・ 76歳,という傾向がみられた.
  • P1-8
    廣田 章光 (流通科学大学、近畿大学デザイン・クリエイティブ研究所)
    ハイブリッドインテリジェンスにおけるAI生成情報の開発者に対して、遠隔探索促進効果があることを明らかにした。その確認のためAI生成情報の開発者の選択背景を把握する8区分の基準を設計した。そして、AI生成情報が開発者にとって「意外な関係」の気づきを得るきっかけとなり、普段活用できていない「すぐに思いつかない知識」との関連づけを促すことを確認した。
  • P1-11
    西田 勇樹 (立命館大学BKC社系研究機構)
    山﨑 大暉 (京都大学大学院文学研究科)
    服部 雅史 (立命館大学)
    アンカリング効果は,最初に提示された数値(アンカー)が後の推定に影響を与える現象である。Mussweiler & Strack (2000) は,低気温のアンカーが冬に関連する語への反応を速めることを示し,アンカリング効果が意味プライミングに類似したプロセスであることを支持した。本研究は複数の追試とメタ分析によりこの理論を検討したが,アンカーが関連語の反応を速める効果は一貫して認められず,理論の一般性に疑問が残った。
  • P1-12
    木幡 容子 (株式会社電通)
    川上 直人 (株式会社電通)
    小澤 治朗 (株式会社電通)
    重政 直人 (株式会社電通)
    國吉 康夫 (東京大学 AIセンター)
    鶴岡 慶雅 (東京大学 AIセンター)
    五十嵐 健夫 (東京大学 AIセンター)
    本研究ではアイデア発想を必要とする職業の人々の創造性向上を目的にひらめきタイミングと「寝かせ時間」を検証。自己観察実験(25名)からひらめきの多い場面と時間帯を抽出、次に介入実験(60名)で、アイデア発想を要する課題を出し、即時着手・1週間寝かせ・初日着手後寝かせの3条件で追跡調査を実施。結果「1週間寝かせ」チームがアイデアの質と量共に最も良い結果であった。これは、課題を計画的に「寝かせる」ことが創造性向上の鍵になることを示唆している。
  • P1-17
    岩谷 舟真 (関西学院大学)
    本研究では、政策が効果を持つに至るメカニズムについて説明する前後で、当該政策に対する主観的知識や態度がどのように変容するかを検討した。Web実験を行った結果、自力でメカニズムを説明した場合には説明前後で当該政策及び政策一般に対する主観的知識は変わらなかった。一方、ChatGPTやGoogleを用いて説明した場合には説明後に主観的知識が上昇した。政策に対する態度に関しては、説明を行う政策によって結果が異なり、一貫した結果は得られなかった。
  • P1-20
    山本 輝太郎 (金沢星稜大学)
    本研究ではマイサイドバイアスの抑制方法として誤びゅうに着目し,誤びゅう教材の閲覧の有無によるマイサイドバイアスの低減効果について実証的に検討した.テキストアニメーションでの解説を実装したオンライン教材,およびネットコメント風の実験用の刺激課題を用意し,介入実験を実施した(非ランダム化比較試験).実験の結果,誤びゅうの学習によってマイサイドバイアスに対する一定の低減効果がみられた(全体効果量-0.72).
  • P1-21
    関 大也 (東京大学)
    清河 幸子 (東京大学)
    本研究では,ザイガルニク効果と心理的リアクタンス理論を活用し,課題の先延ばしを軽減する新しい介入法の効果を検証した.時間制限を設けて課題への着手を促し,課題が中途半端である状態を作り出す実験群とそのような促しのない統制群を設定し,課題の提出率を比較した.その結果,実験群の参加者の方が提出率が高く,先延ばしの軽減に対する介入の有効性が示唆された.
  • P1-22
    白砂 大 (静岡大学)
    本田 秀仁 (追手門学院大学)
    香川 璃奈 (産業技術総合研究所)
    医療診断などの実社会の判断場面において、AIによる意思決定支援の導入が進んでいる。本研究では、人とAIのバイアスの相互作用(e.g., 過大評価か過小評価か) に着目し、人のバイアスの程度によってAIが持つべき特性が異なる可能性を検証した。実験の結果、人と逆方向のバイアスをもつAIは、人の判断精度を高める一方で、人が抱く信頼度は低いことが示された。本研究は、正確で信頼できるAIが常に良いとは限らないという実用的示唆を提供する。
  • P1-24
    田畑 博之 (公立はこだて未来大学大学院)
    元木 環 (公立はこだて未来大学)
    本研究は,著者自身の検索行動を対象とし,購買意思決定に至る過程の思考を明らかにすることを目的とする.検索画面録画への注釈を分析した結果,著者は検索を通じ求める製品仕様を明確化しつつ,製品の外見への関心,製品が求める仕様を充足しているかについての関心,特別な製品への関心,想定以上の活用方法への関心,製品販売元への関心の5つを,ネット上の製品情報と実物との齟齬の可能性を検討しながら認識の調整を重ね,購買の決定に至っていることが示唆された.
  • P1-41
    澤田 和輝 (京都大学大学院教育学研究科)
    平山 れい (なし)
    佐藤 可南子 (なし)
    丹治 真琴 (京都大学大学院教育学研究科)
    郷田 寛二 (京都大学大学院教育学研究科)
    本研究では,美術館でフィールド調査を実施し,どのように芸術作品を鑑賞する個人が鑑賞において美的体験するのかを検討した。その結果,芸術鑑賞時にメタ認知的知識(自分自身や他者の鑑賞・作品・鑑賞方略に関する知識)をもつ個人ほど作品を理解し,好きになる傾向があることが示された。本研究は,美的体験における鑑賞のメタ認知の重要性を強調し,教育的介入の開発に資する基礎的知見を提供するものである。
  • P1-48
    岩田 叡治 (東京大学大学院修士課程教育学研究科教育心理学コース)
    今井 むつみ (今井むつみ教育研究所)
    清河 幸子 (東京大学)
    本研究では,陰謀論信念と合理的思考に関わる認知要因との関連を調査したStanovich & Toplak(2024)の結果を追試した.クラウドソーシングサイトにて募集した290名が陰謀論信念,超常的思考,開放的思考,確率的推論の尺度に加えてSNSの利用時間や陰謀論についての知識について回答した.重回帰分析の結果,陰謀論的信念と超常的思考との間に正の関連が,開放的思考との間に負の関連が見られたが,確率的推論との関連は見られなかった.
  • P1-50
    中村 國則 (成城大学)
    木村 元優 (成城大学)
    本研究は,AIが与える情報と人間の専門家が与える情報の解釈の相違を検討した.実験では,参加者は“企業の株価が上昇する見込み”に関する情報として様々な確率値を与えられ,それらの確率値が情報としてどの程度参考になるかを,情報がAIから与えられた場合と人間の専門家から与えられた場合のいずれかで評価した.分析の結果,AIの与える情報の評価の際,人間の専門家が与える場合よりも低い事前確率が見込まれる点,情報自体の影響も弱い点が明らかになった.
  • P1-51
    鎌田 佑 (東京電機大学大学院)
    高橋 達二 (東京電機大学)
    中村 紘子 (東京電機大学)
    本研究は,複数の原因候補が存在する状況で,人がどのように主要な原因を判断するのかを説明する反実仮想的因果モデルの妥当性を検討する.日本語話者を対象とした追試実験の結果,必ずしも生起確率が極端な要因だけでなく,反実仮想シミュレーション内で結果との相関が強い要因が重視されることを確認した.熟慮性の個人差が判断の明瞭さに影響することも示唆された.また, 結果事象の感情価によって,因果モデルの適切なパラメータ設計が必要になることが示唆された.
  • P1-52
    粟津 俊二 (実践女子大学)
    黙読時に主観的に経験される内なる声(IRV)について,413名へのアンケート調査をもとに,個人差を測定する尺度を試作した.会話文と説明文各3文ずつへのIRV経験を5段階で回答させることで,個人差と刺激差を測定することができた.また,数式という他刺激でのIRV経験と正の相関が確認された.この個人差と認知スタイルとの関係を探索したが,明確な関係は見られなかった.採用した刺激文に偏りがあるため再検討は必要であるが,尺度の作成は可能と考える.
  • P1-55
    犬童 健良 (関東学園大学経済学部)
    本研究は,表意作用を記号間のマニピュラビリティとして形式化し,Prologを用いて意味の流れの場を可視化する.表意作用はある対象の集まりの順序の対(プロフィール)の集合をドメイン(定義域)から対象の離散的な勾配,すなわち各順序に対応するエージェント最適反応が恒等写像でない場合である.Gibbar-Satterthwaite定理は独裁的ドメインでの意味の発生を保証する.つまり非独裁かつ全射的であればマニピュラブルなプロフィールが存在する.
  • P1-62
    樋口 滉規 (中部大学)
    市野 弘人 (東京電機大学)
    高橋 達二 (東京電機大学)
    本研究では、無向グラフの枠組みに対して「因果の対称性」と「事象の稀少性」を組み込むことで、人間の因果帰納推論を記述するモデルを導出した。メタ分析の結果は、提案モデルが高い記述性能を有することを示し、新たに実施した認知実験の結果は、参加者の回答が無向モデル型と有向モデル型に二分されることを示した。これらの結果は、人間の因果推論の認知モデリングにおいて「規範モデル」と「記述モデル」が相互排他的な仮説ではない可能性を示唆している。
  • P1-69
    安田 哲也 (東京大学)
    野田 純輝 (東京電機大学)
    小林 春美 (東京電機大学)
    発話に内包された意味を解釈することは、円滑なコミュニケーションにおいて重要な役割を果たす。参加者は、消火器の点検に関するシナリオを提示され、情報アクセスの程度および点検時期(1週間前/1年前)を操作した条件下で場面を観察した。その後、良好な状態であった消火器の本数を推測する課題に回答した。その結果、情報アクセスが制限されている場合や、点検がより最近に実施された場合に、「すべてではない」と解釈する傾向が高まることが示された。
  • P2-5
    小林 春美 (東京電機大学)
    村田 輝斗 (東京電機大学)
    安田 哲也 (東京大学)
    指示詞は対面状況で広く研究されてきたが、仮想環境における使用実態は不明である。本研究では、PCゲーム課題を用いて、指示対象の可視性が指示詞使用に与える影響を調べた。結果、対象が自分にのみ見える場合「これ」、自分には見えない場合「あれ」を多く使用した。仮想空間でも可視性が指示詞選択に影響することが示唆された。
  • P2-8
    寺井 仁 (近畿大学)
    渡部 万葉 (近畿大学)
    本研究では,予期しない現象の原因同定に言語化が与える影響について,実験的な検証を行った.予期しない現象を実験参加者に経験させる実験課題として,カードマジックが用いられた.実験では,統制群と言語化を求められた言語化群が,カードマジックの動画を見ながら,一連のカード操作を理解することが求められた.実験の結果,予期しない現象の原因同定において,問題解決中の言語化は,促進的な役割を果たすことが明らかとなった.
  • P2-15
    青木 直人 (東京電機大学)
    田村 琉依 (東京電機大学)
    中村 紘子 (東京電機大学)
    高橋 達二 (東京電機大学)
    人は他者からの情報や統計的データに基づいて信念を更新することがあるが,その際自分にとって望ましい情報は取り入れ,望ましくない情報は無視する傾向がある.この信念更新の偏りは「楽観主義バイアス」と呼ばれる.本研究では,楽観主義バイアスの発生を検証するとともに,相互協調的・相互独立的な自己観がこのバイアスに与える影響について検討した.実験の結果,楽観主義バイアスの存在は確認されたが自己観の傾向はその発生に有意な影響を及ぼさないことが示された.
  • P2-23
    光武 里菜 (日本体育大学荏原高等学校)
    清河 幸子 (東京大学)
    本研究は、ネガティブ感情とリスク推定の有無がリスクテイクに与える影響を検討した。成人128名が4条件に割り当てられ、ギャンブル課題を実施した。予測では、ネガティブ感情はリスク推定がない場合にリスク追求を促し、推定がある場合には回避的になるとされたが、一致する結果は得られなかった。一方、序盤ではネガティブ感情が一時的にリスク追求的行動を促す傾向が示唆された。
  • P2-35
    山田 和佳 (東京大学大学院工学系研究科)
    上田 一貴 (東京大学大学院工学系研究科)
    長藤 圭介 (東京大学大学院工学系研究科)
    新奇な製品に対する理解に至るユーザの情報獲得時の認知プロセスを明らかにするため,製品観察中の認知的気づきに伴う脳波を計測した.脳波のマイクロステート解析により,視覚/言語処理,注意,内省,感情の4つの認知プロセスが特定された.これらの認知プロセスは,獲得した気づきの種類によって異なる傾向を持つことが明らかになった.この知見は新奇な製品に対する気づきが多層的な認知プロセスであることを示している.
  • P2-37
    野田 浩平 (グロービス経営大学院)
    U理論は,7つのステップより構成されるイノベーションとリーダーシップの方法論である.その7ステップのうちのプレゼンシングと呼ばれる第4ステップは,個人あるいは集団が, 未来へ向けた新しい目的, 意志を見出すステップである.本稿では,U理論をモデル化するためには,人間の認知過程と知覚・感情過程を総合的にモデル化する必要があり,その為には通常の身体性認知科学でも足りず,新たな研究手法が必要であることを明らかにし,その端緒を紹介する.
  • P2-41
    笠野 純基 (北陸先端科学技術大学院大学 共創インテリジェンス研究領域 橋本研究室)
    橋本 敬 (北陸先端大学)
    多様な思考は,柔軟な発想だけでなく,人工的な構造物の組み替えによる心的操作にも支えられている可能性がある.本研究では,3語句の修飾関係を組み替えることで異なる意味を生成する階層操作課題と,他者の心的内容に関する推測を生成する推測課題を用いて両者の関係を検討した.結果,階層操作課題を先に行った場合にのみ,推測の多様性との相関が確認された.これは,構造的な認知的操作が後続の多様な意味の生成を促す可能性が示唆された.
  • P2-49
    杉本 幸大 (追手門学院大学大学院 心理学研究科心理学専攻)
    白砂 大 (静岡大学)
    香川 璃奈 (産業技術総合研究所)
    本田 秀仁 (追手門学院大学)
    本研究は、リスク下の意思決定におけるヒューリスティックの適応的使用をアイトラッキングで検証した。課題の難易度が高いほどヒューリスティックによる選択が増え、難易度が低いと期待値に基づく選択が多くなった。視線データの分析から、期待値に基づく選択は難易度に応じて認知的コストが変動するのに対し、ヒューリスティックは一貫して低コストであることが示され、コストを抑える適応的戦略であることが示唆された。
  • P2-58
    橋倉 英佑 (金沢工業大学大学院)
    田中 吉史 (金沢工業大学)
    本研究では、認知欲求と物語の複雑さがネタバレ効果に与える影響について検討した。ネタバレを含むあらすじ、含まないあらすじのどちらかを読み、その後、小説を読み評価を行ってもらった。その結果、認知欲求の高い参加者はネタバレによって負担感を感じ、対照的に、認知欲求の低い参加者は、読書の負担感が軽減された。これらの結果から、認知欲求がネタバレ効果に及ぼす影響は、作品を読もうとする動機づけに関連していることが示唆された。
  • P2-61
    小野 淳平 (青森大学ソフトウェア情報学部)
    小方 孝 (大和大学情報学部)
    青木 慎一郎 (岩手県立大学)
    本研究は、ASD者の行動や認知特性の理解を深める手段として、生成AIによるシミュレーションを試みた。具体的には、当事者のエピソードと、特定の状況下におけるASD者の行動を入力とし、生成AI(Gemini)にその行動の理由を出力させることで、ASD理解の促進という観点からシミュレーションの有効性を検証した。一方で、慣習といった限定的な文脈は、生成AIによる適切な理解が難しいという課題も明らかにした。
  • P2-64
    小坪 瑞基 (金沢工業大学大学院)
    田中 吉史 (金沢工業大学)
     本研究では、マインドワンダリング(MW)が、収束的思考課題の代表例である遠隔連想課題(RAT)にどのような影響を与えるかを検討した。実験参加者を、認知的負荷の高い課題を行う群(MW抑制群)と、目を閉じて休息する群(MW促進群)の2群に分け、それぞれの課題の前後でRATを実施し、スコアを比較した。  実験の結果、休息によってMWは促進されたものの、RATスコアに群間差はみられず、MWがRATの成績向上に寄与することは確認されなかった。
  • P3-9
    山川 真由 (慶應義塾大学)
    清河 幸子 (東京大学)
    本発表では山川・清河 (2017) の追加分析を報告する.アイデア生成前に関連性の低い2対象の共通点を探索する条件(共通点探索条件)と連想語を列挙する条件の間で,生成されたアイデアのカテゴリ数,事前課題との関連を比較した.その結果,条件間でカテゴリ数に差はみられなかったが,共通点探索条件では,より多くの共通点を挙げる人ほどアイデアのカテゴリ数が多い傾向がみられた.共通点探索が多様な観点でのアイデア生成に寄与する可能性が示唆された.
  • P3-10
    眞嶋 良全 (北星学園大学)
    永澤 昴希 (北星学園大学)
    本研究は,Capraro & Celadin (2023) の研究2について日本人参加者を対象とした追試を行った。その結果,真のニュースはフェイクニュースより共有されやすい傾向が見られたものの,正確性プロンプトによる真情報の共有促進と誤情報の抑制について明確な効果は確認されなかった。一方,偽警告プロンプトは全体的なエンゲージメントを低下させること,日本人参加者のエンゲージメントは先行研究よりも低い傾向にあることが示された。
  • P3-14
    大滝 文一 (静岡大学 創造科学技術大学院)
    大島 律子 (静岡大学 創造科学技術大学院)
    大島 純 (静岡大学 創造科学技術大学院)
    本研究は,生成AIを活用した協調的問題解決における論証過程の差異を分析した.情報系学部生20名10組を対象に,品種改良食物をテーマとした課題に取り組ませ,トゥールミンモデルと談話分析を用いて議論構造と知識構築過程を比較した.高論証グループでは,生成AIの多面的な出力を批判的に統合し,議論を深化させたが,低論証グループでは解決志向に偏った結果,情報活用が限定的であった.AIを用いた学習支援の設計的工夫の重要性が示唆された.
  • P3-15
    多田 由彦 (中央大学経済学部)
    本研究はサブプライムローン金融危機が発生したにもかかわらずそれに気づくことができなかった人々やCOVID-19に感染したにもかかわらず症状が出なかったためにそれに気づくことができなかった人々の認知的状況を表す数理モデルの提案を行う。通常の可能性対応モデルでは「気づかない」を適切に解釈できるようなモデルを作れないので、本研究では新たに認知対応のモデルを提案した。そして認知対応モデルに基づいた不可知の数理的特徴づけについても検討を行った。
  • P3-21
    東江 祭利 (近畿大学)
    大井 京 (近畿大学)
    本研究は,パッケージ・デザインにおいて成分表と商 品画像の要素を変化させると商品に対する好ましさや 購買意欲が変化するのか検討した.実験では, 成分表の 要素量(多・小)と成分表の大きさ(大・小)と商品画 像の見せ方(全体・部分)の3要素を変化させた.その 結果,好ましさと購買意欲の判断は,成分表の要素数が 多い方,成分表の大きさが小さい方,そして画像は全体 である方が高いことが確認された.
  • P3-25
    千田 一朗 (近畿大学)
    大井 京 (近畿大学)
    本研究は,判断におけるフレーミング効果と共感性との関連性を検証する。実験では,フレーミング課題と5種類の共感性尺度(被影響性,他者指向的反応,想像性,視点取得,自己指向的反応)を用いた.その結果,被影響性・視点取得・自己指向的反応とフレーミング効果による選好の変化の回数に有意な正の相関が確認された.これらの結果から,フレーミング効果の生起要因として共感性が関係していることが示唆された.
  • P3-27
    安陪 梨沙 (立命館大学)
    長尾 颯大 (立命館大学大学院人間科学研究科)
    服部 雅史 (立命館大学)
    本研究では,外部刺激の呈示による創造性の変化を捉えるため,連想語の意味的距離を用いて創造性を測定するforword flow (FF)を使用し,連想の起点となる単語(シード語)の呈示順がFFスコアの変化に与える影響を検討した.また,外部刺激として意味的距離の異なる単語対を呈示した.その結果,単語対の呈示がFFスコアに与える変化はシード語の呈示順によって異なることが示された.
  • P3-36
    渡邊 咲花 (立命館大学大学院人間科学研究科)
    下條 志厳 (立命館グローバル・イノベーション研究機構)
    林 勇吾 (立命館大学総合心理学部)
    生理的反応を生じさせない要因が認知処理を高める現象は,記憶の影響を受けていると考える.本実験は,スキーマに伴う感情喚起が人の認知処理を高めるかを知覚反応に焦点を当てて検討した.実験の結果,反応時間と瞳孔径に差はなかったが,スキーマ活性化刺激があるとき,一部で反応時間と瞳孔径に負の相関が見られ,瞳孔が散大するほど反応時間が短縮したことがわかった.これより,スキーマの活性化に伴う感情喚起が注意を焦点化し知覚反応を高める可能性が示唆された.
  • P3-60
    山下 真愛 (株式会社インテージテクノスフィア)
    加藤 樹里 (金沢工業大学)
    伊丸岡 俊秀 (金沢工業大学)
    視覚的視点取得(VPT)は、意図的と自発的に分類される。本研究では、特性共感と状態共感がそれぞれのVPTに与える影響を、4つの実験で検討した。その結果、特性共感は意図的・自発的いずれのVPTにも影響しなかった。一方、状態共感は意図的VPTにのみ影響した。この結果から、個人の持つ共感性よりも、共感する相手によって変化する共感性の強さが、意図を持って対象の視点を取ることのしやすさに影響することが示された。