日程 9月14日(日) 13:10 - 15:10

ポスターセッション3 (P3)

会場:国際会議場3F第1-第2会議室
  • P3-1
    大井 京 (近畿大学)
    藤田 脩人 (近畿大学)
    本研究では,背景音が記憶に与える影響を検討した.実験では,DRM (Deese-Roediger-McDermott) パラダイムを用いて,単語リスト記銘時の背景音が異なると,記憶対象が正しく想起される頻度(正再生率)と,記憶対象でないものが想起される頻度(虚偽記憶生成率)が変化するのかを検証した.その結果,背景音の違いによる正再生率と虚偽記憶生成率の有意な差は認められなかった.
  • P3-2
    稲見 悠 (札幌学院大学)
    大髙 愛 (札幌学院大学心理学部臨床心理学科)
    森 直久 (札幌学院大学)
    「あっち向いてホイ」におけるゆび指し回避行為が情報に基づいて選択されているのか,情報に基づくならば,それはどのような情報であるかを検討した.その結果,ゆび指し回避行為を相手行為の知覚に基づいて選択する場合には失敗することが分かった.この結果から,知覚に基づいてこの回避行為を選択する際に利用可能な情報があるとすれば,相手動作が行われない「スペース」であるという仮説が導き出された.そして,回避行為における「地」の情報の関与の可能性を示した.
  • P3-3
    巽 智子 (Max Planck Institute for Psycholinguistics)
    関根 和生 (早稲田大学)
    3歳児と5歳児を対象とした遮蔽状況下でのイラストのマッチング課題を行い, 物体の位置情報を相手に伝えるターンにおける指差しと言語表現の発達的変化を分析した. その結果, 5歳児と比べて3歳児は参照点 よりも対象点を指差す傾向があり, また対象を叩いたり擦ったり, 接触する指差し, 参照点と対象点をつなぐ指差しが多かった. 発達と共に, 指差しに頼らずとも言語表現が可能になり, やりとりの共通基盤や効率性についての認識が増すと示唆される.
  • P3-4
    小林 海生 (静岡大学)
    遠山 紗矢香 (静岡大学大学院総合科学技術研究科)
    共食は,おいしさを向上させ,そこでは他者との経験共有が影響していることが示されている.そこで小林・遠山(2024)では,遠隔で他者と食行動を共有しても,先行研究と同様においしさを増幅するのかを検討した.結果,おいしさが増幅される効果は得られなかったが,他者に対して波長があうと思う度合いがおいしさに影響を与えていることがわかった.これを踏まえて本研究では,遠隔の共食において他者との親密度とおいしさの関係性を検討する実験を行った.
  • P3-5
    名城 開斗 (早稲田大学教育学研究科)
    本研究は楕円と長方形を組み合わせて作成された複合図形(横長群・縦長群)を用いて黄金比の評価実験を行った。評価実験の結果、横長群では、カテゴリー名の有無関係なく正方形と円の複合図形の評価が高かった。縦長群では好み条件と好みの手の爪条件で黄金比を持つ複合図形の評価が高かった。最近の黄金比研究の牟田(2017)と比べ、横長群は牟田に近く、縦長群は好み条件を除いて牟田と異なる結果となった。
  • P3-6
    Akihiro Maehigashi (静岡大学)
    久保 賢太 (マツダ株式会社)
    山田 誠二 (国立情報学研究所)
    本研究は,人工物の動きの質がユーザの感情評価に与える影響を実験的に検討した.参加者は7種類の異なる緩急パターンで動く2本の線を観察し,感情評価を行った.主成分分析とクラスター分析の結果,動作の緩急が覚醒度や快感情の評価に影響を及ぼすことが示された.この結果は,動きの設計が,人間と人工物とのインタラクションにおいて,感情的反応に影響する要因となることを示している.
  • P3-7
    瀬島 章仁 (東京電機大学大学院理工学研究科情報学専攻)
    近年AI利用など人間以外のアナウンサーによるニュースの読み上げが広がっている.本研究では,ニュース映像に登場するアバターの数や種類(人間,動物)が視聴者のニュースで使用された語に関する記憶に与える影響を調べた.アバターの種類や数に関わらず,使用された語に関する記憶は比較的よく保たれていた.一方,1体のアバターで伝える場合に比べ,4体のアバターが次々に登場する場合は,視覚的注意が分散し映像に関係する語も誤って選ばれやすくなる傾向がみられた
  • P3-8
    石原 由貴 (徳島大学)
    体験者自身の能動的な運動意思が指の伸縮錯覚の強度にどのような影響を及ぼすのか明らかにするため, 身体部位に対する受動的・能動的伸縮の提示条件, および触覚刺激の有無について比較を行った. 結果, ジェスチャーおよびボタン入力といった体験者の能動的な指の伸縮操作の有無による錯覚強度の差異は見られず, 視覚刺激と共に触覚刺激を与えることが, 最も錯覚を強固にすることが示唆された.
  • P3-9
    山川 真由 (慶應義塾大学)
    清河 幸子 (東京大学)
    本発表では山川・清河 (2017) の追加分析を報告する.アイデア生成前に関連性の低い2対象の共通点を探索する条件(共通点探索条件)と連想語を列挙する条件の間で,生成されたアイデアのカテゴリ数,事前課題との関連を比較した.その結果,条件間でカテゴリ数に差はみられなかったが,共通点探索条件では,より多くの共通点を挙げる人ほどアイデアのカテゴリ数が多い傾向がみられた.共通点探索が多様な観点でのアイデア生成に寄与する可能性が示唆された.
  • P3-10
    眞嶋 良全 (北星学園大学)
    永澤 昴希 (北星学園大学)
    本研究は,Capraro & Celadin (2023) の研究2について日本人参加者を対象とした追試を行った。その結果,真のニュースはフェイクニュースより共有されやすい傾向が見られたものの,正確性プロンプトによる真情報の共有促進と誤情報の抑制について明確な効果は確認されなかった。一方,偽警告プロンプトは全体的なエンゲージメントを低下させること,日本人参加者のエンゲージメントは先行研究よりも低い傾向にあることが示された。
  • P3-12
    西山 理奈 (神戸大学大学院人間発達環境学研究科)
    野中 哲士 (神戸大学大学院 人間発達環境学研究科 教授)
    本研究では,視覚情報なしで,人が歌声を聴きながらそれに合わせて一緒に歌うとき,その歌声が人間か歌声合成ソフトかによって,歌声の協調パターンが異なるのかどうかを調べた.相互相関分析で,相手と参加者の各歌声の振幅包絡線の時系列相関を比較し,グレンジャー因果性検定で,予期的なダイナミクスを調べた.その結果,視覚情報がなくても,参加者は,人間と歌う方がより先読みして歌唱行動を同期させることが示された.
  • P3-14
    大滝 文一 (静岡大学 創造科学技術大学院)
    大島 律子 (静岡大学 創造科学技術大学院)
    大島 純 (静岡大学 創造科学技術大学院)
    本研究は,生成AIを活用した協調的問題解決における論証過程の差異を分析した.情報系学部生20名10組を対象に,品種改良食物をテーマとした課題に取り組ませ,トゥールミンモデルと談話分析を用いて議論構造と知識構築過程を比較した.高論証グループでは,生成AIの多面的な出力を批判的に統合し,議論を深化させたが,低論証グループでは解決志向に偏った結果,情報活用が限定的であった.AIを用いた学習支援の設計的工夫の重要性が示唆された.
  • P3-15
    多田 由彦 (中央大学経済学部)
    本研究はサブプライムローン金融危機が発生したにもかかわらずそれに気づくことができなかった人々やCOVID-19に感染したにもかかわらず症状が出なかったためにそれに気づくことができなかった人々の認知的状況を表す数理モデルの提案を行う。通常の可能性対応モデルでは「気づかない」を適切に解釈できるようなモデルを作れないので、本研究では新たに認知対応のモデルを提案した。そして認知対応モデルに基づいた不可知の数理的特徴づけについても検討を行った。
  • P3-16
    根本 悠樹 (京都大学大学院工学研究科)
    井上 康博 (京都大学大学院工学研究科)
    存在感の工学的な実装は様々な手法によって取り組まれる.人は明確に姿かたちを視認せずとも,音などの限定的な感覚刺激から,自らが位置する環境と地続きの空間領域の一部を占めるものとして自分以外の主体の存在を想定する.そのような主体の存在可能性の投射を促進する外部環境の要素の1つとして,空間的な不可視性が挙げられる.本研究では,数値シミュレーションを通じて,探索行動する視点に対して継続的に不可視性を生じる空間構成の幾何学的な特徴量を抽出する.
  • P3-17
    髙橋 奈里 (名古屋市立大学大学院芸術工学研究科)
    佐藤 優太郎 (金沢工業大学)
    横坂 拓巳 (株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
    小鷹 研理 (名古屋市立大学芸術工学研究科)
    本研究では,一直線上にない左右の指への同期的接触が,身体所有感や位置感覚に与える影響を,主観評価および行動指標の両面から検討した.その結果,左右の指が接合・整列したような感覚が主観的に報告された.また,実際の指位置にも前後方向へのドリフトが確認された.さらに,錯覚の強さと行動指標との相関は認められなかったことから,両者は独立したプロセスである可能性が示唆された.
  • P3-18
    奥山 晴香 (早稲田大学人間科学研究科)
    藤室 真央 (早稲田大学人間科学部eスクール)
    大島 奈都子 (早稲田大学人間総合研究センター)
    横山 梓 (日本バレエ教育者協会)
    惠谷 隆英 (早稲田大学人間総合研究センター)
    三浦 哲都 (早稲田大学人間科学学術院)
    本研究では、クラシックバレエの公演に向けた練習過程における呼吸パターンの変化を分析した。プロの女性バレエダンサー1名に、本番の舞台に向けた約1カ月の練習期間中の前半の1日と本番直前の1日に、バリエーションを踊ってもらった。その際の呼吸音と動作の動画を取得し、吸気、呼気、動作のタイミングを符号化した。その結果、振付の特性や練習の回数に応じて呼吸の長さや動作に変化が見られ、呼吸がバレエ中の表現的な技術と関連する可能性が示唆された。
  • P3-20
    本名 貴喜 (北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院)
    発達性書字障害の書字特徴を明らかにすることを目的として,漢字書き取り課題を実施し,誤答の分析を行ってきた.従来は音韻・意味・形態の大分類に基づく方法を用いていたが,多様な誤答の構成的特徴を捉えるには限界があった.今後は,各誤答を複数の評価軸に基づいて記述する分析枠組みを導入し,より精緻な把握を目指す.
  • P3-21
    東江 祭利 (近畿大学)
    大井 京 (近畿大学)
    本研究は,パッケージ・デザインにおいて成分表と商 品画像の要素を変化させると商品に対する好ましさや 購買意欲が変化するのか検討した.実験では, 成分表の 要素量(多・小)と成分表の大きさ(大・小)と商品画 像の見せ方(全体・部分)の3要素を変化させた.その 結果,好ましさと購買意欲の判断は,成分表の要素数が 多い方,成分表の大きさが小さい方,そして画像は全体 である方が高いことが確認された.
  • P3-22
    田中 美優 (近畿大学)
    大井 京 (近畿大学)
    本研究では,大学生・大学院生を対象に,対人関係に関する相談行動と自尊感情の関連を調査した.自尊感情が高い群ほど他者に相談する傾向が低く,役に立った返答として「留学」「受験」など将来や学業に関する内容が多く挙げられた.自尊感情の程度により,相談傾向や有用とされる返答の内容が異なることが示唆された.今後は自由記述の詳細な分析を通じて検討を深める必要がある.
  • P3-23
    川原 名見 (東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科(博士課程))
    髙橋 麻衣子 (早稲田大学)
    犬塚 美輪 (東京学芸大学)
    本研究では,手書き文字の評価の観点を探索的に検討することを目的とし,中学生の手書き文字(n=174)への書写指導者(エキスパート)1名と一般成人(ノービス)1名の評価を分析した。両者の総括的評価には中程度の相関があった。エキスパートの分析的評価8観点のうち,字形と配字観点が総括的評価を有意に予測した。一方,「今後伸びる生徒」の判断と総括的・分析的評価には関連が見られなかった。結果を元にエキスパートとノービスの観点の異同について議論した。
  • P3-24
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院)
    鳥居 拓馬 (東京電機大学)
    高橋 康介 (立命館大学総合心理学部)
    人の心的立体の認知過程を調べる課題の一つとして、一対の画像上の立体の回転合同性を判断する心的回転課題がある。画像上の立体には奥行情報が欠損する不良設定性があるため、無数の可能立体の対を特定する潜在的な計算複雑さがある。しかし、経験的には心的回転の反応時間が立体対の最小回転角に比例するため、認知計算上はそうした対応問題を直接は解いていないと考えられる。本研究は、こうした理論と経験の乖離を解消するため、心的回転の計算論的モデルを提示する。
  • P3-25
    千田 一朗 (近畿大学)
    大井 京 (近畿大学)
    本研究は,判断におけるフレーミング効果と共感性との関連性を検証する。実験では,フレーミング課題と5種類の共感性尺度(被影響性,他者指向的反応,想像性,視点取得,自己指向的反応)を用いた.その結果,被影響性・視点取得・自己指向的反応とフレーミング効果による選好の変化の回数に有意な正の相関が確認された.これらの結果から,フレーミング効果の生起要因として共感性が関係していることが示唆された.
  • P3-26
    城 真範 (国立研究開発法人産業技術総合研究所)
    浅野 健一郎 (一般社団法人 社会的健康戦略研究所)
    複数の選択肢に対して回答者が順序を伴った評価を与えるアンケート・投票等について、適切な選択を行うために、その評価の正確な理解と分析のための方法を、回答者による入力と結果の分析の両面で提案する。本提案手法では、回答者はネガティブな評価も柔軟に入力することが可能であり、標準スコア投票方式の改良として、各回答をZスコアに直したあと、外れ値の影響を低減するための中央値の採用や、偏りを示すエントロピーやカルバック・ライブラー情報量を利用する。
  • P3-27
    安陪 梨沙 (立命館大学)
    長尾 颯大 (立命館大学大学院人間科学研究科)
    服部 雅史 (立命館大学)
    本研究では,外部刺激の呈示による創造性の変化を捉えるため,連想語の意味的距離を用いて創造性を測定するforword flow (FF)を使用し,連想の起点となる単語(シード語)の呈示順がFFスコアの変化に与える影響を検討した.また,外部刺激として意味的距離の異なる単語対を呈示した.その結果,単語対の呈示がFFスコアに与える変化はシード語の呈示順によって異なることが示された.
  • P3-28
    椎名 琉翔 (東京都市大学メディア情報学部)
    千田 真緒 (千葉大学大学院融合理工学府)
    岡部 大介 (東京都市大学メディア情報学部)
    本研究は,オーダー・コール・システムを備えた飲食店において,大学生グループによる注文決定の過程を映像データ6本を用いて分析した.注文前には「決まった?」などの決定確認発話が平均4回以上交わされ,ベルスターを押す直前には押下の意思を明示する発話が確認された.注文決定に至るまでの反復的な確認は,不可逆な注文プロセスの直前における,参与者どうしの慎重なすり合わせとして機能していた.
  • P3-29
    南部 美砂子 (公立はこだて未来大学)
    原田 泰 (公立はこだて未来大学)
    大量のモノに囲まれて暮らしている現代社会の私たちにとって,「モノのかたづけ」は,生活の質(QOL)やウェルビーイングにも直結するきわめて重要,かつ認知的な負荷の高い行為である.本研究では,老老介護の家庭を対象としたフィールド調査にもとづき,モノ・他者・活動などがどのように組織されているのか,ケアのための空間と生活がどのようにデザインされているのかを,認知科学の人工物研究と情報デザインの観点から分析した.
  • P3-30
    野中 郁子 (早稲田大学 人間科学研究科 関根研究室)
    関根 和生 (早稲田大学)
    非対面コミュニケーションや携帯電話普及など電話応対機会が増えている。電話でお辞儀をしながら発話をすると感じの良い応対になると言われ,企業では指導をしている。それらは経験則と知識の継承であり,明らかにされてはいない。本研究では,音声のみからお辞儀の有無を聞き手が知覚できるかを検証した。平均正答率はチャンスレベルを有意に上回り,視覚情報がなくても身体動作が音声に反映され伝達される可能性が示された。
  • P3-31
    泉澤 行太 (明治大学大学院理工学研究科)
    肥後 克己 (明治大学研究・知財戦略機構)
    嶋田 総太郎 (明治大学)
    VR 空間でのコミュニケーションにおいてアバターの表現様式が与える影響を、fNIRS を用いたハイパースキャニングと主観的評価により検討した。実写的アバターではアニメ調アバターより注意配分と右縁上回の機能的結合が有意に高かった。アニメ調アバターで は実写的アバターより左上頭頂小葉で有意に高い機能的結合を示した。これらの結果は、表現様式の違いによって異なる認知プロセスが誘発された可能性を示唆している。
  • P3-32
    小松 拓豊 (香川大学)
    福森 聡 (香川大学)
    本研究では、触覚刺激によって上肢の固有受容感覚に錯誤を生じさせ、その影響が重量感覚および視覚が重量感覚に作用する現象であるPseudo-haptics(Ph)の強度に及ぼす効果を検証した。実験の結果、固有受容感覚によって重量感覚が変化することが示唆され、さらにPhの強度にも影響を与えることが明らかとなった。これにより、従来は視覚中心に行われてきたPhの制御に対し、身体側からの感覚操作によってもその強度を制御できる可能性が示された。
  • P3-33
    善本 悠介 (立命館大学人間科学研究科)
    高橋 康介 (立命館大学総合心理学部)
    本研究では視覚イメージの個人差が生じる要因の解明を目的に、将棋有段者10名と非熟達者約90名にVVIQと独自の画像マッチング課題を実施し、視覚イメージ鮮明性を比較した。マッチング課題の全体ぼかしでは熟達者が統計的に有意に低得点を示した。VVIQと周辺ぼかしにおいても、統計的な有意差はみられなかったが、すべての課題で一貫して熟達者は非熟達者よりも鮮明性得点が低かった。このことから、熟達者でイメージ鮮明性が低下する可能性が示唆された。
  • P3-34
    嶋田 祐観 (北陸先端科学技術大学院大学)
    松崎 由幸 (北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 先端科学技術専攻)
    宮本 遥奈 (北陸先端科学技術大学院大学)
    鳴海 康平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    Haoran Sun (北陸先端科学技術大学院大学)
    YaoWenbo (北陸先端科学技術大学院大学)
    中分遥 (北陸先端科学技術大学院大学)
    文化は認知バイアスに沿って変化する場合がある.本研究では,文化変化の要因として「可愛さ」の認知バイアスであるベイビースキーマに基づき,目の大きさに着目し分析した.分析にはYOLOを用いて6誌から1,406枚の顔画像を抽出した結果,低年齢層向けほど目が大きい傾向が確認された.また,登場人物の性別の影響も見られた.今後の展望として,可愛さの表現が性別や年齢でどのように異なるかを理解することで,より多様なデザインへの展開も期待される.
  • P3-35
    清水 大地 (神戸大学)
    岡田 猛 (東京大学大学院教育学研究科)
    佐藤 悠 (フリーランス)
    本研究は、芸術鑑賞における探索・想像・触発の過程に着目し、上野公園を舞台にアート作品複数を探索的に鑑賞するWSを行った。そして、参加者の認知・行動・情動の変化や他者との共有をGPS・対話・自己報告等により検討した。結果、探索的な活動を通じて没頭感や自律感が高まること、グループ内外で覚醒度や快感情等の情動が同期する傾向が見られること、が示された。今後は認知・行為面も含めた協調解析を進める予定である。
  • P3-36
    渡邊 咲花 (立命館大学大学院人間科学研究科)
    下條 志厳 (立命館グローバル・イノベーション研究機構)
    林 勇吾 (立命館大学総合心理学部)
    生理的反応を生じさせない要因が認知処理を高める現象は,記憶の影響を受けていると考える.本実験は,スキーマに伴う感情喚起が人の認知処理を高めるかを知覚反応に焦点を当てて検討した.実験の結果,反応時間と瞳孔径に差はなかったが,スキーマ活性化刺激があるとき,一部で反応時間と瞳孔径に負の相関が見られ,瞳孔が散大するほど反応時間が短縮したことがわかった.これより,スキーマの活性化に伴う感情喚起が注意を焦点化し知覚反応を高める可能性が示唆された.
  • P3-37
    小方 孝 (大和大学情報学部)
    小野 淳平 (青森大学ソフトウェア情報学部)
    政治集団による個人をターゲットとした攻撃の仮想的状況を設定し、SNS上での偽情報物語の生成‐拡散現象をシミュレーションする実験システムを実装し、その結果を示した上で議論する。システムは、共感度、認知状態、閾値、ラベリング、偽情報等の概念によって構成され、実際に物語を生成し、その累積から偽情報物語が浮上するプロセスをモデル化する。
  • P3-38
    松岡(初田) 響子 (神戸大学人間発達環境学研究科)
    清水 大地 (神戸大学)
    共同行為は,複数人が共通の目標を達成するために協調する行為である.本研究では,ラテンダンス熟達者ペアを対象に,身体接触が動作協調と一体感に与える影響を検討した.接触条件では,フォロワーがリーダーにわずかに遅れるまたはほぼ同時の協調が多く,非接触条件ではこの傾向が崩れた.また,接触条件の方が非接触条件よりも一体感の主観評価が有意に高かった.
  • P3-39
    下條 志厳 (立命館グローバル・イノベーション研究機構)
    王 凱 (立命館グローバル・イノベーション研究機構)
    木内 敬太 (独立行政法人労働者健康安全機構)
    首藤 祐介 (立命館大学総合心理学部)
    林 勇吾 (立命館大学総合心理学部)
    高齢者のメンタルヘルス支援が求められており,高齢者はポジティブな情報に注意を向けやすいことが分かっている.実験1では,傾聴エージェントによるポジティブな情報に着目する解決志向アプローチとネガティブな情報に着目する問題志向アプローチを比較したが,対話性や没入感の課題から効果は認められなかった.実験2ではメタバース環境を用いることで,メンタルヘルスが改善された.この結果は,傾聴エージェントの心理療法における没入感の重要性を示している.
  • P3-40
    梅村 弥生 (千葉大学融合理工学府博士課程院生)
    伝 康晴 (千葉大学)
    本研究が注目している現象は,対象を知覚的にアクセスできない状況のもとで,それでも「共同注意」が達成され,活動が展開する事例である.こうした状況下での指示詞の使用は,指示詞が何を指しているかといった従来の距離に依存した指示詞理解では十分捉えきれない.本研究の目的は,指示詞を利用した発話に加えて,ジェスチャー,視線をも取り込みながら,指示詞による参照の理解が参与者の間の相互行為として,どのように成立するかを示すことである.
  • P3-41
    高坂 悠花 (近畿大学)
    大井 京 (近畿大学)
    本研究は, 日本人を対象に, 顔の魅力的な比率に関わる男女差を検討した. 異なる顔比率の画像を用いた選択課題を実施し, 評価者と画像の性別の組み合わせによる選好傾向を分析した. その結果, 男女とも「1:1:1」や「顔幅が目幅の5倍」の比率が好まれる傾向があったが, 女性の顔ではその傾向が弱まることから, 顔の魅力評価には性差があることが示唆された.
  • P3-42
    西 賢汰 (金沢工業大学工学研究科システム設計工学専攻)
    江村 伯夫 (金沢工業大学)
    田中 吉史 (金沢工業大学)
    サックスを含む管楽器は音楽様式によって求められる音色が異なることが知られている。本研究では、ジャズおよび吹奏楽をバックグラウンドとする複数の奏者から演奏音を採取し、これらの音色に対する類似度評定実験を実施した。結果、奏者の音楽的バックグラウンドによって音色が顕著に異なることが明らかになった上で、これが8次以上の倍音成分における含有強度と倍音の立ち上がりの時間特性に起因するものであることが示唆された。
  • P3-43
    舩坂 壮汰 (金沢工業大学)
    江村 伯夫 (金沢工業大学)
    田中 吉史 (金沢工業大学)
    本研究では、簡素で抽象的な映像素材を音楽に付与することにより、感情にどのような影響を及ぼすかについて調査している。光の粒が画面の上部と下部との間,あるいは画面の周囲と中心との間を移動する映像素材2種について、それぞれ方向と速度を変化させた12種をポピュラー音楽と同時に視聴し、これらに対する覚醒度、感情価、期待感を評定する心理実験を実施している。結果、映像素材を付与によって音楽聴取時に覚える感情をある程度制御できることを示唆している。
  • P3-44
    山田 雅之 (九州工業大学)
    大海 悠太 (東京工芸大学)
    遠山 紗矢香 (静岡大学大学院総合科学技術研究科)
    本研究ではアイスホッケーのシュートスキルを対象に,オンラインでの建設的な相互作用がどのような場面において引き起こされるのかについて検討した.分析対象のデータは,実験期間終了後に実施されたアンケートの回答である.結果から,多くの選手が他者の動画を閲覧し,コメントを行っている様子が見受けられた.一方で,他者が自分についてコメントしているかどうかを確認している選手は少なかった.
  • P3-45
    石川 悟 (北星学園大学文学部)
    試験への取り組み報告に対し,同一のメッセージを「人」または「チャットボット」が返信する条件を用意し,メッセージ受信後の,受信者自身の感情的評価と取り組み姿勢の評価を,調査開始時,開始1週間後,開始2週間後(調査終了時)に測定した.参加者の得点は,「人条件」と「ボット条件」に依らず推移し,各条件に共通する傾向は現れなかった.インタビュー結果から,送り手の属性に相応しい特徴を持つメッセージが,受信者の評価向上へ繋がることが示唆された.
  • P3-46
    西 匠 (近畿大学)
    大井 京 (近畿大学)
    本研究は,デジタルデトックスアプリの開発を最終的な目標として,SNS利用における承認欲求とインターネット依存の関係性を検証した. 成人男女100名が,承認欲求尺度,インターネット依存尺度,SNS利用とその動機に関する質問に回答する調査に参加した.その結果, 承認欲求が高いほどインターネット依存傾向も高い中程度の有意な正の相関が確認された. 承認欲求の高低とSNS閲覧・投稿頻度の有意な関連性は確認されなかった.
  • P3-47
    高橋 浩一 (東京学芸大学)
    犬塚 美輪 (東京学芸大学)
    本研究は,部下の成長を促進する「環境設計」の視点から,営業組織におけるOJT経験の構造と,営業スキルとの関連を探索的に検討した.1041名を対象に質問紙調査を実施し,因子分析を行った結果,過去のOJT経験について「強みが活きる経験」「試行錯誤の経験」「内省と学習の支援」「やる気への刺激」の4因子が得られた.4因子に基づいて算出した尺度得点と営業スキル得点は中程度の相関を示し,これらのOJT経験が営業スキルの高さと関連することが示された.
  • P3-48
    黒田 航 (杏林大学(医学部))
    本研究の目的は(L-)LDA が抽出するトピックは「意味」に対応している必要がないという再解釈の妥当性を確かめる事である.幾つかの言語の語形を(L-)LDAでクラスタリングし,その結果を自己教師型分類課題として評価した.LDAではそれなりの精度の分類が,L-LDA では高精度の分類が実現された.トピックが「意味」に対応しているなら,この結果は説明できない.背理法により,トピックは意味に対応している必要がないと結論できる.
  • P3-49
    宮崎 美智子 (大妻女子大学)
    伴 智博 (平明社)
    麦谷 綾子 (日本女子大学)
    本研究では成人が身体部位や空間上の対象を定位する際の手の伸ばし方(リーチング方略)を系統的に調査した。動きを確認しつつ定位するフィードバック制御の出現頻度と体性感覚利用可能性との関係を明らかにし、幼児での検討の指標確立を目指す。身体・空間指し課題で、定位時間とリーチング方略を分析したところ、対象部位が身体の中心軸に近いほど予測的なフィードフォワード制御を使用し、距離や身体の中心軸から離れるほどフィードバック制御を使用する傾向がみられた。
  • P3-50
    山森 良枝 (同志社大学)
    言語行為モデルに文脈の首尾一貫性を求めるRoberts(2012)がある。しかし、日本語会話では質問への否定的回答に発話命題の真理条件ではなく帰属文脈の修正を求めるメタ言語否定のみが可能な場合があり、文脈が発話に即して変化しうることが示唆される。 本研究では、言語行為の目的は首尾一貫した談話文脈の更新ではなく対話者の局所的な談話文脈のupdateにあることをメンタル・ファイル理論を使って提示する。
  • P3-51
    木村 慧一 (名古屋大学 大学院情報学研究科)
    川合 伸幸 (名古屋大学 大学院情報学研究科)
    集合体に気持ち悪さや怖さを感じることはよく知られている現象であるにもかかわらず,なぜ集合体に気持ち悪さを感じるのかはよくわかっていない.本研究では,集合体を構成する要素の数,凹凸,配置不規則性といった視覚的特徴やその組み合わせが,集合体への気持ち悪さを増幅させるかどうかを検討した.実験の結果,要素の数,凹凸,配置不規則性はそれぞれ独立して集合体への気持ち悪さを増幅させることが示された.
  • P3-52
    江刺 裕太 (日本大学文理学部次世代社会研究センター)
    松木 萌 (日本大学文理学部次世代社会研究センター)
    三浦 紘嵩 (高千穂大学商学部,日本大学文理学部次世代社会研究センター)
    大澤 正彦 (日本大学文理学部)
    本研究は,Objectives and Key ResultsにおけるObjective(O)とKey Results(KR)の整合性を定量評価する手法を検討する.KR全ての達成がOの達成になるという前提を,ベクトル化した埋め込み表現を用いて「KRの総和はOと類似する」ことを検証する.23件のOKRデータを用いて対応しないOとKRの総和より対応するKRの総和の方が類似することが検定により確認できた.
  • P3-53
    髙橋 麻衣子 (早稲田大学)
    川﨑 弥生 (早稲田大学 人間科学学術院)
    読みに困難をもつ学習者は視覚よりも聴覚提示された文字情報によって学習が進むことが考えられるが,その情報処理過程は十分に明らかにされていない.本研究ではDRMパラダイムを用いて,読みへの困り感と視覚もしくは聴覚提示された単語リストの学習過程の関係性について検討した.中学生64名に対して視聴覚提示された単語リストの学習と再認・再生課題を課したところ,読みに困り感のある学習者ほど視覚よりも聴覚によって虚記憶が生成されることが示唆された.
  • P3-54
    大倉 なつ美 (株式会社オカムラ)
    清水 大地 (神戸大学)
    本研究は、鏡像と実像の視覚情報の差異と双方に対する心理バイアスにより生じる見え方の差異について、評価実験を行い、t検定・二要因分散分析・相関分析で比較した。結果、鏡像と実像では知覚・認知に有意な差異が認められ、その差は視覚情報の相違に強く左右されること、さらにこれらの差異は無自覚的に生じることが示された。以上は、鏡像と実像の単体としての見え方の差異自体を探索的に検証した意義深い知見と考えられた。
  • P3-55
    中村 太戯留 (武蔵野大学)
    ユーモア理解の地域差について,ユーモア理解の「見いだし」理論による説明の可能性を検討した.具体的には,保護フレームないし関連性がユーモアの面白さに与える影響について,ひねり,ユーモア態度,居住地域による変調の可能性を実証的に検討した.その結果,居住地域により関連性を感知するひねりやユーモア態度に違いがあり,保護フレームの作用と合わせて,ユーモアの面白さに影響する可能性が示唆された.
  • P3-56
    澤田 知恭 (筑波大学大学院心理学学位プログラム)
    原田 悦子 (筑波大学/イデアラボ)
    会話中では発話する直前に,相手発話の聴取理解と自らの発話計画による二重課題が発生する。高齢者にとって,この会話中に発生する二重課題は困難であり,実際に,聴取理解との二重課題状況下で計画された発話はエラーが多い(澤田・原田,2024)。本研究では,相手の発話に対する高次の予測が可能な場合には,高齢者の発話前後の処理負荷が低減されていることが明らかになり,高齢者が二重課題という困難に対する補償して,高次の予測を行っていることが示唆された。
  • P3-57
    市川 雅也 (静岡大学)
    竹内 勇剛 (静岡大学)
    本研究では,参与構造に基づく複数の対話に同時参与可能なオンライン対話環境の開発を目的とする.具体的にはGoffman(1981)によって提案された参与構造をグラフ構造で表現し,参与者がこのグラフを操作することで相互に参与の程度を視覚的に表現したり,認識したりすることができるようにした.本稿では開発システムの設計・実装の概要を報告し,多重参与,対話場の可動性,および参与の可視化という三点から,新しいオンライン対話環境の可能性を議論する.
  • P3-58
    佐々木 健矢 (静岡大学)
    長島 一真 (静岡大学)
    森田 純哉 (静岡大学)
    ソーシャルメディアのなかで局所的に発生するエコーチェンバーの要因を模倣の観点から検討する.模倣は言語獲得に重要な役割を果たし,閉じた集団内でのコミュニケーション体系の形成と関連する.ここから,大規模ネットワーク内のミクロな模倣関係が,ローカルなエコーチェンバーを形成するという仮説を考えることができる.本稿はこの仮説を検討するモデルとして,単純な事例ベース学習の変形によって,2者間のコミュニケーションを類似させる模倣の仕組みを示す.
  • P3-59
    鎌田 昂明 (東京電機大学大学院)
    小林 春美 (東京電機大学)
    安田 哲也 (東京大学)
    マンガにおける集中線が物体の運動速度を速く印象づける場合があると報告されている.本研究では,場面の状況とともに解釈したとき反対に遅く感じられる場合がある可能性について調べた.実験参加者は一連の流れを表す3枚の絵を見て,これを映像化するときそれぞれの絵の描写にどの程度の時間をかけるかを想像し,回答した.結果として,集中線の有無による移動速度解釈への影響は少なく,主に運動種目や時間経過による影響が見られた.
  • P3-60
    山下 真愛 (株式会社インテージテクノスフィア)
    加藤 樹里 (金沢工業大学)
    伊丸岡 俊秀 (金沢工業大学)
    視覚的視点取得(VPT)は、意図的と自発的に分類される。本研究では、特性共感と状態共感がそれぞれのVPTに与える影響を、4つの実験で検討した。その結果、特性共感は意図的・自発的いずれのVPTにも影響しなかった。一方、状態共感は意図的VPTにのみ影響した。この結果から、個人の持つ共感性よりも、共感する相手によって変化する共感性の強さが、意図を持って対象の視点を取ることのしやすさに影響することが示された。
  • P3-63
    原田 康也 (早稲田大学)
    森下 美和 (神戸学院大学)
    今世紀に入ってからのインターネット上での学習資源のあり方や学生の動向と社会の要請などを前提として、本研究では、生成人工知能と大規模言語モデルの活用が日常的になった現在の日本の社会状況の中で、大学での英語学習の目的・あり方・進め方について検討することを目指している。
  • P3-64
    齋藤 五大 (東北大学)
    高木 源 (東北福祉大学)
    不思議の国のアリス症候群(AIWS)は,周囲の視覚対象や自己の身体に対する知覚の歪みを特徴とする知覚の障害である。本研究では,その身体知覚の特徴を調べるために,AIWSの被験者に視覚および体性感覚ラバーハンド錯覚を実施した。実験の結果,AIWSの被験者は,両ラバーハンド錯覚の生起中に自身の手が大きく感じることを示した。この結果はAIWSの体性感覚症状が手の所有感ではなく手の大きさや形状の変容に起因して生じることを示唆する。
  • P3-65
    小島 隆次 (滋賀医科大学)
    本研究では、合成音声による五十音の音読と説明文の音読に対する印象評価実験の結果の比較を通じて、授業動画や動画教材における教師役アバターの音声に対する印象評価を五十音の読み上げのみで簡易に実施する方法の有効性を検討した。実験結果から、通常の授業動画が扱う類の内容であれば、音読内容によって合成音声の印象が大きく変化することはなく、五十音の読み上げ音声を利用してアバター音声の印象を簡易的に測定することは有効であると考えられる。
  • P3-66
    福田 大年 (札幌市立大学)
    深見 嘉明 (東京理科大学)
    寺本 直城 (東京経済大学)
    中村 暁子 (北海学園大学)
    西 大輔 (拓殖大学)
    丸山 洋平 (札幌市立大学)
    本研究の目的は,小規模ワイン事業者(作り手)と消費者(受け手)が,ワインの味の感覚的な印象の違いを相互学習できるビジュアル・コミュニケーション手法を構築することである.ワインの味の感覚的な印象を環世界と捉え,描画と対話を繰り返して味覚の環世界を相互学習するテイスティング・スケッチを考案・試行した.本稿ではその特徴,内容,試行例,限界,発展性を示した.本試行によって,味覚の環世界を学び合う場づくりのヒントを得た.
  • P3-67
    大麻 紀真 (立命館大学)
    下條 志厳 (立命館グローバル・イノベーション研究機構)
    林 勇吾 (立命館大学総合心理学部)
    本研究では,異なる行動戦略をとるエージェントとの最後通牒ゲームにおいて,個人の意思決定を提案行動の選択確率とその遷移確率から検討した.実験の結果,個人は利他的なエージェントに対しては自己の利得を最大化しようとする合理的な戦略をとる一方で,利己的・適応的なエージェントに対しては経済的な合理性から逸脱した反応を示した.この背景として,エージェントの行動戦略に対する予測可能性と,社会的文脈における解釈可能性の2点が重要であることを指摘する.