日程 9月13日(土) 16:05 - 18:05

ポスターセッション2 (P2)

会場:国際会議場3F第1-第2会議室
  • P2-2
    畑 美緒 (早稲田大学)
    三嶋 博之 (早稲田大学)
    本研究は,Leeら (1974) による「Swinging Room」をVRで再現することで,呈示する光学的情報を自由に変更しつつ,それらと姿勢制御との関係を詳細に検討することを目的とする.結果として,部屋の揺れる幅であるAmplitudeが実験参加者の姿勢動揺量に影響を与えることが明らかになり,VR swinging roomの実験パラダイムが,現実空間と類似した身体動揺を誘発することが明らかになった.
  • P2-3
    宮本 真希 (北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院)
    本研究では,図形から感じられる硬度の印象が,マンガの描き文字の特性によってどのように変化するのかを調査した.実験では,白い正方形が落下して地面と衝突する際に,衝突音を表す描き文字が正方形付近に表示されるアニメーションを参加者に提示し,衝突時の正方形の硬度印象を参加者に評価させた.実験の結果,図形に対する硬度印象の変化には,テキスト内容,文字輪郭の直線性,線の波打ち度合い(周波数)の影響が示唆された.
  • P2-4
    成見 翠 (香川大学創発科学研究科)
    西中 美和 (香川大学創発科学研究科・香川大学地域マネジメント研究科)
    コメディカルが業務で感じる感情的不協和は,従来の患者に対するものから,連携や協働から来るものへと変化があるが,この点に関する研究は少なく,本稿はその背景や要因を調査する.また,医療現場では組織内での何気ない会話が減少傾向にある.不協和経験の言語表出のニーズ,実際の対処をコメディカルに調査し,心理的抑制や機会制限などの阻害要因も踏まえた表出の不協和軽減効果について,明らかにする.
  • P2-5
    小林 春美 (東京電機大学)
    村田 輝斗 (東京電機大学)
    安田 哲也 (東京大学)
    指示詞は対面状況で広く研究されてきたが、仮想環境における使用実態は不明である。本研究では、PCゲーム課題を用いて、指示対象の可視性が指示詞使用に与える影響を調べた。結果、対象が自分にのみ見える場合「これ」、自分には見えない場合「あれ」を多く使用した。仮想空間でも可視性が指示詞選択に影響することが示唆された。
  • P2-6
    川﨑 貴子 (法政大学)
    田中 邦佳 (法政大学)
    John Matthews (中央大学)
    Ngoc Tram Nghiem (法政大学大学院)
    本研究は、日本語話者とベトナム語話者が英語の摩擦音 /s/-/ʃ/ をどう区別するかを検討した。日本語話者はF2に依存し、L1の /s/-/ɕ/ 対立からの転移が見られた。ベトナム語話者はL1でCoGとF2を用いていたが、L2ではF2の利用を減らし、CoGへの依存を強めた。これはSLM-rが提唱する、L2入力に応じた知覚手がかりの調整を支持する。
  • P2-7
    林田 一輝 (宝塚医療大学和歌山保健医療学部)
    岡本 拓也 (宝塚医療大学和歌山保健医療学部)
    西 祐樹 (長崎大学生命医科学域(保健学系))
    高村 優作 (畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター)
    森岡 周 (畿央大学大学院健康科学研究科)
    宮原 崇 (宝塚医療大学和歌山保健医療学部)
    國吉 光 (宝塚医療大学和歌山保健医療学部)
    本研究の目的は、健常若年者および高齢者を対象に、トレッドミル歩行中の視覚遅延フィードバック課題を用いた自己身体認知において、感覚運動不一致検出感度および視線行動の特徴を検証することである。結果、健常若年者群と健常高齢者群では感覚運動不一致検出感度に有意差が無く、一方で、視線行動には有意差を認め、健常高齢者群の方が注視時間は短かく、注視回数が多かった。
  • P2-8
    寺井 仁 (近畿大学)
    渡部 万葉 (近畿大学)
    本研究では,予期しない現象の原因同定に言語化が与える影響について,実験的な検証を行った.予期しない現象を実験参加者に経験させる実験課題として,カードマジックが用いられた.実験では,統制群と言語化を求められた言語化群が,カードマジックの動画を見ながら,一連のカード操作を理解することが求められた.実験の結果,予期しない現象の原因同定において,問題解決中の言語化は,促進的な役割を果たすことが明らかとなった.
  • P2-9
    本多 明子 (神戸女子大学)
    本研究では,認知言語学で提唱されている構文ネットワークに存在する英語の結果構文と使役移動構文の関係について,言語獲得の側面から考察する.前者は状態変化を,後者は位置変化を言語化する.発話データベースCHILDESから両構文を抽出し,データ分析の結果を提示する.その結果を基に,子どもが状態変化をどのように捉え言語化しているのか,また,両構文の関係はどのようになっているのかについて構文文法論の継承リンクという考えをもとに提示する.
  • P2-10
    市川 淳 (静岡大学)
    山田 雅敏 (常葉大学)
    祝原 豊 (静岡大学)
    一ノ瀬 元喜 (静岡大学)
    藤井 慶輔 (名古屋大学)
    本研究は,集団スポーツを題材に,協調的インタラクションにおける情報処理特性を探索的に検討した.静岡県国体成年女子選抜を対象に3 on 3バスケットボールのフィールド実験を行い,選手間の距離の変動を東海学生連盟三部リーグと比較した.結果,一見混沌とする中でエキスパートのオフェンスチームは,複数の戦術計画に関する集団のトップダウン処理と状況に応じて戦術を柔軟に選択するボトムアップ処理がバランスよく機能していることが示唆された.
  • P2-11
    岡田 来波生 (金沢工業大学)
    大谷 一真 (金沢工業大学)
    田中 康平 (金沢工業大学)
    金野 武司 (金沢工業大学)
    視線インターフェースによる直感的な機械操作には,注視点の動的な情報に基づく行為の意図推定が不可欠であると考えられる.本研究では,操作および探索の二つの意図を条件づけた課題で視線動作を収集し,その移動速度と方向を抽出して機械学習による識別を試みた.オフラインでの識別率は全体で約6割,個別では9割を超える場合があることを確認した.これは,視線に含まれる行為意図の推定がリアルタイムにも可能であることを示唆する結果であると考えられる.
  • P2-13
    川島 尊之 (帝京平成大学健康メディカル学部)
    正中面上の前後に位置する音源の間では、同じ音であっても後方から提示する時と前方から提示する時では喚起する感情が異なるとこれまでに報告されている。研究ではこの効果を確認し、同時にこの方向の効果に関わる身体の座標系について研究することを目的とした。本稿では、後方に提示することの効果が正中面から離れた音源に及ぶことを新たに確認したと同時に、方向の効果に関わる身体座標系の役割については明らかにならなかった。
  • P2-14
    曽根 悠太郎 (名古屋大学大学院情報学研究科)
    二宮 由樹 (名古屋大学)
    三輪 和久 (名古屋大学)
    鷲見 優一郎 (トヨタ自動車株式会社)
    中西 亮輔 (トヨタ自動車株式会社)
    光田 英司 (トヨタ自動車株式会社)
    佐藤 浩司 (トヨタ自動車株式会社)
    小田島 正 (トヨタ自動車株式会社 )
    近年、過剰最適化対策として偶然性を加味した検索推薦が注目される.本研究は,検索時の偶然性を求める行動(偶然性希求行動)への製品の快楽・功利的属性と検索目標の具体性の影響を検討した. 結果,製品の快楽性と目標具体性の間に交互作用を確認した.目標具体性が低い場合は快楽的な製品ほど偶然性希求が高まるが、高い場合は快楽性に関わらず偶然性希求が低下した.これは,偶然性を加味した推薦で,ユーザーの目標とアイテムの快楽性を考慮する重要性を示唆する.
  • P2-15
    青木 直人 (東京電機大学)
    田村 琉依 (東京電機大学)
    中村 紘子 (東京電機大学)
    高橋 達二 (東京電機大学)
    人は他者からの情報や統計的データに基づいて信念を更新することがあるが,その際自分にとって望ましい情報は取り入れ,望ましくない情報は無視する傾向がある.この信念更新の偏りは「楽観主義バイアス」と呼ばれる.本研究では,楽観主義バイアスの発生を検証するとともに,相互協調的・相互独立的な自己観がこのバイアスに与える影響について検討した.実験の結果,楽観主義バイアスの存在は確認されたが自己観の傾向はその発生に有意な影響を及ぼさないことが示された.
  • P2-16
    安永 大地 (金沢大学)
    高井 瑞季 (金沢大学)
    本研究では日本語語彙の音声認知におけるアクセント逸脱と分節音逸脱の脳内処理の違いをN400を指標に検討した.アクセントによって意味が区別されるオノマトペを用い、4条件(統制,分節音逸脱,アクセント逸脱,二重逸脱)を呈示して脳波を計測した結果、分節音逸脱では520ms以降、アクセント逸脱では680–840msにN400効果が観察され、処理のタイミングが異なることが示された。また、分節音情報の方が意味認知への影響が大きい可能性が示唆された。
  • P2-17
    冨田 貴央 (東京電機大学)
    市野 弘人 (東京電機大学)
    青木 颯大 (東京電機大学)
    高橋 達二 (東京電機大学)
    樋口 滉規 (中部大学)
    本研究では,観察から因果関係の強さを推定する認知課題において,情報の提示形式(オンライン/サマリー)と否定の対称性(非対称/対称)が推論の形式に与える影響を検証した.実験参加者の平均回答値をクラスタリングし,それぞれ因果の方向性を考慮するモデル CS と考慮しないモデル UCS との適合を分析した結果,情報の提示形式や否定の対称性を操作することで因果の方向性を考慮した推論が促進されることが示唆された.
  • P2-18
    石黒 千晶 (東京大学)
    鈴木 崇太朗 (金沢工業大学)
    服部 雅史 (立命館大学)
    安陪 梨沙 (立命館大学)
    楊 鯤昊 (芝浦工業大学)
    内海 彰 (電気通信大学)
    拡散的思考(DT)の自動スコアリング手法として注目される意味的距離を用い、日本版拡散連想課題(DAT-J)を開発し、その妥当性を検証した。日本語コーパス由来の単語ベクトルでスコアを算出し、3回の調査により信頼性・妥当性を確認した。回答検証機能付きWebアプリも開発し、回答形式の違いがスコアに影響しないことを示した。さらに、大規模言語モデルの埋め込み層を用いたスコアリングも試みたが、精度の大幅な向上には至らなかった。
  • P2-19
    西川 純平 (岡山県立大学)
    森田 純哉 (静岡大学)
    認知モデルを搭載したロボットとのインタラクションを通じて,特別支援教育における子どもの認知的特徴を推定する手法の構築を目指し,注意傾向と受容性に関するアノテーション指針を検討した.展示実験の一部を対象とした予備的分析では,視線・発話・教員支援との関連が観察され,行動パターンの抽出可能性が示唆された.今後は行動定義の精緻化や信頼性の確保を図り,全体データに展開して分析を進める.
  • P2-20
    山田 柊太 (明治大学大学院先端数理科学研究科先端メディアサイエンス専攻)
    小松 孝徳 (明治大学)
    著者らの研究グループでは,コミック作品において「登場人物の身体のパーツを拡大して描写されているコマ」,「サイズ自体の大きいコマ」,「丁寧で繊細な描写が施されているコマ」の三種類のコマでオノマトペが使われていないと報告した.しかし,これは主観的な分類が行われた定性的な調査だった.そこでこの知見を定量的に調査した結果,オノマトペは「身体拡大」コマでは使われず,「サイズ大」コマ,「繊細」コマではむしろよく使われていることが明らかとなった.
  • P2-21
    宮本 健史 (名古屋大学大学院情報学研究科)
    視覚短期記憶 (VSTM) は,記憶保持中のディストラクタにより偏ることがある.通説では,このバイアスはディストラクタが意識的に知覚される場合のみ生じるとされるが,根拠となる行動実験では,刺激の統制など方法論的課題が残されている.本研究では眼球運動を用い,同一の網膜入力から異なる知覚を誘発するディストラクタ刺激を構築することで,先行研究の課題を克服した.その結果,VSTMバイアスは知覚が抑制されたディストラクタでも生じることを見出した.
  • P2-22
    定延 利之 (京都大学)
    本発表は,母語話者式の非流暢性を身につけることが学習者に役立つことを日本語について示そうとするものである.学習者20名に,発表者(日本語母語話者)の流暢な言い方と,概ね同内容の非流暢な言い方を真似させ,それを録音して日本語教育関係者111名に自然さを評価させたところ,非流暢な言い方の方が高い評価を得る場合が多かった.この結果は,母語話者式の非流暢性が,学習者にとって有益である可能性を示唆している.
  • P2-23
    光武 里菜 (日本体育大学荏原高等学校)
    清河 幸子 (東京大学)
    本研究は、ネガティブ感情とリスク推定の有無がリスクテイクに与える影響を検討した。成人128名が4条件に割り当てられ、ギャンブル課題を実施した。予測では、ネガティブ感情はリスク推定がない場合にリスク追求を促し、推定がある場合には回避的になるとされたが、一致する結果は得られなかった。一方、序盤ではネガティブ感情が一時的にリスク追求的行動を促す傾向が示唆された。
  • P2-25
    齋藤 巴菜 (公立はこだて未来大学大学院)
    坂井田 瑠衣 (公立はこだて未来大学)
    本研究は,会話がなされていない共在状態において笑いがどのように産出されるのかを分析する.参与者らが笑いうる出来事を理解する際に参照する資源として,互いのあいだで共有された知識や築かれている関係性に着目した.相互行為分析を通じて,笑いは共在経験や個人の習慣に関する知識,日常的前提からの逸脱性を通じて見出され,参与者間の関係性や相互志向性とともに組織されていることが明らかとなった.
  • P2-26
    小島 直大 (明治大学大学院理工学研究科)
    水町 有里奈 (明治大学大学院理工学研究科)
    肥後 克己 (明治大学研究・知財戦略機構)
    嶋田 総太郎 (明治大学)
    テレプレゼンスロボットは新たな遠隔コミュニケーション手段として注目されている。本研究ではその操作訓練体験が身体化感覚に与える影響をfNIRSとアンケートにより検討した。その結果、右腕を挙げる動作映像視聴時の背側運動前野の活動増加および主観評価との正の相関が確認された。テレプレゼンスロボットの操作訓練体験は、操作者にとってロボットを「もうひとつの身体」として捉える感覚の形成に寄与する可能性がある。
  • P2-27
    原田 悦子 (筑波大学/イデアラボ)
    安久 絵里子 (筑波大学)
    虫嫌いの増大が生活の都市化に起因するとされる中,虫に対する嫌悪感と対人的嫌悪感との関係が変化しているとの仮説に対し,行動レベルで検討するため,高齢者‐若年成人を異なるコホートの参加者として,虫模型に対する殺虫スプレー噴射のデータに対してストップ・ディスタンス法に模した分析を行った.若年・虫恐怖感高群は高齢者群に比べ,虫への距離が長く,後部からスプレー噴射をすることが多かった.虫に対する攻撃行動の変化とコホートの関係について考察する.
  • P2-28
    堀井 麻央 (株式会社乃村工藝社 未来創造研究所「歓びと感動学」チーム)
    井関 彩乃 (株式会社乃村工藝社 未来創造研究所「歓びと感動学」チーム)
    田中 麻沙子 (株式会社乃村工藝社 未来創造研究所「歓びと感動学」チーム)
    山口 茜 (株式会社乃村工藝社 未来創造研究所「歓びと感動学」チーム)
    青野 恵太 (株式会社乃村工藝社 未来創造研究所「歓びと感動学」チーム)
    戸梶亜紀彦 (東洋大学)
    空間での体験デザインにおいて,心を動かすことを指して多用される「感動」を改めて捉えなおし,体験によって引き起こされる多様な心の動きについて探索的分類を試みた.「心が動いた体験」のインタビューを実施した結果,それら体験による心の動きには少なくとも9の種類があることが見出された.中には,「感動」という言葉では表しにくい心理状態も含まれており,その多様性を把握することの重要性が示唆された.
  • P2-29
    佐々木 一洋 (東京大学)
    清河 幸子 (東京大学)
    本研究では,歴史上の事件についての文章を用いて,知的選好によって内容に見出す面白さにどのような違いがあるかを検討した.知的選好尺度にオンラインで回答した成人341名のうち,メカニズム選好とフレーバー選好のいずれか一方に偏った参加者11名を対象として,インタビュー調査を行った.文章を読んだうえで,面白いと感じた内容について尋ねた結果,選好によって同じ内容でも面白いと感じる側面が異なった.また,知りたいと感じる情報にも異なる傾向が見られた.
  • P2-30
    大信田 和華 (日本大学文理学部)
    角森 穂佳 (日本大学文理学部)
    古賀 日南乃 (日本大学文理学部)
    奥岡 耕平 (日本大学文理学部)
    佐々木 康輔 (NECソリューションイノベータ株式会社)
    野田 尚志 (NECソリューションイノベータ株式会社)
    森口 昌和 (NECソリューションイノベータ株式会社)
    大澤 正彦 (日本大学文理学部)
    本研究の目的は探究学習において教育者が学習者の思考を促すために行うメンタリングの自動化である. 著者らは先行研究として,学習者の発話に応じて対話戦略を選択するメンタリングシステムを開発したが,評価実験において比較条件と対話時間の設定に課題があった.そこで本研究では,比較条件を修正し1週間の期間を設けて実験を行った. 実験の結果,条件間で差は見られなかったが,メンタリング前後で探究的衝動が強まった.
  • P2-31
    張 銘一多 (千葉大学大学院 情報・データサイエンス学府)
    伝 康晴 (千葉大学)
    対話型AIをゲームに導入することは、単に新たな遊び方を提供するだけでなく、人間と人工知能との新たな交流様式を提案する試みである。特定の環境設定や機能設計によって、ゲーム内での対話型AIとの会話において、ユーザが入力時に「訂正」という修復行動を行う場面が観察される。この修復行動は、自然会話における聞き手の注意喚起を目的とするものではなく、むしろゲームAIの理解能力の限界を考慮し、誤解を最小化することを意図しているものである。
  • P2-32
    渡辺 裕生 (大和大学保健医療学部)
    服部 雅史 (立命館大学)
    本研究は大学生を対象に,創造性(客観的・主観的・創造的体験)と自己の意思決定評価がQOLに与える影響を調査した.その結果,客観的・主観的創造性と意思決定評価がQOL向上に有意な影響を持つことが示された.創造性の認知的側面と意思決定能力の強化がQOLに重要であると示唆された.
  • P2-33
    深田 康太 (長岡技術科学大学修士課程工学研究科情報・経営システム工学分野1年)
    柏井 美貴子 (長岡技術科学大学)
    梶川 祥世 (玉川大学 大学院 脳科学研究科)
    土居 裕和 (国立大学法人 長岡技術科学大学    大学院 情報・経営システム工学分野)
    身体運動の感性評価に関する研究は, 日常的な動きから, スポーツなどのパフォーマンス動作まで, 多岐にわたる分野で進められている. 本研究は, 少林寺拳法の演武動作を題材として, 運動経験が感性評価に与える影響を検討し, 身体運動経験の観点から, 身体運動の感性評価メカニズムに検討を加えることを目的とする. 脳波・瞳孔径計測実験を実施し, 感性評価時の脳活動の違いを探ることで, 感性評価メカニズムの解明を目指す.
  • P2-35
    山田 和佳 (東京大学大学院工学系研究科)
    上田 一貴 (東京大学大学院工学系研究科)
    長藤 圭介 (東京大学大学院工学系研究科)
    新奇な製品に対する理解に至るユーザの情報獲得時の認知プロセスを明らかにするため,製品観察中の認知的気づきに伴う脳波を計測した.脳波のマイクロステート解析により,視覚/言語処理,注意,内省,感情の4つの認知プロセスが特定された.これらの認知プロセスは,獲得した気づきの種類によって異なる傾向を持つことが明らかになった.この知見は新奇な製品に対する気づきが多層的な認知プロセスであることを示している.
  • P2-36
    大山 耀平 (札幌学院大学心理学部)
    友野 貴之 (札幌学院大学心理学部)
    初めて町ですれ違う人々であっても, 我々はその人々の立ち振る舞いから彼らの関係性を知覚することがある. 我々はどのような情報からこのような関係性を知覚するのであろうか. 研究1では, 観察者は, 観察している対象者たちの関係性をどのように知覚するのかを探索的に調査した. 研究2では, 研究1の観察者が報告した内容の1つに着目し, その報告内容に含まれるどのような情報が, 観察対象者たちの関係性の特定に寄与しているのかについて検討した.
  • P2-37
    野田 浩平 (グロービス経営大学院)
    U理論は,7つのステップより構成されるイノベーションとリーダーシップの方法論である.その7ステップのうちのプレゼンシングと呼ばれる第4ステップは,個人あるいは集団が, 未来へ向けた新しい目的, 意志を見出すステップである.本稿では,U理論をモデル化するためには,人間の認知過程と知覚・感情過程を総合的にモデル化する必要があり,その為には通常の身体性認知科学でも足りず,新たな研究手法が必要であることを明らかにし,その端緒を紹介する.
  • P2-38
    持舘 康太 (札幌学院大学心理学部)
    友野 貴之 (札幌学院大学心理学部)
    人間の声による読み聞かせの印象と合成音声による読み聞かせの印象とを比較し,合成音声における「人間らしさ」が読み聞かせ場面に適しているのかを検討した. その結果,読み聞かせ場面では,合成音声よりも人間の声の方が適していると感じられることがわかった.また, 合成音声の「人間らしさ」を評価する際には,「生きていると感じられるかどうか」,「感情があるかどうか」,「肯定・芸術・弾力性」といった概念が関係していることが示された.
  • P2-39
    原島 小也可 (東京大学大学院人文社会系研究科)
    浅野 倫子 (東京大学大学院人文社会系研究科)
    日本語母語話者を対象に,母音に感じられる色を選択する課題を行った。その結果,母音の音響特徴(フォルマント)に加えて音韻カテゴリが色選択に強く影響すること,過半数の参加者で音と色の空間構造に同型性が見られること,マッピングが構造的に同型な人ほどマッピングが時間的に安定していることが明らかになった。この結果は,母音と色の感覚間協応が音韻カテゴリという知覚者の認知構造を反映する形で形成されている可能性を示唆する。
  • P2-40
    林 大輔 (日本たばこ産業株式会社)
    武田 千愛 (日本たばこ産業株式会社)
    三澤 萌寧 (アッシュコンセプト株式会社)
    八幡 純二 (アッシュコンセプト株式会社)
    砂口 あや (アッシュコンセプト株式会社)
    名児耶 秀美 (アッシュコンセプト株式会社)
    本稿では,日常における心の豊かさと関連しうる「道草」について,人文学的に考察を行って見出した要素を踏まえて,人々にちいさな「ハテナ」を提供できるプロダクトを生み出しているデザインの取り組みを紹介する.プロダクトを購入して所有している方々へのインタビュー調査を通じて「ハテナ」の体験に関する理解を深めつつ,そのような体験と認知科学における概念との関連について考察することで,「デザインによる認知科学研究」の可能性を探索する.
  • P2-41
    笠野 純基 (北陸先端科学技術大学院大学 共創インテリジェンス研究領域 橋本研究室)
    橋本 敬 (北陸先端大学)
    多様な思考は,柔軟な発想だけでなく,人工的な構造物の組み替えによる心的操作にも支えられている可能性がある.本研究では,3語句の修飾関係を組み替えることで異なる意味を生成する階層操作課題と,他者の心的内容に関する推測を生成する推測課題を用いて両者の関係を検討した.結果,階層操作課題を先に行った場合にのみ,推測の多様性との相関が確認された.これは,構造的な認知的操作が後続の多様な意味の生成を促す可能性が示唆された.
  • P2-42
    児玉 謙太郎 (東京都立大学)
    桜井 良太 (東京都健康長寿医療センター研究所)
    友野 貴之 (札幌学院大学心理学部)
    佐藤 和之 (Friedrich Schiller University Jena)
    樋口 貴広 (東京都立大学)
    本研究では,環境の視覚的な複雑さが歩行に及ぼす影響について,加齢要因を含めて検討した.具体的には,VR内で人混みを再現し,参加者はヘッドマウントディスプレイを装着した状態で足踏みするよう求められた.人混みが少ない単純条件と多い複雑条件を比較した結果,若齢者と同様に中高年者でも,複雑条件にて歩行リズムがランダムに近づき身体自由度が増加したと解釈された.今後,高齢者の歩行訓練への応用などが期待される.
  • P2-43
    加賀美 果歩 (名古屋市立大学大学院)
    小鷹 研理 (名古屋市立大学芸術工学研究科)
    本研究では,音の周波数に同期した触覚刺激を4つの身体部位に提示し,音響マグネット効果の部位特異性について検討した.その結果,頭部および頭部上に置かれた手への刺激において,音が触覚の位置から鳴っているように感じられる効果が顕著であった.行動指標も同様の傾向を示し,音響マグネット効果が頭部という身体部位に特有の知覚的特性に基づいて生じる可能性が示唆された.
  • P2-44
    秋葉 直人 (立命館大学大学院情報理工学研究科)
    松下 彩夏 (立命館大学大学院情報理工学研究科)
    森田 磨里絵 (立命館情報理工学部)
    松室 美紀 (立命館大学OIC総合研究機構)
    柴田 史久 (立命館大学大学院情報理工学研究科)
    木村 朝子 (立命館大学大学院情報理工学研究科)
    身体表象とは,人間が自身の身体について持つイメージである.本研究では, 個人内での感覚モダリティの確からしさと身体表象との関係を,視覚と固有受容感覚に着目し検討した.実験では, 身体部位を視覚的にずらして表示したときの身体表象の変化と,個人の固有受容感覚の正確性を測定した.その結果,固有受容感覚が正確でない個人ほど身体表象が変化し,個人内での相対的な確からしさが身体表象変化に影響することを示した.
  • P2-45
    藤堂 健世 (関東学院大学 理工学部)
    吉川 厚 (関東学院大学 理工学部)
    山村 雅幸 (東京科学大学 情報理工学院)
    本研究では,対話エージェント設計で従来軽視されてきた構造的要素がユーザー評価に与える影響を検証した.キャラクターの向き・吹き出しサイズ・背景PC配置の3要因を操作し,1000名の参加者の信頼性評価を測定した.その結果,女性参加者においてキャラクター向きによりPC配置の最適位置が反転する現象を発見した.この知見は対話エージェント設計における構造的要素への配慮の必要性を示している.
  • P2-46
    宮内 万彩 (明治大学大学院 理工学研究科)
    都地 裕樹 (明治大学 研究・知的財産戦略機構)
    嶋田 総太郎 (明治大学)
    本研究では、マインドフルネス瞑想の手法である呼吸の瞑想と慈悲の瞑想が社会的意思決定に及ぼす影響の違いを明らかにするために、両瞑想法のトレーニング前後における最後通牒ゲーム遂行中の事象関連電位(P200)を比較した。その結果、正中前頭部におけるP200の振幅が慈悲の瞑想群でのみトレーニング後に減少していた。この結果は、瞑想の手法によって社会的意思決定に関する脳活動に異なる影響を与える可能性を示唆している。
  • P2-47
    吉井 美祐 (同志社大学大学院文化情報学研究科)
    正田 悠 (京都市立芸術大学音楽学部)
    阪田 真己子 (同志社大学大学院文化情報学研究科)
    本研究では,パーソナルミュージックである「人生で最も重要な曲」と「お気に入りの曲」に結びつくエピソードの違いを検討した.多くの楽曲が重複せず,流行曲が多かったことから,楽曲が個人の経験や記憶と結びつくことで固有のものになることが示された.また,選ばれた年齢はレミニセンス・バンプ期と一致していた.楽曲のエピソードは,重要な曲は自己の経験や記憶との結びつき,好きな曲は感情や印象,メディアの影響など外的要因も関与していることが示唆された.
  • P2-48
    神岡 拓真 (立命館大学大学院 文学研究科)
    布山 美慕 (立命館大学 文学部)
    本研究は,恋愛感情の想起による視知覚への影響を,色の温度感を通して検討した.温度感と恋愛感情想起の関係がどのようなものか検討するため,想起時の感情状態を9感情で質問した.他の親密な感情想起と比較するため,友情想起を比較条件とした.調査の結果,重回帰分析により,情熱と興奮の2感情が,色温度感の高低に対し,恋愛感情と友情の間で逆の効果を持つと示された.これにより,恋愛と友人関係が,色知覚への影響において異なる文脈となりうることが示唆された.
  • P2-49
    杉本 幸大 (追手門学院大学大学院 心理学研究科心理学専攻)
    白砂 大 (静岡大学)
    香川 璃奈 (産業技術総合研究所)
    本田 秀仁 (追手門学院大学)
    本研究は、リスク下の意思決定におけるヒューリスティックの適応的使用をアイトラッキングで検証した。課題の難易度が高いほどヒューリスティックによる選択が増え、難易度が低いと期待値に基づく選択が多くなった。視線データの分析から、期待値に基づく選択は難易度に応じて認知的コストが変動するのに対し、ヒューリスティックは一貫して低コストであることが示され、コストを抑える適応的戦略であることが示唆された。
  • P2-50
    氏家 悠太 (立教大学現代心理学部)
    高橋 康介 (立命館大学総合心理学部)
    本研究では,McGurk効果における話者の顔と声の属性(成人・子供)の影響を,CIMSモデルを用いて検討した。主な結果として,子供の声が提示された条件では因果推定確率と錯覚率が低下し,視聴覚情報を同一の原因と判断する傾向が弱まることが示された。一方で,知覚精度には差が見られず,視聴覚統合の判断は話者属性などのより高次な因果的意味づけの影響を受ける可能性が示された。
  • P2-51
    櫻 哲郎 (東京大学)
    渋谷 友紀 (障害者職業総合センター)
    植田 一博 (東京大学)
    本研究では文楽における三人遣いの協調操作に着目し,主遣いの意図(次に行う“型”動作)を左遣いがどのように人形動作から読み取るのかを分析した.具体的には,左遣いが取りうる型の候補を絞り込む仮説を立て,現役の人形遣いによる型判別課題と人形動作の解析によって検討を行った.その結果,左遣いの判断は固定的なルールに依存せず,人形動作に内在する情報をもとに柔軟に行われている可能性が示唆された.これは文楽の持つ即興性に適応した仕組みと考えられる.
  • P2-52
    稲村 隆之介 (大阪公立大学院現代システム科学研究科現代システム科学専攻認知行動科学分野)
    牧岡 省吾 (大阪公立大学 現代システム科学研究科)
    実験1では、音楽を聴きながら計算課題や認知課題を行うと、音楽のBPMが正答数に影響を与えるという仮説を検証したが、支持されなかった。実験2では、BPMと心拍数の関係に着目し、参加者の心拍数を基準にBPMを変化させ、音楽を単一の楽器のみに変更して同様な仮説を検証したが、仮説は支持されなかった。今後の研究では、今回の実験で用いた音楽自体に問題がある可能性を考え、参加者が自身で選んだ音楽を聴きながら課題を行うという方法で実験を行う予定である。
  • P2-53
    松室 美紀 (ホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパン)
    松下 彩夏 (立命館大学大学院情報理工学研究科)
    森田 磨里絵 (立命館情報理工学部)
    柴田 史久 (立命館大学大学院情報理工学研究科)
    木村 朝子 (立命館大学大学院情報理工学研究科)
    視覚情報が操作された状態で身体を動かすことにより,固有受容感覚の調整が生じ,身体を実際の位置とは異なる場所に知覚する現象が生じる.先行研究では参加者は操作された身体部位を直接的に観察していた.本研究では,視点の位置を操作することにより,体幹位置を間接的に操作した.直接的な視覚情報が与えられた腕との比較から,直接的な視覚情報がない体幹の固有受容感覚の調整は,腕よりも弱いことが示唆された.
  • P2-54
    平野 達也 (東海大学)
    中谷 裕教 (東海大学)
    本研究では、合成音声における日本語の聞き取りやすさ向上を目的に、抑揚の大きさが聞き取りやすさおよび自然性に与える影響を被験者10人で検討した。聴取実験とアンケート調査を通じて、抑揚の変化による聞き取りやすさの違いを確認した。また、抑揚が大きい条件では音声の好ましさが聞き取りやすさに強く関与する傾向が見られた。話し方から受ける印象を評価した好悪という因子は、自然性に対しても有意な影響を与えていた。
  • P2-55
    平田 貴士 (名古屋大学 大学院情報学研究科)
    山中 都史美 (中部大学 大学院工学研究科)
    田所 慎 (名古屋大学 大学院情報学研究科)
    宮本 健史 (名古屋大学大学院情報学研究科)
    暗闇での直進歩行は困難であり,これは視覚以外の感覚,特に前庭感覚から進行方向を正確に推定できていないことを示唆している.進行方向の推定に用いられる前庭感覚は,歩行中の頭部回転と逆側に眼を動かす前庭動眼反射(VOR)の誘発にも関与している.本研究では歩行中の前庭感覚から推定される進行方向の結果がVORに現れることを示した.具体的には左右のVOR精度(ゲイン)に非対称性が見られ,ゲインが低い頭部回転側へ軌道が逸れることが明らかとなった.
  • P2-56
    坪井 駿門 (早稲田大学大学院人間科学研究科)
    古山 宣洋 (早稲田大学人間科学学術院)
    本研究では、歌舞伎の女形の女らしさはどのように演出しているのかを現役の歌舞伎役者1名を実験対象者としてモーションキャプチャとインタビューを用いて実験を行った。実験結果をインタビューで得た演技の意識とモーションキャプチャで得たデータを比較し、インタビューで言及された基本姿勢、「振り」、「内股」のそれぞれについて仮説形成を目指した。
  • P2-57
    奈良 泉美 (公立はこだて未来大学大学院)
    南部 美砂子 (公立はこだて未来大学)
    本研究では,「概念」推し活におけるぬいぐるみの服を製作する現場を対象に,1)コミュニケーションの特徴,2)「概念(推しを連想させる要素)」を具現化する過程について,探索的に検討した.結果,1)では相互支援的なコミュニケーション,2)では推しのイラストとの比較からより近似する素材を選択することがみられた.以上から,「概念」推し活における創作の場が学び合いの機能を有し,創作は自分なりの推しらしさを表現する創造的実践である可能性が示唆された.
  • P2-58
    橋倉 英佑 (金沢工業大学大学院)
    田中 吉史 (金沢工業大学)
    本研究では、認知欲求と物語の複雑さがネタバレ効果に与える影響について検討した。ネタバレを含むあらすじ、含まないあらすじのどちらかを読み、その後、小説を読み評価を行ってもらった。その結果、認知欲求の高い参加者はネタバレによって負担感を感じ、対照的に、認知欲求の低い参加者は、読書の負担感が軽減された。これらの結果から、認知欲求がネタバレ効果に及ぼす影響は、作品を読もうとする動機づけに関連していることが示唆された。
  • P2-59
    森高 楓 (千葉大学)
    松香 敏彦 (千葉大学)
    ウェブ検索を用いて情報を集める際,検索意図の異なる複数のクエリを用いることがある。特に,単純な事実への参照を目的とした情報探索の中で生じる試行錯誤の解明に向けて,検索意図の再構成を要求する検索課題の条件や,クエリの変化から検索意図の変化を推定する方法の検討が求められる。本研究では,そのような検討に対し, Field et al. (2010) で収集された情報探索行動データが有用であるかを調べた。
  • P2-61
    小野 淳平 (青森大学ソフトウェア情報学部)
    小方 孝 (大和大学情報学部)
    青木 慎一郎 (岩手県立大学)
    本研究は、ASD者の行動や認知特性の理解を深める手段として、生成AIによるシミュレーションを試みた。具体的には、当事者のエピソードと、特定の状況下におけるASD者の行動を入力とし、生成AI(Gemini)にその行動の理由を出力させることで、ASD理解の促進という観点からシミュレーションの有効性を検証した。一方で、慣習といった限定的な文脈は、生成AIによる適切な理解が難しいという課題も明らかにした。
  • P2-63
    渡辺 謙仁 (静岡大学)
    坂本 孝丈 (静岡大学)
    須藤 智 (静岡大学)
    老人ホーム遠隔就労を想定し、65〜81歳の高齢者26名がテレプレゼンスロボットTemiの操作を3週間学習した。単独群12名と交流群14名を比較した。コース走行課題は両群とも週を追うごとに迅速化したが,交流群は単独群よりも所要時間が長かった。御用聞き課題は交流群3週目で遅延増大した。交流に伴う目標水準上昇や評価懸念が慎重操作を招いた可能性がある。所要時間のみでは学習成果判定が困難で質的指標が必要である。
  • P2-64
    小坪 瑞基 (金沢工業大学大学院)
    田中 吉史 (金沢工業大学)
     本研究では、マインドワンダリング(MW)が、収束的思考課題の代表例である遠隔連想課題(RAT)にどのような影響を与えるかを検討した。実験参加者を、認知的負荷の高い課題を行う群(MW抑制群)と、目を閉じて休息する群(MW促進群)の2群に分け、それぞれの課題の前後でRATを実施し、スコアを比較した。  実験の結果、休息によってMWは促進されたものの、RATスコアに群間差はみられず、MWがRATの成績向上に寄与することは確認されなかった。
  • P2-65
    中島 亮一 (京都大学)
    田中 葉月 (日本大学)
    大澤 正彦 (日本大学文理学部)
    大規模言語モデル(LLM)にパーソナリティを付与すると、LLMはそれに応じてふるまえる。本研究では、LLM自身のパーソナリティ評価と、LLMが生成した文章から推定されるパーソナリティの他者評価を比較した。その結果、外向性、勤勉性、開放性は、おおむね自己・他者評価が一貫した。また、協調性と神経症傾向の評価間には、人間同士の場合と一致した齟齬が見られた。つまり、特定のパーソナリティを付与したLLMは、人間に類似した言語表現を出力できる。
  • P2-66
    山口 星香 (放送大学大学院文化科学研究科)
    小野 貴史 (信州大学学術研究院教育学系)
    大西 仁 (放送大学教養学部)
    本研究では,音楽聴取時に生起する主観的時間の感覚と楽曲構造との関連性を明らかにすることを目的として,一対比較法および再生法による聴取実験を実施した.分析の結果,音高推移,和声進行,休符位置といった構造的要素が主観的時間に一定の影響を及ぼす可能性が示唆された.しかしながら,再生法において統計的に有意な差は認められず,本研究のような操作による時間の伸縮効果は限定的であるにとどまった.
  • P2-67
    小日向 黎 (関東学院大学大学院 工学研究科)
    吉川 厚 (関東学院大学 理工学部)
    本研究は、似非科学への耐性とネットリテラシー向上に効果的な教育手法を検証した。漫画教材を用い、大学生28名を対象に分散学習と集中学習の効果を比較した。その結果、既存の信念の変容を要する似非科学への耐性には、内省を促す分散学習が有効だった。一方、手続き的スキルの習得が中心のネットリテラシー向上には集中学習がより高い効果を示した。学習内容の認知的性質により、最適な学習スケジュールは異なると示唆される。
  • P2-68
    市川 悠太 (金沢工業大学)
    伊丸岡 俊秀 (金沢工業大学)
    本研究では,VR空間においてアバタの見た目が行動や認知に影響を与えるプロテウス効果が,MR空間においても生起するか検証した.標準アバタ・筋肉質アバタ・アバタなしの3条件をそれぞれ身体に重ねて表示し,ダンベルの重さの知覚量を測定した.その結果,標準アバタ条件では重さの錯覚が確認されたが,筋肉質アバタ条件では確認されなかった.また,課題後に行った主観評価の結果,アバタに対する身体化感覚は生起していなかったことが分かった.
  • P2-69
    岡村 将弥 (静岡大学大学院総合科学技術研究科)
    遠山 紗矢香 (静岡大学大学院総合科学技術研究科)
    リフティングの先行研究では,熟達者群・初心者群ともに足関節は底屈し,熟達者群は膝関節をより伸展させ,初心者群は足関節をより底屈させていた.本研究では,経験者5名と未経験者6名により実践的なリフティングを行わせ,Mediapipeを利用して身体動作解析を行った.その結果,熟達者は膝をより伸展させ,足関節を底屈させていた.また,認知的言語化をはじめとする熟達化過程の質を高める介入を検討する必要性が示された.
  • P2-70
    松崎 由幸 (北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 先端科学技術専攻)
    橋本 敬 (北陸先端大学)
    コミュニケーションにおいて,発話の背後にある意図の理解は円滑な対話や誤解の回避に不可欠である.本研究では,聞き手が推意の解釈の生成・選択を検討するための実験を行った.そして,代表的な語用論的推論の理論のどれと整合的かをインタビューで検討した.また,演繹・帰納・アブダクションのどの推論形式を用いるのかを分析した結果,3つすべての推論形式が用いられていることを示した.