研究分野

思考・知識

  • OS01-3
    公募発表
    菅井 篤 (静岡福祉大学)
    本研究では,学習を誰かからの観察によってつくられる変化(有元,2013)だと捉え,国際バカロレア(IB)教育を捉えなおし,IBへの批判的な検討を試みた.IBを履修する小学生の保護者へ自由記述式の質問紙調査を実施し,日常の実践でのキーコンセプトの活用が,どのように保護者によって観察されているのかを探っていった.これらのことを通して,IBは,日本の教育を改めて評価し改善していくための,ひとつの視点であるという提案がなされた.
  • OS05-2
    公募発表
    長島 一真 (静岡大学)
    森田 純哉 (静岡大学)
    竹内 勇剛 (静岡大学)
    Marrによれば個々の認知モデルは複数の水準からなる階層に位置づけられる.同一の対象に対して,複数の階層のモデルを統合することで,対象の総合的な理解が導かれる.そこで本研究では,好奇心を対象とした複数の階層のモデルを比較検討する研究を行った.下層の実装水準のモデルとして深層強化学習,中層のアルゴリズム水準のモデルとしてACT-Rモデルを選択した.その結果,これらのモデル間で整合する特徴が現れた.
  • OS05-3
    公募発表
    中川 渉 (東京医科歯科大学)
    山下 祐一 (国立精神・神経医療研究センター)
    谷口 忠大 (立命館大学)
    岡田 幸之 (東京医科歯科大学)
    高橋 英彦 (東京医科歯科大学)
    本研究では、混合ガウスモデルから生成した画像を用いてカテゴリー学習課題を行った。変分推論を用いて最適な行動をモデル化し、課題における行動と精神疾患傾向との関連を調査したところ、モデルとの乖離度と注意欠陥多動性障害の傾向との間に有意な負の相関を認めたほか、自閉症スペクトラム障害の傾向との間にも有意な負の相関が存在する傾向を認めた。
  • OS14-3
    公募発表
    櫃割 仁平 (京都大学)
    野村 理朗 (京都大学大学院教育学研究科)
    In psychology of aesthetics, compared to appreciation, there are fewer studies on art creation. Therefore, this study aims to examine the influence of art creation on appreciation using haiku poetry with reference to the Mirror Model—a model combining creation and appreciation. Although the model has been used to examine visual arts, we examine its applicability to linguistic arts. The 115 participants were divided into two conditions—creation and control. The former created haiku, while the latter did not create. The results showed no improvement in evaluation through creation. Additionally, recognizing the difficulty of creation leads to beauty, and this relationship is mediated by awe. These results expand the model in terms of the different art genres.
  • O1-002A
    塚村 祐希 (東京大学)
    若井 大成 (東京大学)
    下條 朝也 (コニカミノルタ株式会社)
    植田 一博 (東京大学)
    本研究では,潜在スコープバイアスの生起において個人差がどの程度見られるのかを分析した.Web実験で得られたデータを認知モデルに基づいて分析した結果,すべての参加者の推論にバイアスが生じているわけではなく,規範的な推論を行っている者も相当数存在することが示唆された.回答の生成過程を数理的に表現し,パラメータの解釈やモデル比較を行ったことではじめて,潜在スコープバイアスの個人差について検討できた点が本研究の意義である.
  • O1-003
    服部 雅史 (立命館大学)
    モンティ・ホール問題の難しさには複数の要因が関係している.本研究では,認知的要因として,課題の因果構造が明快でない点に注目した.「ハズレ」や「ドアを開ける(オプションの除去)」ではなく,「当たり」や「オプションの保持」に焦点を当てるように(図地反転)することにより正解率が高まった.この結果は,困難さの原因が,ベイズ推論自体の本質的困難さではなく材料の提示方法にあり,従来認識されていなかった因果構造の不明快性も大きな要因であることを示す.
  • O1-004
    浅川 伸一 (東京女子大学)
    近藤 公久 (工学院大学)
    ニューラルネットワークによる言語モデルでは,トランスフォーマー に基づくモデルが支配的となっている。これらのモデルの表現能力を用いて認知過程の理解を模索することには意味があるだろう。本稿では,オノマトペを題材に,表現の簡潔さと,それらの意味の豊富さを記述し,分類することにより,トランスフォーマーベースのモデルの応用可能性を示した。
  • O3-001A
    白砂 大 (追手門学院大学)
    香川 璃奈 (筑波大学)
    本田 秀仁 (追手門学院大学)
    本研究では,二者択一課題中におけるマウスカーソルの軌跡,特にマウスの最大速度時点(衝動性の指標)を,drift diffusion modelにおけるドリフト率(証拠蓄積の速さ)や閾値幅(慎重さ)との相関から定量的に評価した。行動実験の結果,最大速度時点が,ドリフト率と負の相関を示し,閾値幅と正の相関を示した。よって,マウスカーソルの軌跡に基づく分析が,一定程度の妥当性を持つことが示唆された。
  • P1-020A
    柴北 春香 (名古屋大学情報学研究科)
    服部 雅史 (立命館大学)
    平田 瑞貴 (名古屋大学)
    三輪 和久 (名古屋大学)
    この研究は,存在脅威管理理論の文脈における死の脅威が自己の仮説妥当性評価へもたらす影響についての検討をおこなったものであった.人間は,他者のアイデアや仮説などを懐疑的に評価するのに対して自分の仮説やアイデアを肯定的に見積もる傾向がみられる.本研究ではその原因を存在脅威管理理論における死の脅威にあると仮説を立てて仮説検証課題を用いてこのことを検証した.実験結果は有意な差がみられなかった.
  • P1-025
    中分 遥 (高知工科大学)
    佐藤 浩輔 (株式会社バンダイナムコ研究所)
    五十里 翔吾 (琉球大学,Virtualion株式会社)
    儀式または儀礼的行為とは形式的な構造を持つとされ,強い効果を持つとされるものや,重要な場面で行われるものが存在する.本研究では儀式の効果・重要性とその構造(規則性・複雑性・ランダム性)の間に関連があるか検証した.実験では,2つの動作を組み合わせることで多数の儀式を作成し,実験参加者は各儀式の効果・重要性,そして構造を評定した.実験の結果,儀式の効果・重要性の評定値は複雑であるほど高く,規則的であるほど低くなる傾向が示唆された.
  • P1-027A
    稲継 晃大 (北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    本研究は文の読解時に内的な音声化の機能を解明することを目的とし,日本語文字形態の違いから,文字に対する音韻情報の処理にどのような影響を及ぼすのかを検討するものであった.実験では12名に文字形態の異なる課題文を内的な音声化をコントロールした読み方で読解させ,課題文に付随する正誤判断文に答えさせた.実験の結果と考察は大会の発表時に公開する予定である.
  • P1-029
    赤嶺 奨 (Max Planck Institute for Psycholinguistics)
    小波津 豪 (バスク大学)
    新国 佳祐 (新潟青陵大学)
    Amy J. Schafer (University of Hawaii, Manoa)
    里 麻奈美 (沖縄国際大学)
    Social interaction and communication require a responsive ability to read others’ subtle emotional reactions, which affect subsequent cognitive activities such as up-down spatial attention. Even brief exposure to an emotionally expressive face can influence cognition, due to an affective priming effect. For instance, subliminal primes of facial expressions generate gross affective information such as a positive/negative category, influencing evaluations of unrelated novel objects. Given the interconnections between emotions and language, this study assesses the functional role of affective information in processing emotionally and spatially congruent/incongruent sentences when facial expressions are perceived consciously (Exp 1) or unconsciously (Exp 2).
  • P1-034A
    横須賀 天臣 (東京電機大学)
    渡邊 元樹 (東京電機大学)
    高橋 達二 (東京電機大学)
    中村 紘子 (東京電機大学)
    条件推論において,一般知能により真偽判断には個人差がある(Evans et al., 2007).また,推論の成績は,どのように思考することを好むかという思考スタイルの個人差が影響する(Evans & Stanovich, 2013). そこで,本研究は条件推論の真偽判断において,思考スタイルの個人差による影響を検討するため,2つの実験を行った. その結果,思考スタイルの個人差は条件推論へと限定的に影響を及ぼすことがわかった.
  • P1-039A
    澤田 和輝 (京都大学大学院教育学研究科)
    今津 慎太郎 (京都大学大学院教育学研究科)
    野村 理朗 (京都大学大学院教育学研究科)
    規範の厳格さは拡散的思考に及ぼす影響とそれを調整する個人差要因を実験的に検討するために,シナリオ課題を用いて規範の厳格さ/寛容さを実験的に導入した後,従来の代替用課題の限界点を踏まえた拡散連合課題を用いてアイディアの生成と抑制の二過程を含む拡散的思考を測定した.その結果,刺激探求の低い個人においては,規範の厳格さが産出される単語ペアの類似度を低下させること,すなわち拡散的思考を促進させることが示された.
  • P1-045
    安陪 梨沙 (立命館大学大学院人間科学研究科)
    服部 雅史 (立命館大学)
    安陪・服部 (2021) では創造性を向上させる要素として概念どうしの関連性およびアドホックカテゴリ想起訓練の影響を検討した.その結果,アドホックカテゴリを想起することで生成物の創造性と独創性が向上することが明らかになった.本研究ではその効果を検討するため創造性,独創性の得点と有用性得点の相関を比較した.結果から,アドホックカテゴリ想起訓練は独創性を向上させ,有用性は向上させないことが明らかになった.
  • P1-048
    髙木 紀久子 (東京大学大学院総合文化研究科)
    王 詩雋 (東京大学大学院教育学研究科)
    岡田 猛 (東京大学大学院教育学研究科)
    We developed the following design principles for a STEAM program for higher education which is considered to be insufficient in research and practice based on previous studies on artistic creation: 1) teach the knowledge about the creative process of art; 2) teach the method of PROBE, which focuses on physical activity; and 3) let the students spontaneously use this knowledge to create artworks. By implementing those design principles, we taught a STEAM course combining art and psychology at our university. We collected data on the students' coursework and conducted a follow-up interview one year after the course finished. The analysis of interview data showed that this course positively influenced students' creative activities.
  • P1-051
    髙橋 麻衣子 (東京大学先端科学技術研究センター)
    中学1年生の数学科の授業において活動をベースにした学習(ABL:Activity Based Learning)を実施した。生徒に「限られた道具を用いて校舎の高さを測定する」活動を提示したところ,校舎内の階段の長さを1段ずつ測定するという直接的な測定から,校舎と基準物の写真から比によって求めるという間接的な測定まで多様なアイデアが生成され実施された。活動の結果,生徒の数学学習への意欲の向上や数学と生活の結びつきへの気づきが得られた。
  • P1-060
    中村 國則 (成城大学社会イノベーション学部)
    On the basis of findings from the existing studies, this study predicted that infected people would estimate higher frequency of COVID-19 than non-infected people. To test this hypothesis, this study included a total of 226 participants, who were required to: estimate the number of COVID-19 patients in Tokyo; answer whether they had been infected by COVID-19; and state the number of acquaintances they had who had been infected by COVID-19. As a result, this study found that among 226 participants, 24 participants were infected by COVID-19, and their estimates of the number of COVID-19 patients in Tokyo were not significantly different from those of non-infected participants.
  • P1-061
    近藤 大貴 (慶応義塾大学 政策メディア研究科)
    今井 むつみ (慶応義塾大学 環境情報学部)
    本研究は人が他者の主張の論理的妥当性をどのような認知プロセスに基づく推論によって評価しているのかを明らかにするものである。具体的にはCovid-19への主張を題材に文章課題を作成し、それに対する論理的妥当性の評価が論理構造、根拠および結論に対する信念によって予測されるか検証した。結果、評価は論理構造によって予測された。また、根拠や結論に対する信念は妥当ではない論理構造を持つ主張への評価は予測しなかったが、妥当な主張への評価は予測した。
  • P1-062A
    樋口 滉規 (東京電機大学)
    高橋 達二 (東京電機大学)
    本研究は,ベイジアン・ネットワークの構造学習の際に行われる条件付き独立性検定を,観察的因果帰納モデル pARIs で代替したアルゴリズムを提案した.pARIs は,人間の因果的直感と高い相関を示すことが明らかになっており,スモールサンプル,事象の生起確率の稀少性などの仮定の下では,非独立性の優れた近似として振る舞うことが明らかになっている.また、提案した指標の性能の評価は計算機シミュレーションによって行った.
  • P2-001A
    田中 優希菜 (立命館大学大学院 人間科学研究科)
    永井 聖剛 (立命館大学 総合心理学部)
    服部 雅史 (立命館大学)
    文章読解時に情景が浮かぶ現象を,情景を視覚的イメージの想起と定義し調査を行った.物体イメージ尺度得点の高低が物語の印象評価に影響し,色や形の想起で文章の印象が変化すると言える.一方,空間イメージ尺度得点の高低は物語の印象評価に影響しなかった.文章の呈示方法にも差があり,黙読条件では物語の明るさが,音読条件では物語の好ましさが高く評価された.今後は,刺激とする物語の特性を踏まえた研究が必要である.
  • P2-002
    福永 征夫 (アブダクション研究会)
    中間の世界の論理とは,時間の情報が主成分の演繹による貫く推論(XorY)と,空間の情報が主成分の帰納による連ねる推論(XandY)が,互いに相補的に接合し合って,時空間の情報をアブダクションという高次の推論で統合し,世界の今ここにおいて存在し生起する事物や事象の情報を,高深度・広域・高次のストーリー線として自己完結的に自己組織化していく,自然や社会のシステムの循環と融合の論理のことである.
  • P2-005
    山田 雅敏 (常葉大学)
    本研究は,認知科学の視座から技に対する一人称の思考と言語の影響を再考し,さらには,思考を超えた無人称的身体へ新たに焦点を当てることを目的とした.本稿はその足掛かりとして,達人や賢人たちが残した文脈を紐解きながら,文献レビューを行うことを主眼とした.その結果,技の熟達における認知過程には,人間が獲得した言語の使用による相対的認知と,主客を超えた無我の状態による他者との調和が関連していることが示唆された.
  • P2-007
    廣田 章光 (近畿大学)
    人々が過去に直面したある体験をここでは「原体験(formative experience)」と呼ぶ。リフレクティブ・カンバセーション(Schon 1983)は表現と対話し認知を行い、新たな表現につなげると理解されている。そこで、本研究はデザイン行動(Owen 1997,Norman 2013)における原体験がもたらす効果を「対話」の観点から考察する。そして原体験が対話の対象として存在し、リフレクティブ・カンバセーションとの関係を示す。
  • P2-014A
    二宮 由樹 (名古屋大学)
    下條 朝也 (コニカミノルタ株式会社)
    寺井 仁 (近畿大学)
    松林 翔太 (名古屋大学)
    三輪 和久 (名古屋大学)
    自律エージェントの行動を理解するには,何が入力情報かと,対応する出力が何かを理解する必要がある.本稿は,入力情報の顕著性が,エージェントの行動ルールの推定に与える影響を検討した.結果,顕著性の高い情報と低い情報を入力情報とするエージェントの行動を言語的に推定すると,低い情報が使われにくかった.このことは,入力情報の顕著性によってルール推定の際の利用のされ方が異なることを示すとともに,行動ルールの推定における言語隠蔽効果を示す証拠である.
  • P2-017
    佐藤 有理 (東京大学)
    福田 玄明 (一橋大学)
    植田 一博 (東京大学)
    意思決定者自身ではなく他者のために行われる代理意思決定は,投資信託など実世界でよく見られるインタラクションである.本研究は,その際に委託エージェント(投資者)がどこまで深くクライアント(出資者)を考えて合わせるのが自然か明らかにする.実験の結果,投資者は,出資者の指示を理解してリスク選択をするものの,その意図を推定して行動調整するまではしなかった.しかし,出資者の満足度は低くなかった. HCIの知見と合わせて結果の要因と示唆を議論する.
  • P2-035
    光田 基郎 (ノースアジア大学経済学部)
    大学生が絵本で欺きまたは単なる誤解内容を理解する技能をクラスター分析して,欺きの理解では誤信念内容に他者を従わせる意図の理解に必要な文法と正反応抑制技能のクラスターと内容の類推,再認と作業記憶(別の長文理解)のクラスタとの分離(光田,認知科学会‘21)同様に,欺かれた振りでの報復を述べた二次的な誤信念内容の理解条件下で作業記憶負荷を軽減した際に上記の欺きと誤解を理解する技能が類似のクラスタ―構成を示す可能性を示唆した
  • P2-045A
    林 涼太 (東京電機大学)
    市野 弘人 (東京電機大学)
    樋口 滉規 (東京電機大学)
    高橋 達二 (東京電機大学)
    本研究では,因果帰納モデルのメタ分析で行われた実験の問題点を指摘し,問題点の大きいと考えられる実験から優先的に追試を実施し,追試データを部分的に組み込み再度メタ分析を実施した. 結果として,記述的因果帰納モデルであるpARIsが人間の因果的直感に関する内部モデルとして合理的であることを示すことができた. また,心理学研究の再現性や線形モデルを用いた個人差分析の観点から実験データやプログラム公開の重要性を説いた.
  • P2-049
    美馬 義亮 (公立はこだて未来大学)
    数学学習のような抽象的な概念を学ぶとき,学習者は,教科書の記述を追い,演繹的な思考を繰り返して,思考モデルの運用能力を獲得することができる.このような方法で,学習者は個人の努力では難しい抽象的な思考様式を身につけることができる反面,概念獲得が不成功に終わる事例も多い.抽象的な概念の獲得を確実に行うことは,学習意欲にもかかわる.本報告では,抽象的な概念の学習で何が起こるのかについて,圏論で用いられる可換図式を用いながら考察をおこなう.
  • P2-050
    桑原 涼香 (静岡大学情報学部行動情報学科)
    長島 一真 (静岡大学)
    森田 純哉 (静岡大学)
    川越 敦 (筑波大学)
    大澤 博隆 (慶應義塾大学)
    本研究では,協調行動の分析に適したカードゲーム「Hanabi」を題材としたシミュレーションを行った.ゲーム中にコミュニケーションが成功した際,自他の行為を事例として蓄積し,それを利用することで他者の行為の意図を推定する認知モデルを構築した.2体のモデルが対戦するシミュレーションの結果,試行の進行に伴う事例の蓄積・利用,およびゲーム得点の上昇が確認された.
  • P2-051
    及川 博渡 (岩手県立大学大学院ソフトウェア情報学研究科)
    千代原 維龍 (岩手県立大学ソフトウェア情報学科)
    小倉 加奈代 (岩手県立大学)
    身体知を形成するサイクルは,新しい着眼点を発見し,新旧着眼点相互の関係性を模索することで新たな身体知モデルを構築するプロセスの繰り返しであると言われている.本研究では,傘回しの「乱回し」という技の習得を目指し,その習得過程において前述のサイクルを確認できるどうかを練習時に記録する言語記録を中心に分析し,検証した. 分析の結果,2名ともにスランプ時に前述の身体知形成サイクルに対応する言語記録が確認された.
  • P2-057
    寺井 仁 (近畿大学)
    創造性研究において,プロダクトの創造性がいかに評価されるかは,重要な課題の一つである.本研究では,創造性評価において,評価対象であるプロダクトのカテゴリに対する認知が与える影響を検討した.実験では,プロダクトとカテゴリ名が同時提示される場合を統制条件とし,プロダクトに遅れてカテゴリ名が提示される遅延条件との比較を行った.その結果,カテゴリの遅延提示は,創造性評価を有意に低下させることが示された.
  • P2-060
    山田 敏幸 (群馬大学共同教育学部英語教育講座)
    本研究は第一言語獲得が肯定証拠のみに依ることを踏まえて、第二言語学習者の文法的誤りは否定証拠がなくても減少するのかを検証する。71人の日本人英語学習者が、訂正フィードバック無しの自由英作文を行なった。結果は、1年度の期間において、文法的誤り率が後期の方が前期よりも低かった。この傾向は冠詞や数一致には見られ、前置詞や時制には見られなかった。明示的な指導がなくても暗示的な学習が起き得ることを考察する。
  • P2-062
    大橋 秀也 (千葉大学)
    岩淵 汐音 (千葉大学)
    松香 敏彦 (千葉大学)
    これまでのカテゴリー学習に関する研究では、実験者が実験参加者に特定の特徴セットを提供したり、カテゴリーのラベルかつ部分的な特徴次元の情報を提供したりするなど、学習の対象は実験者が選別し、学習者においては受動的な学習が行われていた。本研究では、学習者がどのような情報を得たいか自由に選択できる課題を用い、能動的なカテゴリー学習時に学習者がどのような情報希求行動を行うかを検討した。