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日本認知科学会

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入会のご案内

サマースクール2013

開催要領


日時:2013年9月2日(月)13:00 ~ 9月4日(水)15:30
場所:神奈川県箱根市 箱根湯本富士屋ホテル
小田急線箱根湯本駅より徒歩可能
定員:60名(その内、学生・PDの定員を40名とし若手研究者を優先します)
対象:広く認知科学に興味を持つ学生・研究者。日本認知科学会の会員には限りません。
参加方法:申し込み専用のページ https://conv.toptour.co.jp/shop/evt/jcsss2013/より申込
参加費:17000円
宿泊費:14550円(3名~5名での相部屋)
シングル・ツインは 25550円
*宿泊費には夕食および朝食が含まれます。
*学生の参加者には日本認知科学会から10000円の参加費の補助があります。
*学生の参加定員は併せて30名です。
*相部屋の部屋割りは事務局にお任せいただきますが、ご要望があれば下記問い合わせ先までメールでお知らせ下さい。
主催:日本認知科学会
協力:トビー・テクノロジー

開催の趣旨


認知科学は様々な学問領域の最先端の理論、手法、知見を融合させ、人類が2000年を超える歴史の中で考えてきた認識、知の問題を解決、発展させる学問であります。この目的の達成のためには、多くの分野の研究者の共同が必要になることは言うまでもありません。しかしながら、認知科学を構成する諸学問は近年著しく発展し、複数の分野の知を融合させる試みは徐々に難しさを増しているように思われます。加えて近年の成果主義的な動向は、本源的な問題をじっくりと考える時間を研究者から奪っているようにも思われます。こうした現状は若手研究者の成長の妨げになることは間違いありません。こうした現状を打破するため、認知科学会では2011年からサマースクールを開催してきました。そこでは、若手研究者が、知の根源的な問題に対して最先端で探求を行う講師との対話を通して、自らの研究の発展の可能性を探求することが目的となっています。本年も安西元会長、担当常任運営委員の岡田浩之氏らの努力により、魅力的なプログラムのサマースクールを企画することができました。多くの大学院生、若手・中堅研究者の方々がこのサマースクールに参加し、自らの研究を問い直し、さらなる発展の契機とされることを期待します。

日本認知科学会・会長
鈴木宏昭

サマースクール2013への期待


世界的に見て優れた研究の多くが、多様な背景(研究方法、研究分野、文化、国籍、その他)を持つ研究者同士が対話を重ね、刺激しあう場から生まれるようになってきたように思います。
行動実験、脳機能研究、ビッグデータ処理などの方法に通じた研究者の共同研究が増えていることはご存じの通り、被引用回数の多い論文が国際共同研究から生まれる割合も急速に高くなっています(文科省科学技術政策研究所調査)。最近では、複数の研究方法をマスターした一人の研究者が、世界に先駆けた成果を次々と挙げることも目につくようになりました。
しかし、とくに日本の国内では、いまだに若手研究者や院生の多くが、何年も同じような人たちと過ごし、限られた所属分野、お仕着せの研究方法、自分の周囲の先生や学会の狭い研究人脈といった、「多様性のない研究の場」に生きているように見えます。
世界の研究環境の変化と無縁のガラパゴス的生活をしていれば、ストレスもそれほど感じなくて済み、表面的には有意義な研究をしている気になれるのかもしれません。しかし、研究の方法や考え方の似た者同士からは、世界の第一線から見ると重箱の隅をつついた結果しか出てこない、世界はすでにそういう時代に入っているのです。
認知科学に関心を持つ若い研究者や院生には、内輪に籠った分野ごとの研究文化や各分野の伝統的な研究法に囚われず、新しい研究方法を開拓していってほしい。そして、多様な研究者と刺激しあって、ワクワクするような学術の世界を創り出してほしい。とくに、世界の第一線に飛び込んで力いっぱい頑張ってほしい。それが私の願いです。
サマースクールの創設に尽力された横澤一彦前会長は、自らの研究として視覚の「科学」を標榜しておられます。また、鈴木宏昭新会長は、本学会が「対話」の場であってほしいと言っておられます。3回目になるサマースクールが、世界の学術動向にも沿った、多様性に基づく開かれた研究へのステップになること、「科学」の方法論を開拓しつつ「対話」を通して新しい学術の世界を創り上げていくエネルギー源になることを、心から期待しています。

独立行政法人日本学術振興会
安西祐一郎

スケジュール

9月2日(月)

12:30受付開始
13:00サマースクール開会挨拶 鈴木宏昭
13:10セッション(1)「社会的ニッチ構築」
講師:山岸俊男(東京大学、玉川大学)
人間は社会的適応環境(=安定したインセンティブ構造=他者からの予測可能な反応パターン)への適応行動を通して、その環境自体を集合的に生み出し維持している。このプロセスを社会的ニッチ構築と呼ぶ。講演前半ではこの社会的ニッチ構築の観点から予測される行動傾向を人間が実際に有しているかどうかを、集団内および集団間行動に焦点を当てて検証した実験研究について紹介する。また後半では特定の社会的秩序原理の下での適応行動の性質と、そうした適応行動を促進する心理機序の性質として心の文化差を分析する。
ディスカッサント:鈴木宏昭(青山学院大学)
17:30夕食
19:00-イブニングセッション(1)「あなたにとっての社会とは」
22:00

9月3日(火)

9:00-若手研究者プレゼンテーション(1)
10:20  「身体的負荷が判断に与える影響」
阿部慶賀(岐阜聖徳学園大学)
人の知的な行動や判断は、イメージや計算などの狭い意味での心的処理で成り立っているように思われがちだが、姿勢や動きなどの身体の働きも心的処理を左右している。姿勢の違いや体にかかる負荷、疲労などが知覚や判断に影響を与えることが知られており、先行研究では距離を見積もり場合に、重い荷物を持っている時の方が、軽い荷物を持っている場合に比べて長く見積もられることが報告されている。本研究では、身体的負荷として「重さ」に注目し、重さの感覚が距離や傾斜の見積もりに与える影響を検討する。人の「重さ」の感覚は、もの大きさや持ち方など、さまざまな要因に左右される。これらの重さの感じ方の違いと距離や傾斜の見積もりへの影響を比較することで、重さの感覚が見積もりにどのような仕組みで影響を与えるのかを示すことができると考えられる。
10:30-若手研究者プレゼンテーション(1)
12:00「実験と構成論的研究のコラボレーションから自他認知の発達メカニズムに迫る」
高橋英之(大阪大学)
生まれたばかりの赤ちゃんがどのように自分や他者の心を見出しているのか、そのプロセスを知ることは発達科学のビッグイシューである。発表者らは、これまで乳児の主体性(自らの心の状態を自覚して行動すること)がどのように芽生え発達していくのかに興味を持って研究してきた。四肢が未熟な乳児では、これまでの実験手法では主体的な行為の評価が難しかった。そこで我々は、乳児の視線随伴課題を用いて、乳児の自己意識の起源に迫ろうと試みている。視線随伴課題とは、視線計測装置のディスプレイに呈示された刺激を視線を介して操作可能な課題を指す。この課題を用いることで、これまで四肢運動の未成熟で覆い隠されてきた乳児の心の芽生えが計測できるようになってきた。本発表では、これらの試みから得られてきた知見について紹介することで、視線随伴課題の可能性と問題について議論をしたいと考えている。
13:00-セッション(2)「身体性・社会性認知科学と医療・リハビリテーションの接点」
企画・司会:嶋田総太郎(明治大学)
講師:森岡周(畿央大学)
川崎真弘(筑波大学)
身体性・社会性の認知科学が医療・リハビリテーションの分野へどのように貢献できるかについて、第一線で活躍されている2名の講師をお迎えして議論する機会を設けたい。森岡周先生には運動リハビリテーションの現状と、認知神経科学の知見を積極的に取り入れた新たなリハビリテーション法の可 能性について講演していただく。川崎真弘先生には、自閉症におけるコミュニケーション時の2人同時脳波計測および経頭蓋磁気刺激(TMS)を用い た脳波リズムの操作に関する研究についてご講演いただく。最後に全体討論を行い、医療・リハビリテーションへの認知科学の応用可能性について考えたい。
17:30夕食
19:00-イブニングセッション(2)
22:00

9月4日(水)

9:00-若手研究者プレゼンテーション(3)
12:00「ネットワーク上の伝搬現象」
増田直紀(東京大学)
ソーシャル・ネットワークの上では、感染症、流行や災害の情報、対立意見、協力行動の傾向などさまざまな「もの」が伝搬していると考えられる。それらを理論的に、また、データに基いて理解するためには、ネットワーク上の伝搬現象を表す数理モデルが有用である。ネットワークのかたち、伝搬現象の種類に応じて、いくつかの中心的な役割を果たしている数理モデルが存在する。これらの数理モデルは、一対一の人間関係よりは大きい人間集団におけるコミュニケーションを解き明かすことに供すると期待される。本発表では、ネットワーク上の伝搬現象の中心的な研究成果と最近のトピックについて概説する。
10:30-セッション(3)「十人十色」
12:00講師:横澤一彦(東京大学)
知覚の問題を認知心理学で扱おうとするとき、心理物理学的測定法を用いる。フェヒナーが、物理的刺激と、心理的感覚を結びつけたことに端を発する心理物理学的測定法は、閾や主観的等価点を測定する、洗練された実験手法である。このような統制された実験で、十人十色の個人差に配慮しながら、平均像としての知覚特性を示すことが可能になる。ただ、最近取り組んでいる美感や共感覚の問題を扱おうとすると、平均像で知覚特性を語ることの限界が見えてきているので、そのような内容を含め、十人十色と形容される個人差とか、個性とかに関する、先端的研究現場での課題について、話題提供したい。
ディスカッサント:安西祐一郎(日本学術振興会)
13:00セッション(3)の続き
15:00クロージング
15:30終了