研究分野

相互作用

  • OS1-1-1
    公募発表
    新原 将義 (武蔵大学)
    本研究では沖縄の米軍基地反対運動におけるフィールドワークをもとに,研究者が純粋な参加者ではないという“第1の外部性”と,問題の“歴史的当事者”ではないという“第2の外部性”について議論した。前者については,研究者が啓蒙的な役割を引き受けることで,知的権威を帯び,発達的な関係から疎外されるという危険性を指摘した.また後者の外部性が様々な立場からどのように構成されるのかを検討し,これへの直面化が政治的発達の契機となる可能性を指摘した.
  • OS1-1-3
    公募発表
    石田 喜美 (横浜国立大学)
    本発表ではIngold(2011=2021)の「クモ(SPIDER)」という比喩を手掛かりにしながら,対立や葛藤をはらむフィールドにおける記述・分析のありかたを考察する,具体的には,石田・半沢(2004)で示した事例を,新たに記述し直す試みを行った結果を報告する.当日は,この事例を通じて,葛藤が渦巻くフィールドにおいて見出される知を記述する方法について,参加者とともに議論したい.
  • OS1-1-4
    公募発表
    宮尻 琴実 (公立はこだて未来大学)
    坂井田 瑠衣 (公立はこだて未来大学)
    本稿では,『認知科学』への投稿論文執筆を含む,LGBT活動に連帯しない当事者を対象とした研究を行っているなかでおきた,著者自身の価値観や立場の変化を自己再帰的に記述し考察する.対象者の実践に対して中立的な見方をしていた研究者が,いかにして脱中立的な見方をし,その実践のなかにある対立構造に巻き込まれていったのかについて,対象者とのかかわりの変化や査読者,担当編集委員とのやりとりをふまえながら論じる.
  • OS2-1-2
    公募発表
    小林 梨紗 (筑波大学人間総合科学学術院/聖徳大学)
    松原 正樹 (筑波大学図書館情報メディア系/慶應義塾大学)
    本研究は,幼児教育や療法における音楽実践を対象に,演奏者の即興的な応答の様相とその背景にある音楽の性質を検討した.3つの事例を分析し,模倣・補完・展開・同期といった応答の型や,音楽的・身体的・文脈的資源の活用が確認された.あわせて,音楽の曖昧性・同時性・連続性が,意味の共創を支える変数として機能している可能性が示唆された.
  • OS2-2-3
    公募発表
    青山 慶 (岩手大学)
    佐々木 正人 (多摩美術大学)
    西尾 千尋 (甲南大学)
    山本 尚樹 (弘前学院大学)
    山﨑 寛恵 (東京学芸大学)
    藤井康介 (PLAY DESIGN LAB (by JAKUETS))
    本荘栄司 (PLAY DESIGN LAB (by JAKUETS))
    加藤將則 (PLAY DESIGN LAB (by JAKUETS))
    本研究の目的は,新たにデザインされた遊具において,そこで生起する行為の多様性から遊びの可能性を捉え直すことである.本研究では,Gibson(1979)の生態幾何学的観点を参照し,子どもたちの実際の身体の動きや相互行為のプロセスから,遊具がいかなる「あそび」を可能にしているのかを考察した.その結果,踊り場のない螺旋構造がもたらす移動を基本とした滞在によって,経路の交差や共有によるコミュニケーションの機会をもたらされることが示唆された.
  • O3-2
    飯山 陸 (早稲田大学)
    細馬 宏通 (早稲田大学)
    本研究は,日常的な感覚・行為である「痒み」,そして「掻くこと」(掻破行為)について,痒みという発話や掻破行為がいつ・どのように行われているかについてデータ分析を行った.その結果,掻いている当人が他者の注意が向けられていない「隙」を突いて掻くことで,他者に痒みについて発話させないことを日常的に行っており、掻いている当人が発話した場合を除いて痒みに関する会話をすることは少なく,会話をしたとしても長くは続かないことが明らかになった.
  • O3-4
    田中 みゆき (早稲田大学)
    本研究は, 映画『ラジオ下神白』の音声描写検討会を通じて, 視覚障害者の映画体験を分析する. 視覚障害者がどのように音から映像空間を構築し, 主体的に鑑賞しているかを, 会話・ジェスチャー分析から明らかにした. 本発表では, 視覚障害者の映画体験が視覚中心の認知とどのように異なるかを示す. その上で, 視覚障害者と晴眼者による検討会が, 映像の意味を再構築する創造的・批評的場であることを提起する.
  • P1-1
    門田 圭祐 (早稲田大学)
    渋田 芳河 (なし)
    関根 和生 (早稲田大学)
    本研究は,話者の自己接触が,メッセージと話者に対する印象に与える影響を実験的に調査した.卒業試験導入を主張する話者が映った動画を参加者に視聴させ,話者とメッセージの印象を評定させた.動画は,話者の自己接触(くつろぎ型・神経質型・なし)と論拠(強・弱)の2要因を操作して作成した.その結果,自己接触はその種類にかかわらず,話者の信頼性評価を低め,メッセージの印象には影響しないことが明らかになった.
  • P1-3
    阿部 慶賀 (和光大学)
    本研究では人物についてのセレブリティ情報、具体的にはその人物の大きな成果や実績の情報を新たに知ることで、その人物に対するパーソナルスペースにどのような影響があるかを検討した。実験の結果、対象の人物がセレブリティであることを予め知らない場合には、セレブリティであることを知ることで無自覚に相手との距離を取るようになることが示唆された。
  • P1-6
    福地 庸介 (東京都立大学)
    本稿では、SNS上の情報探索を通じたユーザの信念形成過程、特に確証バイアスを、能動的推論としてモデル化する。モデルは、投稿の観測による信念更新量と信念に適合する投稿の観測で得られる満足のバランスとして、確証バイアスを定量的に説明する。仮想SNSを用いたユーザ実験では、参加者が確証バイアスにより信念を維持・強化する傾向が確認された。さらに、仮想SNSにモデルを適用した結果、初期信念の偏りと学習率が確証バイアスを再現する可能性が示唆された。
  • P1-8
    廣田 章光 (流通科学大学、近畿大学デザイン・クリエイティブ研究所)
    ハイブリッドインテリジェンスにおけるAI生成情報の開発者に対して、遠隔探索促進効果があることを明らかにした。その確認のためAI生成情報の開発者の選択背景を把握する8区分の基準を設計した。そして、AI生成情報が開発者にとって「意外な関係」の気づきを得るきっかけとなり、普段活用できていない「すぐに思いつかない知識」との関連づけを促すことを確認した。
  • P1-13
    二宮 由樹 (名古屋大学)
    松林 翔太 (名古屋大学)
    三輪 和久 (名古屋大学)
    寺井 仁 (近畿大学)
    唐沢 穣 (名古屋大学)
    本発表では,注視情報提示による衝突回避における相手の役割選択の誘導,すなわち注視ナッジを提案し,その妥当性を検証する実験悔過について報告する.実験では,衝突回避における役割(先行・後行)に一致した注視パターンを提示することで,先行後行判断を誘導する可能性が示された.
  • P1-14
    牧野 遼作 (早稲田大学)
    山本 敦 (早稲田大学)
    門田 圭祐 (早稲田大学)
    八木 崇行 (静清リハビリテーション病院)
    高田 勇 (加賀市医療センター)
    安田和弘 (東京保健医療専門職大学 )
    児玉 謙太郎 (東京都立大学)
    本稿は、PTによる「揺すり運動」の指導を通じて、身体の帰属が相互行為の中でどのように構成されるかを分析する。PTは発話・動作・接触を用いて動作を段階的に提示・調整し、状況に応じて主導と補助を使い分けることで、患者の自律的な動作生成を支援していた。身体の動きの帰属先は固定的でなく、相互行為的に動的に構成されていた。リハビリにおける身体の操作と学習を相互行為的達成として捉える視点を提案する。
  • P1-16
    大髙 愛 (札幌学院大学心理学部臨床心理学科)
    森 直久 (札幌学院大学)
    大髙(2024)はティッシュ配りの観察研究により、受け手が誰かが不確定で受け手に複数の行為選択が可能な状況での受け渡しの達成が➀視線交絡による受け手特定と不確定性の縮減②適切な位置やタイミングによる差出・受取行為の連鎖を経て実現されるとした。本研究は仮説中の「視線交絡の前提となる視線送り」と「差出のタイミング」が受け渡しの実現に寄与する変数かを実験的に検証した。受け渡しが最も成功しやすい差出のタイミングが受取の2秒弱前であると推定した。
  • P1-22
    白砂 大 (静岡大学)
    本田 秀仁 (追手門学院大学)
    香川 璃奈 (産業技術総合研究所)
    医療診断などの実社会の判断場面において、AIによる意思決定支援の導入が進んでいる。本研究では、人とAIのバイアスの相互作用(e.g., 過大評価か過小評価か) に着目し、人のバイアスの程度によってAIが持つべき特性が異なる可能性を検証した。実験の結果、人と逆方向のバイアスをもつAIは、人の判断精度を高める一方で、人が抱く信頼度は低いことが示された。本研究は、正確で信頼できるAIが常に良いとは限らないという実用的示唆を提供する。
  • P1-31
    藤田 華奈 (公立はこだて未来大学)
    坂井田 瑠衣 (公立はこだて未来大学)
    本稿では,Twitterにおける出会いの場面において,ユーザがどのような活動を「場面にかかわりのある活動」として選択しているのかを明らかにした.企業アカウントの挨拶ツイートとそのリプライ計105件を対象に分析を行い,特に挨拶と会話という2つの活動に着目した.ゴフマンの「関与」概念に基づく分析から,Twitterにおいては挨拶活動が支配的関与として位置付けられ,関与は投稿者ではなく受け手側によって選択されることが示唆された.
  • P1-32
    坂井田 瑠衣 (公立はこだて未来大学)
    岡野 真衣 (公立はこだて未来大学)
    本研究では,共在状態においてそれまでの相互行為とは無関係に産出される発話が,どのように発話者自身によって独り言として構成され,共在している他者によって独り言として扱われるかを,相互行為分析を用いて明らかにする.分析の結果,発話者は,自身の発話が独り言であることを,発話の連鎖上の位置や身体の志向性によって示していた.共在している他者は,その発話が独り言であることを理解し,反応を示さないか,反応を示すとしても最小限に留めていた.
  • P1-45
    佐藤 恵助 (東京大学大学院総合研究科)
    植田 一博 (東京大学)
    本研究では,生物でない対象の動きに生物らしさを見出す現象であるアニマシー知覚の個人差が,動きの観察時に想起する生物種の違いに起因するとの仮説を検証した.点の動きが「アリ」「ヘビ」であると事前に参加者に教示する2つの条件を設定し,点の進行方向の変化の角度の大きさとアニマシーの強さの評価の関係を条件間で比較した.その結果,仮説通りの結果は得られなかったものの,教示によってアニマシーの評価の傾向に違いが生まれている可能性が確認できた.
  • P1-47
    松永 和也 (青山学院大学社会情報学研究科)
    本研究は、文学授業における学習者の対話に着目し、集団的な読解がどのように生成・変容するかを質的に明らかにすることを目的とする。中学校の文学授業の映像記録を談話分析し、「わからなさ」の共有が読解の方向性に及ぼす影響を分析した。その結果、学習者は曖昧さを受け入れ、問いを保留しながら解釈可能性を開くという生成的・応答的な解釈戦略を共有していたことが示された。本研究は、読解の認知的・社会的構成プロセスに対する理解を深めるものである。
  • P1-67
    古田 久美子 (マルハニチロ株式会社)
    東 瑞穂 (マルハニチロ株式会社)
    本多 倫子 (マルハニチロ株式会社)
    安久 絵里子 (筑波大学)
    原田 悦子 (筑波大学/イデアラボ)
    山本智子 (マルハニチロ株式会社)
    本研究では,高齢化社会における冷凍食品パッケージの調理法表示のユーザビリティを検討した.実験1では高齢者と大学生を対象に認知的ユーザビリティテストを実施し,マニュアルの理解困難点や調理エラーの発生を確認した.これに基づき表示デザインを改善し,実験2で再評価したところ,エラーの減少など一定の効果が認められた.また,既存ユーザーと新規ユーザーの反応差も明らかになり,特に高齢者既存ユーザーには変更点を肯定的に伝える必要性が示唆された.
  • P2-10
    市川 淳 (静岡大学)
    山田 雅敏 (常葉大学)
    祝原 豊 (静岡大学)
    一ノ瀬 元喜 (静岡大学)
    藤井 慶輔 (名古屋大学)
    本研究は,集団スポーツを題材に,協調的インタラクションにおける情報処理特性を探索的に検討した.静岡県国体成年女子選抜を対象に3 on 3バスケットボールのフィールド実験を行い,選手間の距離の変動を東海学生連盟三部リーグと比較した.結果,一見混沌とする中でエキスパートのオフェンスチームは,複数の戦術計画に関する集団のトップダウン処理と状況に応じて戦術を柔軟に選択するボトムアップ処理がバランスよく機能していることが示唆された.
  • P2-25
    齋藤 巴菜 (公立はこだて未来大学大学院)
    坂井田 瑠衣 (公立はこだて未来大学)
    本研究は,会話がなされていない共在状態において笑いがどのように産出されるのかを分析する.参与者らが笑いうる出来事を理解する際に参照する資源として,互いのあいだで共有された知識や築かれている関係性に着目した.相互行為分析を通じて,笑いは共在経験や個人の習慣に関する知識,日常的前提からの逸脱性を通じて見出され,参与者間の関係性や相互志向性とともに組織されていることが明らかとなった.
  • P2-27
    原田 悦子 (筑波大学/イデアラボ)
    安久 絵里子 (筑波大学)
    虫嫌いの増大が生活の都市化に起因するとされる中,虫に対する嫌悪感と対人的嫌悪感との関係が変化しているとの仮説に対し,行動レベルで検討するため,高齢者‐若年成人を異なるコホートの参加者として,虫模型に対する殺虫スプレー噴射のデータに対してストップ・ディスタンス法に模した分析を行った.若年・虫恐怖感高群は高齢者群に比べ,虫への距離が長く,後部からスプレー噴射をすることが多かった.虫に対する攻撃行動の変化とコホートの関係について考察する.
  • P2-36
    大山 耀平 (札幌学院大学心理学部)
    友野 貴之 (札幌学院大学心理学部)
    初めて町ですれ違う人々であっても, 我々はその人々の立ち振る舞いから彼らの関係性を知覚することがある. 我々はどのような情報からこのような関係性を知覚するのであろうか. 研究1では, 観察者は, 観察している対象者たちの関係性をどのように知覚するのかを探索的に調査した. 研究2では, 研究1の観察者が報告した内容の1つに着目し, その報告内容に含まれるどのような情報が, 観察対象者たちの関係性の特定に寄与しているのかについて検討した.
  • P2-42
    児玉 謙太郎 (東京都立大学)
    桜井 良太 (東京都健康長寿医療センター研究所)
    友野 貴之 (札幌学院大学心理学部)
    佐藤 和之 (Friedrich Schiller University Jena)
    樋口 貴広 (東京都立大学)
    本研究では,環境の視覚的な複雑さが歩行に及ぼす影響について,加齢要因を含めて検討した.具体的には,VR内で人混みを再現し,参加者はヘッドマウントディスプレイを装着した状態で足踏みするよう求められた.人混みが少ない単純条件と多い複雑条件を比較した結果,若齢者と同様に中高年者でも,複雑条件にて歩行リズムがランダムに近づき身体自由度が増加したと解釈された.今後,高齢者の歩行訓練への応用などが期待される.
  • P2-51
    櫻 哲郎 (東京大学)
    渋谷 友紀 (障害者職業総合センター)
    植田 一博 (東京大学)
    本研究では文楽における三人遣いの協調操作に着目し,主遣いの意図(次に行う“型”動作)を左遣いがどのように人形動作から読み取るのかを分析した.具体的には,左遣いが取りうる型の候補を絞り込む仮説を立て,現役の人形遣いによる型判別課題と人形動作の解析によって検討を行った.その結果,左遣いの判断は固定的なルールに依存せず,人形動作に内在する情報をもとに柔軟に行われている可能性が示唆された.これは文楽の持つ即興性に適応した仕組みと考えられる.
  • P2-57
    奈良 泉美 (公立はこだて未来大学大学院)
    南部 美砂子 (公立はこだて未来大学)
    本研究では,「概念」推し活におけるぬいぐるみの服を製作する現場を対象に,1)コミュニケーションの特徴,2)「概念(推しを連想させる要素)」を具現化する過程について,探索的に検討した.結果,1)では相互支援的なコミュニケーション,2)では推しのイラストとの比較からより近似する素材を選択することがみられた.以上から,「概念」推し活における創作の場が学び合いの機能を有し,創作は自分なりの推しらしさを表現する創造的実践である可能性が示唆された.
  • P2-65
    中島 亮一 (京都大学)
    田中 葉月 (日本大学)
    大澤 正彦 (日本大学文理学部)
    大規模言語モデル(LLM)にパーソナリティを付与すると、LLMはそれに応じてふるまえる。本研究では、LLM自身のパーソナリティ評価と、LLMが生成した文章から推定されるパーソナリティの他者評価を比較した。その結果、外向性、勤勉性、開放性は、おおむね自己・他者評価が一貫した。また、協調性と神経症傾向の評価間には、人間同士の場合と一致した齟齬が見られた。つまり、特定のパーソナリティを付与したLLMは、人間に類似した言語表現を出力できる。
  • P3-2
    稲見 悠 (札幌学院大学)
    大髙 愛 (札幌学院大学心理学部臨床心理学科)
    森 直久 (札幌学院大学)
    「あっち向いてホイ」におけるゆび指し回避行為が情報に基づいて選択されているのか,情報に基づくならば,それはどのような情報であるかを検討した.その結果,ゆび指し回避行為を相手行為の知覚に基づいて選択する場合には失敗することが分かった.この結果から,知覚に基づいてこの回避行為を選択する際に利用可能な情報があるとすれば,相手動作が行われない「スペース」であるという仮説が導き出された.そして,回避行為における「地」の情報の関与の可能性を示した.
  • P3-3
    巽 智子 (Max Planck Institute for Psycholinguistics)
    関根 和生 (早稲田大学)
    3歳児と5歳児を対象とした遮蔽状況下でのイラストのマッチング課題を行い, 物体の位置情報を相手に伝えるターンにおける指差しと言語表現の発達的変化を分析した. その結果, 5歳児と比べて3歳児は参照点 よりも対象点を指差す傾向があり, また対象を叩いたり擦ったり, 接触する指差し, 参照点と対象点をつなぐ指差しが多かった. 発達と共に, 指差しに頼らずとも言語表現が可能になり, やりとりの共通基盤や効率性についての認識が増すと示唆される.
  • P3-4
    小林 海生 (静岡大学)
    遠山 紗矢香 (静岡大学大学院総合科学技術研究科)
    共食は,おいしさを向上させ,そこでは他者との経験共有が影響していることが示されている.そこで小林・遠山(2024)では,遠隔で他者と食行動を共有しても,先行研究と同様においしさを増幅するのかを検討した.結果,おいしさが増幅される効果は得られなかったが,他者に対して波長があうと思う度合いがおいしさに影響を与えていることがわかった.これを踏まえて本研究では,遠隔の共食において他者との親密度とおいしさの関係性を検討する実験を行った.
  • P3-12
    西山 理奈 (神戸大学大学院人間発達環境学研究科)
    野中 哲士 (神戸大学大学院 人間発達環境学研究科 教授)
    本研究では,視覚情報なしで,人が歌声を聴きながらそれに合わせて一緒に歌うとき,その歌声が人間か歌声合成ソフトかによって,歌声の協調パターンが異なるのかどうかを調べた.相互相関分析で,相手と参加者の各歌声の振幅包絡線の時系列相関を比較し,グレンジャー因果性検定で,予期的なダイナミクスを調べた.その結果,視覚情報がなくても,参加者は,人間と歌う方がより先読みして歌唱行動を同期させることが示された.
  • P3-16
    根本 悠樹 (京都大学大学院工学研究科)
    井上 康博 (京都大学大学院工学研究科)
    存在感の工学的な実装は様々な手法によって取り組まれる.人は明確に姿かたちを視認せずとも,音などの限定的な感覚刺激から,自らが位置する環境と地続きの空間領域の一部を占めるものとして自分以外の主体の存在を想定する.そのような主体の存在可能性の投射を促進する外部環境の要素の1つとして,空間的な不可視性が挙げられる.本研究では,数値シミュレーションを通じて,探索行動する視点に対して継続的に不可視性を生じる空間構成の幾何学的な特徴量を抽出する.
  • P3-28
    椎名 琉翔 (東京都市大学メディア情報学部)
    千田 真緒 (千葉大学大学院融合理工学府)
    岡部 大介 (東京都市大学メディア情報学部)
    本研究は,オーダー・コール・システムを備えた飲食店において,大学生グループによる注文決定の過程を映像データ6本を用いて分析した.注文前には「決まった?」などの決定確認発話が平均4回以上交わされ,ベルスターを押す直前には押下の意思を明示する発話が確認された.注文決定に至るまでの反復的な確認は,不可逆な注文プロセスの直前における,参与者どうしの慎重なすり合わせとして機能していた.
  • P3-30
    野中 郁子 (早稲田大学 人間科学研究科 関根研究室)
    関根 和生 (早稲田大学)
    非対面コミュニケーションや携帯電話普及など電話応対機会が増えている。電話でお辞儀をしながら発話をすると感じの良い応対になると言われ,企業では指導をしている。それらは経験則と知識の継承であり,明らかにされてはいない。本研究では,音声のみからお辞儀の有無を聞き手が知覚できるかを検証した。平均正答率はチャンスレベルを有意に上回り,視覚情報がなくても身体動作が音声に反映され伝達される可能性が示された。
  • P3-35
    清水 大地 (神戸大学)
    岡田 猛 (東京大学大学院教育学研究科)
    佐藤 悠 (フリーランス)
    本研究は、芸術鑑賞における探索・想像・触発の過程に着目し、上野公園を舞台にアート作品複数を探索的に鑑賞するWSを行った。そして、参加者の認知・行動・情動の変化や他者との共有をGPS・対話・自己報告等により検討した。結果、探索的な活動を通じて没頭感や自律感が高まること、グループ内外で覚醒度や快感情等の情動が同期する傾向が見られること、が示された。今後は認知・行為面も含めた協調解析を進める予定である。
  • P3-40
    梅村 弥生 (千葉大学融合理工学府博士課程院生)
    伝 康晴 (千葉大学)
    本研究が注目している現象は,対象を知覚的にアクセスできない状況のもとで,それでも「共同注意」が達成され,活動が展開する事例である.こうした状況下での指示詞の使用は,指示詞が何を指しているかといった従来の距離に依存した指示詞理解では十分捉えきれない.本研究の目的は,指示詞を利用した発話に加えて,ジェスチャー,視線をも取り込みながら,指示詞による参照の理解が参与者の間の相互行為として,どのように成立するかを示すことである.
  • P3-45
    石川 悟 (北星学園大学文学部)
    試験への取り組み報告に対し,同一のメッセージを「人」または「チャットボット」が返信する条件を用意し,メッセージ受信後の,受信者自身の感情的評価と取り組み姿勢の評価を,調査開始時,開始1週間後,開始2週間後(調査終了時)に測定した.参加者の得点は,「人条件」と「ボット条件」に依らず推移し,各条件に共通する傾向は現れなかった.インタビュー結果から,送り手の属性に相応しい特徴を持つメッセージが,受信者の評価向上へ繋がることが示唆された.
  • P3-47
    高橋 浩一 (東京学芸大学)
    犬塚 美輪 (東京学芸大学)
    本研究は,部下の成長を促進する「環境設計」の視点から,営業組織におけるOJT経験の構造と,営業スキルとの関連を探索的に検討した.1041名を対象に質問紙調査を実施し,因子分析を行った結果,過去のOJT経験について「強みが活きる経験」「試行錯誤の経験」「内省と学習の支援」「やる気への刺激」の4因子が得られた.4因子に基づいて算出した尺度得点と営業スキル得点は中程度の相関を示し,これらのOJT経験が営業スキルの高さと関連することが示された.
  • P3-56
    澤田 知恭 (筑波大学大学院心理学学位プログラム)
    原田 悦子 (筑波大学/イデアラボ)
    会話中では発話する直前に,相手発話の聴取理解と自らの発話計画による二重課題が発生する。高齢者にとって,この会話中に発生する二重課題は困難であり,実際に,聴取理解との二重課題状況下で計画された発話はエラーが多い(澤田・原田,2024)。本研究では,相手の発話に対する高次の予測が可能な場合には,高齢者の発話前後の処理負荷が低減されていることが明らかになり,高齢者が二重課題という困難に対する補償して,高次の予測を行っていることが示唆された。
  • P3-67
    大麻 紀真 (立命館大学)
    下條 志厳 (立命館グローバル・イノベーション研究機構)
    林 勇吾 (立命館大学総合心理学部)
    本研究では,異なる行動戦略をとるエージェントとの最後通牒ゲームにおいて,個人の意思決定を提案行動の選択確率とその遷移確率から検討した.実験の結果,個人は利他的なエージェントに対しては自己の利得を最大化しようとする合理的な戦略をとる一方で,利己的・適応的なエージェントに対しては経済的な合理性から逸脱した反応を示した.この背景として,エージェントの行動戦略に対する予測可能性と,社会的文脈における解釈可能性の2点が重要であることを指摘する.