日程 9月14日(日) 10:30 - 11:50
口頭発表3 (O3)
会場:国際会議上1F井深大記念ホール
座長:金野武司(金沢工業大学)
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O3-1あらゆる経験は「経路」の概念で理解でき,我々の生は多数の経路の織りなすメッシュワークとして捉えられる.経験の全体性を経路として読み解くためのケーススタディとして,筆者の長男を対象とした二人称研究を構想する.研究方法は,長男の日常的な成長や変化を簡単に記録する「Kuya Diary」と,街歩きにおける発話や行動を多面的に記録する「Kuya Stroll」から成る.本稿では2025年6月末時点での研究の進捗を報じ,その方法について検証する.
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O3-2本研究は,日常的な感覚・行為である「痒み」,そして「掻くこと」(掻破行為)について,痒みという発話や掻破行為がいつ・どのように行われているかについてデータ分析を行った.その結果,掻いている当人が他者の注意が向けられていない「隙」を突いて掻くことで,他者に痒みについて発話させないことを日常的に行っており、掻いている当人が発話した場合を除いて痒みに関する会話をすることは少なく,会話をしたとしても長くは続かないことが明らかになった.
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O3-3本研究では,ダンスを専門としない大学生が,自然とダンス表現を創作してしまうような教育プログラムのデザイン原則を明らかにするために,熟達者の近藤良平氏の授業実践を対象に,近藤氏の授業展開を分析した.その結果明らかになったデザイン原則は,講師も参加者も童心で向き合い,人と人が接触により動く活動を中心に,身体が持つ物質的側面と社会的側面を使い分けながら他者とやりとりする中で,探索中心の活動から徐々に発信を見据えるようにすることであった.
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O3-4本研究は, 映画『ラジオ下神白』の音声描写検討会を通じて, 視覚障害者の映画体験を分析する. 視覚障害者がどのように音から映像空間を構築し, 主体的に鑑賞しているかを, 会話・ジェスチャー分析から明らかにした. 本発表では, 視覚障害者の映画体験が視覚中心の認知とどのように異なるかを示す. その上で, 視覚障害者と晴眼者による検討会が, 映像の意味を再構築する創造的・批評的場であることを提起する.