日程 9月9日(土) 13:30 - 15:30

ポスターセッション3 (P3)

会場:プレゼンテーションベイ
  • P3-001A
    白砂 大 (追手門学院大学)
    香川 璃奈 (筑波大学)
    本田 秀仁 (追手門学院大学)
    本研究では、判断の正確さを高めるためのシンプルな介入策(ブースト)として、課題冒頭に「1秒待たせる」という手法を提案した。二者択一課題を用いた行動実験の結果、待ち時間がない群と比べて、1秒の待ち時間がある群の方が高い正答率を示した。また、マウストラッキングにより参加者の判断プロセスを検証した結果、待ち時間が衝動的な判断を抑制していることが示唆された。1秒待たせるという介入策は、非常に低コストであり、他の場面への応用可能性も期待される。
  • P3-002
    新堀 耕平 (静岡大学情報学部)
    西川 純平 (静岡大学)
    長島 一真 (静岡大学創造科学技術大学院)
    森田 純哉 (静岡大学)
    記憶のエラーは個人属性や感情状態など様々な要因により生じる.エラーは,想起されるべきでない情報が思い出されるコミッションエラー,想起すべき情報を思い出すことができないオミッションエラーの2種類に大別される.本研究では,これらのエラーをクラウドソーシングにより取得し,それらとACT-Rモデルとの整合を検討した.結果,感情評価項目とモデルパラメータとの間に相関がみられ,個人傾向を推定可能であることが示された.
  • P3-003A
    下條 志厳 (立命館大学大学院人間科学研究科)
    林 勇吾 (立命館大学総合心理学部)
    Erroneous worked-out example(EWoE)は事前知識に影響を受ける.本研究では,コンセプトマップを用いた協同学習場面において,事前知識の高低に着目した.本実験では,ACT-Rを用いた認知モデルを搭載したシステムによって適応的に実例を提示した.その結果, EWoEの提示が描画パフォーマンスを高め,EWoEの提示効果が事前知識の多い場合と少ない場合にもあることが示唆された.
  • P3-004A
    Ruolan LING (Department of General Systems Studies, Graduate School of Arts and Sciences, The University of Tokyo)
    Reiko MATSUNAKA (Department of General Systems Studies, Graduate School of Arts and Sciences, The University of Tokyo)
    Kazuo HIRAKI (Department of General Systems Studies, Graduate School of Arts and Sciences, The University of Tokyo)
    This study delves into the cognitive abilities of preverbal infants in understanding abstract rules and their capacity to exhibit rule-compliant behavior, employing a novel experimental technique called gaze contingency. Within an environment where stimuli could be interpreted through either numerical or shape matching, providing explicit rule instructions became imperative. Infants were divided into two distinct groups, namely Self-learning and Guided-learning, based on the way that infants gained the instruction and learned the rules. Our results suggest that preverbal infants possess the ability to grasp abstract rules and that guided teaching significantly enhances their aptitude for comprehending and adhering to rules effectively.
  • P3-005
    南部 美砂子 (公立はこだて未来大学)
    渡部 太基 (公立はこだて未来大学)
    本研究は,TRPGと呼ばれる即興演劇的な対話ゲームにおいて,プレイヤー自身とは異なるジェンダーのふるまいがどのように表現され,プレイヤー間でどのような相互行為が生じるのかを,探索的に検討したものである.ゲームの序盤ではステレオタイプ的なジェンダー像が表出されていたが,互いのキャラクターを精緻化していく相互行為のなかで,ペアに固有のジェンダー表現が立ち現れ,男女二元論を超越した新たなジェンダーのあり方や表現が共創されていたと考えられる.
  • P3-006
    塚田 瑛介 (静岡大学情報学部)
    西川 純平 (静岡大学)
    長島 一真 (静岡大学創造科学技術大学院)
    森田 純哉 (静岡大学)
    SNS(Social Network Service)の急速な発達に伴い,フェイクニュースやデマの拡散が問題になっている.これらの背景として,先行研究ではユーザの感情的反応が指摘されている.情報伝播において,感情を揺さぶる言葉が含まれるツイートほど,より拡散されやすいとされる.しかし、感情的反応がツイートの拡散に結び付くメカニズムは明らかになっていない.本研究では,ACT-Rを用いた人間の認知プロセスのモデリングによりこれを検討する.
  • P3-007
    藤田 華奈 (公立はこだて未来大学大学院システム情報科学研究科)
    南部 美砂子 (公立はこだて未来大学)
    Twitter上にイラストを投稿する「Twitter絵師」は,仲間と交流しながら創作活動を行うことが多い.しかし,これまでの創造プロセスに関する研究では,こうした技術やコミュニティとの関わりについてはほとんど検討されてきていない.そこで本研究では,特にギブと呼ばれるソーシャルメディア特有の互恵的なやりとりに注目しながら,インデプス・インタビューとツイート分析の2つの方法により,Twitter絵師の創作活動について分析を行った.
  • P3-008A
    佐野 貴紀 (慶應義塾大学)
    本研究では,Vision Transformerを用いて顔の魅力を予測するモデルを構築した.構築したモデルのAttention機構を用いて,魅力の予測において重要な特徴を可視化した.その結果,魅力度の高い顔画像の場合に特に,目の領域が活性する傾向が見られた.この結果は心理学研究で報告されている知見と整合的であった.本アプローチは,顔魅力に関与する特徴の理解に有効であることが示唆された.
  • P3-009
    相馬 あい (関西学院大学 工藤研究室)
    工藤 卓 (関西学院大学 工藤研究室)
    近年,コロナ禍による仮想現実(Virtual Reality,VR)への需要が高まっている.VRは現実の空間から別の世界に入り込んだような没入感が重要であり,そのためにさまざまな研究が行われている.本研究では,自分がここにいるという感覚である自己定位を撹乱することで,自身の身体とは別の場所に意識が定位する現象である体外離脱体験(Out of Body Experience,OBE)を誘導した.
  • P3-010A
    細川 敦司 (北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    鳥居 拓馬 (東京電機大学)
    観察者が観察対象に対して生き物らしさを知覚することをアニマシー知覚という.本研究では実験において複数物体の動きにおける相関を統制し,アニマシー知覚を特徴づける要因として時間的随伴性および他の統計量を検討した.その結果,時間的随伴性とともにそれよりアニマシー知覚と高い相関を持つ統計量として自己共分散比があることが示唆された.
  • P3-011
    中谷 太河 (東京工業大学大学院 生命理工学院 生命理工学系 ライフエンジニアリングコース)
    赤間 啓之 (東京工業大学)
    本研究では安静時fMRIデータにおける脳活動の個人的特徴が、アルツハイマー病の進行に伴いどのように変化するかを検証した。症状の進行レベルの異なる3つの参加者グループを対象に、Finn et al., 2014の方法を踏襲しつつ解析を進めた。結果、個人差の現れやすい実行注意ネットワークに加え、デフォルトモード、感覚運動、小脳ネットワークといったアルツハイマー病で機能低下の報告される領域において差が出やすいことが判明した。
  • P3-012A
    西畑 千哲 (東京電機大学大学院理工学研究科情報学専攻)
    安田 哲也 (東京大学)
    小林 春美 (東京電機大学)
    本研究では、エージェントの含意の推論能力を参加者が見積もるとき、操作経験が与える影響について調べた。実験で参加者は、協調経験後にエージェントに文脈を踏まえた要求をされ、未知の乗り物に補給するエネルギー量を決定した。その結果、協調性が変化するエージェントを経験した参加者は、コンフリクトした情報をより利用する含意推論を行った。エージェントとの協調経験は含意推論に影響を与える可能性がある。
  • P3-013A
    水野 貴行 (京都工芸繊維大学)
    都丸 武宜 (京都工芸繊維大学)
    西山 雄大 (長岡技術科学大学)
    村上 久 (京都工芸繊維大学)
    錯視を用いた実験から, 知覚のための視覚と運動のための視覚は異なるメカニズムによるとする「知覚対運動仮説」が提唱されているが, 依然として反論も多い.本研究では, 運動への錯視の影響を従来より明確に検証可能と考えられる, 「まわし」動作における指の使用本数に着目した実験を行った. 結果として, 錯視による指の使用本数への影響が観察され, 運動のための視覚も錯視の影響を受けている可能性が示唆された.
  • P3-014
    山本 江應 (公立はこだて未来大学院)
    竹川 佳成 (公立はこだて未来大学)
    三浦 寛也 (理化学研究所)
    オンラインによる多人数ビデオ会議は,対面の場合と比較して,円滑なコミュニケーションを築くことが困難である場合が多い.本研究では,意思決定を目的とした3者間ビデオ会議における消極的発話者の視線情報に着目した合意形成に至るまでの非言語の特徴やプロセスの分析を行なった.消極的発話者の視線の動きや視線の滞留時間から賛成意見の付箋を反対意見の付箋よりも見ていることや,選好順位と視線滞留時間との間に相関が見られることがわかった.
  • P3-015
    佐藤 央一 (公立はこだて未来大学大学院)
    村井 源 (はこだて未来大学)
    本研究は,指示文の読解を補助するアプリケーションを開発することを目的とした.読解困難性が高いと考えられる媒体を分析して読解困難性の原因を分類し,自然言語処理の手法を用いてそれぞれの原因を改善するアプリケーションを作成した.分析対象として,カードゲームのテキストを選択した.結果,特有の語彙の意味や関連語を表示することは読解補助に有効である可能性が示された.今後,本研究で着手しなかった別の読解困難性の原因について改善することを行いたい.
  • P3-016
    松中 玲子 (東京大学)
    宮内 英里 (筑波大学)
    谷沢 智史 (東京大学)
    岩沢 透 (東京大学)
    開 一夫 (東京大学)
    社会的相互作用場面において協働が成立している際は、お互いの脳活動も同期しやすくなることが近年報告されている。一方で、集団としての創造的思考が求められるような状況下において、互いの脳活動がどのような様相を見せるかについては、まだ明らかでない。そこで本研究は、創造的思考を要する課題をグループで行っている際の脳活動をNIRS(近赤外分光法)で計測し、グループ内の脳活動の同期度合いとグループにおける創造的思考力との関係性について検討した。
  • P3-017A
    楊 文通 (名古屋大学)
    松林 翔太 (名古屋大学)
    三輪 和久 (名古屋大学)
    心理学では,運の知覚と運の信念に着目した研究が行われてきた。運の信念は,さらに,BILとPLによって構成されている。しかし,運の信念が運の知覚にどのような影響を及ぼすかについては,まだ十分に検討されていない。人の能力と運の知覚に関する関係も明確になっていない。本研究では,運の信念と能力が,運の知覚に与える影響について検討した。実験の結果は, BILと相手の能力が運の知覚に正の影響を与えることが確認された。
  • P3-018
    藤井 佑実子 (筑波大学図書館情報メディア系)
    森田 ひろみ (筑波大学図書館情報メディア系)
    携帯型情報端末の限られた画面に表示されたものの視覚情報処理は,全体視とは異なる特徴を持つ.本研究では心理学実験を用いて,小さな画面でのスクロール表示が画像内の物体位置の記憶の正確性に与える影響を明らかにすることを目的とした.実験の結果,スクロール表示では窓を通して観察することにより,また画像の絶対位置を移動して観察することにより物体位置の符号化及び遅延後記憶の正確性が低下することが示唆された.
  • P3-019
    平田 貴士 (名古屋大学大学院 情報学研究科)
    川合 伸幸 (名古屋大学大学院 情報学研究科)
    ヒトは上昇物体よりも下降物体の運動を正確に推定する.また,上視野よりも下視野で捉えた物体を正確に知覚する.この知見から,下降物体は下降するからではなく,下視野で捉えるから運動の推定が正確だと考えられる.本研究では,視野上下で上昇・下降刺激の到達時刻の推定精度を評価した.下視野下降の到達時刻の推定は上視野上昇よりも正確であり,上視野下降と下視野上昇の精度は同じであったことから,視野の上下も物体の運動推定の精度に影響することが考えられる.
  • P3-020
    松田 憲 (北九州市立大学)
    杉浦 由奈 (北九州市立大学)
    楠見 孝 (京都大学)
    本研究は,ブーバ/キキ効果におけるブーバ図形とキキ図形を参加者に繰り返し視覚呈示することで,呈示刺激の外見的特徴が単純接触効果の生起に及ぼす影響を検討した.実験の結果,反復呈示によってブーバとキキの両図形への親近性は上昇した一方で危険度は低下しなかった.キキ図形への危険度認知は一貫してブーバ図形よりも高く,安心感の上昇はブーバ図形のみで見られた.視覚刺激の反復呈示による単純接触効果はブーバ図形のみで生じ,キキ図形では生じなかった.
  • P3-021
    小鷹 研理 (名古屋市立大学芸術工学研究科)
    佐藤 優太郎 (名古屋市立大学芸術工学研究科)
    今井 健人 (名古屋市立大学芸術工学研究科)
    The paper introduces the "Buddha's Ear Illusion," a novel skin-deformation illusion inspired by the previously discovered "Slime Hand Illusion." This illusion is induced by swiftly lowering the fingers in a pinching motion from below the earlobe down to the waist area, as if pulling an elongated, transparent earlobe, while actually pulling down the earlobe. Our experiment demonstrated that both the tactile pulling operation and the visually miming operation significantly contribute to enhancing the illusory sensation of earlobe stretch.
  • P3-022A
    小川 裕太 (日本大学 大学院 総合基礎科学研究科)
    小松 孝徳 (明治大学総合数理学部)
    福田 聡子 (日本大学 文理学部)
    大澤 正彦 (日本大学 文理学部)
    近年普及が進んできている家庭用ペットロボットには機体の交換可能性を備えているものが存在する.これにより長期のインタラクションが可能になった一方,機体交換を望まない意見がみられる.その原因の一つとして機体交換前後のロボットを同一視できない問題があると考える.本研究ではアンケート調査を行い同一視できない問題があることを明らかにし,同一視のされ方の特徴を分析する.
  • P3-023
    徐 きょう哲 (弘前大学)
    新川 広樹 (弘前大学)
    松香 敏彦 (千葉大学)
    本研究では、顔の機械学習で一般的に使用されるランドマークで表現された顔の動画刺激を使用し、人がどの程度表情を認識できるか検討した。刺激として、あらかじめ6種類の表情の動画を68個の特徴点に変換したものを使用した。実験では意識的な観察行動を記録するため、マウスのカーソルの周辺の一部しか見えないように設定した。分析の結果、人々はポジティブな表情に対しては機械学習と同様に高い精度で認識できることがわかった。
  • P3-024
    川島 尊之 (帝京平成大学 健康メディカル学部 心理学科)
     前後の方位の違いが、音が喚起する感情に与える影響を研究した。参加者に対して声などの日常的な音を前後から提示し、音が喚起する感情を快・不快、覚醒度、被コントロール感について評定することを求めた。後方に提示した音は、覚醒度をより高める傾向が見られた。別の実験から前後では、定位処理の効率が異ならないことが反応時間を指標として示された。後方で覚醒感が強くなる背景、研究の限界と展望を考察した。
  • P3-025A
    市野 弘人 (東京電機大学)
    林 涼太 (東京電機大学)
    大用 庫智 (関西学院大学)
    高橋 達二 (東京電機大学)
    樋口 滉規 (長岡技術科学大学)
    人間は観察による因果帰納において,相関ではなく非独立性を検出しているということが因果帰納モデルを用いた実験のメタ分析と,刺激を確率的に生成するシミュレーションによって示唆されている.本研究ではこの仮説を検証するために従来の因果帰納実験の枠組みを拡張し実験を実施した.結果は人間の因果帰納が独立よりも相関の検出に近いことを示しており,仮説は支持されなかった.また,人間は観察した情報をマージし単純化して因果推論に利用していることが示唆された.
  • P3-026
    黒田 航 (杏林大学 医学部)
    CMU Pronouncing Dictionary を使って,単語の綴りと発音の対応が理想的な1対 1対応から外れている程度を,二つの方法で定量評価した.一つは必須度の高い資源中の4,290語にの綴りと発音の対応の定量評価で,もう一つは英語とドイツ語の高頻度語形を同じ条件で比較.これらから,英語での対応が一対一から大きく外れている事がわかった.
  • P3-027A
    平田 瑞貴 (名古屋大学)
    三輪 和久 (名古屋大学)
    人は問題を解決する際に,減算的な解決策よりも加算的な解決策を用いることが多い.本研究ではこの加算的な解決策と減算的な解決策の関係について,論理的に等価な実験シナリオにおいて,それぞれの解決策の有効性を統制した実験を実施した.その結果,多くの実験条件において加算的な解決策での回答の比率が高くなり,人の加算的な解決策に対する選好は,解決策の有効性に依拠したものではなく,加算,減算といった操作に依拠したものであることが示唆された.
  • P3-028A
    澤田 知恭 (筑波大学大学院 人間総合科学学術院 心理学学位プログラム)
    原田 悦子 (筑波大学)
    話者交替の際,次話者は自らの発話を,十分な情報が手に入った時点で計画し始めるとする早期仮説が提案されている。この場合,次話者にとって現話者の発話の聴取理解と,自らの発話計画による二重課題状況が頻繁に発生する。先行研究では若年成人を対象に,特定の言語構造に依存した操作を用いて仮説が検討されているため,本研究では,若年成人と高齢者を対象に,発話に含まれる情報の十分性を実験的に操作することで,次話者が発話を計画するタイミングについて検討した。
  • P3-029A
    岩城 史享 (東京電機大学)
    高橋 達二 (東京電機大学)
    本研究の目的はPlutchikの感情の輪という感情モデルの妥当性を検討することである.実験により感情語順序対の類似性,連想性のデータを収集し,それぞれネットワークを作成した.まず,類似性に比べ連想性の方がより大域的であることを示した.そして,作成したネットワークの構造と元々の感情の輪を比較し,大部分の構造は等しいが,「恐れ」と「驚き」の位置関係が異なるという結果を得た.
  • P3-030A
    笠原 千聖 (同志社大学大学院 文化情報学研究科)
    阪田 真己子 (同志社大学文化情報学部)
    我が国が目指すべき未来社会の姿としてSocity5.0が提唱され,今後アバタを用いたインタラクションが日常として根付くことが予測される.本研究では,他者が自分に対して抱く印象を操作する自己呈示に着目し,各人がアバタを用いて,どのような意図で印象を調整するのか,また,その印象操作の意図は他者に伝達するのかについて検討した.その結果,個人属性によって,アバタを作成する際の印象意図が異なり,他者に印象意図が伝達する要素が明らかになった.
  • P3-031
    臼田 泰如 (静岡理工科大学情報学部情報デザイン学科)
    本研究では,日常会話において,それについて話すことに社会的・認知的負担がある困難な話題に対し,会話参加者はどのように対処しているのかということの一端を明らかにする.本研究では,そのひとつの事例として,家族の感染症の予防ということがらが話題にされている場面を取り上げる.当該事例では,当該の困難さが参与者の成員カテゴリーに関連する形で生じている一方,その困難さへの相互行為的対処も,その成員カテゴリーをさらに利用することでなされている.
  • P3-032
    市川 雅也 (静岡大学大学院総合科学技術研究科)
    竹内 勇剛 (静岡大学)
    本研究は,グラフ構造を用いて参与構造を記号的に記述できる体系を確立し,遠隔対話システムにおける参与構造の設計指針を提案することを目的とする.本研究では参与構造のグラフ化とそれに基づく簡易的な遠隔対話システムの設計・実装を行った.本稿はそれらの手続きについて示しながら,参与構造をグラフで表すことの利点,システムを実装する上で生じた課題について議論した.
  • P3-033
    川村 拓 (公立はこだて未来大学大学院メディアデザイン領域)
    美馬 のゆり (公立はこだて未来大学)
    日本でのシティズンシップ教育の問題は,権力の問題, 個人主義的傾向をはらんでいることである. この問題を解決するために,市民的パフォーマンスと呼ばれる,コミュニティや個人など,いくつかの異なるレベルで見られる,民主的な態度,活動,即興について,社会的,文化的,政治的観点から分析する.これらのことを踏まえ,パフォーマンス心理学における学習によって再解釈された民主主義の学習が,民主的な主体の生成にどのような影響を与えるかを検討する.
  • P3-034
    横溝 賢 (札幌市立大学)
    平尾 実唯 (株式会社ニトリ)
    自己を不在にしたままユーザを客体化して見ようとする人間中心設計アプローチには環世界への志向が伴わず、デザイン行為に関係する当事者間に相互性が生まれにくい。そのように考えた筆者らは,短歌を取り入れた私中心のデザイン実践を試みた.具体的には現場に出向いて詠んだ短歌を題材にモビールを制作し、モビール歌会を通じた社会的なデザイン実践である。本稿では,一連の実践を省察することから,短歌がもたらす社会的なデザイン実践の知の在りどころを明らかにする.
  • P3-035
    南 保輔 (成城大学文芸学部)
    岡田 光弘 (成城大学)
    西澤 弘行 (武蔵野美術大学)
    坂井田 瑠衣 (公立はこだて未来大学)
    Garfinkelの用いたワーク概念は2つに区別することができる.視覚障害者が足裏でスロープを感知するといった日常的で自然に組織されているワークが基本形で,これとは別に歩行訓練士が指導する専門職のワークがある.ある視覚障害者が反響定位を活用していることを観察して,それに応じたコース紹介をしているのは,この両方の複合的な事例である.映像とトランスクリプトでこれらのデモンストレーションを行う.
  • P3-036A
    金子 祐二 (東北大学大学院教育学研究科)
    視野狭窄を持つ網膜色素変性症当事者の主観的視覚体験を再現するため,画像フィルタを提案し,その開発と応用の展望について報告する.本報告では画像処理手法により移動物体の除去と周辺視野領域のぼかし処理を行った.本処理により当事者の主観的視覚体験を一定程度再現できることを確認した.今後視線計測や適応性に関する研究を進めることで,人間の主観的視覚体験の発生機序に関する新しい知見が得られる可能性がある.
  • P3-037A
    長島 一真 (静岡大学創造科学技術大学院)
    西川 純平 (静岡大学)
    米田 凌 (静岡大学)
    森田 純哉 (静岡大学)
    人間の運動技能は,外界の変化に対する予測精度を向上させることで獲得される.こういった運動学習の過程について,様々なモデルが構築されてきた.しかし,多数のパラメータが関与する状況での急速な適応を説明するモデルは構築されてこなかった.本研究では,認知アーキテクチャであるACT-Rをベースに,事前に獲得された運動スキーマを適用する学習を提案する.手法を適用した結果,人間と適合する急激な学習過程を確認した.
  • P3-038A
    友野 貴之 (札幌学院大学心理学部, 早稲田大学人間総合研究センター)
    栗原 勇人 (早稲田大学人間科学学術院)
    海見 康秀 (早稲田大学人間科学部)
    村野 良太 (早稲田大学人間科学学術院)
    加藤 麻樹 (早稲田大学人間科学学術院)
    自動運転車乗車時の間隙通過場面の動画とオンラインの質問紙を用いた実験を行い,車の車速が間隙の通過判断とその確信度に与える影響について検討した.その結果,間隙幅が車幅の1.6倍の場合,車の速度は間隙の通過可否判断に影響を与えることがわかった.また,間隙幅が車幅の1.9倍の場合は,1.6倍の場合よりも,間隙の通過可否判断に対する確信度が高くなることがわかった.一方で, 速度は通過可能と判断した際の確信度に影響を与えるとは言えなかった.
  • P3-039A
    鄧 瑾瑄 (京都大学大学院)
    現代日本語共通語では,「だと思う」「ですね」のように,自立性のない判定詞「だ・です」が発話冒頭に現れうる.本発表では,発話冒頭において「だ・です」の出現が義務的な場合,任意的な場合,不自然な場合の観察を通して,発話冒頭の「だ・です」は,先行研究での代用語ではなく,先行文脈を会話参加者の間で共有されている情報として明示する行動であると主張する.
  • P3-040
    永田 丈弥 (公立はこだて未来大学大学院メディアデザイン領域)
    美馬 のゆり (公立はこだて未来大学)
    様々な格差が生まれている日本で,社会的公正を実現する必要がある,一方で今後AIリテラシーの有無が格差を生む危険性をはらんでいる.またAIの普及に伴い,誰もがAIリテラシーを獲得し続ける必要がある.そのため本研究では,社会的公正の実現に向けたAIリテラシーを獲得する主体的な学習者を育成するための支援方法を検討する.支援方法として課題提起型学習教材を開発する.そこで,現存するAIリテラシー学習教材を分析し,開発に必要な要素を明らかにする.
  • P3-041
    今井 康智 (静岡大学総合科学技術研究科)
    大本 義正 (静岡大学)
    人間と空間を共有するエージェントの存在は,私たちに緊張感や不安感を与えることがある.そこで我々は,友人同士のような情動的な信頼関係を人間とエージェントとの間に築くことを目指す.本研究ではその一要素として,人間がエージェントのモデルを理解できるように,情報の収集と共有という欲求モデルを提案する.この欲求下の振る舞いによって人間は社会的存在感を知覚・蓄積し,更にエージェントに対する信頼感獲得にまで繋がると示唆された.
  • P3-042
    井関 龍太 (大正大学)
    手書き文字の美しさの印象について異なる字種を通して共通の説明変数を見出すことが課題となっている.本研究では,文字の形態の複雑度と左右バランスに注目し,これらの説明変数が文字のタイプ,字種,書き手のそれぞれの層できれいさの評価にどのように貢献するかを検討した.その結果,左右バランスはどの層でもきれいさの評価に影響することがわかった.一方,複雑度については,書き手個人の平均からのずれのみが負の影響をもたらすことが示唆された.
  • P3-043
    椎久 翔太 (静岡大学)
    竹内 勇剛 (静岡大学)
    本研究は,小集団内の意思決定プロセスにおける複雑で創発的な相互作用をモデリングすることに焦点を当てている.従来の意思決定を取り扱うマルチエージェントシステムでは,このような創造的な側面が十分に反映されていなかった.そこで,成員間の相互作用と満足度を変数として強化学習モデルに組み込み,小集団の意思決定後の成員の態度予測する.結果として,集団が得た結論を各成員がポジティブに受け入れ,意思決定に至るまでの時間が短縮されることを明らかにした.
  • P3-044A
    髙宗 楓 (北陸先端科学技術大学院大学)
    西本 一志 (北陸先端科学技術大学院大学)
    論理的に等価であるにも関わらず,記述表現がポジティブまたはネガティブと異なることによって,後の意思決定が変化する現象は属性フレーミング効果として知られている.本研究では,属性フレーミング効果を誘発する文章表現に対して,数量を表現するジェスチャを追加提示した場合の意思決定への影響について調査を行った.本研究の結果として,一部ジェスチャの追加提示条件において,属性フレーミング効果が強化される可能性が示唆された.
  • P3-045
    大森 隆司 (玉川大学)
    宮田 真宏 (武蔵野大学)
    山田 徹次 (玉川大学)
    倉見 昇一 (玉川大学)
    教室での授業の映像から生徒と教員の顔情報を抽出し,生徒の関心集中を導く教員の働き掛けや授業の質の評価手法を開発する.そのため,AIにて顔情報を抽出し,機械学習で個々の生徒の授業参加を推定した.この結果を踏まえ,今後の教室での授業の在り方を検討する.
  • P3-046A
    安久 絵里子 (筑波大学)
    原田 悦子 (筑波大学)
    椎葉 黎 (筑波大学)
    渡部 健 (筑波大学)
    富田 智晶 (沖電気工業(株))
    赤津 裕子 (沖電気工業(株))
    マニュアルを見ながら同一あるいは類似の課題を複数回繰り返す実験室実験を行い,「慣れ」の生起の有無,および慣れによる作業者の行動の変化を検討した.その結果,同一の課題を繰り返すほど課題時間が減少し,主観評価が向上し,マニュアルを見なくなるという「慣れ」が確認された.一方で,類似の課題を繰り返し行う場合には,課題時間が減少し,マニュアルを見なくなるという慣れの影響が行動には現れたが,主観評価には反映されないことが示された.
  • P3-047
    原田 悦子 (筑波大学)
    安久 絵里子 (筑波大学)
    椎葉 黎 (筑波大学)
    渡部 健 (筑波大学)
    富田 智晶 (沖電気工業(株))
    赤津 裕子 (沖電気工業(株))
    マニュアルを見ながら同一/類似の組立て課題を複数回反復する実験室実験を行い,その結果からどのような学習すなわちマニュアル情報の内在化が生じるか,その結果「マニュアルを見ずに組立てを行うと」どのような問題が発生するかを検討した.結果として,マニュアルなしで十分な課題達成が可能な場合とそうでない場合があること,いずれでも内在化されたマニュアル情報は組立て順序の情報を含まず,意味的構造化がなされていることが示された.
  • P3-048A
    西内 沙恵 (北海道教育大学)
    本発表では多義語の心的実在性を検討するために,想起テストによって母語話者の言語直感を調査した結果を報告する.多義語のメカニズムを説明する基本原理に対して,その心的実在性を批判する立場に,用法説とアーティファクト説がある.小学5年生と大学生を対象に,「甘い」を題材に想起テストを実施した結果,想起される語義の偏りの変化と新規的な例文の産出という2つの説に沿わない結果が得られた.また語義のカテゴリー化関係から多義語の心的実在性を主張する.
  • P3-049
    川俣 亮悟 (明治大学大学院理工学研究科)
    世良 菜那見 (明治大学大学院理工学研究科)
    肥後 克己 (明治大学研究・知財戦略機構)
    萩原 隆義 (慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科)
    田中 由浩 (名古屋工業大学)
    嶋田 総太郎 (明治大学理工学部)
    私たちは日々の生活の中で他者とインタラクションしながら生活している.その中で,他者と共に何か行った際に,「この運動は,われわれが引き起こした」という感覚を共同運動主体感と呼ぶ. 本研究ではロボットアームを2人で操作した際の共同運動主体感ついて調査した.操作方法としてそれぞれが異なる役割を担う役割分担条件と2人の操作を50%ずつ反映させる操作融合条件を設けた.その結果,役割分担条件と操作融合条件の両方で共同運動主体感の生起が示された.
  • P3-050A
    佐々木 一洋 (東京大学大学院教育学研究科)
    清河 幸子 (東京大学)
    学習において,内容に面白さを見出して取り組むことの効果は論じられてきたが,内容のどのような側面に面白さを見出すかである知的選好の詳細は明らかになっていない.本研究では,対象からどのような知的構造を取り出そうとするかが異なる,フレーバー選好とメカニズム選好という2つの知的選好があると想定し,尺度開発を行った.日本の成人400名程度を対象とした2つの調査の結果, 2因子構造が得られた.関連尺度との相関を踏まえ,各選好の特徴について論じた.
  • P3-051A
    岩根 榛花 (筑波大学)
    原田 悦子 (筑波大学)
    意味的に関連した刺激が時空間的に近接した場合に記憶されやすいことが知られているが,探索行動との関係は検討されていない.そこで本研究では,高齢者と若年者を対象に,意味的に関連した刺激が近接する体制化地図と,分散する非体制化地図上で,ターゲットを探索する課題を実施し,その探索行動について分析した.その結果,体制化条件間で探索時間に差が見られない一方で,生成される記憶が異なる可能性が示唆された.
  • P3-052A
    石黒 千晶 (聖心女子大学)
    松本 一樹 (獨協大学)
    縣 拓充 (千葉大学)
    蓬田 息吹 (東京大学大学院教育学研究科)
    岡田 猛 (東京大学大学院教育学研究科)
    近年、創造的自己は創造的行動や成果を生み出すための重要な要因として学校などの教育場面で注目されている。本研究は創造的自己と創造的行動の間の経時的相互関係を検討した。中高生546名のデータを用いて、半年ごとの2年間にわたる縦断調査の結果を自己回帰クロスラグモデルで検討した。その結果、1時点目の創造的自己は半年後の創造的行動を予測し、2時点目の創造的行動は半年後の創造的自己を予測するという双方向の経時的因果関係が示唆された。
  • P3-053
    高屋 真絵 (電気通信大学大学院)
    阪口 豊 (電気通信大学大学院)
    本稿では,技能習得課程における注意の働きを検討することを目的として「意識上の働き」を担う系と「意識下の働き」を担う系から構成される階層的な強化学習モデルについて議論する.ここでは,ヒトの運動制御の実態に即した議論を行うため,感覚入力や運動出力,内部表現,情報処理の時間スケール,転移学習などの問題も陽に取り扱い,概念レベルではなくアルゴリズムレベルでのモデル構築をめざす.また,倒立振子問題を題材とした具体的なモデルの実装についても述べる.
  • P3-054
    鶴島 彰 (セコム株式会社)
    宮野 修平 (セコム株式会社)
    指示方向を動的に変化させる動的避難誘導システム の有効性が議論されている.しかし,人間の避難者が 動的に指示方向を変える標識の指示通りに行動するか については明らかにされていない.本研究は VR 実験 を使って,指示方向を変化させる避難標識の下で被験 者がどのように行動するかを調査した.その結果,指 示方向の頻繁な変化が避難標識の信頼性を毀損し,被 験者が指示通りに行動しなくなることが明らかになっ た.
  • P3-055A
    笹森 なおみ (北陸先端科学技術大学院大学)
    橋本 敬 (北陸先端科学技術大学院大学)
    後悔の情動は,その後の意思決定に影響を与えることから,道徳の実践に内的条件付けとして用いられている可能性がある.本研究では,予期的な後悔が道徳的意思決定に影響を与えているか検証するために,道徳ジレンマ課題中の予期的皮膚コンダクタンス反応(SCR)を計測した.予備実験の結果,予期的後悔が予期的SCRに反映されていることは示せなかった.このことから,道徳的意思決定への予期的後悔の影響を検証できる新たな実験設計が必要とされる.
  • P3-056
    谷 茉利子 (京都大学大学院)
    本発表は,日本の匿名SNSにおける「打ちことば」についての明示的な主張を質的に分析し,言語イデオロギーの特定を試みた.結果,いわゆる「正しい」表記とのずれに関するメタ語用論的言説からは,表記のずれによる生理的・心理的影響,次いで送り手の社会的イメージの低下を反映するものが多く観察された.「正しい表記を使うべき」という規範は,人々の「打ちことば」への態度に強く結びつき,時に送り手の人物像の評価にまで関与し得ることが示唆された.
  • P3-057
    佐々木 健矢 (静岡大学情報学部)
    長島 一真 (静岡大学創造科学技術大学院)
    西川 純平 (静岡大学)
    森田 純哉 (静岡大学)
    自動運転車などの自律した機械を社会実装するためには,機械自体が直面する道徳的問題に対して,人間と整合する判断を行う必要がある.本研究では,人間とコンピュータの価値観のすり合わせを達成するため,二重過程理論に基づく人間の思考システムとしての道徳をモデル化する.この研究のステップとして,言語モデルと認知アーキテクチャACT-Rを組み合わせた事例ベースな道徳判断のプロトタイプモデルを構築し,ケーススタディとしてのトロッコ問題に適用する.
  • P3-058A
    藤森 裕紀 (東京学芸大学大学院)
    筆者自身の授業実践における省察記録やスケジュール,特徴的な出来事をもとに,教員の日常的な授業改善を支援する省察手法に求められるデザインについて探索的に検討した.実践の中で省察手法の役割が変化し得ることや省察的実践が中断される場合があること,再開する際は中断以前のねらいや手続きが継承される可能性があることが示唆された.実践の中断が起こりうることを念頭に置いた,省察の再開を支える省察手法のデザインが求められる.
  • P3-059A
    岡 隆之介 (三菱電機株式会社)
    内海 彰 (電気通信大学大学院情報理工学研究科)
    楠見 孝 (京都大学)
    本研究の目的は,呈示された2つの単語の類似点を文で回答することで参加者の結晶性知能の一側面を測る課題である,日本語版Semantic Similarity Test(日本語版SST)の作成と妥当性を検討することである.予備調査ではSSTの元論文を参考に,日本語版SSTの項目と採点基準表を作成した.本調査では,日本語版SSTが収束的妥当性の指標である令和版語彙数推定テストと弱い正の相関係数を持つことを確認した.
  • P3-060
    田中 祐貴 (西日本電信電話株式会社)
    伊丸岡 俊秀 (金沢工業大学)
    日本舞踊家元による演技評価をもとに評価モデルを作成し、実験1では非専門家による評価と専門家モデルとの適合に、舞踊経験が影響するかを検討した。その結果、経験者のみで適合が見られ、舞踊経験の影響が確認された。続く実験2では、実験1で見られた専門家との適合度の違いに、経験者だけが持っていたと思われる舞踊に関する知識が影響していた可能性を検討したがそれは否定され、演技経験そのものの重要性が示唆された。
  • P3-061A
    西川 純平 (静岡大学)
    森田 純哉 (静岡大学)
    著者らは認知モデルを活用した音韻意識形成支援システムの開発に取り組んできた.ユーザの音韻意識は,システムに搭載された複数のモデルへの選好として推定される.本稿では,この推定手法の評価のための実験デザインを検討する.システム出力に音声フィルタをかけることで,未成熟な音韻意識を模擬する.2名を対象とした予備実験の結果として,フィルタ間でユーザのモデル選好が異なる可能性が示された.今後は,参加者数を増やした実験による検証が必要である.
  • P3-062
    奥山 凌伍 (公立はこだて未来大学)
    村井 源 (はこだて未来大学)
    物語の感情状態及び遷移を推定する研究は国内外で積極的に行われている.しかし物語中のどのようなシーンで,読者の感情状態や遷移どのようであるかは,従来の研究において十分に明らかになっていない.そのため本研究では小説の映像化資料である映画が存在する5作品を対象として,物語シーンの機能と読者の感情状態に関する基礎的なデータセット構築を目的とした.本研究は対象作品の各シーンに対し,物語機能と感情のタグを付与することで関係性の抽出を行った.
  • P3-063
    縣 拓充 (千葉大学)
    本研究では,文理混合・多分野横断による課題解決型のカリキュラムにおいて,学生たちがどのように卒業研究を進めているかを,特に問題発見や課題設定の段階に着目して検討を行った.質問紙調査,並びにインタビューによる検証の結果,多くの学生たちが,自らがもともと有していた興味・関心をもとに課題を探索・設定していた一方で,特定領域のアプローチに依拠した研究になりがちであることも示唆された.
  • P3-064
    齋藤 巴菜 (公立はこだて未来大学)
    坂井田 瑠衣 (公立はこだて未来大学)
    本研究では,人が共在している状況で,笑いうる(laughable)出来事が起きた時に,どのようにして笑いの連鎖によってその出来事に対する理解が共有されるのかについて分析する.第一筆者である齋藤が同期学生と大学の校舎内で過ごす様子を収録したビデオを映像分析した結果,共同注意が達成され,互いに笑いうる出来事を笑いうる出来事として認識できたときに,笑いが連鎖されることが明らかになった.
  • P3-065
    石川 悟 (北星学園大学)
    「怪談」の持つどのような話し方の特徴が「怖さ」を生むのか,怪談師はその特徴をどのように使い分けているのか,オンライン上で公開されている怪談を評価した.その結果,声が大きく高くなる,あるいは声が小さく低くなると,怖さのレベルが大きく評価される傾向が現れた.ただし,声の大きさを小さくしない怪談師も現れた.また,話す速度が速くなり間が長くなるときにも怪談の怖さのレベルが大きく評価される傾向が現れた.