研究分野別一覧

視覚・聴覚・音声

  • OS08-7
    公募発表
    田中 みゆき (早稲田大学)
    細馬 宏道 (早稲田大学)
    2019年に発売されたゲーム『The Last of Us: Part II』は、視覚障害者が音だけでプレイできることで世界的話題を呼んだ。本研究では、視覚障害者によるプレイ画面と解説を用いて本ゲームにおける聴覚的な手がかりの役割と効果を分析し、視覚障害者がどのように音からゲーム空間や状況を把握し、次の行為を決定しているか考察する。また、聴取と動作によるゲーム実践がいかなる認知空間を生み出し、それは視覚空間といかに異なるか明らかにする。
  • OS11-4
    公募発表
    天谷 晴香 (国立国語研究所)
    Copresence is realised not only by physical interaction but also through distant communication. Social media influencers build relationship through their content with their viewers. This study examines the way the influencers verbally switch between here-and-now things and there-and-then things so that they can situate themselves more realistically in viewers’ place-and-time, utilizing the immediate and displaced modes by Chafe(1994) and the decontextualization degrees by Cloran (1994). Words in the titles of their beauty-related videos were found to become more decontextualized in the time course. In their speech in the video, the influencer addressed directly to their viewers especially in the unusual situation as in a quarantine period of the society.
  • OS13-5
    公募発表
    佐藤 優太郎 (名古屋市立大学)
    齋藤 五大 (東北大学)
    小鷹 研理 (名古屋市立大学)
    我々の研究グループは, ダブルタッチによって誘発される新しいタイプの自己接触錯覚として「ダブルタッチ錯覚」(DTI : Double Touch Illusion)を考案した. 我々はこれまでに, 近接する自他の指へのダブルタッチが, 主観的な指の伸長感と肥大感を誘発することを確認している. これらの変形感に関する調査を行なったところ, それぞれの変形感の変形距離限界に質的な差異が認められため報告する.
  • OS13-7
    公募発表
    小鷹 研理 (名古屋市立大学)
    佐藤 優太郎 (名古屋市立大学)
    齋藤 五大 (東北大学)
    本稿では、ダブルタッチによって生じる新たな自己接触錯覚について報告する。従来のラバーハンド錯覚パラダイムが、自分自身の手への触覚刺激を心理的に「遮蔽」することにより、ラバーハンドへの触覚刺激に「置換」されるものであるとすると、ダブルタッチ錯覚は、自分自身の手への触覚刺激を心理的に遮蔽せず、ラバーハンドへの触覚刺激と「接合」される点に特徴がある。予備的な心理実験により、ダブルタッチ錯覚における錯覚の様態を示唆する結果を得た。
  • OS13-8
    公募発表
    今井 健人 (名古屋市立大学)
    佐藤 優太郎 (名古屋市立大学)
    小鷹 研理 (名古屋市立大学)
    昨年, 我々は, MVFシステムにおける鏡をハーフミラーに置き換え, 自身の手の表面を透かして身体内部を覗いているような錯覚体験を得られる装置「XRAYSCOPE」を発表した. 本研究では, 骨模型を使用し, ハーフミラーによる所有感, 透視, 透触視(骨への接触感覚)に対する効果を検証した. 結果, 所有感について鏡に関する要因の効果は検出されなかった一方, 透視及び透触視感覚は, ハーフミラーの使用により増強することが示された.
  • O1-4
    中山 一輝 (大阪大学大学院基礎工学研究科システム科学領域システム創成専攻博士前期課程1年)
    高橋 英之 (大阪大学大学院)
    石川 悟 (北星学園大学)
    伴 碧 (大阪大学大学院基礎工学研究科)
    石黒 浩 (大阪大学大学院基礎工学研究科)
    本稿では,心の多様性の一例として,内言(声に出さない心的な思考)がどれだけ個体間で異なっているのか,それを定量的,定性的に明らかにすることを目指す.さらに,そのような内的な心的過程の可視化を進めていくことにより実現する,個人によりあったサービスや補助などの提供の可能性について議論を行いたい.
  • P1-02
    川﨑 貴子 (法政大学)
    田中 邦佳 (法政大学)
    本研究ではL2での音声間の知覚的距離にL1の影響が見られるかを日本語母語話者と中国語母語話話者を対象とした英語子音の知覚混同実験を行い調査した.中国語には日本語よりも多くの摩擦音が存在するため, 中国語母語話者はより仔細に摩擦音の弁別ができると予想した.両群の混同傾向の結果を比較したところ, L1の摩擦音の配置がL2の知覚マップに影響しており, 中国語における摩擦音の多さが知覚の精密さにつながっていると考えられる.
  • P1-05F
    髙瀨 愛理 (筑波大学,産業技術総合研究所)
    若月 大輔 (筑波技術大学)
    中島 佐和子 (秋田大学)
    大山 潤爾 (産業技術総合研究所,筑波大学)
    字幕設計要素について,映画の一部のシーンに字幕を重畳した映像を用いて,健聴者と聴覚障がい者における印象評価を検討した.この結果を,人の認知の時間特性を考慮して情報を設計する時短デザイン研究と比較し,これら研究知見の字幕基準としての一般性や汎用性を検討した.さらに,これらの知見を評価パラメータとして実装し,実際に開発した字幕評価ツールの評価性能を検討した.
  • P1-13F
    佐野 貴紀 (株式会社構造計画研究所)
    本研究では,CNNを用いて顔の魅力度を予測するモデルを構築し,CNNにおける予測判断の根拠を可視化するのに優れたGradient-weighted class activation mapping(Grad-CAM)の手法による顔魅力要因の調査を行った.その結果,抽出された特徴から,性差による違いと心理学研究における知見とのいくつかの共通点が確認された.
  • P1-15F
    韓 旼池 (京都大学院生)
    「すごーい!」日常のコミュニケーションでは,アナウンサーがニュース原稿を読み上げるような標準的な発話音声から逸脱した形で発話がなされることもある.逸脱した発話音声は無秩序なものでは基本的になく,聞き手はそこに意味合いを感じる.では,その逸脱した「音声」とそこから感じられる「意味合い」のカップリングは「記号」と考えられるだろうか? 音声言語のみではなく,文字言語にも関わるこの問題を,本発表は「母音の延伸」という具体的な題材から考えてみる.
  • P1-18F
    ヒュース 由美 (東京大学大学院学際情報学府)
    向井 香瑛 (早稲田大学理工学術院, 日本学術振興会)
    渡邊 克巳 (早稲田大学理工学術院)
    工藤 和俊 (東京大学大学院学際情報学府)
    本研究では,第三者による即興劇と台本劇の弁別特性を検討するために,3条件(「視聴覚」「視覚のみ」「聴覚のみ」)の映像刺激により弁別テストを行い,理由と自信度を尋ねた.その結果,3条件ともチャンスレベルよりも高い正答率を示し,条件間に有意な差は認められず,自信度は「視聴覚条件」が有意に高かった.今回の課題における即興劇の弁別は,刺激モダリティの数に関わらず可能であること,回答に対する自信は刺激モダリティの影響を受けることが示された.
  • P1-28
    鳥居 拓馬 (北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術専攻 知識科学研究科 助教)
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術専攻 知識科学研究科)
    人は時空間的に変化する複数の対象を統合された1つのオブジェクトと知覚する.本研究では「うごき」に関するオブジェクト性を探るべく,ランダムドットを用いた運動錯視を調べた.運動刺激の局所的特性を重視する仮説と全体的特性を重視する仮説に基づくモデルの予測を導き出した.この予測を予備的な心理実験で検証したところ,全体的仮説と定性的に類似した傾向をえた.この結果は,人間は並進ランダムドット全体をひとつのオブジェクトと知覚することを示唆する.
  • P1-30F
    平田 貴士 (名古屋大学大学院 情報学研究科 心理・認知科学専攻)
    平田 豊 (中部大学大学院 工学研究科 ロボット理工学専攻)
    川合 伸幸 (名古屋大学大学院 情報学研究科 心理・認知科学専攻)
    打球などの運動物体を眼で追う際には,滑動性眼球運動(SP)が発生する.SPは過去の運動物体の軌道から位置を予測して眼を動かす予測機能を有する.SPの追従性能には上下非対称性が存在し,上昇運動に比べ下降運動において,より高い性能を示す.こうした非対称性には,重力方向または身体軸の上下方向が寄与している可能性がある.そこで本研究では,重力方向とその逆方向に等加速度運動する物体追従時のSPを,座位・仰臥位の2条件で評価する.
  • P1-49
    原田 康也 (早稲田大学)
    坪田 康 (京都工芸繊維大学)
    鍋井 理沙 (東海大学)
    赤塚 祐哉 (早稲田大学)
    森下 美和 (神戸学院大学)
    The authors have collected audio and video recordings of students interacting among themselves in tasks intended to help them acquire communicative skills in English. Observation and analysis of those recordings strongly suggest that existence of “other students” and interactions with them are crucial factors in making it possible for the learners to attain those goals in autonomous mutual learning. In this presentation, we will focus on the importance of “noises”, chit-chats, murmurs and repetitions of what other students uttered that we find in interactions among those students. Those “noises” are important aspects of their interactions, through which students support themselves.
  • P1-54
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術専攻 知識科学研究科)
    高橋 康介 (立命館大学)
    ネッカーキューブ(NC)に代表される曖昧図形の知覚は、知覚心理学の古典的な研究題材でありながら、しかし、その知覚の機序は多くが未解明のまま残されている。本研究はNCとそれに類する曖昧図形を対比することで、従来の視覚の計算論的モデルではこれらの知覚を説明困難であることを論ずる。これに対し、知覚を符号化とし、その効率性の高い符号として知覚像をとらえる日髙・高橋(2021)のモデルでNC等の立体知覚の性質を説明できることを示す。
  • P2-03F
    宮本 真希 (北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術専攻 知識科学研究科)
    同じ言語を共有していない話者間での音声による情報伝達にはふつう困難が伴う。これは両者の間で音声とその指示内容を結び付ける規則を共有していないためと考えられる。そこで,本研究では音声とその指示内容の結びつきが完全には恣意的でないとされるオノマトペであれば,同じ言語を共有していない話者間でも情報伝達が可能ではないかと考え,話し手と聞き手が音声の指す内容をそれぞれ選択肢から選ぶという限定的な状況でのオノマトペの情報伝達性について検証した。
  • P2-06
    松井 理直 (大阪保健医療大学)
    開拗音は、日本語の音節構造やモーラの構造を考える上で 1 つの手がかりを与えてくれる現象である.もし開拗音が硬口蓋化要素を持つ単独の子音であるとするならば、日本語の頭子音に子音連鎖は存在しない.これに対し、拗音が介音構造を持つのであれば,限定的とはいえ,日本語は頭子音の子音連続 [C+j] を許すか,あるいは上昇二重母音を許す.本研究では,こうした性質について持続時間の観点から検討を行う.
  • P2-16
    三輪 恒士 (関西学院大学 理工学部 人間システム工学科)
    工藤 卓 (関西学院大学 工学部 知能・機械工学課程)
    機能的近赤外線分光法を用いて映像コンテンツ受容時の脳活動を解析し,情動に相関のある活動への人称視点の影響を検証した. 右前側頭部の脳活動は「怒り」の動画視聴時に増大,「悲しみ」の動画視聴時に減少し,その変化は怒りの場合では 1 人称コ ンテンツでより大きく,悲しみの場合は 3 人称コンテンツにおいて大きかった.動画により誘発された情動関連脳活動は,情動の種類や動画の見え方,特にコンテンツの人称に依存して変化することが示唆された.
  • P2-17
    元橋 洸佐 (名古屋市立大学芸術工学研究科)
    佐藤 優太郎 (名古屋市立大学)
    小鷹 研理 (名古屋市立大学)
    筆者らが既に発表したHMDインタラクション「Room Tilt Stick」では, わずかに足場を傾斜させることによって、CG空間において設計された仮想的な空間の回転(ルームチルト)に対する没入度が高くなる反応を得ていた. そこで本研究では, 類似のHMD空間において, 視覚情報と足場の傾斜を要因とする被験者実験を行った. その結果, 足場の傾斜と映像空間の回転の方向性が一致した場合に、地面の傾斜認知を大きく歪めることが示された.
  • P2-26F
    亀井 暁孝 (北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術専攻 知識科学研究科)
    人は様々なパターンから規則性を見出す傾向がある.パターンの良さやパターン対の類似度に対する人の判断を説明する理論に変換群構造説がある.この理論は,パターンが持つ変換群構造によってパターンの良さや類似度を予測する仮説である.本研究では,先行研究で報告されていないパターンに対しても仮説が成立するか追試実験により検証を行った.加えて,元の仮説を修正した新たな二つの仮説を検証し,より好意的な結果が得られた.
  • P2-51
    大槻 正伸 (福島工業高等専門学校)
    小泉 康一 (福島工業高等専門学校)
    視覚復号型秘密分散暗号は,文字などが描かれた元情報の画像を数枚の画像に分けて暗号化し,そのうち何枚か(または全部)を集めて重ね合わせることにより元の情報が復元できるものである.重ね合わせにより復号化された元情報の文字などの認識は人間の視覚的な認知能力によりなされる. 本研究では,復号に要求される画像の重ね合わせ精度を定量的に測定し明らかにするものである.
  • P2-64
    小池 勇輝 (明治大学大学院理工学研究科)
    嶋田 総太郎 (明治大学理工学部)
    自己身体認識は自己の身体以外にも起こることが報告されており、一例として仮想現実上(VR)のアバターに対して自己身体認識が働くフルボディ錯覚(FBI)がある。本実験では被験者はVR上で医者のアバターへFBIした場合と遅延によりFBIが阻害された場合の2条件で作業を行った。その際のエグゼクティブ機能と性格への影響を調査した。結果、FBIが生起するとその対象の象徴的な意味が引き起こされ、被験者自身の性格や認知機能が変化する可能性が示された。