日程

オーガナイズドセッション (OS13)

プロジェクションのモデル化と応用へ向けて
9月5日(日) 16:00 - 18:00
会場:zoom会場No.4
オーガナイザー:小野 哲雄(北海道大学),岡田 浩之(玉川大学),鈴木 宏昭(青山学院大学)
  • OS13-1
    鈴木 宏昭 (青山学院大学)
    プロジェクション科学について議論する場として,本学会においてこれまで5回のOSを企画・開催してきた.本年のOSでは特に,情報科学や工学の立場からプロジェクションのプロセスの解明およびモデル化について議論したい.さらに,それらをシステムとして社会実装することによって生じる,コミュニティにおける派生や伝承,人々による虚構の共有などにプロジェクションがどのように関わっていくかを議論したい.
  • OS13-2
    空間表象のボトムアップ形成と地図のトップダウン理解を統合する多感覚共有モジュールモデル
    招待講演
    飯塚 博幸 (北海道大学)
    人は感覚運動体験を通して,認知地図を作成することができるうえに,抽象的な地図を見ることでも空間的な位置を理解することができる.これを,抽象的な記号を実世界に投射して意味を捉えていると考え,構成的に投射を行う深層学習モデルを構築した.我々のモデルでは,内部空間表象の学習と地図の記号接地を,1つの共有モジュールで処理する.この1つの共有モジュールを利用することが投射を可能としており,投射とシミュレーション結果について発表で議論する.
  • OS13-3
    投射される価値
    招待講演
    寺田 和憲 (岐阜大学)
    認識とは現在の入力と内部表象を比較し,同一性を判定することである.内部表象の数は多いが比較はどのように行われるのだろうか.内部表象のリスト全てに対して一致度を計算し,最も高いものを選択するのだろうか?この方法は非効率である.効率的な方法はいくつかの仮説を現実世界に投射し,一致度を計算する方である.では,仮説はどのように生成されるのだろうか.本発表では,生成される仮説としての個体内・個体間価値とベイズ推論による計算モデルについて議論する.
  • OS13-4
    人類進化にみるプロジェクションの共有: 「ライオンマン」と「古代の大航海」
    招待講演
    久保(川合) 南海子 (愛知淑徳大学)
    約3万年前のものとされる、頭部がライオンで身体がヒトの彫刻には、超自然的な存在が投射され、自分たちを守る象徴として仲間と共有していたことが示唆される。また、日本人の祖先は約3万年前に舟を作り海を渡ってきた。実験考古学によれば偶然の漂流ではなく、集団が協力してこその一大事業であった。それには自分たちの未来を未知の土地へ投射して共有する必要がある。ライオンマンと古代の大航海を通じて、後期旧石器時代にみられる投射の共有について論考する。
  • OS13-5
    公募発表
    佐藤 優太郎 (名古屋市立大学)
    齋藤 五大 (東北大学)
    小鷹 研理 (名古屋市立大学)
    我々の研究グループは, ダブルタッチによって誘発される新しいタイプの自己接触錯覚として「ダブルタッチ錯覚」(DTI : Double Touch Illusion)を考案した. 我々はこれまでに, 近接する自他の指へのダブルタッチが, 主観的な指の伸長感と肥大感を誘発することを確認している. これらの変形感に関する調査を行なったところ, それぞれの変形感の変形距離限界に質的な差異が認められため報告する.
  • OS13-6
    公募発表
    齋藤 五大 (東北大学)
    佐藤 優太郎 (名古屋市立大学)
    小鷹 研理 (名古屋市立大学)
    本稿では,参加者が両手を背中に回して上側の手で実験者の手をなでると同時に下側の手を実験者になでられる新奇な自己接触錯覚を提案し,その事態で感じられる自己接触と身体変形の様態を報告する。実験の結果は,両手が背中でどの程度とどくかという身体の柔軟性に関連せず,なでる手となでられる手に伝わる触覚が時間的に同期すると,自分で自分の手に触れたと感じるだけでなく指や腕が伸びたと感じることを示した。
  • OS13-7
    公募発表
    小鷹 研理 (名古屋市立大学)
    佐藤 優太郎 (名古屋市立大学)
    齋藤 五大 (東北大学)
    本稿では、ダブルタッチによって生じる新たな自己接触錯覚について報告する。従来のラバーハンド錯覚パラダイムが、自分自身の手への触覚刺激を心理的に「遮蔽」することにより、ラバーハンドへの触覚刺激に「置換」されるものであるとすると、ダブルタッチ錯覚は、自分自身の手への触覚刺激を心理的に遮蔽せず、ラバーハンドへの触覚刺激と「接合」される点に特徴がある。予備的な心理実験により、ダブルタッチ錯覚における錯覚の様態を示唆する結果を得た。
  • OS13-8
    公募発表
    今井 健人 (名古屋市立大学)
    佐藤 優太郎 (名古屋市立大学)
    小鷹 研理 (名古屋市立大学)
    昨年, 我々は, MVFシステムにおける鏡をハーフミラーに置き換え, 自身の手の表面を透かして身体内部を覗いているような錯覚体験を得られる装置「XRAYSCOPE」を発表した. 本研究では, 骨模型を使用し, ハーフミラーによる所有感, 透視, 透触視(骨への接触感覚)に対する効果を検証した. 結果, 所有感について鏡に関する要因の効果は検出されなかった一方, 透視及び透触視感覚は, ハーフミラーの使用により増強することが示された.
  • OS13-9
    公募発表
    高橋 英之 (大阪大学大学院)
    橋川 莉乃 (大阪大学)
    堀部 和也 (大阪大学大学院)
    岡田 浩之 (玉川大学)
    本発表では,「自分と他者の関係」と「世界の心的操作可能なモデル」を反復的にもう一方の学習に際してプロジェクションさせることで,他者との関係性の理解と世界そのものの理解が相補的に展開していくモデルを提案する.そしてこのようなモデルにもとづいてコミュニケーションを捉えることで,これまでとは異なるコミュニケーションの価値についての視座が得られるのではないか,という議論を行いたい.