研究分野別一覧

意思決定

  • OS10-2
    公募発表
    高山 周太郎 (筑波大学)
    近年COVID-19による影響で、ビデオ会議を利用したコミュニケーションの機会が急増している。しかし、ビデオ会議ではコミュニケーションの情報量で大きな割合を占めるジェスチャーが映りづらく、円滑な意思決定に影響を及ぼす可能性がある。コミュニケーションゲーム「人狼ゲーム」を用いることで、ビデオ会議におけるコミュニケーションを分析できると考えている。本研究では、ビデオ会議上で人狼ゲームを行うための実験フレームを設定し、予備実験を行った。
  • OS10-3
    公募発表
    浅野 旬吾 (電気通信大学)
    本研究では,正体隠匿型の非言語的コミュニケーションゲーム「DREAMS」を用いて,人間の相手モデル形成過程に関する認知科学的実験を行った.その結果,対戦を繰り返す中で相手から同じ意図を持った行動が繰り返され,その行動に関する推測が行われ,その結果を確かめる過程を経ることで,徐々に相手モデルが構築されていく様子が観察された.
  • OS11-4
    公募発表
    本田 秀仁 (追手門学院大学)
    藤崎 樹 (東京大学)
    松香 敏彦 (千葉大学)
    植田 一博 (東京大学)
    本研究では,記憶の制約がヒューリスティックに基づく判断に与える影響について分析を行った.具体的には,人間の記憶が持つ制約とヒューリスティックの合理性の関係について,計算機シミュレーションに基づく分析を行った.結果として,記憶の制約はヒューリスティックの合理性を妨げるものではなく,合理的活用を促進するということが明らかになった.
  • O2-3
    鶴島 彰 (セコム株式会社)
    東日本大震災の動画分析により、逃げる/隠れるの避難行動が、出口からの距離で分かれる現象が発見・再現された。しかしそのシミュレーション構成には疑問があるため、より現実的な構成による再現を試みたところ、再現は可能であったが同時にパラメータ選択に強く依存することが分かった。 Black-Box 最適化と重回帰分析により、「周囲」のパラメータが重要である事が分かり、避難行動中の人間は非常に狭い範囲に注意を集中させるとの仮説を得た。
  • O3-3
    犬童 健良 (関東学園大学)
    本論文は,文理解の認知モデル化に経済メカニズムデザインを適用することを試みた.文中の単語をエージェントのメッセージとみなし,文の意味は残余のゲームフォームに代入されて計算されると仮定された.具体的に総記のガや対比のハの解釈の切替え戦略に着目し,WordNetを用いて述部の静と動の示唆的特徴語の分布を調べ,ブロッキングシステムとして定式化した.また戦略的操作可能性から総記や対比の発生の具体的なモデルを提案した.
  • O4-1
    大貫 祐大郎 (東京大学)
    本田 秀仁 (追手門学院大学)
    植田 一博 (東京大学)
    アンカリング効果とは, 事前提示された数値が後続の数量判断に影響を与える現象である. これまでの研究では, アンカリング効果が数値と意味のどちらのプライミングによって発生するのかを議論してきたが, 数値, あるいは意味プライミングのみでアンカリング効果が実際に生じるのかどうかを検討していない. 本研究の結果は, アンカリング効果の発生には数値と意味プライミングを誘発する刺激の2種類を同時に提示する必要があることを明らかにした.
  • P-6
    下條 朝也 (名古屋大学情報学研究科)
    三輪 和久 (名古屋大学)
    寺井 仁 (近畿大学)
    人間は、ある出来事に直面したときその因果に関する説明を求める。説明は複数考えられることが多く、それらを比較することで最も良い説明を決定する。本研究では、説明を単独で評価したときの満足度と、別の説明と比較しながら評価したときの満足度を比較することで、比較によって説明の満足度がどのように変化するのかを検討する。
  • P-9
    林 美都子 (北海道教育大学)
    一戸 涼史 (北海道教育大学)
    本研究では、時間割引率の視点から、現在あるいは将来の報酬におけるメリットを考えることが先延ばしを防ぐか検討した。報酬メリット考察課題の前後で時間割引率を測定し、分散分析を行ったが変化はなく、報酬メリットを考察することで先延ばしが防げるという本研究の仮説は支持されなかった。しかし即時小報酬群群は遅延大報酬群よりも時間割引率が高く先延ばししやすい可能性が高いことや、変化人数で分析すると、報酬メリットの考察に効果のある可能性が示唆された。
  • P-37
    尾関 智恵 (愛知工科大学)
    寺田 和憲 (岐阜大学)
    人々の投資や寄付などの互助活動について様々な要因が調査されているが,エージェントが介在する研究はまだ少ない.本研究では,エージェントの種類(人・犬・仏像・ロボット)・エージェントのリアリズム(写真・イラスト)・文化(日・米)の違いが人々の寄付行動に影響を与えるかどうかを調査した.その結果,リアリズムの違いは米国の参加者の寄付行動に影響を与えず,仏像と人間の写真は日本の参加者の寄付行動に影響した.
  • P-51
    中村 國則 (成城大学)
    現実の人間が“大きな見返りを得ることは稀である”,といった確率と効用の間に負の相関を見出して判断に結び付けている可能性がこれまで様々な研究によって明らかにされてきた。しかしながらそれらの先行研究には限定的な値のみを用いてきたという問題点があった。そこで本研究では現実の宝くじで想定されるような極端に低い確率・極端に高い金額を用いて,確率と効用の関係を検討し,そのような場合でも確率と効用の負の相関が見出されることを明らかにした。
  • P-59
    顧 是凡 (北九州市立大学)
    松田 憲 (北九州市立大学)
    有賀 敦紀 (広島大学)
    近年の研究では,過剰な選択肢は却って消費者の負担になり、購買意欲を抑えてしまうという報告がなされた.これを「選択のオーバーロード現象」という.本研究は,価格帯の操作によって選択のオーバーロード現象が生起するかについての検討を行った.実験の結果,参加者を選択商品への関心度の高低に応じて分割したところ,低関心度群の高価格群では選択オーバーロード現象が生起した.一方,低関心度群の低価格群では逆に選択のアンダーロード現象が認められた.
  • P-62
    白砂 大 (東京大学)
    本田 秀仁 (追手門学院大学)
    植田 一博 (東京大学)
    「前傾体勢が,特に楽しさを媒介として,目標達成動機を向上させる」という先行研究の知見に基づき,本研究では,推論課題を用いて「体勢が前傾であるほど,また楽しさを感じているほど,目標達成動機が向上し,より正答(目標)に近づこうとする」という仮説を検証した。行動実験からこの仮説は一定程度支持され,正確な推論を促すには,課題環境の操作や楽しさの誘発が効果的であることが示唆された。本研究の知見は,実世界における環境設計などへの応用も期待される。
  • P-130
    笠原 臣 (東京電機大学大学院理工学研究科情報学専攻)
    安田 哲也 (東京電機大学理工学部)
    小林 春美 (東京電機大学理工学部情報システムデザイン学系)
    本研究では、語用論的推論における非言語情報の影響を検討した、実験では、実験者があるイラストに注目している、と言及した。このとき3つのイラストが表示されたモニターに指さしを行うか行わないか、さらに実験者の視線方向を参加者に向けるか、対象に向けるかを操作した。結果、実験者が指さしをしないで指示した方が、合理的解釈に基づいた選択や顕著性に基づいた選択を行っていた。合理的解釈に基づく人間の推論は、非言語情報の影響を受けるということが示唆された。
  • P-132
    大嶺 明李 (沖縄国際大学)
    赤嶺 奨 (California State University Fresno)
    小波津 豪 (沖縄国際大学)
    新国 佳祐 (新潟青陵大学)
    里 麻奈美 (沖縄国際大学)
    笑顔や良い姿勢は嬉しさや誇らしさなどのポジティブな感情や上の空間情報を促し,しかめ面や悪い姿勢は悲しさや落胆などのネガティブな感情や下の空間情報を促すということが先行研究でわかっている.私達は日々の生活の中で様々な「解釈」を行なっているが,その解釈には自分自身の「表情」や「姿勢」はどのように影響しているのだろうか.本研究では,表情や姿勢が2通りの解釈が可能な多義文の理解に与える影響について選好判断課題を用いて検証する.
  • P-133
    小波津 豪 (沖縄国際大学)
    大嶺 明李 (沖縄国際大学)
    赤嶺 奨 (California State University Fresno)
    新国 佳祐 (新潟青陵大学)
    里 麻奈美 (沖縄国際大学)
    先行研究では言語によって時間の言語表現が異なるだけではなく、時間の捉え方自体も異なると述べている。本研究では、時間を量概念を用いて表現する傾向が強い日本語話者を対象に、「線の長さ」または「量の多さ」のプライミングが速度が曖昧な時間事象の捉え方に与える影響を検証した。反応時間に有意な差は見られなかったが、正答率の結果から、線概念よりも量概念の活性化が、日本語母語話者の速度が曖昧な事象の解釈(時間の捉えやすさ)を容易にしたと考えられる。
  • P-150
    黒田 航 (杏林大学)
    阿部 慶賀 (岐阜聖徳学園大学)
    粟津 俊二 (実践女子大学)
    寺井 あすか (はこだて未来大学)
    土屋 智行 (九州大学)
    日本語容認度評定データ (ARDJ) 構築の第一期と第二期の調査で刺激文に使われた466文の読み時間データを追加収集し,評定値データと対応づけた.そのデータの多変量解析と回帰分析の結果から,容認性判断とそれに要する時間は,刺激文を分割された部分への反応時間からは予測できない事が示唆された.ただし元になった反応時間データに代表性が保証されていないため,結果の一般性には自ずから限界がある.
  • P-151
    樋口 滉規 (東京電機大学)
    高橋 達二 (東京電機大学)
    pARIs (proportion of Assumed to be Rare instances) は人間の因果的判断と高い適合を示す観察的因果帰納モデルである.先行研究では,pARIsを含む因果帰納モデルの計算論的な目標として相関検出が想定され,その枠組みの中で性能や合理性の分析が行われてきた.この論文では因果帰納モデルの計算論的な目標を稀少性仮定下での非独立性の検出と見なした上で,適応的合理性の観点から分析を行った.
  • P-153
    佐鳥 玖仁朗 (東京電機大学 理工学研究科)
    太田 宏之 (防衛医科大学校 院医)
    宝田 悠 (東京電機大学)
    荒毛 政志 (防衛医科大学校 院医)
    守本 祐司 (防衛医科大学校 院医)
    石塚 俊晶 (防衛医科大学校 院医)
    高橋 達二 (東京電機大学)
    ヒトは不確実状況下ではどのように意思決定を行い,その意思決定を形作る過程である学習はどのように行われるのだろうか.本研究では,不確実状況下における意思決定モデルであるプロスペクト理論の確率加重関数に焦点を当て,確率加重関数の過大評価,過小評価は,良い結果と悪い結果に対する非対称な学習から起きるリスク態度の反射効果により形成される可能性があることを示す.
  • P-154
    服部 郁子 (立命館大学総合心理学部)
    不確実性の考慮には,何らかの確率計算を必要とする.本研究では,道徳的ジレンマ課題を使って,他からの援助的介入の可能性という不確実性情報が,行動選択とその行動の道徳的評価に対してどのように影響するのかを調べた.実験の結果,少数犠牲の道徳的容認評価と,その行動の実行可能性判断の間には乖離がみられた.一方,不確実性情報は人の行動選択だけでなく,容認性評価にも影響した.この結果を道徳判断の二重過程理論の観点から議論する.