研究分野別一覧

推論・問題解決

  • OS07-4
    公募発表
    岩井 優介 (東京大学教育学研究科)
    岡田 猛 (東京大学大学院教育学研究科)
    触発と社会的比較の理論に基づき,他者の小説作品を推敲することが読解する場合と比べて創造的な創作を促進するかを,心理実験によって検討した.48人の大学生・大学院生の実験参加者が4条件のもとで掌編小説を創作し、大学生・大学院生6名が創造性を評定した.分析の結果,他者作品を推敲することで,読解する場合と比べて創造が促進されることが明らかになった.
  • OS07-6
    公募発表
    青山 征彦 (成城大学 社会イノベーション学部)
    本報告では、日常のなかの創造的行為として、ハンドクラフト、なかでもアクセサリー制作という趣味に注目した。アクセサリーの制作は、既製品が高価であるために、模倣して制作しようとすることがきっかけになりやすいが、その容易さが趣味の長期にわたる継続につながっているとも考えられる。本報告では、こうした観点から、日常のなかの創造的行為に注目する意義について論じる。
  • O4-2
    岡﨑 優実 (北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    鳥居 拓馬 (北陸先端科学技術大学院大学)
    本研究では洞察問題が,「問題が何か特定せよ」という二次問題と,それに答えて完成する一次問題の指示に従うことで解答を導く二重問題構造であると仮説を立て,検証のため二値化曖昧画像に写る動物を見つけて回答する二値画像課題を用いて実験した.その結果,解答者の視線の代理指標としたマウスの軌道がひらめきの有無によって異なる結果を示すことが示唆され,二値画像課題が二重構造をとることが示唆された.
  • O4-3
    鳥居 拓馬 (北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    人間の幼児はよく似た動作の背後にある他者の意図や目的の違いを識別できる.先行研究では身体を力学系とみなすとき,動作のフラクタル次元が意図や目的の違いを識別するのに有用な特徴であることを示した.本発表では意図や目的の違いの識別に加えて,意図や目的の同定(同一性判断)にも有効かを数値シミュレーションで検討した.本研究の結果は,意図や目的レベルでの同一性認識への有効性を示唆する.
  • P-1
    阿部 慶賀 (岐阜聖徳学園大学)
    本研究では、時間圧による洞察問題解決への影響を検討した。先行研究では、他者の成績情報を提示することで解決方略の見直しを迫り、解決成績の向上の効果が報告された。本研究では解決時間確認用の時計の速度を微調整し、残り時間を誤認させることで、先行研究と同様に解決成績を向上させることができた。
  • P-15
    二宮 由樹 (名古屋大学)
    寺井 仁 (近畿大学)
    三輪 和久 (名古屋大学)
    知識や経験の制約から脱却し,新しいアイデアの発見を可能とする創造的認知は,洞察研究を通して検討されてきた.本研究では,次善解によって問題解決が可能な負のフィードバックがない状況で生じる,より良い解への転換について扱う.このような状況では負のフィードバック以外の要因が転換を促進すると考えられる.意思決定研究では判断の流暢性が,回答の変更を促すことが知られている.そこで本研究では,問題解決の流暢性を操作する実験を行う.
  • P-17
    岩田 知之 (名古屋大学)
    二宮 由樹 (名古屋大学)
    寺井 仁 (近畿大学)
    三輪 和久 (名古屋大学)
    次善解から最善解への転換とは,初期表象でも問題解決ができるが更に良い解が存在する場合における,表象の転換である.本研究は,この転換の性質を言語隠蔽効果の有無を元に検討した.その結果,言語隠蔽効果は見られなかった.言語隠蔽効果は問題解決が潜在的処理に依存する場合にみられる効果であると議論されており,この結果は,次善解から最善解への転換が潜在的処理に強く依存しないことを示す.
  • P-30
    光田 基郎 (ノースアジア大学・経済学部)
    概要 大学生に,題材が 誤信念理解 の民 話を画面で読み聞かせ , 2肢 又は 4肢選択の誤信念理解検査成績 ,類推 及び作業記憶 と 絵本の内容理解 を関連付けた 実験 の一環 である。聞き手の作業記憶での 誤信念内容 の 選択 ,聞き手自身の視点又は 真実 の 抑制 と 類推に よる理解促進 を 述べた 。
  • P-33
    犬塚 美輪 (東京学芸大学)
    田中 優子 (名古屋工業大学)
    本研究では,差を強調する効果を付けたグラフが量的な差の解釈に与える影響に注目し,批判的思考スキルと態度との交互作用が見られるかを検討した.参加者225名に表・非強調グラフ・強調グラフのいずれかを附置した広告文章を提示し,質問項目で差の解釈を測定した.その結果,強調グラフ提示群の参加者が,表提示群よりも,差をより大きいものと捉えることが示された.重回帰分析では,視覚化の有無とCRT得点,教育レベルの効果が有意であった.
  • P-62
    白砂 大 (東京大学)
    本田 秀仁 (追手門学院大学)
    植田 一博 (東京大学)
    「前傾体勢が,特に楽しさを媒介として,目標達成動機を向上させる」という先行研究の知見に基づき,本研究では,推論課題を用いて「体勢が前傾であるほど,また楽しさを感じているほど,目標達成動機が向上し,より正答(目標)に近づこうとする」という仮説を検証した。行動実験からこの仮説は一定程度支持され,正確な推論を促すには,課題環境の操作や楽しさの誘発が効果的であることが示唆された。本研究の知見は,実世界における環境設計などへの応用も期待される。
  • P-67
    山森 良枝 (同志社大学)
    本研究では、条件文の形式を持ちながら、前件と後件の間に依存関係がないという特徴を持つBiscuit Conditional、(後件の明示されない前提が強化された)unconditional presuppositionを投射するunconditional sentence 、および、誤謬推論を比較し、その異同を糸口に、誤謬推論が生じるメカニズムの解明を目指す。
  • P-75
    山本 希 (京都大学大学院)
    今井 むつみ (慶應義塾大学)
    本研究では,仮説形成に関わる類推能力の発達を扱った。4-6歳児を対象に作成した課題を用いて,この能力は幼児期に存在するのか,存在するとすれば,具体的に,どのような関係性の類推が可能になり,何が発達するのか検討した。その結果,①仮説形成に関わる類推能力は幼児期から発達がみられること,②特に「大小に注目した関係」を扱った類推が,年中から年長にかけて発達が見られることが示唆された。
  • P-88
    清水 千加 (立命館大学大学院人間科学研究科)
    服部 雅史 (立命館大学)
    モンティ・ホール問題は確率推論課題であるが,問題文中に登場する人物と回答者との間に社会的相互作用が想定されている。本研究は,司会者に対する信頼が,この問題の正解率を左右することを実験により明らかにした。司会者に対して不信感を抱くと,司会者の裏切りに対する防衛のため,ドアを変えないという現状維持行動をとる傾向があることが示唆された。
  • P-92
    村越 真 (静岡大学教育学部)
    満下 健太 (愛知教育大学静岡大学共同大学院)
    南極観測隊員延74人を対象に,自然環境内のリスク特定・評価の特徴と経験による変化把握のため,課題1(リスク特定課題)と課題2(リスク評価課題)が実施された.南極観測経験によるリスク評価の違いは限定的ながら,経験無群>経験有群の有意差が得られたものが見られた.また,経験無群での南極滞在前後のリスク評価では,事後のリスク評価の低下が広範に見られた.結果から,経験によりリスク発現場所について弁別的なリスク知覚がなされることが示唆された.
  • P-97
    池田 駿介 (東京電機大学)
    布山 美慕 (早稲田大学)
    西郷 甲矢人 (長浜バイオ大学)
    高橋 達二 (東京電機大学)
    意味の創造過程としての動的な比喩理解のため提案として,圏論の概念を用いて構築された不定自然変換理論 (TINT, 布山 & 西郷, 2019 ; Fuyama & Saigo & Takahashi, 2020) に基づき,2つのシミュレーションを実施する.また,実験によって,人間の比喩解釈となる対応づけデータを収集し,これをシミュレーション結果と比較することで,TINTがどこまで人間に近い判断を行うことができるのかを検証する.
  • P-101
    亀井 暁孝 (北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    人は,現象を説明可能な解釈が無数に存在するときでも一つあるいは少数の解釈を選ぶ傾向にある.本研究では,こうした認知処理の傾向を「思い込み」と呼び,数理的な定式化を目指し研究を進めた.具体的には,トイモデルとして画像回転課題を提案し,事前制約と学習効率の関係について数値実験による分析を行った.
  • P-110
    川瀬 真弓 (岐阜大学)
    鎌部 浩 (岐阜大学)
    岐阜大学大学院自然科学技術研究科は2017年度に修士1年を対象にデザイン思考序論を創設し,創造的思考力を育成している.2020年度前学期はオンラインでデザイン思考の5つのステップを用いて創造的問題解決に取り組んだ.パフォーマンスの高い成果物を創出したグループの話し合いでは,発話順にアイデアを可視化したことが,問題空間の拡張に影響を与えた可能性があることがわかった.
  • P-119
    小堀 旺河 (東京電機大学大学院理工学研究科情報学専攻)
    小林 春美 (東京電機大学理工学部情報システムデザイン学系)
    安田 哲也 (東京電機大学理工学部)
    可触性と事物配置に注目し、それら要因がどのように語用論的解釈への影響を及ぼすのかを部分名称獲得課題を利用し調べた。実験は実験者が無意味語を教示し、あらかじめ作成した選択肢を用い、成人参加者に該当する選択肢を選ばせるというものであった。その結果、指示した名称の全体/部分の解釈は、事物の配置により異なっていた。また予想とは異なり、透明な可視性のある障害物を介す/介さないといういずれの場合においても、指示範囲が変化することはなかった。
  • P-130
    笠原 臣 (東京電機大学大学院理工学研究科情報学専攻)
    安田 哲也 (東京電機大学理工学部)
    小林 春美 (東京電機大学理工学部情報システムデザイン学系)
    本研究では、語用論的推論における非言語情報の影響を検討した、実験では、実験者があるイラストに注目している、と言及した。このとき3つのイラストが表示されたモニターに指さしを行うか行わないか、さらに実験者の視線方向を参加者に向けるか、対象に向けるかを操作した。結果、実験者が指さしをしないで指示した方が、合理的解釈に基づいた選択や顕著性に基づいた選択を行っていた。合理的解釈に基づく人間の推論は、非言語情報の影響を受けるということが示唆された。
  • P-140
    阿部 廣二 (早稲田大学人間科学学術院)
    本稿では、祭りにおける御神体を祀る台の作成過程を、フィールドワークの知見、および参与者らの相互行為の観点から記述し、祭り準備の活動システム、あるいは準備参与者らの倫理について考察した。とりわけ、1)相互行為を通してい課題に対処することで、毎年安定的に台の作成を可能にしていること、2)それでもなお不確実性が残る場合、主観的判断による意思決定を行うこと、3)こうした意思決定が、祭りを自分たちのものにするために有意味であることが考察された。
  • P-143
    堀田 拓海 (静岡大学大学院総合科学技術研究科)
    竹内 勇剛 (静岡大学)
    目的を共有した複数人での問題解決は,しばしば創造的なブレイクスルーをもたらす.近年では人の代わりに人工的エージェントと協同することの有用性も示唆されている.しかし,人とエージェントが目的を共有し問題解決に取り組む上では,エージェントによる貢献が心理的負担を起こしうるという問題点が考えられる.そこで本稿では,目的を共有しない人-エージェントインタラクションにおいても問題解決の誘発が生じるかどうかについて実験による観察を行うことを検討する.
  • P-148
    高橋 英之 (大阪大学大学院 基礎工学研究科)
    伴 碧 (大阪大学大学院 基礎工学研究科)
    石黒 浩 (大阪大学大学院 基礎工学研究科)
    ソーシャルワークの構造にもとづき決定されるマルチエージェントの振る舞いに,観察者がどのような物語を感じるのか,クラウドソーシングにより調査を行った.独立変数として,エージェントの属する社会的ネットワークのサイズを操作した.その結果,エージェントが属するソーシャルネットワークの規模に応じて,エージェントの動きに物語を感じる度合いや内容が変化することが示された.
  • P-151
    樋口 滉規 (東京電機大学)
    高橋 達二 (東京電機大学)
    pARIs (proportion of Assumed to be Rare instances) は人間の因果的判断と高い適合を示す観察的因果帰納モデルである.先行研究では,pARIsを含む因果帰納モデルの計算論的な目標として相関検出が想定され,その枠組みの中で性能や合理性の分析が行われてきた.この論文では因果帰納モデルの計算論的な目標を稀少性仮定下での非独立性の検出と見なした上で,適応的合理性の観点から分析を行った.