研究分野

記憶

  • OS3-1-3
    公募発表
    猪股 健太郎 (熊本学園大学)
    本研究では,測定尺度の作成をとおして,決定的瞬間とはどのように定義されるのか明確にするための検討を行った。予備調査では,300名の参加者から自由記述を収集し,その内容にもとづいて29項目の決定的瞬間を写した写真の特徴を抽出した。本調査では,これらの項目を用いて,参加者に写真の評価を求めた結果,決定的瞬間は “予測不可能性”,“刹那性”,“表象性”,“無意図性”の4因子で構成される概念であり,18項目で測定される可能性が示唆された。
  • O2-4
    新堀 耕平 (静岡大学)
    白砂 大 (静岡大学)
    森田 純哉 (静岡大学)
    本研究では,単純な数列再生課題における人間の行動データと認知アーキテクチャによるモデルの出力を対応づけることにより,認知モデルにおける個人のパラメータを推定した.推定されたパラメータと個人の課題成績および感情評定値の関連性を検討した結果,課題成績を最大化するパラメータの存在,および不安・ネガティブ傾向とパラメータの最適値が対応づけられる可能性が示唆された.本研究の知見は,不安特性の高い個人の認知プロセスのモデル化に貢献する可能性がある.
  • P1-11
    西田 勇樹 (立命館大学BKC社系研究機構)
    山﨑 大暉 (京都大学大学院文学研究科)
    服部 雅史 (立命館大学)
    アンカリング効果は,最初に提示された数値(アンカー)が後の推定に影響を与える現象である。Mussweiler & Strack (2000) は,低気温のアンカーが冬に関連する語への反応を速めることを示し,アンカリング効果が意味プライミングに類似したプロセスであることを支持した。本研究は複数の追試とメタ分析によりこの理論を検討したが,アンカーが関連語の反応を速める効果は一貫して認められず,理論の一般性に疑問が残った。
  • P1-12
    木幡 容子 (株式会社電通)
    川上 直人 (株式会社電通)
    小澤 治朗 (株式会社電通)
    重政 直人 (株式会社電通)
    國吉 康夫 (東京大学 AIセンター)
    鶴岡 慶雅 (東京大学 AIセンター)
    五十嵐 健夫 (東京大学 AIセンター)
    本研究ではアイデア発想を必要とする職業の人々の創造性向上を目的にひらめきタイミングと「寝かせ時間」を検証。自己観察実験(25名)からひらめきの多い場面と時間帯を抽出、次に介入実験(60名)で、アイデア発想を要する課題を出し、即時着手・1週間寝かせ・初日着手後寝かせの3条件で追跡調査を実施。結果「1週間寝かせ」チームがアイデアの質と量共に最も良い結果であった。これは、課題を計画的に「寝かせる」ことが創造性向上の鍵になることを示唆している。
  • P1-44
    松田 新史 (青山学院大学社会情報学研究科)
    本発表は、現在執筆中の修士論文の一部に基づき、地域的音環境に対する記憶想起と語りにおける意味構成プロセスを検討するものである。2024年10月に愛知県A市J町で実施した山車祭りワークショップを対象に、参加者の語りを質的に分析し、特に囃子(音)の知覚がいかに記憶・情動・身体性と結びつき、語りの中で再構成・意味づけされるのかを明らかにすることを目指す。音経験の記憶的・語用的機能を通じて、文化継承における認知的過程を考察する。
  • P1-68
    川端 良子 (国立国語研究所)
    大村 舞 (大阪松蔭女子大学)
    加藤 祥 (北海道大学)
    浅原 正幸 (国立国語研究所)
    竹内 誉羽 (ホンダ・リサーチ・インスティチュート)
    本研究は、特定の場所に対して人々が連想する語を大規模に収集・分析し、連想表現からの場所推定に資するデータを構築することを目的とする。関東地方の7都県を対象に、「おすすめの場所」に関する連想表現を収集した。また、得られた語から場所を推定する実験を実施し、どのような語が推定に有効かを検証した。さらに、人手によるラベル付けを通して語の分類と傾向を分析した。これにより、場所に関する語の認知的特徴と、場所同定に寄与する語の性質を明らかにした。
  • P2-32
    渡辺 裕生 (大和大学保健医療学部)
    服部 雅史 (立命館大学)
    本研究は大学生を対象に,創造性(客観的・主観的・創造的体験)と自己の意思決定評価がQOLに与える影響を調査した.その結果,客観的・主観的創造性と意思決定評価がQOL向上に有意な影響を持つことが示された.創造性の認知的側面と意思決定能力の強化がQOLに重要であると示唆された.
  • P2-47
    吉井 美祐 (同志社大学大学院文化情報学研究科)
    正田 悠 (京都市立芸術大学音楽学部)
    阪田 真己子 (同志社大学大学院文化情報学研究科)
    本研究では,パーソナルミュージックである「人生で最も重要な曲」と「お気に入りの曲」に結びつくエピソードの違いを検討した.多くの楽曲が重複せず,流行曲が多かったことから,楽曲が個人の経験や記憶と結びつくことで固有のものになることが示された.また,選ばれた年齢はレミニセンス・バンプ期と一致していた.楽曲のエピソードは,重要な曲は自己の経験や記憶との結びつき,好きな曲は感情や印象,メディアの影響など外的要因も関与していることが示唆された.
  • P3-1
    大井 京 (近畿大学)
    藤田 脩人 (近畿大学)
    本研究では,背景音が記憶に与える影響を検討した.実験では,DRM (Deese-Roediger-McDermott) パラダイムを用いて,単語リスト記銘時の背景音が異なると,記憶対象が正しく想起される頻度(正再生率)と,記憶対象でないものが想起される頻度(虚偽記憶生成率)が変化するのかを検証した.その結果,背景音の違いによる正再生率と虚偽記憶生成率の有意な差は認められなかった.
  • P3-7
    瀬島 章仁 (東京電機大学大学院理工学研究科情報学専攻)
    近年AI利用など人間以外のアナウンサーによるニュースの読み上げが広がっている.本研究では,ニュース映像に登場するアバターの数や種類(人間,動物)が視聴者のニュースで使用された語に関する記憶に与える影響を調べた.アバターの種類や数に関わらず,使用された語に関する記憶は比較的よく保たれていた.一方,1体のアバターで伝える場合に比べ,4体のアバターが次々に登場する場合は,視覚的注意が分散し映像に関係する語も誤って選ばれやすくなる傾向がみられた
  • P3-20
    本名 貴喜 (北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院)
    発達性書字障害の書字特徴を明らかにすることを目的として,漢字書き取り課題を実施し,誤答の分析を行ってきた.従来は音韻・意味・形態の大分類に基づく方法を用いていたが,多様な誤答の構成的特徴を捉えるには限界があった.今後は,各誤答を複数の評価軸に基づいて記述する分析枠組みを導入し,より精緻な把握を目指す.
  • P3-36
    渡邊 咲花 (立命館大学大学院人間科学研究科)
    下條 志厳 (立命館グローバル・イノベーション研究機構)
    林 勇吾 (立命館大学総合心理学部)
    生理的反応を生じさせない要因が認知処理を高める現象は,記憶の影響を受けていると考える.本実験は,スキーマに伴う感情喚起が人の認知処理を高めるかを知覚反応に焦点を当てて検討した.実験の結果,反応時間と瞳孔径に差はなかったが,スキーマ活性化刺激があるとき,一部で反応時間と瞳孔径に負の相関が見られ,瞳孔が散大するほど反応時間が短縮したことがわかった.これより,スキーマの活性化に伴う感情喚起が注意を焦点化し知覚反応を高める可能性が示唆された.
  • P3-53
    髙橋 麻衣子 (早稲田大学)
    川﨑 弥生 (早稲田大学 人間科学学術院)
    読みに困難をもつ学習者は視覚よりも聴覚提示された文字情報によって学習が進むことが考えられるが,その情報処理過程は十分に明らかにされていない.本研究ではDRMパラダイムを用いて,読みへの困り感と視覚もしくは聴覚提示された単語リストの学習過程の関係性について検討した.中学生64名に対して視聴覚提示された単語リストの学習と再認・再生課題を課したところ,読みに困り感のある学習者ほど視覚よりも聴覚によって虚記憶が生成されることが示唆された.