研究分野別一覧

感情

  • sP1-24
    村上久 (東京大学)
    井澤玲 (神奈川大学)
    西山雄大 (長岡技術科学大学)
    秋吉政徳 (神奈川大学)
    自身の運動の結果が肯定的であった場合、その運動主体感はより高まることが知られる。近年こうした主体感変調が低次の感覚処理からも生じることが報告されているが、その殆どは聴覚を感覚入力とする。我々は、色を用いた視覚刺激を感覚入力とし、自発的行為に対して異なる感情価を持つ色の提示が主体感に及ぼす影響を検証した。結果、先行研究とは異なり中間的な感情価を持つ色の提示が最も主体感を高めるという傾向が得られ、これを視覚と聴覚の処理速度から考察した。
  • sP1-28
    山本寿子 (東京女子大学)
    河原美彩子 (東京女子大学)
    田中章浩 (東京女子大学)
    感情知覚と音韻知覚はいずれも顔(視覚情報)と声(聴覚情報)の情報を統合することによって成り立つ。その双方において日本人は聴覚情報を重視することがこれまでに明らかにされている。そこでこれらの視聴覚統合プロセスが共通である可能性を検討するため,感情と音韻について(1)日本・オランダの成人を対象とした知覚実験(2)日本の5歳から12歳の子どもを対象とした知覚の発達パターンの比較(3)視聴覚統合プロセスの相互干渉の3つの側面から検討を行った。
  • sP1-29
    今泉拓 (東京大学学際情報学府)
    高橋康介 (中京大学心理学部准教授)
    植田一博 (東京大学総合文化研究科)
    生物でない物体にヒトらしさを感じることはアニマシー知覚として知られている.本研究では,形状の点でヒトに類似した対象よりもそうではない対象に対してアニマシーがより強く知覚される可能性について,ヒトのイラスト,しめじ,マッチ棒を比較し探索的に検討した。結果,形状ではヒトのイラストが1番ヒトらしいと評価されたものの,社会的な関係性を想起されるような動きが伴った際には,しめじにたいして1番強く感情が認知されることが示された.
  • sP1-31
    三浦慎司 (名古屋大学情報学研究科)
    川合伸幸 (名古屋大学情報学研究科)
    本研究では、VRで作成した空間の中で、天井画と壁に飾られる絵画を天井あるいは壁に配置して絵画の鑑賞をさせた際に,どのように作品に対する主観的な評価が変わるのかについて探索的に検討した。その結果,作品ごとの分析をしたところ、一部では空間的配置と絵画の種類が一致する際に好ましさや感情価、美しさ、覚醒度、強さの評価が変化することが示された。考察として,通常とは異なる体位で鑑賞することを想定した,絵画を鑑賞する際の身体の役割について議論を行う。
  • sP1-46
    中田龍三郎 (名古屋大学情報学研究科)
    川合伸幸 (名古屋大学情報学研究科)
    自己の食事中の静止画を見ると食事をおいしく感じる。この効果は正立の静止画で強くなるのか、自己静止画を見ることが食事へのより強い注意をもたらすのか検討した。刺激を正立で呈示するとおいしさの評定値は高くなった。また試食と無関係な音刺激に対する注意を反映するERP(P300)振幅値は正立条件よりも倒立条件と無人条件で増大していた。正立条件では食行動に向けられる注意配分量が相対的に増加したと推測される。
  • sP1-47
    神窪利絵 (東京大学生産技術研究所)
    Yuri Klebanov (東京大学生産技術研究所)
    米谷竜 (東京大学生産技術研究所)
    佐藤洋一 (東京大学生産技術研究所)
    Pupillometry involves measuring changes in the diameter of the eye's pupil. Such pupillary responses have been well studied by scientists to link with a great variety of cognitive processes. However, the responses are typically investigated in the lab settings since they are easily influenced by light sources. To pave the way to expand pupillometry research methods, our paper will showcase design implications of a mobile cognitive pupillometry toolkit that can be integrated beyond the state-of-the-art experimental conditions. We discuss benefits, as well as challenges, of conducting cognitive pupillometry experiments in the less-controlled settings.
  • sP1-66
    前川亮 (追手門学院大学心理学部)
    乾敏郎 (追手門学院大学心理学部)
    他者感情推定時に,他者の身体状態を模倣し,自分の中に相手と同じ感情が生じることで感情推定を行うモデルが提案されている。本研究では共感性の個人差に着目し,共感性が模倣的な身体状態におよぼす影響を検討した。感情推定課題を行い,課題中の表情筋活動・心拍・発汗を記録した。さらに共感性尺度得点と身体状態の変化を比較した。結果,共感性の低い群においてのみ,感情推定値と身体状態の間に相関がみられた。
  • sP1-84
    河原美彩子 (東京女子大学)
    澤田佳子 (東京女子大学)
    田中章浩 (東京女子大学)
    本研究では、ロボットから多感覚的に表出された感情を人間がどのように認知するのか、また、それによって人間の利他行動は生起するのか検討した。その結果、目の色のような人間には表現できない人工的手がかりより、ジェスチャーのような人間も使う自然的手がかりを重視してロボットの感情を判断することがわかった。またロボットに対する利他行動の生起には、ロボットがどのような感情を示したかではなく、人間がそれをどのように感じたかが関係する可能性が示された。
  • sP1-85
    本木隼人 (東京電機大学)
    日根恭子 (東京電機大学情報認知科学研究室)
    これまでに,話し手の発話速度によって聞き手が感じる話し手の性格印象が変わることが報告されている.しかし会話時において,聞き手と話し手の発話速度の違いである相対発話速度により,性格印象に違いが生じるかは不明な点が多い.そこで本研究では,会話時における相対発話速度が印象に及ぼす影響を検討した.その結果、「明るい↔暗い」,「慎重な↔軽率な」の形容詞対に対して,話し手の発話速度にかかわらず,相対発話速度が影響していることが示唆された.
  • sP2-6
    邱華琛 (名古屋大学情報学研究科)
    川合伸幸 (名古屋大学情報学研究科)
    Snake is a serious threat to humans for the past millions of years so that humans became extremely sensitive to snakes during the long evolution period. The present experiment shows that humans and non-human primates can detect snake pictures more quickly and accurately than those of other animals. Here we performed a flicker paradigm task to compare the accuracy and speed of detection between two types of the target stimuli, which consisted of snake pictures and lizard pictures. We find that the snake target stimuli can be detected more rapidly and accurately than lizard target stimuli. Our study shows that participants were more sensitive to snake pictures during the flicker paradigm task and supports the Snake Detection Theory.
  • sP2-7
    林美都子 (北海道教育大学)
    佐々木基 (北海道教育大学函館キャンパス)
    本研究では、立ち技格闘技の人気を復権するため、ポスター等で一般観客にアピールする状況を想定し、コスチュームの配色で伝わる選手の個性や印象を検討した。大学生281名に調査を行った。格闘家イメージ尺度は、実力を核に据えた「格闘技家らしさ」と「優美さ」、「愛嬌」で構成された。配色別分散分析の結果、赤グローブに黒トランクスがもっとも格闘技家らしく、青グローブに白トランスで優美なイメージ、黄色トランクスでは愛嬌がアピールされることが示された。
  • sP2-10
    中村太戯留 (慶應義塾大学)
    ユーモアは皮肉表現からも生じうることが知られている.しかし,ユーモアを生じない皮肉表現もあり,ユーモアを生じる条件は不明である.本研究では,日常的表現を用いて,ユーモアと皮肉の関係を実証的に検討することを試みた.意味分析の結果,ユーモアを生じた群では「次回にやり直しができる程度の悪い出来事」が関与するのに対して,ユーモアを生じない群では「やり直しの出来ない深刻な悪い出来事」が関与するように見える.
  • sP2-19
    松本一樹 (東京大学教育学研究科)
    岡田猛 (東京大学教育学研究科情報学環)
    芸術鑑賞における認知過程は包括的なモデル化が試みられている.本研究では,その中でも創作プロセスの認識という近年注目され始めた要素について,それが美的印象やその他の認知要素とどのような関係性にあるか,介入(創作経験)を通じて間接的に,心理尺度と発話データを用いて検討した.その結果,創作経験は作品の種類にかかわらず美的印象を促進する効果を持ち,かつその過程の中で創作プロセスの認識が重要な役割を果たしている可能性が示された.
  • sP2-23
    ジョキョウテツ (千葉大学融合理工学府)
    松香敏彦 (千葉大学文学部)
    顔の印象評定に関する先行研究では、顔への観察行動は観察者自身の性格特性に強く影響されていることが示されている。これらの結果から、観察行動を用いて観察者の性格特性を予測することが可能だと考えられる。この可能性を検討するため、先行研究と同様の顔画像への印象評定課題を用いた実験をおこなった。具体的には、アイトラッカーを用いて観察行動である眼球運動データ、および観察者の性格特性を収集し、階層的ベイズモデルを用いたデータ分析をおこなった。
  • sP2-32
    本庄正弥 (東京電機大学)
    日根恭子 (東京電機大学情報認知科学研究室)
    これまでに,他者の好ましい行動について,その原因がその他者本人にあると推測される内的帰属がされることで,印象が向上することが示唆されている.本研究では,悪印象を抱いた他者に対しても,好ましい行動の内的帰属を促進させ情報提示をすれば,印象が向上するか検討した.内的帰属を促進する情報提示方法として,共変モデルを用いた.その結果,社交性と積極性について,内的帰属を促進することで印象が向上することが明らかとなった.
  • sP2-34
    小川有希子 (法政大学社会学部)
    嶋田総太郎 (明治大学理工学部)
    本研究はチャップリンが監督・主演したコメディ映画を見る際に鑑賞者に生じるユーモアと笑いの認知に関わる神経メカニズムを調べることを目的とし,鑑賞中の脳活動をNIRSで計測した.実験の結果,独自に作成したチャップリンのおもしろさ測定尺度によって実験用映像をあらかじめ評定させ,主成分分析を施した結果の第1主成分~第3主成分と,ミラーニューロンシステムや心の理論に関わる領域の脳活動の間に有意な相関があることが示された.
  • sP2-36
    吉原優華里 (東京電機大学情報認知科学研究室)
    日根恭子 (東京電機大学情報認知科学研究室)
    近年、撮影された画像は画像加工アプリを使用してSNSに投稿することが流行している。これまでの研究により、写真を撮影すること自体に心理的効果があることが示唆されている。しかし、写真を加工する作業自体の効果は不明である。本研究の結果、写真撮影後にその写真を加工すると、作業者のポジティブ情動評価値が増加した一方、写真撮影のみの場合はポジティブ情動評価値が減少した。従って、写真の加工作業はポジティブな気分に影響すると考えられる。
  • sP2-40
    佐山公一 (小樽商科大学商学部)
    話し手が,話し手の怒りの理由を伝えるとき,話し手の怒りの表情や怒りを含む音声が,メッセージの理解にどう影響するかを実験的に検討した.映像を見た後,映像で伝えられたメッセージの分かりやすさと話し手の怒りを評定した.メッセージが話し手を怒らせる理由の有無,話し手の表情の怒りの有無,話し手の声のトーンの怒りの有無に分け分析した.その結果,声のトーンが,メッセージに怒りがあるかどうかの判断に影響することが示唆された.