研究分野

発達

  • OS2-2-3
    公募発表
    青山 慶 (岩手大学)
    佐々木 正人 (多摩美術大学)
    西尾 千尋 (甲南大学)
    山本 尚樹 (弘前学院大学)
    山﨑 寛恵 (東京学芸大学)
    藤井康介 (PLAY DESIGN LAB (by JAKUETS))
    本荘栄司 (PLAY DESIGN LAB (by JAKUETS))
    加藤將則 (PLAY DESIGN LAB (by JAKUETS))
    本研究の目的は,新たにデザインされた遊具において,そこで生起する行為の多様性から遊びの可能性を捉え直すことである.本研究では,Gibson(1979)の生態幾何学的観点を参照し,子どもたちの実際の身体の動きや相互行為のプロセスから,遊具がいかなる「あそび」を可能にしているのかを考察した.その結果,踊り場のない螺旋構造がもたらす移動を基本とした滞在によって,経路の交差や共有によるコミュニケーションの機会をもたらされることが示唆された.
  • O3-1
    北 雄介 (長岡造形大学)
    あらゆる経験は「経路」の概念で理解でき,我々の生は多数の経路の織りなすメッシュワークとして捉えられる.経験の全体性を経路として読み解くためのケーススタディとして,筆者の長男を対象とした二人称研究を構想する.研究方法は,長男の日常的な成長や変化を簡単に記録する「Kuya Diary」と,街歩きにおける発話や行動を多面的に記録する「Kuya Stroll」から成る.本稿では2025年6月末時点での研究の進捗を報じ,その方法について検証する.
  • P1-2
    伊藤 崇 (北海道大学大学院教育学研究院)
    玩具の中には電子音声を発するものがある。本研究では,現実の幼児とその家族がそうした電子玩具とどのように関与するのかを明らかにする準備として,通信教育講座のダイレクトメールに付属したマンガの中での電子玩具の描かれ方を分析した。その結果,機械からの音声は幼児が1人で遊ぶことを可能にするとともに,家族がそのことを利用して家事の遂行を行っている様子が描かれていた。
  • P1-19
    村上 瞳 (神戸大学大学院 人間発達環境学研究科)
    鎌田 紗弓 (東京文化財研究所 無形文化遺産部 無形文化財研究室 研究員)
    野中 哲士 (神戸大学大学院 人間発達環境学研究科 教授)
    日本の伝統芸能のひとつである雅楽では,まず楽器を持たずに擬音化した曲の旋律を声に出す「唱歌」(しょうが)を通じて,師匠から弟子に楽曲および楽器の演奏技能が伝えられる。なぜ音楽や楽器の演奏技能が主に唱歌によって習得されるのか、唱歌でなければ伝えられないものとは何なのかについて明らかにすることを本研究は目的としている。
  • P1-23
    金城 光 (明治学院大学 心理学部)
    沈 慕榕 (明治学院大学 心理学部)
    佐久間 崚成 (明治学院大学 心理学部)
    高齢者の否定文の理解については一貫した結果が得られておらず,未だ明らかになっていない.本研究では若者を対象としたKinjo & Saito (2025)を参考に,否定の命題を含む単純な2種類の真偽判断課題を用いて,高齢者に同じ課題を10回実施してもらい,否定条件の成績を肯定条件に対して同程度まで向上させることができるのかについて検討した.得られた結果と先行研究を比較し,高齢者は若者よりも否定命題の理解が難しいのかについて議論する.
  • P1-43
    山本 尚樹 (弘前学院大学)
    制作プロセスと道具の関係,多重時間スケールの概念,この2つの観点から1名の木工作家がヘラを制作するプロセスを数年にわたってどのように探索しているのか,検討した.2018年,2019年の制作の様子を分析した結果,各年で削りの工程の手順が異なるだけでなく,同じ年であっても1~2日の間に削りの手順を変えていることが示された.マクロ,メゾなタイムスケールの中での工程の変化が見られ,それらが入れ子になっていた.
  • P1-66
    西東 理花 (早稲田大学大学院)
    関根 和生 (早稲田大学)
    自己接触行動とは,自分の手で自分自身の体に触れる行動のことである。本研究では,幼児の遅延性課題中における自己接触行動の発達的変化を検討した。3~5歳児を対象に,遅延性課題中に行われた自己接触行動の接触時間や接触部位を分析した結果,接触時間の割合に年齢による有意差はなく3歳の時点で多くの自己接触行動がみられた。特に手や顔への接触が多く,自己接触行動を行うことで,目の前の報酬から注意を逸らしていたのではないかと考えられる。
  • P2-9
    本多 明子 (神戸女子大学)
    本研究では,認知言語学で提唱されている構文ネットワークに存在する英語の結果構文と使役移動構文の関係について,言語獲得の側面から考察する.前者は状態変化を,後者は位置変化を言語化する.発話データベースCHILDESから両構文を抽出し,データ分析の結果を提示する.その結果を基に,子どもが状態変化をどのように捉え言語化しているのか,また,両構文の関係はどのようになっているのかについて構文文法論の継承リンクという考えをもとに提示する.
  • P2-19
    西川 純平 (岡山県立大学)
    森田 純哉 (静岡大学)
    認知モデルを搭載したロボットとのインタラクションを通じて,特別支援教育における子どもの認知的特徴を推定する手法の構築を目指し,注意傾向と受容性に関するアノテーション指針を検討した.展示実験の一部を対象とした予備的分析では,視線・発話・教員支援との関連が観察され,行動パターンの抽出可能性が示唆された.今後は行動定義の精緻化や信頼性の確保を図り,全体データに展開して分析を進める.
  • P3-3
    巽 智子 (Max Planck Institute for Psycholinguistics)
    関根 和生 (早稲田大学)
    3歳児と5歳児を対象とした遮蔽状況下でのイラストのマッチング課題を行い, 物体の位置情報を相手に伝えるターンにおける指差しと言語表現の発達的変化を分析した. その結果, 5歳児と比べて3歳児は参照点 よりも対象点を指差す傾向があり, また対象を叩いたり擦ったり, 接触する指差し, 参照点と対象点をつなぐ指差しが多かった. 発達と共に, 指差しに頼らずとも言語表現が可能になり, やりとりの共通基盤や効率性についての認識が増すと示唆される.
  • P3-40
    梅村 弥生 (千葉大学融合理工学府博士課程院生)
    伝 康晴 (千葉大学)
    本研究が注目している現象は,対象を知覚的にアクセスできない状況のもとで,それでも「共同注意」が達成され,活動が展開する事例である.こうした状況下での指示詞の使用は,指示詞が何を指しているかといった従来の距離に依存した指示詞理解では十分捉えきれない.本研究の目的は,指示詞を利用した発話に加えて,ジェスチャー,視線をも取り込みながら,指示詞による参照の理解が参与者の間の相互行為として,どのように成立するかを示すことである.
  • P3-49
    宮崎 美智子 (大妻女子大学)
    伴 智博 (平明社)
    麦谷 綾子 (日本女子大学)
    本研究では成人が身体部位や空間上の対象を定位する際の手の伸ばし方(リーチング方略)を系統的に調査した。動きを確認しつつ定位するフィードバック制御の出現頻度と体性感覚利用可能性との関係を明らかにし、幼児での検討の指標確立を目指す。身体・空間指し課題で、定位時間とリーチング方略を分析したところ、対象部位が身体の中心軸に近いほど予測的なフィードフォワード制御を使用し、距離や身体の中心軸から離れるほどフィードバック制御を使用する傾向がみられた。