研究分野

感情

  • OS14-3
    公募発表
    櫃割 仁平 (京都大学)
    野村 理朗 (京都大学大学院教育学研究科)
    In psychology of aesthetics, compared to appreciation, there are fewer studies on art creation. Therefore, this study aims to examine the influence of art creation on appreciation using haiku poetry with reference to the Mirror Model—a model combining creation and appreciation. Although the model has been used to examine visual arts, we examine its applicability to linguistic arts. The 115 participants were divided into two conditions—creation and control. The former created haiku, while the latter did not create. The results showed no improvement in evaluation through creation. Additionally, recognizing the difficulty of creation leads to beauty, and this relationship is mediated by awe. These results expand the model in terms of the different art genres.
  • O2-001A
    李 璐 (東京大学学際情報学府学際情報学専攻)
    河村 典枝 (理化学研究所脳神経科学研究センター)
    熊崎 博一 (長崎大学生命医科学域未来メンタルヘルス学分野)
    植田 一博 (東京大学)
    自閉スペクトラム症(以下ASD)者に不気味の谷現象が見られるかどうかを,定型発達(以下TD)者と比較することで,カテゴリー知覚の観点から実験的に検討した。その結果,カテゴリー知覚課題ではASD者とTD者に違いはなかったのに対して,カテゴリーが曖昧な画像刺激に対して不気味さを感じるのはTD者のみであった。これは,不気味の谷現象が,どのカテゴリーに属するのかという判断が曖昧な対象に対して感じられる,TD者に固有の現象であることを示唆する。
  • O3-003A
    晴木 祐助 (北海道大学 文学院)
    鈴木 啓介 (北海道大学 人間知×脳×AI研究教育センター)
    小川 健二 (北海道大学 文学研究院)
    身体内部から生じる感覚は内受容感覚と呼ばれる。これまでの研究では主に心臓(心拍)に関わる内受容感覚が用いられた。本研究では異なる種類の内受容感覚が特定の脳活動パターンを引き起こすことを示す。具体的には,心臓と胃への注意が異なる脳領域を活性化し,それらの機能的結合を変化させた。さらに心臓/胃の客観的感受性の個人差が,島皮質における安静時機能結合と関連した。種々の内受容感覚は主観的経験としてだけでなく,その脳活動も異なることが示された。
  • P1-005
    野村 理朗 (京都大学大学院教育学研究科)
    河原 大輔 (早稲田大学 基幹理工学部)
    松尾 正信 (京都テキストラボ,京都情報大学院大学)
    ニュース記事に対する読み手の感情を自動推定するシステムを構築した。はじめにニュース記事の感情指標に関し,40,000記事からなるオリジナルのデータセットを構築した。続いて深層ニューラルネットワークに基づく文脈言語モデルの一種であるRoBERTaを用いて,記事に対する7つの項目(喜び・不安・信頼性・意図性等)の分類課題を行った結果,いずれも予測データと実測データとの強い正の相関となる実用可能な水準に達するモデルを構築した。
  • P1-010A
    山本 希 (京都大学大学院文学研究科)
    大東 将 (京都大学大学院文学研究科)
    森口 佑介 (京都大学大学院文学研究科)
    本研究では,学童期の子どもを対象に,あいまいな表情に対する解釈の偏りと敵意帰属バイアス,攻撃性の高さの関連を検討した。その結果,学童期の子どもにおいて,あいまいな表情に対する解釈の偏りは,敵意帰属バイアスと攻撃性のいずれともほとんど関連しないことが示された。このことから,敵意帰属バイアスや攻撃性が高い学童期の子どもにおいて,あいまいな表情に対する解釈は必ずしも偏っているとは言えない可能性が示唆された。
  • P1-012
    久保(川合) 南海子 (愛知淑徳大学心理学部)
    識名 澪亜 (愛知淑徳大学心理学部)
    eスポーツ観戦はいまだゲーム経験者が中心で,観戦のみの観客の楽しさや観戦方法による効果は検討されていない.本研究は,観客同士の親しさ,ゲーム経験の有無に着目し,競技動画を①解説のみ②会話あり③応援行動あり④何もなし条件で観戦させた.親しい観客同士の応援条件では「また見たい」の得点が高かった.経験者は未経験者より楽しさの得点は高かったが,応援条件のみ未経験者も同様に高かった.応援による一体感や能動性が観戦の楽しさを促進したと考えられる.
  • P1-029
    赤嶺 奨 (Max Planck Institute for Psycholinguistics)
    小波津 豪 (バスク大学)
    新国 佳祐 (新潟青陵大学)
    Amy J. Schafer (University of Hawaii, Manoa)
    里 麻奈美 (沖縄国際大学)
    Social interaction and communication require a responsive ability to read others’ subtle emotional reactions, which affect subsequent cognitive activities such as up-down spatial attention. Even brief exposure to an emotionally expressive face can influence cognition, due to an affective priming effect. For instance, subliminal primes of facial expressions generate gross affective information such as a positive/negative category, influencing evaluations of unrelated novel objects. Given the interconnections between emotions and language, this study assesses the functional role of affective information in processing emotionally and spatially congruent/incongruent sentences when facial expressions are perceived consciously (Exp 1) or unconsciously (Exp 2).
  • P1-030
    玉木 笙鞠 (東京大学大学院総合文化研究科)
    福田 玄明 (一橋大学)
    植田 一博 (東京大学)
    本研究では,本研究では,笑いにおける確立された技法の一つである「つかみ」の効果を検証した.生理計測と表情計測を行った実験の結果,「つかみ」が存在する方が存在しないよりも「本ネタ」をより面白いと感じ,「つかみ」が面白いほど「本ネタ」をより面白いと感じることが示唆された.さらに,「つかみ」の面白さが,自律神経系の状態を介して,「本ネタ」の面白さに影響を与えることが示唆され,「つかみ」の効果が,自律神経系の状態と関連する可能性が示された.
  • P1-033
    佐山 公一 (小樽商科大学)
    顔の第一印象が時間とともにどう変わるかを実験的に検討した.初対面時の無表情に対する好感度が低い人が,次に笑っていたとき,以前の無表情に対して好感度の低かった人が笑う場合の方が高かった人が笑う場合よりも好感度の上がり幅が大きくなった.逆に,初対面時の笑顔に好感度が高いとされた人が次に無表情であったとき,笑顔の好感度の低かった人が無表情でいる場合よりも好感度の下がり幅が大きくなった.上がり幅は下がり幅より大きかった.
  • P1-036
    林 美都子 (北海道教育大学函館校)
    本研究では、林(2022)に引き続き、顔アイコン画像を用いた心的回転実験を行った。大学生59名の協力を得て、個別にオンライン実験を実施した。真ん中に提示された顔アイコンの左右に、回転させた顔アイコンと反転回転させた顔アイコンを提示し、一致するものを選ばせ、反応時間と判断の正誤を測定した。正答の反応時間を分散分析したところ、笑顔や怒り顔では、女性よりも男性の反応時間が速かったが、真顔では性差は示されなかった。
  • P1-038
    塩﨑 琢人 (横浜少年鑑別所)
    椎名 乾平 (早稲田大学)
    本研究では、3和音の調和性に和音中に含まれるピッチ距離が影響を与えることを仮定した。55種類の3和音について聴取実験を行い、被験者が和音の調和性を評定した数値について、ムーアペンローズの疑似逆行列を用いた分析を行い、各ピッチ距離の影響を係数として算出したところ、一般に不快な響きを生むとされるピッチ距離は和音全体の調和性に負の影響を及ぼすことが示唆された。本研究を応用することで、チャイム音のような音楽をより効果的に使用できると考えられる。
  • P1-046
    中村 太戯留 (武蔵野大学)
    ユーモア理解では,ヒトの生存と関連性のある事柄の見いだしと,「保護されている」という認識の枠組みが重要である.神経基盤として,前者は扁桃体が関与するが,後者は不明である.皮肉理解では,扁桃体を賦活するが,「保護されている」という認識の枠組みは機能せず,ユーモアを生じないことが多い.メタ分析でユーモアと皮肉を比較した結果,側頭葉前部,内側前頭前野,そして皮質下領域などが,「保護されている」という認識の枠組みの神経基盤の候補と示唆された.
  • P1-049
    安念 保昌 (札幌保健医療大学)
    許諾を受けた72名の参加者に、睡眠時間、抑鬱の質問紙を埋めてもらい、10対の肯定・否定語及び、男女日本人の平均顔とその合成された喜び、笑い、怒り、驚き、悲しみの表情を対にしたスライドを5秒間ずつ、アイトラッカーを装着して見てもらった。0.1秒ごとに、どこを見ていたかを文字化して、視線遂構造を比較した。その結果、高鬱群が否定図にこだわるだけでなく、そこからの切り替え(即ち、注意解放)の困難さを示した。
  • P1-057A
    米田 凌 (静岡大学)
    西川 純平 (静岡大学)
    長島 一真 (静岡大学)
    森田 純哉 (静岡大学)
    寺田 哲也 (マツダ株式会社)
    本研究では,単調な知覚運動課題を用いた実験によって,覚醒水準に影響を与える飽きや環境要因を調査した.実験は3つ実施した.最初の実験では,環境要因が覚醒度へ与える影響を調べた.次の実験では,環境要因となる刺激を途中で切り替えることで,覚醒度の制御を試みた.最後に,課題実施中の心拍を計測した.その結果,刺激の効果は解釈が困難のものとなったものの,課題に対する習熟と飽きの効果が確認された.
  • P1-063
    原田 悦子 (筑波大学)
    安久 絵里子 (筑波大学)
    鷹阪 龍太 (筑波大学)
    目黒 文乃 (筑波大学)
    葛岡 英明 (東京大学)
    アバター技術の新たな利用法として,仮想的な二者対話=腹話術型会話支援システムを構築するに当り,「かわいい」音声がアバター評価に与える影響を検討した.音声の物理的特性に対応した「かわいい」感情は若年成人には生起するが高齢者には見られないこと,音声のかわいい評価は高齢者でのみ外見のかわいい評価と相関を示すことが示された.音声の「かわいい」感情,かわいい感情と加齢の影響について検討が必要と考えられる.
  • P2-004A
    牧 恒平 (早稲田大学人間科学研究科)
    関根 和生 (早稲田大学人間科学学術院)
    本研究では,自己接触行動が聞き手への視線行動に及ぼす影響について検討した.調査参加者(N = 20)は,腕組み条件,頬触り条件,統制条件の3つの条件下で,聞き手に対する説明課題を行った.課題の間,聞き手の目,顔,体に向けられた視線を測定した.また,対人不安傾向を調べるために質問紙によりシャイネス得点を測定した.結果として,シャイネス得点の高い男性において,頬触り条件が腕組み条件や統制条件と比較して顔への注視量が増加したことがわかった.
  • P2-022A
    岡野 裕仁 (京都大学教育学研究科)
    野村 理朗 (京都大学大学院教育学研究科)
    自他を優劣の観点から比較するような社会的比較志向性の高さが、社交不安の一因である可能性が指摘されている。また、マインドフルネス特性が高い者は、そのような社会的比較を行うことが少ないという仮説が提唱されている。これらの動向を背景に、本研究は質問紙調査を行い、優劣評価を伴うような社会的比較志向性はマインドフルネス特性と負に相関することで、マインドフルネス特性と社交不安の負の関係を媒介することを新たに示した。
  • P2-025
    小波津 豪 (バスク大学)
    赤嶺 奨 (Max Planck Institute for Psycholinguistics)
    里 麻奈美 (沖縄国際大学)
    新国 佳祐 (新潟青陵大学)
    人は言語理解において、文や文章の内容を心内に思い描く(メンタルシミュレーション)。先行研究では、文の主語が明示されていないと、文脈から省略された主語が明らかであっても、行為者・観察者どちらの視点も取得されずに文内容のメンタルシミュレーションが行われることが明らかになっている。これに対して本研究では、共感性が高い話者は、文脈が示す(省略された)主語の視点を取得しつつ主語省略文のメンタルシミュレーションを行うことを実験的に明らかにした。
  • P2-029
    宮田 義郎 (中京大学)
    鈴木 真帆 (中京大学工学部)
    日常的な創造活動による持続可能社会の方向性を探る実践として「不用品を使ったものづくり」を行なった.参加者は、創造の楽しさ、不用品の可能性、社会貢献の可能性を発見した.もの作りで創造的行為の視野が広がり、自己と社会の関係を構築する可能性を表現した拡張CBAAモデルを提案した.効率重視と大量生産品により創造性が抑制されている現代社会で、持続可能社会への一つの方向性としてさらにその可能性を高め、広げていく価値があるだろう.