研究分野別一覧

運動

  • OS03-2
    公募発表
    榎本美香 (東京工科大学)
    本研究の目的は,自身の身を世界に晒すことにより、世界との調和に至る身体の認知モデルを構築することである。我々は初めて行う方法で世界に向き合わねばならぬ時、生まれたての子鹿のように覚束ないが、次第に大地に対する力のかけ方とバランスを見出していく。本研究では、著者自身が水泳とサーフィンを学習する場面を一人称視点で分析し、世界の物理的法則の中へ自身の身体を滑り込ませるに至る知覚形成過程をモデル化する。
  • OS03-4
    公募発表
    阪口豊 (電気通信大学)
    本稿では,身体技能の遂行・習得メカニズムを明らかにする方法論として,随意運動制御の計算モデルに意識の働きを組み込むことについて議論する.ヒトの運動制御の本質的な難しさが身体の多自由度性にあることを指摘するとともに,意識に上る認知の働きと無意識の下で働く運動計画・運動制御の働きがこの問題を解決するうえでどのように機能するかを考察したうえで,意識の働きを計算モデルに組み込むうえでの課題について論じる.
  • OS04-5
    公募発表
    渥美裕貴 (名古屋大学情報学研究科)
    横矢真悠 (パナソニック株式会社)
    山田和範 (パナソニック株式会社)
    岡田直人 (名古屋大学情報学研究科)
    汪雪婷 (名古屋大学 情報学研究科)
    森田純哉 (静岡大学情報学部)
    上出寛子 (名古屋大学未来社会創造機構)
    榎堀優 (名古屋大学情報学研究科)
    間瀬健二 (名古屋大学情報学研究科)
    当研究では、認知機能と身体機能、とりわけ歩行に関わる課題を同時に課す心身マルチタスクトレーニングが高齢者の認知機能に与える影響を検証した。歩行支援ロボットを用いた歩行と信号検出課題を用いた心身マルチタスク介入実験を行い、介入課題である信号検出課題と類似した認知能力課題 (TOVA課題) について、対照群であるST群に比してMT群で向上効果が高いことを検証し、心身マルチタスクが認知能力の向上に有効である可能性を示した。
  • OS11-2
    公募発表
    小鷹研理 (名古屋市立大学芸術工学研究科)
    主観的な重力反転を促進する因子を同定することは、幽体離脱の認知機構の解明につながるだけでなく、Virtual Reality空間において、アバターに身体のイメージを投射するうえでの設計論を検討するうえでも重要である。本研究では、HMD環境を使った二つの被験者実験を行い、被験者の姿勢と、呈示されるアバターの身体の向きが、重力反転の生起しやすさに影響するという結果を得たので、これを報告する。
  • OS11-3
    公募発表
    佐藤優太郎 (情報科学芸術大学院大学)
    石原由貴 (名古屋市立大学芸術工学研究科)
    小鷹研理 (名古屋市立大学芸術工学研究科)
    「蟹の錯覚」は、本研究室が考案した、両手交差によって身体の自己感へ影響を与える錯覚である。一般的な錯覚は、実際の身体をマスクすることで主体感や所有感に影響を与える。一方、自身の身体はむき出しのまま行う「蟹の錯覚」においても、主体感や所有感への影響を示唆する反応が確認されたことから、「蟹の錯覚」は特殊な位置付けの錯覚であるといえる。本稿では、「蟹の錯覚」における視覚刺激に対する運動反応を主体感の変調の指標とし、実験の結果・考察を報告する。
  • sO1-4
    市川淳 (京都工芸繊維大学)
    藤井慶輔 (理化学研究所革新知能統合研究センター)
    長井隆行 (電気通信大学)
    大森隆司 (玉川大学)
    岡夏樹 (京都工芸繊維大学)
    本研究では,生きるうえでの基盤であり,他者に対して良好な関係を図る態度や行動である社会性を,保育園で観察される集団の振る舞いから定量的に評価することを試みた.子どもが音楽に合わせて自由に活動するリトミックを定期的に撮影し,取得した位置データを分析した.結果,6才ごろの活動はそれより前の月齢の活動に比べて他の子どもに向かって近づく頻度が高いことを確認した.本研究は,発達のサポートを検討する保育士に有益な情報を提供することが期待される.
  • sO2-4
    鳥居拓馬 (北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    私たち人がある課題に何度も繰り返し取り組むうちに,その課題をより短時間でより正確に処理できるようになることは熟達化と呼ばれる.著者らの先行研究を踏まえ,身体動作を伴う課題では,正確さを要する課題の要所で身体の自由度を小さくするように,動作全体の自由度を組織化するように運動制御の変容が生じるという熟達化に関する仮説を著者らは立てた.本発表では著者らの仮説を検討すべく行った5日間の投球動作の分析結果を報告する.
  • sP1-24
    村上久 (東京大学)
    井澤玲 (神奈川大学)
    西山雄大 (長岡技術科学大学)
    秋吉政徳 (神奈川大学)
    自身の運動の結果が肯定的であった場合、その運動主体感はより高まることが知られる。近年こうした主体感変調が低次の感覚処理からも生じることが報告されているが、その殆どは聴覚を感覚入力とする。我々は、色を用いた視覚刺激を感覚入力とし、自発的行為に対して異なる感情価を持つ色の提示が主体感に及ぼす影響を検証した。結果、先行研究とは異なり中間的な感情価を持つ色の提示が最も主体感を高めるという傾向が得られ、これを視覚と聴覚の処理速度から考察した。
  • sP1-34
    石原由貴 (名古屋市立大学芸術工学研究科)
    小鷹研理 (名古屋市立大学芸術工学研究科)
    Mirror Visual Feedbackにおいて発生する手の位置・筋運動感覚の錯覚はKinesthetic Mirror Illusion(KMI)と呼ばれている.本研究では手のイメージの想起性がKMIに与える影響を調査するため,手や持ち手の有無などの条件を用いて,KMIの比較実験を行なった.結果,手のイメージの想起性が高いほどKMIの誘起が起こりやすいこと,手を明示せずとも,KMIを誘起することが可能であることが分かった.
  • sP1-38
    廣田章光 (近畿大学経営学部商学科)
    近年、問題が明確でない状況におけるイノベーションの発生が示されている(石井1993,2009,2014, Lester and Piore 2004。その分野の研究の一つであるVon Hippel and Von Krogh(2016)において組合せの構造が示された。本研究はユーザー・イノベーションによる「ナルセペダル」の開発事例をもとに、プロトタイプ、「対話のトライアングル」、「人間中心のポジション」の関係を示す。
  • sP1-45
    児玉謙太郎 (神奈川大学)
    山際英男 (東京都立東部療育センター)
    本研究は全身協調バランス・スポーツ“スラックライン”の熟達過程を調べることを目的とする.特に,基本技能とされる片脚立ちを行っている最中の両手の協調性に着目し事例データで検討した.初心者2名の1か月(週1回×4週間)のトレーニングの前後の両手の協調性を相互再帰定量化分析(再帰率)で定量評価した結果,いずれの参加者も両手の協調性が高くなっていたことが明らかとなった.今後さらに全身の姿勢や認知との関係など詳細に検証していく計画である.
  • sP1-60
    白石壮大 (明治大学理工学研究科)
    嶋田総太郎 (明治大学理工学部)
    集団で運動したときに「この運動は我々が起こしている」と感じる感覚を共同運動主体感という.本研究では,共同作業中の2者の脳波を同時計測し,運動主体感と2者の脳波同期の関係から共同運動主体感の生起に関わる脳領域を調査した.実験の結果,互いに協調し合うほど,共同運動主体感は高まり,β波帯域において頭頂葉の同期が高まった.このことから,共同運動主体感の生起には頭頂葉のβ波帯域の活動が関わると考えられる.
  • sP1-64
    桜井良太 (東京都健康長寿医療センター研究所)
    児玉謙太郎 (神奈川大学)
    The present study aimed to determine whether foot clearance is increased by visual illusion during a step-over task. Four participants were asked to judge the height of three obstacles in different conditions [control (i.e., white plane obstacle), horizontal, and vertical illusion conditions] placed 4 meters away from them and then to approach the obstruct to step over it. They perceived the obstacle to be higher in the vertical illusion condition compared to the other conditions. Similarly, they stepped over 83mm to 195mm higher the obstacles under the vertical illusion condition compared to the other conditions. Our results suggest that application of visual illusion can promote the adoption of a safer stepping-over strategy.
  • sP2-18
    山田雅之 (星槎大学)
    児玉謙太郎 (神奈川大学)
    清水大地 (東京大学教育学研究科)
    大海悠太 (東京工芸大学)
    本研究はアイスホッケー熟達過程における発話の変容過程を可視化した.分析には議論可視化システムであるKBDeXを用いてネットワーク分析を実施した.8日分の発話データを分析した結果,次数中心性が大きく変化する箇所ではスキルの獲得や練習メニューの変容が起きていた.本研究の結果から,コーチはスキルの獲得に応じて支援を変容させていることが示唆され,これらの変容をKBDeXによって閲覧可能であることが示唆された.
  • sP2-20
    清水大地 (東京大学教育学研究科)
    平島雅也 (情報通信研究機構脳情報通信融合研究センター)
    岡田猛 (東京大学教育学研究科情報学環)
    上演芸術において演者はどのように優れた作品を生み出すのか。本研究では、ブレイクダンスの熟達者に対する1週間に渡るケーススタディを実施し、その新奇な技術の創作過程を捉えた。アイデアの発話データ・アイデアの新奇性の自己評価データ・身体運動データ等により創作過程を検証したところ、内的制約を大きく変化させることで新奇な技術を生成したこと、上記の変化にアイデアを具現化する過程が関わっていたことが示唆された。
  • sP2-25
    ヒュース由美 (東京大学学際情報学府)
    工藤和俊 (東京大学情報学環学際情報学府)
    即興演劇は, 事前の相談や決められたセリフがなく, 共演者がどんなアイデアを持ち, 自分に対してどのようなアプローチを仕掛けてくるか全く分からない環境の中で, 即興的に劇を創作する芸術である.本研究では, 実際の即興演劇ライブを撮影したビデオ映像のデータをもとに, セリフと視線行動の関係を分析した結果, 俳優たちは登場人物を演じながら, 劇の重要なポイントで相手のサインを読み取る非言語コミュニケーションを行っていることが明らかになった.