日程

オーガナイズドセッション11 (OS11)

プロジェクション・サイエンスの深化と融合
8月31日(金) 16:00 - 18:30
会場:A棟2F AS251
オーガナイザー:川合伸幸(名古屋大学),米田英嗣(青山学院大学)
  • OS11-1
    招待講演
    戸田山和久 (名古屋大学情報学研究科)
    認知科学はこれまで,外部からの入力がどのように処理,貯蔵,利用されるかを主に研究してきたが,人は作り上げた表象をもう一度自らの外に投射=プロジェクションする.しかし,このような過程はプロジェクション・サイエンスの専売ではない.心的表象がいかにして世界の中の何かを「意味する」ことができるのか,というのは哲学の大問題で,psychosemanticsと呼ばれている.本講演では,この問題について論ずる.
  • OS11-2
    公募発表
    小鷹研理 (名古屋市立大学芸術工学研究科)
    主観的な重力反転を促進する因子を同定することは、幽体離脱の認知機構の解明につながるだけでなく、Virtual Reality空間において、アバターに身体のイメージを投射するうえでの設計論を検討するうえでも重要である。本研究では、HMD環境を使った二つの被験者実験を行い、被験者の姿勢と、呈示されるアバターの身体の向きが、重力反転の生起しやすさに影響するという結果を得たので、これを報告する。
  • OS11-3
    公募発表
    佐藤優太郎 (情報科学芸術大学院大学)
    石原由貴 (名古屋市立大学芸術工学研究科)
    小鷹研理 (名古屋市立大学芸術工学研究科)
    「蟹の錯覚」は、本研究室が考案した、両手交差によって身体の自己感へ影響を与える錯覚である。一般的な錯覚は、実際の身体をマスクすることで主体感や所有感に影響を与える。一方、自身の身体はむき出しのまま行う「蟹の錯覚」においても、主体感や所有感への影響を示唆する反応が確認されたことから、「蟹の錯覚」は特殊な位置付けの錯覚であるといえる。本稿では、「蟹の錯覚」における視覚刺激に対する運動反応を主体感の変調の指標とし、実験の結果・考察を報告する。
  • OS11-4
    運動模倣における自閉スペクトラム症患者の自己視点戦略
    ※大会ホームページでの公開が許可されていません
    公募発表
    川崎真弘 (筑波大学システム情報系知能機能工学域)
    米田英嗣 (青山学院大学教育人間科学部教育学科)
    船曳康子 (京都大学人間・環境学研究科)
    本研究は自閉スペクトラム症(ASD)患者と定型発達者の運動模倣の方略の違いを特定することを目的とした。運動模倣時に反応時間と脳波を計測した。聞き取り調査の結果、運動模倣時にASD患者は心的回転、定型発達者は視点取得の方略を用いることが分かった。この方略の違いは反応時間と脳波の結果からも確認できた。以上の結果は、他者視点で模倣する定型発達者とは違い、ASD患者が他者の行動を自己視点に合わせるプロジェクションを用いて模倣することを示唆する。
  • OS11-5
    感情が含まれた他者視線の印象形成に社交不安傾向が与える影響
    ※大会ホームページでの公開が許可されていません
    公募発表
    都地裕樹 (明治大学理工学部/日本学術振興会)
    嶋田総太郎 (明治大学理工学部)
    社交不安症者は他者の表情を脅威として処理を行う偏向が報告されており,他者視線は社交不安を引き起こすことが知られている.本研究では,感情の強度を変化させた幸せ,嫌悪の感情を含む他者視線の印象形成に社交不安傾向が与える影響について調査を行ったところ,低社交不安傾向者は嫌悪の感情が含まれる他者視線に対して,高社交不安傾向者はあいまいな幸せの感情や嫌悪の感情が含まれる他者視線に対してネガティブな印象を抱くことを明らかにした.
  • OS11-6
    公募発表
    久保(川合)南海子 (愛知淑徳大学)
    本研究では、いわゆるオタクの創作活動として広くみられる「二次創作」を題材に、異投射と虚投射としてそれらを解釈することで、プロジェクションについて考察する。二次創作の作者と読者の相互の交流は活発であり、双方向のプロセスを経ることで個人の異投射はより強化され、多くの人で共有される虚投射となる。これまで投射の共有や遷移についてあまり着目されてこなかったが、それらの視点から宗教や芸術活動などについても検討する。
  • OS11-7
    パネルディスカッション
    川合伸幸 (名古屋大学情報学研究科)
    米田英嗣 (青山学院大学教育人間科学部教育学科)
    戸田山和久 (名古屋大学情報学研究科)
    鈴木宏昭 (青山学院大学教育人間科学部)
    嶋田総太郎 (明治大学理工学部)
    久保(川合)南海子 (愛知淑徳大学)
    小鷹研理 (名古屋市立大学芸術工学研究科)
    ・セッションを開催した。2017年は100人を超える参加者があり、プロジェクション・サイエンスに関心が集まりつつある。これまでの企画は、プロジェクション・サイエンスとは何か、なにを目指すものかを説明するものであったが、今回のオーガナイズド・セッションでは、哲学者による招待講演とパネルディスカッションを企画し、認知科学以外の領域との研究交流をはかり、哲学や社会学との融合を目指す。