日程

オーガナイズドセッション4 (OS04)

認知ミラーリングと社会的認知:気づかれにくい障害の理解と支援
8月30日(木) 8:40 - 11:10
会場:A棟2F AS252
オーガナイザー:伴睦久(東京大学),熊谷晋一郎(東京大学)
  • OS04-1
    招待講演
    長井志江 (情報通信研究機構脳情報通信融合研究センター)
    本稿では,新たな発達障害者支援技術として「認知ミラーリング」を紹介する.計算論的手法を用いて,発達障害者の認知機能を鏡のように映し出し観測可能にすることで,感覚・運動レベルの非定型性が社会性の問題に与える影響を解明し,障害の自己理解や周囲による困難さの共有を促進することができる.本稿では,認知ミラーリングの設計原理とそれによる効果,そして本課題に取り組む学際融合プロジェクトを紹介する.
  • OS04-2
    招待講演
    井手正和 (国立障害者リハビリテーションセンター 研究所)
    自閉スペクトラム症(ASD)者の多くは、外界の多種多様な刺激に過剰に反応する感覚過敏をもつ。著者らは、ASD者が高い課題成績を示す感覚情報処理に着目し、感覚過敏の神経生理機序を検討してきた。他者からの共感が得にくい感覚の特性について、定量的データを用いて説明することで、理解が深まる様を目の当たりにしてきた。本稿では、当事者との対話から明らかになってきた、感覚特性と共存するその内的世界を論じる。
  • OS04-3
    自己を語る言葉とリカバリー:当事者研究の視点から
    ※大会ホームページでの公開が許可されていません
    招待講演
    綾屋紗月 (東京大学先端科学技術研究センター)
    当事者視点で回復を再定義する「リカバリーアプローチ」と社会の偏見や差別に介入する「アンチスティグマアプローチ」は、1990年代以降の精神保健改革を特徴付ける概念だが、日本の当事者研究も同じ文脈で注目されている。本講演では既存の自閉スペクトラム症概念がいかにセルフスティグマを助長しうるか、そして固有の身体性とエピソードの共同解釈がいかに当事者の生きやすさに繋がるか、当事者研究の観点から考えていく。
  • OS04-4
    公募発表
    小嶋暁 (静岡大学総合科学技術研究科)
    紅林優友 (静岡大学情報学部)
    森田純哉 (静岡大学情報学部)
    本研究は,コミュニケーションがどのような要因によって成立するかを分析した.特に,コミュニケーションに影響する個人特性として,自閉症スペクトラムに焦点を当てる.単純な人工言語を生成するコミュニケーションゲームを実験環境とし,自閉症スペクトラム指数 (AQ:Autism Spectrum Quotient) とゲームから得られたデータとの対応づけを行う.結果として,自閉症スペクトラム傾向は,コミュニケーションゲームにおいて,有効に働いた.
  • OS04-5
    公募発表
    渥美裕貴 (名古屋大学情報学研究科)
    横矢真悠 (パナソニック株式会社)
    山田和範 (パナソニック株式会社)
    岡田直人 (名古屋大学情報学研究科)
    汪雪婷 (名古屋大学 情報学研究科)
    森田純哉 (静岡大学情報学部)
    上出寛子 (名古屋大学未来社会創造機構)
    榎堀優 (名古屋大学情報学研究科)
    間瀬健二 (名古屋大学情報学研究科)
    当研究では、認知機能と身体機能、とりわけ歩行に関わる課題を同時に課す心身マルチタスクトレーニングが高齢者の認知機能に与える影響を検証した。歩行支援ロボットを用いた歩行と信号検出課題を用いた心身マルチタスク介入実験を行い、介入課題である信号検出課題と類似した認知能力課題 (TOVA課題) について、対照群であるST群に比してMT群で向上効果が高いことを検証し、心身マルチタスクが認知能力の向上に有効である可能性を示した。