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日本認知科学会

入会のご案内

文学と認知・コンピュータII(SIG LCCII)

本研究分科会の目標は、文字通り人文科学における代表的な存在と、認知科学やコンピュータサイエンス(特に人工知能)を結合した、新しい学際的な研究領域を構築することです。いわゆる文系と理系の融合は単なるお題目ではなく当然の前提であり、文学を巡る学際的アプローチ、認知科学や人工知能方法論の文学領域への拡張、文学領域からそれらへの進出、既存の文学研究や領域分割にとらわれない文学作品の実験や実作、文学表現・創造の新しい可能性の開拓、等々、新しい研究と創造の世界を構築して行くための、様々な話題を自由に議論できる刺激的で生産的な場にすることを目指しています。
なお本分科会は、1998年夏から2001年初冬にかけての第一期「文学と認知・コンピュータ研究分科会」を引き継ぐもので、そのためLCCIIの最初の定例研究会は第一期からの通算で第13回からスタートしました。第一期期間中には、年4回の定例研究会や2000年の認知科学会冬のシンポジウム、認知科学会や人工知能学会におけるワークショップやシンポジウム、その他の臨時研究集会、数度に渡る国際ワークショップが開催されました。
その成果は、予稿集以外にも、認知科学会学会誌(第8巻第4号)特集「文学と認知・コ ンピュータ」(2001年冬)に集成され、現在も関係者による著作の編集・執筆作業が進められています。
この第一期LCCの成果は多彩で多岐に渡りますが、これらをひとつの「文学システム」という観点から次のように俯瞰的に整理してみることが出来ます―(1)文学的テクスト(言語テクスト、映像テクスト、音楽テクスト)の理解過程に関する心理学的分析や実験、その計算モデルやシステムのデザインと開発、(2)文学的テクストの制作過程(生成や編集)のモデルやシステムのデザインと開発、(3)ハイパーテキストなどメディア技術を援用した読解や制作(小説、マンガなど)の実験、(4)文学的テクストの文章、表現、比喩等の修辞の解析と生成、(5)ビジネスさらに制度や社会システムとしての文学への視角、(6)様々な文学的知識や理論の情報学的な再構成(プロップの物語内容論,ジュネットの物語言説論、ヤウス&イーザーの受容理論、シクロフスキーやブレヒトの異化、バフチン→クリステヴァの間テクスト性等)。
第二期では、この諸成果(諸要素)が有機的に絡まり合う「文学システム」の構想と構築を大目標とします。その中には,物語その他の文学的テクストの生成-理解システムやマルチメディア表現システムのような技術的システムが含まれるだけでなく、文学のビジネスシステムや研究・教育・批評などに関わる社会制度的システムも含まれます。所属や専門分野を問わず、多くの方々の参加をお待ちしています。