研究分野
研究法・統計
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OS2-3-5公募発表心理学研究コミュニティ「あいまいと」では,研究者と市民が持つ些細な好奇心である「研究のたね」を起点に対話が広がり,研究プロジェクトに発展している。2025年7月で3件の研究が進行し,うち1件は査読付き国際雑誌に採択。本稿では設立背景,クラファンやDiscordの活用,研究内容を紹介し,コミュニティサイエンスの効果・課題・解決案を議論する。また,あいまいとの特性(ファンコミュニティが基盤にある研究コミュニティ)を考察し展望を論じる。
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O3-1あらゆる経験は「経路」の概念で理解でき,我々の生は多数の経路の織りなすメッシュワークとして捉えられる.経験の全体性を経路として読み解くためのケーススタディとして,筆者の長男を対象とした二人称研究を構想する.研究方法は,長男の日常的な成長や変化を簡単に記録する「Kuya Diary」と,街歩きにおける発話や行動を多面的に記録する「Kuya Stroll」から成る.本稿では2025年6月末時点での研究の進捗を報じ,その方法について検証する.
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P1-46内面的な類似性が友人関係に影響を与えるということが先行研究より示されている一方で,外見の類似性が友人関係に与える影響についてはまだ検証されていない.本研究では,友人同士の顔の類似性の有無を検証した.その結果,友人同士には有意な顔の類似性が存在することが示された.また,内面的な類似性が顔の類似判断に有意な正の影響を与えることが明らかになった.さらに,怒りと嫌悪の表情の不一致が顔の類似度を上昇させる傾向が見られた.
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P1-50本研究は,AIが与える情報と人間の専門家が与える情報の解釈の相違を検討した.実験では,参加者は“企業の株価が上昇する見込み”に関する情報として様々な確率値を与えられ,それらの確率値が情報としてどの程度参考になるかを,情報がAIから与えられた場合と人間の専門家から与えられた場合のいずれかで評価した.分析の結果,AIの与える情報の評価の際,人間の専門家が与える場合よりも低い事前確率が見込まれる点,情報自体の影響も弱い点が明らかになった.
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P3-24人の心的立体の認知過程を調べる課題の一つとして、一対の画像上の立体の回転合同性を判断する心的回転課題がある。画像上の立体には奥行情報が欠損する不良設定性があるため、無数の可能立体の対を特定する潜在的な計算複雑さがある。しかし、経験的には心的回転の反応時間が立体対の最小回転角に比例するため、認知計算上はそうした対応問題を直接は解いていないと考えられる。本研究は、こうした理論と経験の乖離を解消するため、心的回転の計算論的モデルを提示する。
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P3-26複数の選択肢に対して回答者が順序を伴った評価を与えるアンケート・投票等について、適切な選択を行うために、その評価の正確な理解と分析のための方法を、回答者による入力と結果の分析の両面で提案する。本提案手法では、回答者はネガティブな評価も柔軟に入力することが可能であり、標準スコア投票方式の改良として、各回答をZスコアに直したあと、外れ値の影響を低減するための中央値の採用や、偏りを示すエントロピーやカルバック・ライブラー情報量を利用する。