研究分野

学習

  • OS01-3
    公募発表
    菅井 篤 (静岡福祉大学)
    本研究では,学習を誰かからの観察によってつくられる変化(有元,2013)だと捉え,国際バカロレア(IB)教育を捉えなおし,IBへの批判的な検討を試みた.IBを履修する小学生の保護者へ自由記述式の質問紙調査を実施し,日常の実践でのキーコンセプトの活用が,どのように保護者によって観察されているのかを探っていった.これらのことを通して,IBは,日本の教育を改めて評価し改善していくための,ひとつの視点であるという提案がなされた.
  • OS01-4
    公募発表
    田坂 逸朗 (青山学院大学)
    会合のプログラム「ワールドカフェ」において,その特徴である成員の途中組み替え(“席替え”)が,どのように対話過程に影響を与えるのかを分析した.結果,席替えで,前の談話の体験を伝える機会がもたらされ,そのことが主張を後退させ,創発的な応答を増さしめるということがわかった.また,社会実践としてのワールドカフェの検討では,終盤までに「意見共存」の状態がつくられることで,さまざまな目的に合致した成果が得られると考察した.
  • OS05-2
    公募発表
    長島 一真 (静岡大学)
    森田 純哉 (静岡大学)
    竹内 勇剛 (静岡大学)
    Marrによれば個々の認知モデルは複数の水準からなる階層に位置づけられる.同一の対象に対して,複数の階層のモデルを統合することで,対象の総合的な理解が導かれる.そこで本研究では,好奇心を対象とした複数の階層のモデルを比較検討する研究を行った.下層の実装水準のモデルとして深層強化学習,中層のアルゴリズム水準のモデルとしてACT-Rモデルを選択した.その結果,これらのモデル間で整合する特徴が現れた.
  • OS14-5
    公募発表
    田中 吉史 (金沢工業大学)
    音楽大学の作曲課程の教員2名に対するインタビューから、音楽大学での作曲の指導がどのように行われているのかを検討した。作曲指導は(1)作品創作に対する指導、(2)より多くの音楽作品・芸術作品に体系的に接することを促すこと、(3)作品の実演などより実践的な経験をする機会の設定、の3種に大別された。レッスンの方略について、言語化によるメタ認知の促進、Geneploreモデル、社会的・文化的文脈の変化などの観点から分析を試みた。
  • OS14-6
    公募発表
    荷方 邦夫 (金沢美術工芸大学)
    参加者の協働による共創的活動の中で,メンバー同士の共愉的な関与によって積極的に活動に関与し,相互のリソースを提供しながら目標の達成に向かうと指摘されている. 本研究では共創的な活動を伴うデザイン教育の実践の中で,どのような性質が活動を促進するか検討を行った.結果として(1)コミュニティへの参加を共愉的に促すスキャフォールディング。そして(2)協働による創造を促すスキャフォールディングが観察された.
  • P1-011A
    山川 真由 (名古屋大学)
    小島 一晃 (帝京大学)
    横山 真衣 (帝京大学)
    三輪 和久 (名古屋大学)
    本発表では,心理学の授業における実験とシミュレーションを併用した授業デザインを考案し,大学生を対象に行った実践について報告する.この授業では,系列位置効果の実験を題材とした.授業は,受講者自らが実験参加者となって実験に取り組む回と,シミュレータを使った仮想実験を実行する回,実験結果を考察する回で構成された.実験結果に対する受講者の考察,およびシミュレータを使った仮想実験の内容について議論した.
  • P1-014
    能城 沙織 (木更津工業高等専門学校)
    欧米を対象とした、配偶者選択における社会学習に関する実証実験において、魅力的な個体の選択は模倣されやすいという結果が多く出ている。本研究では、配偶者選択における社会学習行動が人類に普遍的な行動なのかを明らかにすることを目的に、これまで実験の対象となっていなかった日本人においても、同様の傾向が見られるのかを調べる実験を行った。実験の結果、日本人においても欧米と同様の傾向が認められ、本行動の普遍性が示唆された。
  • P1-022A
    佐宗 駿 (東京大学大学院)
    岡 元紀 (東京大学大学院)
    植阪 友理 (東京大学高大接続研究開発センター)
    学習者の理解の深さを定量的に診断できれば,学習内容の深い理解に向けた学習・指導改善へと繋がる。本研究では,認知診断モデルという数理モデルを活用して,理解の深さの定量的評価を試みた。認知診断モデルでは,Q行列の作成が肝になる。そこで,学校教師と研究者が共同で行ったQ行列作成過程を示すことを目的の一つとした。さらに,認知診断モデルから得られた推定結果がどのように学校教師に受け止められるかをインタビューを通じて明らかにした。
  • P1-048
    髙木 紀久子 (東京大学大学院総合文化研究科)
    王 詩雋 (東京大学大学院教育学研究科)
    岡田 猛 (東京大学大学院教育学研究科)
    We developed the following design principles for a STEAM program for higher education which is considered to be insufficient in research and practice based on previous studies on artistic creation: 1) teach the knowledge about the creative process of art; 2) teach the method of PROBE, which focuses on physical activity; and 3) let the students spontaneously use this knowledge to create artworks. By implementing those design principles, we taught a STEAM course combining art and psychology at our university. We collected data on the students' coursework and conducted a follow-up interview one year after the course finished. The analysis of interview data showed that this course positively influenced students' creative activities.
  • P1-051
    髙橋 麻衣子 (東京大学先端科学技術研究センター)
    中学1年生の数学科の授業において活動をベースにした学習(ABL:Activity Based Learning)を実施した。生徒に「限られた道具を用いて校舎の高さを測定する」活動を提示したところ,校舎内の階段の長さを1段ずつ測定するという直接的な測定から,校舎と基準物の写真から比によって求めるという間接的な測定まで多様なアイデアが生成され実施された。活動の結果,生徒の数学学習への意欲の向上や数学と生活の結びつきへの気づきが得られた。
  • P1-057A
    米田 凌 (静岡大学)
    西川 純平 (静岡大学)
    長島 一真 (静岡大学)
    森田 純哉 (静岡大学)
    寺田 哲也 (マツダ株式会社)
    本研究では,単調な知覚運動課題を用いた実験によって,覚醒水準に影響を与える飽きや環境要因を調査した.実験は3つ実施した.最初の実験では,環境要因が覚醒度へ与える影響を調べた.次の実験では,環境要因となる刺激を途中で切り替えることで,覚醒度の制御を試みた.最後に,課題実施中の心拍を計測した.その結果,刺激の効果は解釈が困難のものとなったものの,課題に対する習熟と飽きの効果が確認された.
  • P1-058
    小島 隆次 (滋賀医科大学医学部)
    本研究は、バーチャルアバターを用いた授業動画の学習者への効果に関して、バーチャルアバターのジェスチャーがもたらす効果を検討した。その結果、バーチャルアバターの適切なジェスチャーは授業動画の視聴しやすさ評価に効果があることが示された。また、学習者が授業動画において、教授者の振る舞いの自然さなどの要素を重視するのか、あるいは授業で伝達すべき情報を重視するのかによって、バーチャルアバターのジェスチャーに対する評価が異なることも示唆された。
  • P2-002
    福永 征夫 (アブダクション研究会)
    中間の世界の論理とは,時間の情報が主成分の演繹による貫く推論(XorY)と,空間の情報が主成分の帰納による連ねる推論(XandY)が,互いに相補的に接合し合って,時空間の情報をアブダクションという高次の推論で統合し,世界の今ここにおいて存在し生起する事物や事象の情報を,高深度・広域・高次のストーリー線として自己完結的に自己組織化していく,自然や社会のシステムの循環と融合の論理のことである.
  • P2-008A
    竹田 琢 (青山学院大学社会情報学研究科科目等履修生)
    振り返り活動場面において雑談に注目した分析を行った結果, 1)雑談が志向性を共有する余白を生み出し, 全員で新たなトピックに参加することを可能にしていること, 2)雑談を一緒に抜け出すことで志向性を共有して新たなトピックに参加することを可能にしていること, 3)雑談を通じて教員の教示・依頼を無視することで主体的な開始を可能にしていることが明らかになった. 雑談への介入が参加者の主体性を発揮する機会を剥奪する可能性について考察を行った.
  • P2-015
    山田 雅之 (九州工業大学)
    大海 悠太 (東京工芸大学)
    遠山 紗矢香 (静岡大学)
    本研究は選手が自身の熟達過程で得られたデータについて可視化したい情報を試行錯誤的に選択可能な自己調整型のシステムの開発を目指し,アイスホッケーシュートスキルのトレーニング場面を対象として,協調的な対話がどのように機能したかを検討した.実験は,大学体育会のアイスホッケー部員2名を対象に5回実施した.結果から,被験者の「膝」に関する発話をきっかけに,膝が深く曲がり,腰が下がるという変化につながった可能性が考えられた.
  • P2-030A
    千田 真緒 (東京都市大学大学院)
    岡部 大介 (東京都市大学)
    市野 順子 (東京都市大学)
    大学生は,どのようにスマートフォン(以下,スマホ)とともに日常会話空間をつくりあげているのかを考察した.その結果,大学生の日常会話空間のひとつである「空きコマ」における2者間の会話は,小刻みなスマホ利用によって「調整」されていることが見いだされた.「スマホいじり」とともになされる雑談は,観察された大学生の相互注視によって,スムーズに行われていた.
  • P2-034A
    田澤 龍之介 (北陸先端科学技術大学院大学)
    鳥居 拓馬 (北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    多自由度・高次元系の運動制御に強化学習手法が適用されている.強化学習は,報酬を最大化する制御則を学習する枠組みである.報酬をコスト関数とすれば,最適制御の枠組みと近い.制御器が取り得る軌道は無数に存在する.無数の軌道から 1 つを選択する,つまり不良設定問題は最適制御における最大化問題である.本研究は,不良設定問題を解決する身体運動の制御機構を基に,多関節制御器のための新たなカリキュラム学習の枠組みを提案する.
  • P2-049
    美馬 義亮 (公立はこだて未来大学)
    数学学習のような抽象的な概念を学ぶとき,学習者は,教科書の記述を追い,演繹的な思考を繰り返して,思考モデルの運用能力を獲得することができる.このような方法で,学習者は個人の努力では難しい抽象的な思考様式を身につけることができる反面,概念獲得が不成功に終わる事例も多い.抽象的な概念の獲得を確実に行うことは,学習意欲にもかかわる.本報告では,抽象的な概念の学習で何が起こるのかについて,圏論で用いられる可換図式を用いながら考察をおこなう.
  • P2-056
    西原 三貴 (神戸大学)
    巽 智子 (神戸大学)
    本研究では、6~8歳の日本語単一母語話者の子どもを対象に、言語習得過程に見られる過剰一般化について人工言語を用いた実験を行った。 分析の結果、新規の冠詞学習についての正答率に関して、年齢による有意傾向が見られることが確認された。また、過剰一般化の傾向について、練習頻度が高い方の冠詞に過剰一般化することが確認された。
  • P2-060
    山田 敏幸 (群馬大学共同教育学部英語教育講座)
    本研究は第一言語獲得が肯定証拠のみに依ることを踏まえて、第二言語学習者の文法的誤りは否定証拠がなくても減少するのかを検証する。71人の日本人英語学習者が、訂正フィードバック無しの自由英作文を行なった。結果は、1年度の期間において、文法的誤り率が後期の方が前期よりも低かった。この傾向は冠詞や数一致には見られ、前置詞や時制には見られなかった。明示的な指導がなくても暗示的な学習が起き得ることを考察する。
  • P2-062
    大橋 秀也 (千葉大学)
    岩淵 汐音 (千葉大学)
    松香 敏彦 (千葉大学)
    これまでのカテゴリー学習に関する研究では、実験者が実験参加者に特定の特徴セットを提供したり、カテゴリーのラベルかつ部分的な特徴次元の情報を提供したりするなど、学習の対象は実験者が選別し、学習者においては受動的な学習が行われていた。本研究では、学習者がどのような情報を得たいか自由に選択できる課題を用い、能動的なカテゴリー学習時に学習者がどのような情報希求行動を行うかを検討した。
  • P2-063
    近藤 秀樹 (神田外語大学)
    遠山 紗矢香 (静岡大学)
    大﨑 理乃 (武蔵野大学)
    山田 雅之 (九州工業大学)
    本研究では,インフォーマルな学習の共同体が外的要因によってその継続が困難となった際に,他の共同体と合流することによって活動を継続するよう学習環境をデザインした事例を対象に,活動の特徴を抽出した.二つの共同体の重なりに焦点をあてた学習環境をデザインすることで,活動が持続可能であることが示唆された.活動が継続することによって,離脱したメンバーが復帰を希望する場面も見られたことから,求める学習環境を再構成することができた可能性が示された.