研究分野別一覧

運動

  • O1-3
    清水 大地 (東京大学)
    岡田 猛 (東京大学大学院教育学研究科)
    演者間の関わり合いは上演芸術の魅力の一つとされる。近年、同期による検証が行われているが、複数の表現チャンネルの協調の検討は十分に行われていない。本研究では、複数チャンネルにおける動的な関わり合いを捉える枠組みを提案し、ダンサーのバトル場面を対象にリズム運動と空間内の移動とに着目し、有用性を検討した。位相解析の結果、各チャンネルにおいて協調が生じること、協調間に高次の対応が見られること、協調・対応関係が文脈に基づき変化することが示された。
  • O2-1
    市川 淳 (神奈川大学)
    藤井 慶輔 (名古屋大学)
    本研究では,複雑で動的な運動協調における役割について実験的に検討した.3人1組で各自がリールを回して糸の張りを調整し,3本の糸につながれたペンを移動させて正三角形のモデルをなぞる課題を行わせ,糸の張力やペンの位置を計測した.線形混合モデルによる回帰分析の結果,より早くなぞり終えるパフォーマンスの向上には,他者のリール操作によってペンが逸脱しないように適宜,糸の張りを調整して全体の協調を保つバランサーの役割が関連することが示唆された.
  • O4-3
    鳥居 拓馬 (北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙 昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    人間の幼児はよく似た動作の背後にある他者の意図や目的の違いを識別できる.先行研究では身体を力学系とみなすとき,動作のフラクタル次元が意図や目的の違いを識別するのに有用な特徴であることを示した.本発表では意図や目的の違いの識別に加えて,意図や目的の同定(同一性判断)にも有効かを数値シミュレーションで検討した.本研究の結果は,意図や目的レベルでの同一性認識への有効性を示唆する.
  • P-25
    大西 紗瑛 (大阪府立大学 人間社会システム科学研究科)
    飛田 国人 (大阪府立大学 人間社会システム科学研究科)
    牧岡 省吾 (大阪府立大学 人間社会システム科学研究科)
    身体化認知の枠組みに基づいて,意味記憶が運動と処理資源を共有するという考えが提案されてきた.本研究の目的は,手で操作可能な物体の操作的知識に対して運動シミュレーションが与える影響とそのメカニズムを明らかにすることである.本研究では単語刺激を用い,手で操作できる物体の意味処理を行う際に身体拘束がどのような干渉効果を及ぼすのかをNIRS(近赤外分光法)を用いて計測した.
  • P-26
    笹木 海志 (京都工芸繊維大学)
    来田 宣幸 (京都工芸繊維大学)
    深田 智 (京都工芸繊維大学)
    西崎 友規子 (京都工芸繊維大学)
    本研究では,仮想現実における「視点の変換」によって人間の思考や行動が変化する可能性があることに着目した.実験参加者には,「仮想現実内で視点が高くなる」体験をさせ,その際,言語教示として「巨大化」と「浮遊」の二通りの捉え方を与えた.その結果,この2つの言語教示によって行動が異なる可能性があることが示唆された.またこの言語教示の違いによる行動の変化には,実験参加者の想像力の影響があることも分かった.
  • P-38
    板垣 寧々 (早稲田大学大学院人間科学研究科)
    谷貝 祐介 (早稲田大学大学院人間科学研究科)
    古山 宣洋 (早稲田大学人間科学学術院)
    本研究では,ヴァイオリン演奏経験者6組12名の頭部動作を用いてグレンジャー因果性分析を行い,演奏中のリード関係の有無と,その決定要因を検討した.その結果,統計的因果性が有意になったデータは,計36データのうち10データであった.また,ペア内のソーシャルスキル得点の高低と関連がみられたデータが7データあった.以上より,同パートの演奏においてもリード関係が存在し,その要因としてソーシャルスキルが影響を及ぼす可能性が示唆された.
  • P-43
    児玉 謙太郎 (東京都立大学)
    山際 英男 (東京都立東部療育センター)
    安田 和弘 (早稲田大学)
    本研究はスラックラインのコツについて,初級者と上級者を比較し明らかにすることを目的とする.スラックラインとは,ベルト状の綱の上で全身を協調させてバランスをとるスポーツであり,近年,バランス・トレーニングとしても注目されている.そのコツとして,両手の協調性に着目し,両群を比較した結果,上級者の方が片脚立ちをしている最中の両手が協調していることが示された.今後,熟達のコツや知覚・認知との関係を調べることで,リハビリなどへの応用に繋げたい.
  • P-47
    山本 尚樹 (立教大学 武蔵野美術大学)
    本研究では,ろくろ挽きという同じ木の加工技術を用いつつも,異なる作風をもつ木工作家2名の制作過程について,道具に着目しながら制作の様子を分析した。その結果,制作物に応じて,作家が道具を設えていること,また制作プロセスに質的に異なる変動が見られた。
  • P-53
    渡部 悠也 (電気通信大学 大学院情報理工学研究科 機械知能システム学専攻)
    阪口 豊 (電気通信大学)
    本研究では,武術的立位「垂直離陸」の機能的意味を理解することを目的とし,重心動揺及び筋活動を解析した.床反力中心(COP)を計測し,時系列解析を行った結果,垂直離陸では静的安定性が低下,動的安定性が向上していることが明らかになった.また,筋活動解析の結果から,膝関節の伸展と屈曲を行う筋の同時活性が確認できた.これらの結果は,垂直離陸が前後方向の身体動揺を抑え左右方向で増やすことで身体動揺パタンを変化させることを示唆する.
  • P-81
    三浦 慎司 (名古屋大学)
    川合 伸幸 (名古屋大学)
    音楽コンサートや映画鑑賞において,アーティストや作品の登場人物に向けて発光する棒 (ペンライト) を振ることがあるが,この身体運動は人物の評価を高めるのだろうか.本研究では、ペンライトを前に振る/ペンライトで肩を叩きながら競技アニメを視聴させた前後に登場人物の評価をさせたところ,前方に振ったほうが登場人物の魅力が高まることが示された.この結果は,前に振る運動が登場人物に対する接近動機づけを高めることが原因であると考えられた.
  • P-96
    岡田 莞助 (名古屋市立大学大学院)
    小鷹 研理 (名古屋市立大学)
    我々は、これまでに、足をつっぱる方向の筋運動に対して、仮想空間上の脚のイメージが伸張する場合も、収縮する場合も等しく伸縮感覚が誘導されるという知見を得ている。本稿において、筋負荷と主体感を分離することを目的に、脚入力に加え指入力による脚の伸縮感覚への効果を検証した。結果、順逆等価の効果が指入力では成立しないことがわかった。これは、脚の伸縮錯覚に筋負荷が積極的に関与していることを示唆するものである。
  • P-99
    宝田 悠 (東京電機大学)
    福地 庸介 (慶應義塾大学)
    今井 倫太 (慶應義塾大学)
    高橋 達二 (東京電機大学)
    本研究ではロボットと人間の協働を前提に, Fukuchi et al. が提案するPublicSelf モデルが生成する, エージェントの目標を人に伝達する動きである legible motion が, 情報の非対称性が発生する場面において効果的に動作するかを検証した. 結果, 情報の非対称性を考慮することによって人のエージェントに対する主観的評価を向上することができた。
  • P-104
    千葉 哲志 (千葉工業大学大学院)
    山崎 治 (千葉工業大学)
    本研究では、「ポジション」と「アクション」という運動手順の分離が運動主体感や身体所有感の形成にどのような影響を与えるかについて明らかにすることを目的とした。実験では、VR空間上に表示される片手アバタをハンドトラッキング操作によって指定された領域に移動させると共に、指定された手アバタの形を作る課題を行った。その結果、運動手順が分離された場合、運動手順が統合された場合よりも身体所有感が低下することが明らかになった。
  • P-105
    小林 晶 (立命館大学大学院情報理工学研究科)
    松室 美紀 (立命館大学情報理工学部)
    柴田 史久 (立命館大学情報理工学部)
    木村 朝子 (立命館大学情報理工学部)
    本研究では,身体の視覚的位置変更が身体のメンタルモデルにどのような影響を与えるかを検討した.複合現実感技術を用いて,腕の位置を変更した映像を作成し,その映像を提示しながら単純な動きを繰り返し行わせた.その前後で同じ課題を行わせた結果,課題中の身体の動きが変化した.これより,身体の視覚的位置を操作してトレーニングを行うことにより,身体のメンタルモデルにおける身体の位置関係が変化する可能性が示された.
  • P-107
    西村 宏武 (京都工芸繊維大学)
    岡 夏樹 (京都工芸繊維大学)
    田中 一晶 (京都工芸繊維大学)
    我々は人の社会的行動のメカニズムを構成的に解明することを目指している。本研究では、マルチエージェント鬼ごっこ環境における鬼側の深層強化学習エージェントの追いかけ動作と、人の追いかけ動作を比較した。移動エントロピーを指標として両者の間の相違点を検討したところ、興味深い違いが見つかった。今後はこの差異の原因を明らかにし、エージェントを人に近づけていくため、エージェントの設計仕様や差異の評価指標を再検討する。
  • P-112
    山田 雅之 (九州工業大学)
    大海 悠太 (東京工芸大学)
    遠山 紗矢香 (静岡大学)
    梅田 梨絵 (星槎大学大学院)
    本研究は,子供の逆上がりスキルの獲得過程に対して,運動アナロゴンの獲得も目指しスイング遊びを実践しつつ,身体知のメタ認知を実践した.分析はパフォーマンス分析と,発話と動作の見えるシステムを活用した.本研究の分析の結果から対象とした被験者は逆上がりができるようにはなっていないものの,スキル獲得の過程として足を蹴り上げている様子がインタビューと動作解析の結果から示唆された.
  • P-124
    樋田 浩一 (東北大学)
    山本 浩輔 (東北大学)
    齋藤 五大 (東北大学)
    坂本 修一 (東北大学)
    オーケストラの奏者たちは,奏者間の物理的な距離によって生じる音速の遅延を克服し,どのようにして楽団全体のタイミングに合わせて演奏しているのであろうか.インタビュー調査を実施した結果,離れた位置の奏者の演奏音は恒常的に遅れて聞こえてきていること,プロはその遅れにはつられないように練習していること,タイミングのずれの検出にはコンサートマスタの動きといった視覚手掛かりを利用していることが明らかとなった.
  • P-126
    畑野 圭佑 (電気通信大学 大学院情報理工学研究科 機械知能システム学専攻)
    阪口 豊 (電気通信大学)
    主観的な感覚が身体運動に与える影響を明らかにするため「まるで〇〇であるかのように感じながら身体を動かす」という教示における身体運動をモーションキャプチャ及び表面筋電図により計測した.右上肢を用いた鉛直方向の到達課題において,「手の動きが直線的になるよう上に動かす」「上から吊られているように感じながら動かす」という二つの指示における運動を計測すると,いずれも直線的な手先軌道が実現された一方で,条件間では関節や筋の使い方に違いが現れた.
  • P-142
    小鷹 研理 (名古屋市立大学)
    本稿では、指サックをはめてもらうだけで、被験者が単独の状態で試行することのできる、全く新しいタイプのセルフタッチ錯覚の誘導法を報告する。被験者実験(N=38)によって、能動課題において、時間経過に伴う錯覚の学習効果を確認した。加えて、能動課題における錯覚の感度と共感尺度とが非常に強いレベルで正の相関関係にあることがわかった。本結果は、神経可塑性の発動において共感の機能が動員されていることを示唆するものである。
  • P-147
    金谷 悠太 (名古屋大学情報学研究科)
    川合 伸幸 (名古屋大学)
    怒り感情を、あたかも物理的な対象のように捨てることはできるのだろうか?本研究では、侮辱によって参加者に怒りを喚起させ、参加者はその気持ちを思い出しながら紙に記入した。その後、その紙を保持、またはごみ箱に廃棄させた。紙を廃棄した条件は怒りがやや抑制され、保持した条件は抑制されなかった。これは紙に怒りを記入すると紙に感情が投射され、紙を捨てたことが、怒りそのものを捨てたかのように処理されたことが原因だと考えられた。