研究分野

文化人類学

  • OS1-1-1
    公募発表
    新原 将義 (武蔵大学)
    本研究では沖縄の米軍基地反対運動におけるフィールドワークをもとに,研究者が純粋な参加者ではないという“第1の外部性”と,問題の“歴史的当事者”ではないという“第2の外部性”について議論した。前者については,研究者が啓蒙的な役割を引き受けることで,知的権威を帯び,発達的な関係から疎外されるという危険性を指摘した.また後者の外部性が様々な立場からどのように構成されるのかを検討し,これへの直面化が政治的発達の契機となる可能性を指摘した.
  • P1-15
    崎山 加奈子 (株式会社 明治 研究本部 物性・感性研究ユニット 感性工学G)
    橋本 佳穂里 (株式会社 明治 研究本部 物性・感性研究ユニット 感性工学G)
    外山 義雄 (株式会社 明治 研究本部 物性・感性研究ユニット)
    松原 正樹 (筑波大学)
    インタビュアーと対象者の関係性は,デプスインタビューの成功に影響を与える.本研究は社員を対象とした社員によるデプスインタビュー手法を,企業内での関係性の継続を考慮した制約の下,構成的に開発した.発話を分類する項目の定義付け,発話整理シートの作成,手法の改善,分類項目の見直しによって,インタビュアーのメタ認知の促進や負担軽減,認識の更新に寄与し,対象者の感情の表出を促し,質の高い情報取得に貢献した.
  • P1-30
    野月 そよか (青山学院大学社会情報学研究科)
    シェアハウスの共用空間において, 居住者の私物が他者と共同使用される過程をエスノグラフィにより記述した. ストリーミングデバイスとこたつの二事例を分析した結果, 空間への配置を起点に一時的な共同使用が成立し, その後, モノの使用に関する規範のズレの顕在化を経て, シェアが維持, 変容, 解消する過程が明らかになった. この過程では, 提供者の私物に対する裁量, 複数の規範, 物理的環境が複雑に関係していた.
  • P1-31
    藤田 華奈 (公立はこだて未来大学)
    坂井田 瑠衣 (公立はこだて未来大学)
    本稿では,Twitterにおける出会いの場面において,ユーザがどのような活動を「場面にかかわりのある活動」として選択しているのかを明らかにした.企業アカウントの挨拶ツイートとそのリプライ計105件を対象に分析を行い,特に挨拶と会話という2つの活動に着目した.ゴフマンの「関与」概念に基づく分析から,Twitterにおいては挨拶活動が支配的関与として位置付けられ,関与は投稿者ではなく受け手側によって選択されることが示唆された.
  • P2-25
    齋藤 巴菜 (公立はこだて未来大学大学院)
    坂井田 瑠衣 (公立はこだて未来大学)
    本研究は,会話がなされていない共在状態において笑いがどのように産出されるのかを分析する.参与者らが笑いうる出来事を理解する際に参照する資源として,互いのあいだで共有された知識や築かれている関係性に着目した.相互行為分析を通じて,笑いは共在経験や個人の習慣に関する知識,日常的前提からの逸脱性を通じて見出され,参与者間の関係性や相互志向性とともに組織されていることが明らかとなった.
  • P3-16
    根本 悠樹 (京都大学大学院工学研究科)
    井上 康博 (京都大学大学院工学研究科)
    存在感の工学的な実装は様々な手法によって取り組まれる.人は明確に姿かたちを視認せずとも,音などの限定的な感覚刺激から,自らが位置する環境と地続きの空間領域の一部を占めるものとして自分以外の主体の存在を想定する.そのような主体の存在可能性の投射を促進する外部環境の要素の1つとして,空間的な不可視性が挙げられる.本研究では,数値シミュレーションを通じて,探索行動する視点に対して継続的に不可視性を生じる空間構成の幾何学的な特徴量を抽出する.
  • P3-41
    高坂 悠花 (近畿大学)
    大井 京 (近畿大学)
    本研究は, 日本人を対象に, 顔の魅力的な比率に関わる男女差を検討した. 異なる顔比率の画像を用いた選択課題を実施し, 評価者と画像の性別の組み合わせによる選好傾向を分析した. その結果, 男女とも「1:1:1」や「顔幅が目幅の5倍」の比率が好まれる傾向があったが, 女性の顔ではその傾向が弱まることから, 顔の魅力評価には性差があることが示唆された.