研究分野

社会心理

  • O1-2
    本田 秀仁 (追手門学院大学)
    浜野 淳 (筑波大学)
    香川 璃奈 (産業技術総合研究所)
    本研究では、医師による患者の余命推定課題を通じて、AIおよび集合知の活用によって人間の推定精度がいかに向上するかを検証した。認知実験の結果、AIの推定を参照することで医師の推定精度が向上する一方、その効果には個人差があった。さらに、計算機シミュレーションによって集合知の効果を検討した結果、AIの推定を参照した後の医師の判断を集約することで、AI単独を超える精度が得られる可能性が示された。
  • P1-1
    門田 圭祐 (早稲田大学)
    渋田 芳河 (なし)
    関根 和生 (早稲田大学)
    本研究は,話者の自己接触が,メッセージと話者に対する印象に与える影響を実験的に調査した.卒業試験導入を主張する話者が映った動画を参加者に視聴させ,話者とメッセージの印象を評定させた.動画は,話者の自己接触(くつろぎ型・神経質型・なし)と論拠(強・弱)の2要因を操作して作成した.その結果,自己接触はその種類にかかわらず,話者の信頼性評価を低め,メッセージの印象には影響しないことが明らかになった.
  • P1-3
    阿部 慶賀 (和光大学)
    本研究では人物についてのセレブリティ情報、具体的にはその人物の大きな成果や実績の情報を新たに知ることで、その人物に対するパーソナルスペースにどのような影響があるかを検討した。実験の結果、対象の人物がセレブリティであることを予め知らない場合には、セレブリティであることを知ることで無自覚に相手との距離を取るようになることが示唆された。
  • P1-17
    岩谷 舟真 (関西学院大学)
    本研究では、政策が効果を持つに至るメカニズムについて説明する前後で、当該政策に対する主観的知識や態度がどのように変容するかを検討した。Web実験を行った結果、自力でメカニズムを説明した場合には説明前後で当該政策及び政策一般に対する主観的知識は変わらなかった。一方、ChatGPTやGoogleを用いて説明した場合には説明後に主観的知識が上昇した。政策に対する態度に関しては、説明を行う政策によって結果が異なり、一貫した結果は得られなかった。
  • P1-18
    白井 理沙子 (早稲田大学 理工学術院)
    渡邊 克巳 (早稲田大学 理工学術院)
    身体を覆うように着用する「着ぐるみ」は、広報活動等に幅広く利用されてきた。本研究は、着ぐるみに対する恐怖の生起因について調べるために、着ぐるみ恐怖に影響を及ぼす特徴、他の恐怖や個人特性との関連について検証した。実験の結果、特に顔部分の隠蔽や対象の動作性が着ぐるみに対する恐怖を促進している可能性が示された。今後の研究では、顔と身体の動きの不一致と着ぐるみ恐怖との関連について検証する必要がある。
  • P1-30
    野月 そよか (青山学院大学社会情報学研究科)
    シェアハウスの共用空間において, 居住者の私物が他者と共同使用される過程をエスノグラフィにより記述した. ストリーミングデバイスとこたつの二事例を分析した結果, 空間への配置を起点に一時的な共同使用が成立し, その後, モノの使用に関する規範のズレの顕在化を経て, シェアが維持, 変容, 解消する過程が明らかになった. この過程では, 提供者の私物に対する裁量, 複数の規範, 物理的環境が複雑に関係していた.
  • P1-34
    隅田 莉央 (東京大学,日本学術振興会)
    鈴木 啓太 (東京大学)
    村本 由紀子 (東京大学)
    本研究は選択者が選択肢数を能動的に決定する場面に着目し、選択肢過多状況で生じる後悔が次の探索を抑制するかを検討した。選択の判断軸となる、参照基準の調整効果にも着目した。大学生22名に対し、初回選択の選択肢数と参照基準の有無を操作し、初回選択後の後悔と次回選択の探索数を測定した。媒介分析の結果、初回の選択肢数は次回選択の探索数に直接影響しなかったが、後悔が探索数を有意に負に予測し、後悔が探索調整メカニズムとして機能する可能性が示唆された。
  • P1-35
    牧之内 洋和 (北九州市立大学大学院社会システム研究科博士後期課程)
    松田 憲 (北九州市立大学大学院社会システム研究科教授)
    日本を代表する企業の経営理念について,テキストマイニングの手法を使用して時系列変化を分析し,それらの経営理念が企業活動の成果にどのように表れているかを検証した.その結果,現代の日本企業に必要な志向性は「価値」志向であり,「世界」志向であることが明らかとなった.経営理念を構築する際,自社が①どのような「価値」をどのように創造するか,②市場,企業活動の展開エリアとして「世界」とどう対峙するか,の2つの要素が最も重要となる.
  • P1-48
    岩田 叡治 (東京大学大学院修士課程教育学研究科教育心理学コース)
    今井 むつみ (今井むつみ教育研究所)
    清河 幸子 (東京大学)
    本研究では,陰謀論信念と合理的思考に関わる認知要因との関連を調査したStanovich & Toplak(2024)の結果を追試した.クラウドソーシングサイトにて募集した290名が陰謀論信念,超常的思考,開放的思考,確率的推論の尺度に加えてSNSの利用時間や陰謀論についての知識について回答した.重回帰分析の結果,陰謀論的信念と超常的思考との間に正の関連が,開放的思考との間に負の関連が見られたが,確率的推論との関連は見られなかった.
  • P1-61
    杉本 海里 (早稲田大学)
    中村 航洋 (早稲田大学)
    尾野 嘉邦 (早稲田大学)
    浅野 正彦 (拓殖大学)
    渡邊 克巳 (早稲田大学 理工学術院)
    画像分類逆相関法によって生成された,日本人の政治家へのふさわしさのステレオタイプを反映した顔の特徴を明らかにし,その特徴の政治的意思決定への影響と個人特性との関連を調べた.政治家にふさわしいとされた顔は,親しみやすく,若々しく魅力的で,支配的であると評価された.この評価は総理大臣顔と防衛大臣顔の間で異なり,役職特異性が見られた.また,政治家にふさわしいとされた顔は選挙で有利と判断され,この傾向は政治関心が低い人で見られやすかった.
  • P2-36
    大山 耀平 (札幌学院大学心理学部)
    友野 貴之 (札幌学院大学心理学部)
    初めて町ですれ違う人々であっても, 我々はその人々の立ち振る舞いから彼らの関係性を知覚することがある. 我々はどのような情報からこのような関係性を知覚するのであろうか. 研究1では, 観察者は, 観察している対象者たちの関係性をどのように知覚するのかを探索的に調査した. 研究2では, 研究1の観察者が報告した内容の1つに着目し, その報告内容に含まれるどのような情報が, 観察対象者たちの関係性の特定に寄与しているのかについて検討した.
  • P2-48
    神岡 拓真 (立命館大学大学院 文学研究科)
    布山 美慕 (立命館大学 文学部)
    本研究は,恋愛感情の想起による視知覚への影響を,色の温度感を通して検討した.温度感と恋愛感情想起の関係がどのようなものか検討するため,想起時の感情状態を9感情で質問した.他の親密な感情想起と比較するため,友情想起を比較条件とした.調査の結果,重回帰分析により,情熱と興奮の2感情が,色温度感の高低に対し,恋愛感情と友情の間で逆の効果を持つと示された.これにより,恋愛と友人関係が,色知覚への影響において異なる文脈となりうることが示唆された.
  • P3-10
    眞嶋 良全 (北星学園大学)
    永澤 昴希 (北星学園大学)
    本研究は,Capraro & Celadin (2023) の研究2について日本人参加者を対象とした追試を行った。その結果,真のニュースはフェイクニュースより共有されやすい傾向が見られたものの,正確性プロンプトによる真情報の共有促進と誤情報の抑制について明確な効果は確認されなかった。一方,偽警告プロンプトは全体的なエンゲージメントを低下させること,日本人参加者のエンゲージメントは先行研究よりも低い傾向にあることが示された。
  • P3-34
    嶋田 祐観 (北陸先端科学技術大学院大学)
    松崎 由幸 (北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 先端科学技術専攻)
    宮本 遥奈 (北陸先端科学技術大学院大学)
    鳴海 康平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    Haoran Sun (北陸先端科学技術大学院大学)
    YaoWenbo (北陸先端科学技術大学院大学)
    中分遥 (北陸先端科学技術大学院大学)
    文化は認知バイアスに沿って変化する場合がある.本研究では,文化変化の要因として「可愛さ」の認知バイアスであるベイビースキーマに基づき,目の大きさに着目し分析した.分析にはYOLOを用いて6誌から1,406枚の顔画像を抽出した結果,低年齢層向けほど目が大きい傾向が確認された.また,登場人物の性別の影響も見られた.今後の展望として,可愛さの表現が性別や年齢でどのように異なるかを理解することで,より多様なデザインへの展開も期待される.
  • P3-37
    小方 孝 (大和大学情報学部)
    小野 淳平 (青森大学ソフトウェア情報学部)
    政治集団による個人をターゲットとした攻撃の仮想的状況を設定し、SNS上での偽情報物語の生成‐拡散現象をシミュレーションする実験システムを実装し、その結果を示した上で議論する。システムは、共感度、認知状態、閾値、ラベリング、偽情報等の概念によって構成され、実際に物語を生成し、その累積から偽情報物語が浮上するプロセスをモデル化する。
  • P3-38
    松岡(初田) 響子 (神戸大学人間発達環境学研究科)
    清水 大地 (神戸大学)
    共同行為は,複数人が共通の目標を達成するために協調する行為である.本研究では,ラテンダンス熟達者ペアを対象に,身体接触が動作協調と一体感に与える影響を検討した.接触条件では,フォロワーがリーダーにわずかに遅れるまたはほぼ同時の協調が多く,非接触条件ではこの傾向が崩れた.また,接触条件の方が非接触条件よりも一体感の主観評価が有意に高かった.