研究分野

意思決定

  • OS01-4
    公募発表
    田坂 逸朗 (青山学院大学)
    会合のプログラム「ワールドカフェ」において,その特徴である成員の途中組み替え(“席替え”)が,どのように対話過程に影響を与えるのかを分析した.結果,席替えで,前の談話の体験を伝える機会がもたらされ,そのことが主張を後退させ,創発的な応答を増さしめるということがわかった.また,社会実践としてのワールドカフェの検討では,終盤までに「意見共存」の状態がつくられることで,さまざまな目的に合致した成果が得られると考察した.
  • O1-001A
    山口 はるな (北九州市立大学)
    石丸 秀樹 (北九州市立大学)
    工藤 政宏 (北九州市立大学)
    髙野 愛美 (北九州市立大学)
    松田 憲 (北九州市立大学)
    本研究は,災害時に一人でも多くの命を救う手がかりを見つけ出すために,ビッグファイブ特性(誠実性,協調性,情緒安定性,開放性,外向性)と認知バイアス(近視眼,忘却,楽観,惰性,単純化,同調)が,平常時・ 災害時の防災意識や防災行動にどのように影響するかの調査を行った.結果,ビッグファイブ特性の高さが認知バイアスを抑制することが期待される一方,防災意識に影響を与えるのは誠実性のみであることが明らかになった.
  • O1-003
    服部 雅史 (立命館大学)
    モンティ・ホール問題の難しさには複数の要因が関係している.本研究では,認知的要因として,課題の因果構造が明快でない点に注目した.「ハズレ」や「ドアを開ける(オプションの除去)」ではなく,「当たり」や「オプションの保持」に焦点を当てるように(図地反転)することにより正解率が高まった.この結果は,困難さの原因が,ベイズ推論自体の本質的困難さではなく材料の提示方法にあり,従来認識されていなかった因果構造の不明快性も大きな要因であることを示す.
  • O3-001A
    白砂 大 (追手門学院大学)
    香川 璃奈 (筑波大学)
    本田 秀仁 (追手門学院大学)
    本研究では,二者択一課題中におけるマウスカーソルの軌跡,特にマウスの最大速度時点(衝動性の指標)を,drift diffusion modelにおけるドリフト率(証拠蓄積の速さ)や閾値幅(慎重さ)との相関から定量的に評価した。行動実験の結果,最大速度時点が,ドリフト率と負の相関を示し,閾値幅と正の相関を示した。よって,マウスカーソルの軌跡に基づく分析が,一定程度の妥当性を持つことが示唆された。
  • P1-001A
    藤崎 樹 (東京大学)
    楊 鯤昊 (中央学院大学)
    植田 一博 (東京大学)
    近年、私たちはオンラインサイトを通じて商品への他者の意見を手軽に入手できるようになった。筆者らは既に、商品の購買相手(自分/他者)が他者の意見の捉え方に影響することを示している。ただし、そこでの「他者」の状況は詳しく分析していなかった。本研究では、「他者」の状況として、実質的には強制的な状況と、純粋に贈与する状況を検討した。その結果、両状況で、購買相手が自分の場合に比べて、分散の大きいレイティングを持つ商品を回避することが判明した。
  • P1-009
    浅川 香 (三菱電機 情報技術総合研究所)
    岡 隆之介 (三菱電機 情報技術総合研究所)
    片岡 竜成 (三菱電機 統合デザイン研究所)
    笹山 琴由 (三菱電機 情報技術総合研究所)
    西川 博文 (三菱電機 情報技術総合研究所)
    田内葉子 (三菱電機 情報技術総合研究所)
    駅構内における利用者の経路選択誘導へ向けた基礎的知見の獲得を目的とし,画像刺激・音刺激を用いた場合に,利用者の経路選択意欲がどのように影響を受けるかを机上で評価する実験を実施した。実験の結果,コンテンツにより設定した誘導の強さによって経路選択意欲の強さが変化し,画像コンテンツによる誘導効果が確認された。音の移動感の有無の効果については部分的に確認された。
  • P1-014
    能城 沙織 (木更津工業高等専門学校)
    欧米を対象とした、配偶者選択における社会学習に関する実証実験において、魅力的な個体の選択は模倣されやすいという結果が多く出ている。本研究では、配偶者選択における社会学習行動が人類に普遍的な行動なのかを明らかにすることを目的に、これまで実験の対象となっていなかった日本人においても、同様の傾向が見られるのかを調べる実験を行った。実験の結果、日本人においても欧米と同様の傾向が認められ、本行動の普遍性が示唆された。
  • P1-021
    松林 翔太 (名古屋大学)
    三輪 和久 (名古屋大学)
    寺井 仁 (近畿大学)
    二宮 由樹 (名古屋大学)
    下條 朝也 (コニカミノルタ株式会社)
    歩行者や多様なモビリティが同一空間を共有するShared spaceが増えてきている。Shared spaceを模した実験室実験では,思いやりのある移動行動が促された場合と思いやりの程度を評定する場合のいずれにおいても,妨害の程度が重要であることが示されている。そこで本研究では,Shared spaceにおける思いやりの程度を示す指標を新たに開発した。
  • P1-031A
    森本 優洸聖 (大阪府立大学 人間社会システム科学研究科)
    牧岡 省吾 (大阪公立大学 現代システム科学研究科)
    応答プライミングとはプライムとターゲットの特徴が一致する際,不一致の場合よりもターゲットへの反応時間が短くなる現象である.プライムが不可視の場合も反応時間に影響することから閾下プライミングとして捉えられているが,発生機序として知覚処理と反応選択処理のいずれで起きているのか解明されていない.本研究では同じ刺激に対して単純反応課題と強制二肢選択課題を行うことでこの現象の処理過程を検討した.
  • P1-060
    中村 國則 (成城大学社会イノベーション学部)
    On the basis of findings from the existing studies, this study predicted that infected people would estimate higher frequency of COVID-19 than non-infected people. To test this hypothesis, this study included a total of 226 participants, who were required to: estimate the number of COVID-19 patients in Tokyo; answer whether they had been infected by COVID-19; and state the number of acquaintances they had who had been infected by COVID-19. As a result, this study found that among 226 participants, 24 participants were infected by COVID-19, and their estimates of the number of COVID-19 patients in Tokyo were not significantly different from those of non-infected participants.
  • P1-061
    近藤 大貴 (慶応義塾大学 政策メディア研究科)
    今井 むつみ (慶応義塾大学 環境情報学部)
    本研究は人が他者の主張の論理的妥当性をどのような認知プロセスに基づく推論によって評価しているのかを明らかにするものである。具体的にはCovid-19への主張を題材に文章課題を作成し、それに対する論理的妥当性の評価が論理構造、根拠および結論に対する信念によって予測されるか検証した。結果、評価は論理構造によって予測された。また、根拠や結論に対する信念は妥当ではない論理構造を持つ主張への評価は予測しなかったが、妥当な主張への評価は予測した。
  • P1-065
    YAFEILA AIKEMUJIANG (千葉大学)
    松香 敏彦 (千葉大学)
    本研究では画像広告に焦点をあて、記憶されすい画像の特徴を同定し、記憶されやすさが購買意図にどのように影響するかを検討した。実験1で記憶されやすい画像の特徴がどのようなものであるか、画像のコントラストや対称性などの低次元の特徴と、広告に「人間がいる」などの高次元の特徴を抽出し、正答率の関係性を検討した。実験2では購買意図と再認成績の関係性を検討した。結果、記憶精度が高い広告画像は必ずしも受け手の購買意図に影響していないことが示された。
  • P2-006
    犬童 健良 (関東学園大学経済学部)
    本研究では属性への確率的な注目と代替案の反復的消去を用いて意思決定者の認知プロセスをモデル化し,実際にコンピュータプログラムによるシミュレーション実験を行った.この結果,文脈効果やギャンブル比較のアノマリー例題の多くを基本的に一つのモデルで実験的に再現できる可能性があることが示された.
  • P2-016A
    大貫 祐大郎 (一橋大学)
    植田 一博 (東京大学)
    手洗いの推奨時間について「20秒以上」と提示するのか (下限群),「20秒以上60秒以下」と提示するのか (範囲群) の違いが, 手洗い時間の長さに及ぼす影響を検討した. 実験の結果, 下限群よりも, 範囲群の方が, 手洗い時間が有意に長かった. この結果は, 制限の意味で使用される上限 (60秒以下) を示すことによって, 手洗い時間が長くなることを示している. また, 本手法は, 人をより良い行動に導くナッジに活かせる可能性がある.
  • P2-033
    香川 璃奈 (筑波大学)
    白砂 大 (追手門学院大学)
    池田 篤史 (筑波大学附属病院)
    讃岐 勝 (筑波大学医学医療系)
    本田 秀仁 (追手門学院大学)
    野里博和 (産業技術総合研究所)
    昨今の社会情勢の変化により、分業の成果物の質を向上させるための介入の需要は高い。我々は、作業者には適切な思考時間が存在するという仮定に立ち、医療画像に異常所見の有無を付与する際に、画像を提示してからある一定の時間、回答できない状態にする介入(ブースト)の効果を検証した。医師(N=730)を対象とした行動実験により、画像を提示してから1秒間だけ回答できない状態にすると正答の期待値が上昇したことを確認した。
  • P2-036
    原田 雄大 (静岡大学大学院総合科学技術研究科)
    竹内 勇剛 (静岡大学)
    複雑な環境で円滑なインタラクションを行える機械は限られた状況にしか適応できず,多種多様な行為主体が存在する環境に適応できるモデルは少ない.本研究では,円滑にインタラクションを行える汎用的なエージェントモデルを実現するために,人間のように価値観を動的に変化させる振舞いを強化学習により獲得可能か確認した.本研究の成果は,多様な価値観を変化させインタラクションを行う人間の認知過程のモデル化に寄与し得る.
  • P2-037
    尾関 智恵 (愛知工科大学)
    寺田 和憲 (岐阜大学)
    髙木 寿 (岐阜大学大学院)
    上野 将敬 (近畿大学)
    牛乳や乳製品は,健康維持に役立つという知識があっても青年期に摂取率が激減する.この要因を探るアンケート調査が多数実施されているが,先延ばし行動の理由の収集が難しい.そこで牛乳や乳製品を題材に,インタラクティブエージェントによって,言いにくい本音や自覚していない状態の報告内容に変化が起こるか要素ごとに探索的に検討する予定である.