研究分野

運動

  • OS08-3
    公募発表
    成田 真輝 (明治大学大学院理工学研究科)
    仁藤 晴暉 (明治大学大学院理工学研究科)
    肥後 克己 (明治大学 研究・知財戦略機構)
    嶋田 総太郎 (明治大学)
    本研究では1つのアバターを2人で共有する場合に,もう1人の操作者との目標共有が自己身体認識に与える影響について検討を行った.本実験では4本の腕を持つアバターを用い,一対の腕を被験者が,もう一対の腕を実験者が操作した.実験条件には,もう一対の腕が課題遂行のために動く目標共有条件と,課題遂行と関係のない動きをする非目標共有条件を設けた.アンケートと脳活動計測の結果,目標を共有することでアバターに対する自己感を高められることが示された.
  • P1-012
    久保(川合) 南海子 (愛知淑徳大学心理学部)
    識名 澪亜 (愛知淑徳大学心理学部)
    eスポーツ観戦はいまだゲーム経験者が中心で,観戦のみの観客の楽しさや観戦方法による効果は検討されていない.本研究は,観客同士の親しさ,ゲーム経験の有無に着目し,競技動画を①解説のみ②会話あり③応援行動あり④何もなし条件で観戦させた.親しい観客同士の応援条件では「また見たい」の得点が高かった.経験者は未経験者より楽しさの得点は高かったが,応援条件のみ未経験者も同様に高かった.応援による一体感や能動性が観戦の楽しさを促進したと考えられる.
  • P1-018A
    徐 韵 (同志社大学)
    天野 梨咲 (同志社大学)
    坂本 晶子 (ワコール人間科学研究所)
    正田 悠 (立命館大学)
    阪田 真己子 (同志社大学)
     他者の存在を意識し,他者が自分に対して抱くイメージを操作することを自己呈示という.自己呈示の意図に基づく手段には動作も含まれるにもかかわらず,実際に自己呈示の意図がいかにして動作に反映されるかを定量的に確かめた研究はほとんどなかった.そこで,本研究では「歩容」に着目し,自己呈示の意図の強さが歩容にいかに反映されるかを確かめる実験を行った.実験の結果,自己呈示の意図の強さや承認欲求の強さによって,歩容が変容することが確かめられた.
  • P1-031A
    森本 優洸聖 (大阪府立大学 人間社会システム科学研究科)
    牧岡 省吾 (大阪公立大学 現代システム科学研究科)
    応答プライミングとはプライムとターゲットの特徴が一致する際,不一致の場合よりもターゲットへの反応時間が短くなる現象である.プライムが不可視の場合も反応時間に影響することから閾下プライミングとして捉えられているが,発生機序として知覚処理と反応選択処理のいずれで起きているのか解明されていない.本研究では同じ刺激に対して単純反応課題と強制二肢選択課題を行うことでこの現象の処理過程を検討した.
  • P1-043
    須藤 智 (静岡大学 大学教育センター)
    前東 晃礼 (静岡大学 全学入試センター)
    祝原  豊 (静岡大学 地域創造学環)
    竹下  正敏 (ヤマハモーターパワープロダクツ株式会社 PP開発部)
    金沢  敦 (ヤマハモーターパワープロダクツ株式会社 PP開発部)
    田内 武史 (ヤマハモーターパワープロダクツ株式会社 PP開発部)
    エンジン付きの小型除雪機を用いて身体スキルの学習が要求される人工物のメンタルモデルの構築に対する加齢の影響を検討した。大学生と高齢者を対象としたユーザビリティテストを実施した結果,旋回方法のメンタルモデル構築において,大学生は操作によって生じる身体への不快なフィードバックをメンタルモデル構築に利用し精緻化できるが,高齢者は十分に利用できない可能性が示唆され,メンタルモデルの構築に加齢の影響が認められる可能性が示唆された。
  • P1-052
    西崎 友規子 (京都工芸繊維大学)
    深田 智 (京都工芸繊維大学)
    来田 宣幸 (京都工芸繊維大学)
    仮想現実空間内で普段とは異なる視点の高さを体験させると感情に変化が生じることが報告されているが,それは,自己の身体イメージの変化が起因するのだろうか。自己イメージが変化するとすれば,普段の自分の視点よりも低い視点を体験させると動作は小さくなり,高い視点では動作は大きくなる可能性が考えられる。実験の結果,低い視点では歩幅は狭くなり,高い視点では歩幅は広くなることが示された。
  • P2-005
    山田 雅敏 (常葉大学)
    本研究は,認知科学の視座から技に対する一人称の思考と言語の影響を再考し,さらには,思考を超えた無人称的身体へ新たに焦点を当てることを目的とした.本稿はその足掛かりとして,達人や賢人たちが残した文脈を紐解きながら,文献レビューを行うことを主眼とした.その結果,技の熟達における認知過程には,人間が獲得した言語の使用による相対的認知と,主客を超えた無我の状態による他者との調和が関連していることが示唆された.
  • P2-011
    仁藤 晴暉 (明治大学大学院理工学研究科)
    成田 真輝 (明治大学大学院理工学研究科)
    肥後 克己 (明治大学 研究・知財戦略機構)
    嶋田 総太郎 (明治大学)
    本研究では、2人で操作する4本腕アバターを用いて仮想現実(VR)上でボタン押し課題を行ったときの、拡張腕に対する自己身体認識について検討を行った。その結果、拡張腕が被験者の目標を満たすように動いたときの方がそうでないときよりも拡張腕に対する自己身体感が高くなる傾向が見られた。このことから身体拡張アバター操作時には拡張された身体部位が操作者と意図を共有するように動作することが重要であることが示唆された。
  • P2-015
    山田 雅之 (九州工業大学)
    大海 悠太 (東京工芸大学)
    遠山 紗矢香 (静岡大学)
    本研究は選手が自身の熟達過程で得られたデータについて可視化したい情報を試行錯誤的に選択可能な自己調整型のシステムの開発を目指し,アイスホッケーシュートスキルのトレーニング場面を対象として,協調的な対話がどのように機能したかを検討した.実験は,大学体育会のアイスホッケー部員2名を対象に5回実施した.結果から,被験者の「膝」に関する発話をきっかけに,膝が深く曲がり,腰が下がるという変化につながった可能性が考えられた.
  • P2-018
    児玉 謙太郎 (東京都立大学)
    安田 和弘 (東京保健医療専門職大学)
    牧野 遼作 (早稲田大学)
    本研究ではリハビリ場面における患者―セラピスト間の身体協調が運動支援に及ぼす影響を明らかにするため,上級・初級セラピストで歩行介助時の個々人の歩行安定性と,二者間の歩行時の身体協調性の違いを比較した.その結果,上級者ペアの方が歩行安定性も身体協調性も高かった.これらの結果は,セラピストのスキルとして身体協調スキルがあり,これによって対象者の安定した動作を引き出している可能性が示唆された.
  • P2-023
    池ヶ谷 啓伍 (金沢工業大学 工学部 電気電子工学科)
    金野 武司 (金沢工業大学)
    清水 悠生 (金沢工業大学 工学部 電気電子工学科)
    長原 瑛吾 (金沢工業大学 工学部 電気電子工学科)
    人と機械のインタラクションで実現できないことの1つに自然なターンテイキングがある.先行研究で行なわれた単純な視覚的インタラクション実験では,予め用意された確率分布で主従関係を切り替える計算モデルを用いると,それは相手に応じて主従関係を切り替えるようになっていなくとも,参加者は相手が人であるか計算機であるかを区別できなかった.対して我々は,動作的な主従関係を意識できるような手掛かりを示すことで,それが区別できるようになることを報告する.
  • P2-047A
    瀬田 稀介 (静岡大学 情報学部)
    大本 義正 (静岡大学 情報学部)
    自閉スペクトラム症スクリーニングの診断補助を図るべく、機械による協調運動能力の分析を実現するため、判断基準の客観化・定量化を目指した実験を行った。方法として実験参加者にバランスゲームを行ってもらい、スコアと協調運動の因果性パターンを分析した。結果として、高スコアと低スコアの運動協調パターンに大きな差が見られ、自閉スペクトラム症スクリーニングを行う際、今回の手法を利用した新たな評価枠組みを構築できる可能性が確認された。
  • P2-051
    及川 博渡 (岩手県立大学大学院ソフトウェア情報学研究科)
    千代原 維龍 (岩手県立大学ソフトウェア情報学科)
    小倉 加奈代 (岩手県立大学)
    身体知を形成するサイクルは,新しい着眼点を発見し,新旧着眼点相互の関係性を模索することで新たな身体知モデルを構築するプロセスの繰り返しであると言われている.本研究では,傘回しの「乱回し」という技の習得を目指し,その習得過程において前述のサイクルを確認できるどうかを練習時に記録する言語記録を中心に分析し,検証した. 分析の結果,2名ともにスランプ時に前述の身体知形成サイクルに対応する言語記録が確認された.
  • P2-053
    渋谷 賢 (杏林大学医学部統合生理学教室)
    大曽根 裕樹 (千葉みなとリハビリテーション病院)
    大木 紫 (杏林大学医学部統合生理学教室)
    ラバーハンド錯覚(RHI)は,手の所有感と知覚位置に変容を引き起こす.本研究は錯覚誘発時(RHI)と非誘発時(non-RHI)の触覚時間順序判断(TOJ)を調べた.non-RHI条件のTOJの時間分解能(TR)はRHI条件よりも低く,手の知覚位置の変化と相関した.RHI条件の主観的同時点(PSS)は手の所有感の変容と相関した.本結果は,PSSとTRが手の自己帰属と自己位置に関連する可能性を示唆する.
  • P2-058A
    今井 健人 (名古屋市立大学大学院芸術工学研究科)
    佐藤 優太郎 (名古屋市立大学大学院芸術工学研究科)
    小鷹 研理 (名古屋市立大学大学院芸術工学研究科)
    身体の錯覚研究では, 身体変形感を生起する錯覚が多数報告される. 我々は, 皮膚の変形感を生起する「Slime Hand (SH)」を発見した. SHは, 従来錯覚の空間的同期の制約を逸脱する操作を行なってもなお, 強力で即席に作用する興味深い錯覚である. 本研究では, SHにおける皮膚変形と固有感覚ドリフトを分離する被験者実験を行い, 皮膚変形距離が, 固有感覚ドリフトの理論的限界を超過していることを示唆する結果を得たので報告する.