研究分野

神経生理

  • OS08-3
    公募発表
    成田 真輝 (明治大学大学院理工学研究科)
    仁藤 晴暉 (明治大学大学院理工学研究科)
    肥後 克己 (明治大学 研究・知財戦略機構)
    嶋田 総太郎 (明治大学)
    本研究では1つのアバターを2人で共有する場合に,もう1人の操作者との目標共有が自己身体認識に与える影響について検討を行った.本実験では4本の腕を持つアバターを用い,一対の腕を被験者が,もう一対の腕を実験者が操作した.実験条件には,もう一対の腕が課題遂行のために動く目標共有条件と,課題遂行と関係のない動きをする非目標共有条件を設けた.アンケートと脳活動計測の結果,目標を共有することでアバターに対する自己感を高められることが示された.
  • O3-002A
    佐藤 優太郎 (名古屋市立大学大学院芸術工学研究科)
    齋藤 五大 (東北大学)
    小鷹 研理 (名古屋市立大学大学院芸術工学研究科)
    我々は, 自他の指を自ら同時に触れることで, 他人の指の接触点まで自身の指に感じ, 身体変形感覚を生起するDouble Touch Illusion(DTI)を考案し, 調査を進めている. 実験では, 本手法において, 相手の指への触れる指の本数が身体所有感にどのような影響をもたらすかを調べた. 被験者実験からは, 触れる指の本数が増えるほど所有感が強く生起する興味深い結果が得られたため報告する.
  • O3-003A
    晴木 祐助 (北海道大学 文学院)
    鈴木 啓介 (北海道大学 人間知×脳×AI研究教育センター)
    小川 健二 (北海道大学 文学研究院)
    身体内部から生じる感覚は内受容感覚と呼ばれる。これまでの研究では主に心臓(心拍)に関わる内受容感覚が用いられた。本研究では異なる種類の内受容感覚が特定の脳活動パターンを引き起こすことを示す。具体的には,心臓と胃への注意が異なる脳領域を活性化し,それらの機能的結合を変化させた。さらに心臓/胃の客観的感受性の個人差が,島皮質における安静時機能結合と関連した。種々の内受容感覚は主観的経験としてだけでなく,その脳活動も異なることが示された。
  • P1-030
    玉木 笙鞠 (東京大学大学院総合文化研究科)
    福田 玄明 (一橋大学)
    植田 一博 (東京大学)
    本研究では,本研究では,笑いにおける確立された技法の一つである「つかみ」の効果を検証した.生理計測と表情計測を行った実験の結果,「つかみ」が存在する方が存在しないよりも「本ネタ」をより面白いと感じ,「つかみ」が面白いほど「本ネタ」をより面白いと感じることが示唆された.さらに,「つかみ」の面白さが,自律神経系の状態を介して,「本ネタ」の面白さに影響を与えることが示唆され,「つかみ」の効果が,自律神経系の状態と関連する可能性が示された.
  • P1-046
    中村 太戯留 (武蔵野大学)
    ユーモア理解では,ヒトの生存と関連性のある事柄の見いだしと,「保護されている」という認識の枠組みが重要である.神経基盤として,前者は扁桃体が関与するが,後者は不明である.皮肉理解では,扁桃体を賦活するが,「保護されている」という認識の枠組みは機能せず,ユーモアを生じないことが多い.メタ分析でユーモアと皮肉を比較した結果,側頭葉前部,内側前頭前野,そして皮質下領域などが,「保護されている」という認識の枠組みの神経基盤の候補と示唆された.
  • P1-056
    近藤 樹 (明治大学大学院理工学研究科)
    橋本 直美 (明治大学大学院理工学研究科)
    嶋田 総太郎 (明治大学)
    近年, マインドフルネス瞑想によるストレスや不安の低減効果が注目されている. 本研究では, 客観的指標である心拍変動を用いて, 4週間のオンラインマインドフルネス瞑想トレーニングによるストレス低減効果を検証した. トレーニングは週1回のオンラインミーティングと毎日の瞑想訓練によって構成された. その 結果, 統制群と比較して瞑想群ではストレス負荷時のストレスを感じにくくなることが示された.
  • P2-003
    得丸 久文 (独立研究者)
    言語処理や複雑概念の認知モデリングについては,脳内における細胞・分子レベルの説明がない.本稿は脳脊髄液中を浮遊するBリンパ球,脳脊髄液接触ニューロン,マイクログリアによる脳室内免疫細胞ネットワークによる認知モデリングを提案する.これは哺乳類の条件反射の認知モデルであり,免疫細胞の内部論理が1対1の反射から1対全の群や全対全のネットワークに進化することで概念や複雑概念もモデル化できる.
  • P2-011
    仁藤 晴暉 (明治大学大学院理工学研究科)
    成田 真輝 (明治大学大学院理工学研究科)
    肥後 克己 (明治大学 研究・知財戦略機構)
    嶋田 総太郎 (明治大学)
    本研究では、2人で操作する4本腕アバターを用いて仮想現実(VR)上でボタン押し課題を行ったときの、拡張腕に対する自己身体認識について検討を行った。その結果、拡張腕が被験者の目標を満たすように動いたときの方がそうでないときよりも拡張腕に対する自己身体感が高くなる傾向が見られた。このことから身体拡張アバター操作時には拡張された身体部位が操作者と意図を共有するように動作することが重要であることが示唆された。
  • P2-053
    渋谷 賢 (杏林大学医学部統合生理学教室)
    大曽根 裕樹 (千葉みなとリハビリテーション病院)
    大木 紫 (杏林大学医学部統合生理学教室)
    ラバーハンド錯覚(RHI)は,手の所有感と知覚位置に変容を引き起こす.本研究は錯覚誘発時(RHI)と非誘発時(non-RHI)の触覚時間順序判断(TOJ)を調べた.non-RHI条件のTOJの時間分解能(TR)はRHI条件よりも低く,手の知覚位置の変化と相関した.RHI条件の主観的同時点(PSS)は手の所有感の変容と相関した.本結果は,PSSとTRが手の自己帰属と自己位置に関連する可能性を示唆する.
  • P2-058A
    今井 健人 (名古屋市立大学大学院芸術工学研究科)
    佐藤 優太郎 (名古屋市立大学大学院芸術工学研究科)
    小鷹 研理 (名古屋市立大学大学院芸術工学研究科)
    身体の錯覚研究では, 身体変形感を生起する錯覚が多数報告される. 我々は, 皮膚の変形感を生起する「Slime Hand (SH)」を発見した. SHは, 従来錯覚の空間的同期の制約を逸脱する操作を行なってもなお, 強力で即席に作用する興味深い錯覚である. 本研究では, SHにおける皮膚変形と固有感覚ドリフトを分離する被験者実験を行い, 皮膚変形距離が, 固有感覚ドリフトの理論的限界を超過していることを示唆する結果を得たので報告する.