研究分野別一覧

記憶

  • P1-03
    白水 始 (国立教育政策研究所)
    齊藤 萌木 (東京大学)
    飯窪 真也 (東京大学)
    森山 一昌 (飯塚市教育委員会)
    協調学習は学習成果の可搬性や学び方の学び(メタ学習)を保証するとされるが,どの程度長期間保持されるかは定かではない.本稿では小学校6年生から「知識構成型ジグソー法」授業で学んだ学習者7名に10年後の回顧的インタビューを行った.その結果,自分の言語化や理解内容を中心に体験を想起でき,「話しながら理解を深める学び方」として肯定的に想起されることが示された.この結果は協調学習の成果を示し,教育目標や教育実践研究の在り方に刷新を促す.
  • P1-47
    松香 敏彦 (千葉大学)
    人間の記憶システムは忘却や虚偽記憶をもたらすなど、不完全であると考えられている。本研究では、学習における記憶の曖昧性の効果を検証した。具体的には、参照する事例の弁別が困難な場面を再現した。計算機シミュレーションを行った結果、弁別困難なモデルでは、曖昧性を回避するために学習が促進され、むしろより強い過剰一般化を引き起こすことが示された。しかし、選択的注意に制約を設けた場合には、過剰一般化を軽減出来ることが示された。
  • P1-48
    林 美都子 (北海道教育大学函館校)
    太田 鈴香 (北海道教育大学函館校)
    本研究ではオンラインもしくは対面学習時のノートテイキング方法の相違,すなわち,手書き,写メ,キーボード入力,眺めるだけによる学習効果の違いを検討するため,ノートの取り方に関する予備調査と理解度テスト作成のための予備実験の後,大学生64名の協力を得て本実験を行った.各方法で学習させた後,大学生向け就職試験レベルの理解度テストを実施したところ,正答得点には統計的に有意な差はなく,誤答得点はキーボード入力条件でもっとも高かった.
  • P1-56
    大森 隆司 (玉川大学脳科学研究所)
    宮田 真宏 (玉川大学脳科学研究所)
    人の知的能力の特徴が論理的推論である.これは他の動物にはなかなか見られない.しかし人の脳は進化的な連続性に基づき他の動物の脳と大きくは変わらない.ヒト脳の何が他の動物と異なって論理的な思考を可能としているのか?その解明は認知科学に限らず科学の大きな問いであると同時に,社会的にもインパクトが大きいであろう.本稿では,この現象に対する一つの仮説を提示して,その仮説の可能性と検証の方法について議論する.
  • P1-59
    石井 奏有 (筑波大学大学院人間総合科学研究科)
    原田 悦子 (筑波大学人間系)
    認知的加齢に伴い利用が困難となる階層構造メニューシステムに関し,そこで用いられるカテゴリがアドホックカテゴリの性質を持つことに着目し,認知的加齢,および共有項目の存在,次元一貫性の欠如,項目の内容親和性という3つのカテゴリ構造特性が,カテゴリ学習課題の成績に与える影響を検討した.いずれの影響も高齢者でより顕著にみられ,若年者では課題成績維持のための追加処理が行われた可能性が示された.
  • P2-21F
    酒井 翔伎 (静岡大学情報学部行動情報学科)
    森田 純哉 (静岡大学)
    本研究では,ユーザの精神状態の安定化に向け,適切な回想を支援する対話インタフェースを提案する.認知モデルをベースとした写真スライドショーを利用した実験で得られた発話データから,実験条件による発話量の違いと感情状態を分析した.その結果,モデルの記憶に活性値を含めない条件でユーザの発話が有意に増加した.また,感情分析とユーザ自身の気分評定に相関が見られ,発話内容からユーザの感情状態を推定できる可能性が示唆された.