スケジュール順

[OS03] OS03 プロジェクション・サイエンスの基盤と展開

9月14日(木) 15:40 - 18:10 会場:101講義室
  • OS03-1I
    依頼講演
    嶋田総太郎 (明治大学)
    本発表では、プロジェクションの認知機能について考えるために、ラバーハンド錯覚とミラーシステムを取り上げて議論する。ラバーハンド錯覚を自己の物体へのプロジェクション、ミラーシステムを自己の他者へのプロジェクションとして捉えることによって、「身体を介した自己のプロジェクション」のメカニズムと機能を浮かび上がらせたい。これらの検討を通じて、単なる「認識」とは異なる「プロジェクション」の射程について考えたい。
  • OS03-2
    瀧見彰太 (北海道大学)
    坂本大介 (北海道大学)
    小野哲雄 (北海道大学)
    本研究では、自己所有感と自己主体感の関係性について調査するために、影メディアとバイオロジカルモーションを用いて3つの実験を行った。実験1、2では、操作対象の遅延によって、2つの感覚が喪失されるかどうかを調査した。実験3では、操作対象の操作権を奪ったときの操作対象への印象を調査した。結果、自己主体感は自己所有感よりも操作対象の遅延による影響を受けづらいこと、自己主体感が失われても自己所有感が独立して存在できる可能性があることを示した。
  • OS03-3
    久保(川合)南海子 (愛知淑徳大学)
    男性同士の恋愛を描くマンガや小説を愛好する腐女子たちは,自分の女性性や性役割についてどのように認識しているのだろうか.本研究では20歳前後の女子大学生を好む小説・マンガのジャンルで3群に分け6種類の質問紙調査を行った.その結果,腐女子の特異性は性役割観と恋愛観,プライバシー志向性で認められた.腐女子は自身の女性性を受容している一方で,女性への通念的な性役割に対しては否定的であることが示唆された.
  • OS03-4
    小鷹研理 (名古屋市立大学芸術工学研究科)
    現在のHMD技術は, 装着者の身体そのものの存在感を擬似空間の内部につくりだすことが困難である. 本稿では, この身体の不在の原因を, 視点, 自己感, 所有感, 主体感相互の関係から整理するとともに, 一人称視点を精緻化するのとは別の, 幽体離脱の認知メカニズムに基づく三人称視点による定位のアプローチについて, その展望を述べる. とりわけ, 三人称認知に対する重力要因の作用を読み解くことの重要性を指摘する.
  • OS03-5
    鈴木聡 (大阪経済法科大学)
    人工物や想像上の存在を自身の身体や他者,自身の置かれた場とみなし,環境との相互作用を行う人間の認知過程を投射と呼ぶが,科学としての投射研究の方向性はまだ模索の段階にある.本稿では,この投射の認知過程について,認知過程の相対的な高次性と自身・他者・場という投射の元の違いという2つの軸に着目する.そしてこれらの投射に関わる現象について関連する研究や事例をこれらの軸に沿って振り返りながら,今後の研究の展望を述べる.
  • OS03-6
    宮崎美智子 (大妻女子大学)
    浅井智久 (ATR)
    麦谷綾子 (NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
    これまで調べられてこなかった幼児期の身体イメージの獲得を評価できる課題を開発し、その有用性の検討を行った。課題は3Dの顔検出技術と拡張現実(AR)を用いて、スクリーン上に呈示された自己顔に重ねて提示されるキャラクターを正しく触れるかどうかをテストするものである。半数以上の参加者が37試行中30試行以上の課題に取り組み、課題の有用性が示された。定位エラーの分析により、2歳児の顔部位の認識が成人同様ゆがんでいる可能性が示唆された。
  • OS03-7
    横山拓 (青山学院大学社会情報学研究科)
    鈴木宏昭 (青山学院大学)
    本論文はマイケル・ポランニーによる暗黙的認識と投射の概念を援用しながら,熟達の過程とメカニズムをプロジェクション科学の観点からとらえ直すことを目指す.この観点からすると,熟達者とはある領域においてより多くのものを近位項として機能させることができる存在であり,熟達化は世界に対する投射能力の拡張として考えることができる.本論文では投射による熟達の暫定的なモデルを示した上で,伝統芸能やボクシングの熟達化に関する事例にアプローチする.