研究分野

臨床

  • P1-5
    中野 良樹 (秋田大学教育文化学部)
    本研究は,心理専門職養成の「科学者―実践家モデル」にもとづき,科学的な心理学の方法論が心理臨床の実践力を高めるために,いかに貢献できるかを検討した。心理専門職を目指す大学院生17名が,演習授業を利用した実験に参加した。参加者は,質的分析ソフトMAXQDAを活用し自身のカウンセリング・ロールプレイを詳細に分析した。こうした分析作業を通して,学習者のセラピー技能をより精緻に客観化、相対化できる効果を示した。
  • P1-14
    牧野 遼作 (早稲田大学)
    山本 敦 (早稲田大学)
    門田 圭祐 (早稲田大学)
    八木 崇行 (静清リハビリテーション病院)
    高田 勇 (加賀市医療センター)
    安田和弘 (東京保健医療専門職大学 )
    児玉 謙太郎 (東京都立大学)
    本稿は、PTによる「揺すり運動」の指導を通じて、身体の帰属が相互行為の中でどのように構成されるかを分析する。PTは発話・動作・接触を用いて動作を段階的に提示・調整し、状況に応じて主導と補助を使い分けることで、患者の自律的な動作生成を支援していた。身体の動きの帰属先は固定的でなく、相互行為的に動的に構成されていた。リハビリにおける身体の操作と学習を相互行為的達成として捉える視点を提案する。
  • P1-47
    松永 和也 (青山学院大学社会情報学研究科)
    本研究は、文学授業における学習者の対話に着目し、集団的な読解がどのように生成・変容するかを質的に明らかにすることを目的とする。中学校の文学授業の映像記録を談話分析し、「わからなさ」の共有が読解の方向性に及ぼす影響を分析した。その結果、学習者は曖昧さを受け入れ、問いを保留しながら解釈可能性を開くという生成的・応答的な解釈戦略を共有していたことが示された。本研究は、読解の認知的・社会的構成プロセスに対する理解を深めるものである。
  • P2-4
    成見 翠 (香川大学創発科学研究科)
    西中 美和 (香川大学創発科学研究科・香川大学地域マネジメント研究科)
    コメディカルが業務で感じる感情的不協和は,従来の患者に対するものから,連携や協働から来るものへと変化があるが,この点に関する研究は少なく,本稿はその背景や要因を調査する.また,医療現場では組織内での何気ない会話が減少傾向にある.不協和経験の言語表出のニーズ,実際の対処をコメディカルに調査し,心理的抑制や機会制限などの阻害要因も踏まえた表出の不協和軽減効果について,明らかにする.
  • P3-39
    下條 志厳 (立命館グローバル・イノベーション研究機構)
    王 凱 (立命館グローバル・イノベーション研究機構)
    木内 敬太 (独立行政法人労働者健康安全機構)
    首藤 祐介 (立命館大学総合心理学部)
    林 勇吾 (立命館大学総合心理学部)
    高齢者のメンタルヘルス支援が求められており,高齢者はポジティブな情報に注意を向けやすいことが分かっている.実験1では,傾聴エージェントによるポジティブな情報に着目する解決志向アプローチとネガティブな情報に着目する問題志向アプローチを比較したが,対話性や没入感の課題から効果は認められなかった.実験2ではメタバース環境を用いることで,メンタルヘルスが改善された.この結果は,傾聴エージェントの心理療法における没入感の重要性を示している.