研究分野

発達

  • OS01-3
    公募発表
    菅井 篤 (静岡福祉大学)
    本研究では,学習を誰かからの観察によってつくられる変化(有元,2013)だと捉え,国際バカロレア(IB)教育を捉えなおし,IBへの批判的な検討を試みた.IBを履修する小学生の保護者へ自由記述式の質問紙調査を実施し,日常の実践でのキーコンセプトの活用が,どのように保護者によって観察されているのかを探っていった.これらのことを通して,IBは,日本の教育を改めて評価し改善していくための,ひとつの視点であるという提案がなされた.
  • O3-004A
    西川 純平 (静岡大学)
    森田 純哉 (静岡大学)
    音声の認識を支える音韻意識が未熟なとき様々な発話の誤りが表れる.本研究は,個人に対応づけた認知モデルを用いて個人の誤りパターンを推定するシステムを提案する.本稿では,成人を対象とし,音声フィルタにより音韻処理に困難のある子どもを模擬する設定で予備的検証を行なった.結果として,特定の音声フィルタ下のモデル選好に参加者間で一貫性があることが示された.これは提案手法による音韻意識推定の可能性を示唆する.
  • P1-010A
    山本 希 (京都大学大学院文学研究科)
    大東 将 (京都大学大学院文学研究科)
    森口 佑介 (京都大学大学院文学研究科)
    本研究では,学童期の子どもを対象に,あいまいな表情に対する解釈の偏りと敵意帰属バイアス,攻撃性の高さの関連を検討した。その結果,学童期の子どもにおいて,あいまいな表情に対する解釈の偏りは,敵意帰属バイアスと攻撃性のいずれともほとんど関連しないことが示された。このことから,敵意帰属バイアスや攻撃性が高い学童期の子どもにおいて,あいまいな表情に対する解釈は必ずしも偏っているとは言えない可能性が示唆された。
  • P1-015
    大塚  翼 (広島工業大学 情報学部知的情報システム学科)
    牧野 遼作 (早稲田大学)
    本稿は,発達障害児童が参与したトランポリン教室で起こるコミュニケーションを分析した.結果、初心者を含めた熟達度の異なる参加者から構成される運動教室では,指導者だけではなく他参加児童からの「ポジティブな関与」が起こり,この関与は,指導員が行うだけではなく,他参加児童が指導員を模倣することで起こることを明らかにした.この結果は,熟達度の異なる参加者がいることで,運動教室ではコミュニケーションが活性される可能性を示唆するものである.
  • P1-017
    中田 龍三郎 (北星学園大学社会福祉学部)
    松田 知優 (北星学園大学社会福祉学部)
    創作活動を経験することは経験した芸術以外の芸術作品評価にも影響するだろうか。創作折り紙の作成前後に創作折り紙作品、さらに別ジャンル作品(LEGO作品等)の評価を行わせた。創作後の作品評価において、美的印象に関係する項目で、創作折り紙条件だけでなくLEGO条件でも有意傾向ながら創作経験の効果が示された。創作経験はその経験とは直接関係しない芸術作品の評価についてもポジティブな影響を与えることが示唆された。
  • P1-037A
    恵 宇晨 (東京大学総合文化研究科)
    東 玲奈 (早稲田大学国際教養学部)
    This study aims to gain novel insight into the effect of code-switching experience on the mechanisms that underlie the bilingual advantage in cognitive control. We compared the performances of early and late Japanese-English bilinguals on the AX-CPT Tasks. We found with the late bilinguals, the more frequently they switched languages in their L1 environment, the better they performed in the proactive control tasks. In contrast, with the early bilinguals, the frequency of code-switching did not modulate their dual mechanism of cognitive control any better. These findings verify the role of switching frequency in the development of cognitive control and suggest a better understanding of the nature of mechanisms regulating early and late bilinguals’ brains.
  • P1-055
    都地 裕樹 (中央大学文学部・日本学術振興会特別研究員(PD))
    金沢 創 (日本女子大学人間社会学部)
    山口 真美 (中央大学文学部)
    social touchとdirect gazeは、それぞれ2者間の脳活動同期を強めることが報告されているが、同時に扱った実験研究はなされていない。本研究ではsocial touchとdirect gazeにおける母子間の脳活動同期を計測するため、機能的近赤外分光法(functional Near-Infrared Spectroscopy: fNIRS)を用いて、母親が乳児に話しかけている時の母子間脳活動ハイパースキャニングを行った。
  • P2-024
    伊藤 崇 (北海道大学大学院教育学研究院)
    子どもが家庭での日常生活においてどのように電子デバイスを使用しているのか。4歳から10歳の子どもたちの視点から見たときの使用実態を明らかにするために,11の家族にビデオカメラを渡して2日間の日常生活の様子を撮影してもらい,その映像を分析した。その結果,保護者の死角において電子デバイスを視聴していたことや,従来の使用とは異なる形で電子デバイスの機能の発揮に子どもが貢献していたことが示された。
  • P2-026
    本多 明子 (神戸女子大学)
    本発表では、使役の意味を表す英語の結果構文の獲得について、構文文法論的観点から考察する。先行研究によると、汎用性の高い動詞が特定の項構造に頻出することで、子どもは構文の形式と意味の対応関係を認識していくと論じられており、結果構文は使役の意味を表す動詞makeと関係している。この点について、結果構文と使役動詞makeを伴う、いわゆるmake使役構文の成立条件を比較検討し、新たな提案を示す。
  • P2-032
    稲葉 みどり (愛知教育大学)
    本研究では、日本語を母語とする10、11歳児の物語談話の構成能力の発達を考察した。発話データはKH Coder 3を用いてテキストマイニングにより解析した。その結果、後から判明した新たな事実を基に、二つの出来事の因果関係を結びつけ直す談話再構成能力の発達、及び、情報を加えて描写を豊かにする事例や話を面白くする工夫等が見られ、子どもの創造性の発達と物語を独自のものにしたいという希求が示唆された。
  • P2-043
    岸山 健 (東京大学大学院総合文化研究科)
    田 子健 (東京大学大学院総合文化研究科)
    広瀬 友紀 (東京大学大学院総合文化研究科)
    幕内 充 (国立障害者リハビリテーションセンター研究所)
    認知機能の発達を検証する「描画課題」のデータを例に,コーパスなどのテキストから有用な情報を抽出する「テキストマイニング」を適用する手法を本稿では報告する.行動データをPythonライブラリであるscikit-learnに対応した形式に変換すると,コードを簡潔に保ちつつ効率的に分析できる.サンプルコードを公開し,前処理から結果解釈の方法まで述べる.