研究分野別一覧

社会心理

  • OS07-3
    公募発表
    櫃割 仁平 (京都大学大学院教育学研究科)
    野村 理朗 (京都大学大学院教育学研究科)
    美的感情は,認知科学において,神経科学や哲学の議論を巻き込みつつ注目されている重要テーマである。従来,絵画,音楽,映画等を刺激として,美的感情の生じる過程が明らかとなりつつある一方で,詩歌,とりわけ俳句に関わる実証研究はわずかにとどまる。こうした動向を背景に,本論は,美的感情との関わりの深い複合感情,共感ならびにプロジェクションの各々の観点から,俳句にかかわる研究の現状と課題を述べる。
  • O1-1
    森原 佳歩 (神戸大学)
    正田 悠 (神戸大学)
    本研究では,話者特性の一つであるパーソナルテンポが対面朗読時の二者間における生理的シンクロニーに及ぼす影響について調べた。その結果,二人朗読課題の序盤および終盤において,個人のタッピングテンポの類似と二者間の心電図RR間隔のシンクロニーとの間に相関関係が見られた。また,ペア間で個人の発話テンポが類似していることは,二人朗読課題の中盤における生理的シンクロニーならびに発話の音声シンクロニーと関連があることが示唆された。
  • P-35
    金野 武司 (金沢工業大学 工学部 電気電子工学科)
    山下 貴之 (金沢工業大学 工学部 電気電子工学科)
    本研究では,記号的なコミュニケーションの成否が,人間の調和的な性格特徴によって影響されるかどうかを調査した.具体的には,既存の心理尺度による調和性指標に基づき実験群を構成し,二者間で人工的な言語を作る課題の成績との関係性を調べた.結果,両者には有意な関係性は確認されなかった.これは,ことばによるコミュニケーションの成否が,単純に性格特徴によって決定されるものではないことを示していると考えられる.
  • P-37
    尾関 智恵 (愛知工科大学)
    寺田 和憲 (岐阜大学)
    人々の投資や寄付などの互助活動について様々な要因が調査されているが,エージェントが介在する研究はまだ少ない.本研究では,エージェントの種類(人・犬・仏像・ロボット)・エージェントのリアリズム(写真・イラスト)・文化(日・米)の違いが人々の寄付行動に影響を与えるかどうかを調査した.その結果,リアリズムの違いは米国の参加者の寄付行動に影響を与えず,仏像と人間の写真は日本の参加者の寄付行動に影響した.
  • P-59
    顧 是凡 (北九州市立大学)
    松田 憲 (北九州市立大学)
    有賀 敦紀 (広島大学)
    近年の研究では,過剰な選択肢は却って消費者の負担になり、購買意欲を抑えてしまうという報告がなされた.これを「選択のオーバーロード現象」という.本研究は,価格帯の操作によって選択のオーバーロード現象が生起するかについての検討を行った.実験の結果,参加者を選択商品への関心度の高低に応じて分割したところ,低関心度群の高価格群では選択オーバーロード現象が生起した.一方,低関心度群の低価格群では逆に選択のアンダーロード現象が認められた.
  • P-71
    清水 佑輔 (東京大学人文社会系研究科)
    岡田 謙介 (東京大学教育学研究科)
    唐沢 かおり (東京大学人文社会系研究科)
    ギャンブル依存者と愛好家からなるギャンブラーに対して,少なからず否定的態度が存在する.そこで本研究では,シナリオ実験を行い,一般的に受容されやすい愛好家というサブカテゴリーを顕現化することで,ギャンブラーに対する潜在的態度が肯定化するか検討した.結果,愛好家のシナリオを読んだ群ではギャンブラーに対する潜在的態度が肯定化した.依存者に対する態度変容を促す研究への,知見の応用などについて論じた.
  • P-73
    上野 芙優 (明治大学大学院理工学研究科)
    嶋田 総太郎 (明治大学理工学部)
    少数の被験者が音楽 (ポップス) を聴いている時の脳活動をEEG (脳波計) で計測し、脳波の被験者間相関 (ISC) 解析によって大衆の曲の好みを予測できるかどうかを検証した。その結果、大衆がより好む年間チャート上位の曲(1~50位)のISC値はやや下位の曲(51~100位)のISC値よりも有意に大きいことが分かった。したがって、脳波の被験者間相関解析より算出したISC値が音楽に対する大衆嗜好性を予測する指標となる可能性が示唆された。
  • P-78
    江 維豪 (神戸大学)
    正田 悠 (神戸大学)
    本研究は,2種類のセルフコントロール(self-control)と外的要因による行動のコントロールが主観的Well-beingの構成要素である生活満足感と感情に対していかなる異なる効果を持つのかを調べた.パス解析を行った結果,セルフコントロールの種類によって,有意に関連する主観的Well-beingの要素が異なるということが示された.特に,調整型セルフコントロールが高い大学生は,生活満足感が高い傾向にあることが示された.
  • P-106
    徳永 弘子 (東京電機大学)
    花井 俊孝 (東京電機大学)
    木村 敦 (日本大学)
    武川 直樹 (東京電機大学)
    本研究は多人数による食事場面を対象に,食事形式が人と人のコミュニケーション行動に及ぼす影響について明らかにする. 65才以上の男女6人1組,計4組に料理を銘々膳,共同膳形式で提供し,特に共同膳からの取り分け行為とトピックの関係を事例的に検討した.その結果,共同膳が料理を中心とした話題提供の役割を担っており,参与者の共有物としての存在がコミュニケーションの促進に寄与する可能性が示唆された.
  • P-108
    達 椋介 (金沢工業大学)
    加藤 樹里 (金沢工業大学)
    金野 武司 (金沢工業大学 工学部 電気電子工学科)
    道徳的なジレンマ課題として知られるトロッコ問題において,複数人の命を助けるために一人を犠牲にする行為を人間又はロボットが行った場合に,その行為に感じる不快感とパーソナリティとの関係を検討した.また,ロボットの様な存在に対する心理的傾向を測るため,ロボットの内面に固有の主観を認めるかどうかの新しい尺度として「内的世界の見出しやすさ」尺度を作成した.その結果,マキャベリズムと不快感,内的世界の見出しやすさと不快感で有意な関係が見られた.
  • P-136
    小川 昭利 (順天堂大学)
    亀田 達也 (東京大学)
    中谷 裕教 (東海大学)
    我々の知覚決定は,他者の観察によって暗黙のうちに影響を受け,低次な知覚さえも調整され得る.本研究では,他者の数認識の観察により,個人の数知覚がどのように暗黙的に調節されるか,その神経機構を調べた.実験の結果,他者の過大評価と過小評価を観察した後,数知覚が異なる調節がされ,上頭頂小葉の活動が異なることが示された.この結果は,他者の数認識の観察が数知覚の神経基盤に暗黙的に影響することを示唆する.
  • P-144
    田中 徹 (慶應義塾大学 & 富士ゼロックス)
    高橋 萌 (慶應義塾大学)
    水口 高翔 (慶應義塾大学)
    柴辻 優樹 (慶應義塾大学)
    土井 梓 (慶應義塾大学)
    勝野 晃弘 (慶應義塾大学)
    慶應義塾大学「博士課程教育リーディングプログラム オールラウンド型 超成熟社会発展のサイエンス」には13研究科から博士課程人材が集まり,異なる文系・理系2つの修士号を取得して博士課程に進み,俯瞰力と独創的な企画力を持つ高度博士人材育成を進めている. 本報では,本プログラムで実施している「フューチャー・デザイン」ゼミ活動を通じ抽出した,「文理融合」型人材による「フューチャー・デザイン」ワークショップ実践の課題と,対策アイデアを検討する