研究分野別一覧

運動

  • OS06-5
    公募発表
    榎本美香 (東京工科大学)
    人が物理法則を上手く利用する身体技法を習得する方法を考察する.水泳を例に,コーチが水の操作方法を言葉や身体的手本として表象したものを,学習者が自身の身体運動と水との関係性として脱表象化する過程を分析する.その中で,身体各部の連動と物的世界の関係性を一度手放す認知の脱構造化が生じることをみる.そして,様々な表象の相互連関性,身体各部の運動の連動性と物的世界の様々な物理法則との関連性に学習者が開悟する有り方をモデル化する.
  • OS06-6
    公募発表
    阪口豊 (電気通信大学)
    身体技能習得を支援する手法として運動者が感知できない情報を付加的にフィードバックする手法があるが,付加的情報を有効に利用できるかどうかは課題遂行中の運動者の認知過程に依存している.本発表では,「音の粒を揃えてピアノを弾く」課題を用いた実験での観察に基づき,情報提示の有効性の有無が運動者の認知戦略を理解する手がかりとなる例を示すとともに,有効な情報提示方法の探索が課題実行に関わる認知過程解明に向けた方法論として機能する可能性を議論する.
  • O1-1
    山田雅敏 (常葉大学)
    里大輔 (SATO SPEED Inc.)
    遠山紗矢香 (静岡大学)
    竹内勇剛 (静岡大学創造科学技術大学院)
    本研究では,ラグビー選手の疾走に対する認知過程について明らかにすることを目的とした.方法として,ラグビー高校日本代表選手が記述した言語報告を要素化し,プロットグラフを作成した.考察から,(1)疾走に伴うスピード・加速の体感,(2)ラグビーへの応用,が共通した認知として示唆された.また,ポジション別によって差異が確認され,(3)フォワードは腕振りを意識,(4)バックスは下肢の動作を意識,などが特徴ある傾向として示された.
  • O1-4
    清水大地 (東京大学大学院教育学研究科)
    岡田猛 (東京大学大学院教育学研究科)
    上演芸術では,他者と豊かな関わり合いが営まれ魅力的な表現が披露される.本研究では、同期理論を用いてこの関わり合いを検討する枠組みの構築を目指した.ブレイクダンスのバトルを対象とし、ダンサー間・ダンサーとDJ間の振る舞いの対応関係を検証したところ,単純な同期を超えた多様な部位間の複雑な対応関係が見られ、時間経過によるそれらの動的な変化が示された.上演芸術のインタラクション理解には,以上の関係性を捉える同期理論の拡張が必要と考えられる.
  • P1-9
    谷貝祐介 (早稲田大学大学院人間科学研究科)
    三嶋博之 (早稲田大学人間科学学術院)
    古山宣洋 (早稲田大学 人間科学学術院)
    本研究では,プロドラマー3名にテンポの異なる8ビートを演奏してもらい,その際の3次元動作データから,演奏速度による協応構造の変化を検討した.解析の結果,低中速のテンポでは,右手首に対してその他の部位(肘・肩・頸部)が逆位相や90度位相差など,個人間で多様なパターンを示すが,高速テンポでは,全ての参加者が同位相に近い傾向を示した.この結果から,個性を表現できるテンポ(低中速)とそうでないテンポ(高速)が存在する可能性が示唆された.
  • P1-10
    梛木功介 (早稲田大学人間科学部)
    谷貝祐介 (早稲田大学大学院人間科学研究科)
    古山宣洋 (早稲田大学 人間科学学術院)
    津軽三味線演奏における「巧みさ」とは何か。本稿ではモーションキャプチャを用いて津軽三味線演奏の熟練者から未経験者にかけて叩き動作を比較した。各マーカーの位置情報の時系列変位を基に、撥・三味線を含む全身運動アニメーションを作成、視認した結果、矢状面から見た撥運動軌跡について、熟練者では楕円的, 初心者では直線的となることが観察された。津軽三味線演奏の「巧みさ」の解明には、撥運動軌跡を司る身体協応に関する実証研究の必要が明らかになった。
  • P1-13
    ヒュース由美 (東京大学大学院学際情報学府)
    三浦哲都 (早稲田大学人間科学学術院)
    向井香瑛 (東京大学大学院総合文化研究科)
    工藤和俊 (東京大学大学院学際情報学環 )
    本研究では, 演劇経験者2名ペアが 即興的に演じた劇を20回反復した時に起こるセリフと動きの変化を実験的に検討した. 映像からセリフの変化を, 足圧中心の時系列データから二者の身体的な相互作用を検討した結果, ①セリフの重複が反復開始後に減少した. ②即興時の二者間の相互相関が最も高かった. ③反復により即興時の微細な動きは割愛され, 大きくパターンのあるものに変化した. この結果は, 反復性により即興表現が編集されたことを示唆する.
  • P1-14
    野澤光 (東京大学大学院学際情報学府 後期博士課程)
    本研究は書道熟達者1名が16試行を通じて臨書作品を制作するケーススタディである.書家のかいた字画について,画像相互情報量による類似度評価を用い,字画の形態調整を縦断的に検討した結果,字画形態の一貫性は,紙面上の文脈に依存して異なることが明らかになった.またこの結果は,文字の配置計画について述べた書家の内省報告と部分的に一致していた.以上の結果は,書家が戦略的な配置によって「不確実性を飼いならす」技を身につけていた可能性を示唆する.
  • P1-24
    岡千春 (お茶の水女子大学)
    本研究では,舞踊の身体知を,コンテンポラリーダンサー(以下ダンサー)の熟達と言語化の働きという視点から探った.国内外の公演で活躍中のダンサーを対象にPAC分析調査を実施し,舞踊における知の様相及びその熟達の特性を考察した.そこから,ダンサーの身体知には,型の知およびその型の定着によって獲得される「場」の知が含まれ,この場の知が舞踊における「上演の知」であること,熟達には上演の知の言語化,即ちメタ認知的言語化の寄与が示唆された.
  • P1-25
    清水雄貴 (早稲田大学人間科学部)
    谷貝祐介 (早稲田大学大学院人間科学研究科)
    古山宣洋 (早稲田大学 人間科学学術院)
    弓道では、いかに力みを抑え、同じ動きを再現できるかが重要視される。本研究では、弓道熟練者3名と初心者3名の床反力中心データを4本ずつ計測し、両群の比較および各試行の一貫性の検討を行った。分析対象は、離れ(矢を放つフェイズ)を中心に、その前後のフェイズを含む、会・離れ・残心とした。その結果、弓道における的確な行射には、会における予備動作や、各射の重心移動の再現性が寄与している可能性が示唆された。
  • P1-28
    高梨克也 (京都大学大学院情報学研究科)
    本稿では野沢温泉村道祖神祭りの社殿建設のための協同作業を対象とした微視的ビデオ分析を行う.複数の事例を成員性と物質性という2つの観点から詳細に比較分析することを通じて,進行中の作業の中でどのメンバーがどの作業を担うべきかや,その作業の際にどのような道具や対象物の操作方法を選択すべきかといった,きわめて状況固有性の高い課題が参与者たちによってどのように解決されているかを例証する.
  • P1-31
    吉田康行 (産業技術総合研究所人工知能研究センター)
    Bizokas Arunas (Non-affiliate)
    Demidova Katusha (Non-affiliate)
    中井信一 (ダンスジャルダン)
    中井理恵 (ダンスジャルダン )
    西村拓一 (産業技術総合研究所人工知能研究センター)
    ワルツは世界的に有名な社交ダンスである.また,社交ダンスを競技化しものは競技社交ダンス,またはダンススポーツとも呼ばれる.このダンスではホールドポジションにより,上半身のセグメントが連結され,そこから相互作用が生じる.本研究の目的は,競技社交ダンスのワルツにおけるインタラクションを歩幅と下肢の動作の観点から考察することである.
  • P1-58
    小鷹研理 (名古屋市立大学芸術工学研究科)
    石原由貴 (名古屋市立大学大学院芸術工学研究科)
    Susceptibility to the rubber hand illusion has been found to function as a marker of individual differences such as empathy. Though a self-touch illusion has been regarded as a variation of the rubber hand illusion, we have found the susceptibility to the self-touch illusion does not positively correlate with the ownership susceptibility in the rubber hand illusion and the inter personal reflex index. Based on this result, we discuss prospects of individual differences research focusing on the self-touch illusion.
  • P1-59
    岡田莞助 (名古屋市立大学芸術工学研究科)
    小鷹研理 (名古屋市立大学芸術工学研究科)
    脚への筋肉負荷に対して, 筋運動の方向とは異なる方向へと脚が伸びる映像をHMD環境にて呈示することで, 脚の伸縮感覚が誘発されることを我々は観測してきた. 本研究ではHMD環境を用いた被験者実験を行い, 特定の筋運動に対して, 収縮あるいは伸張という順逆いずれの位相の視覚イメージを適用しても等しく伸縮感覚が誘導されるという結果を得たので, これを報告する.
  • P1-60
    齋藤五大 (東北大学)
    本研究では視覚入力が優位な空間である身体正面とまれな背面の多感覚的な自己身体表象を調べるために,目を閉じたまま左手で偽物の手に触れながら右手を同期して触れられると,偽の手を触れているにもかかわらず自分自身の左手で自身の右手を触れていると感じるセルフタッチ錯覚パラダイムを用いた。その結果,錯覚強度は正面で両手を交差した条件よりも背面で交差した条件で高かった。これは正面と背面における手の触覚と自己受容感覚の信頼性が異なる可能性を示す。
  • P1-61
    三浦慎司 (名古屋大学大学院情報学研究科)
    川合伸幸 (名古屋大学大学院情報学研究科)
    日本刀の美や力強さの評価は「日本刀を振る」身体感覚に左右されるのだろうか。本研究では、VRで日本刀を振ってブロックを斬る/壊す課題を行った後に日本刀の評価をさせたところ、ブロックを砕いた刀よりも真っ二つに斬った刀の方が好みの評価が高くなった。このエフェクトの差は日本刀を振る映像を身体を動かさずに見たときには現れなかった。このことから、日本刀の好みの評価は刀を振った時の身体感覚と視覚の統合的な働きに左右されることが示唆された。
  • P2-7
    佐藤優太郎 (情報科学芸術大学院大学)
    前林明次 (情報科学芸術大学院大学)
    小鷹研理 (名古屋市立大学芸術工学研究科)
    本研究で提案する「芋虫の錯覚」は, 指が掌の内側にくるように左右の指を交差する姿勢によって自らの掌と指とが分離されたような感覚が得られる錯覚である. また, 「芋虫の錯覚」の姿勢を二人組でそれぞれの片手を用いて構成し, もう一方の空いている手で, 組まれた自身の指と相手の指に同時に触れることで, 指が麻痺したかのような感覚が得られた. ひとつの錯覚から質の異なる2種類の錯覚体験が得られたため報告する.
  • P2-8
    石原由貴 (名古屋市立大学大学院芸術工学研究科)
    小鷹研理 (名古屋市立大学芸術工学研究科)
    本研究ではMirror Visual Feedback下で見られる鏡面裏側の手の仮想的な移動感覚(KMI)の誘起に対し, 左右の持ち手のグリップ感の一致/不一致, 及び鏡像の提示/不提示の条件の効果がどの程度あるかについて比較した. 結果, KMI及び身体所有感の誘起には手を提示することによる影響が大きいものの, 鏡面裏側と同じ持ち手を鏡像に提示することでも, ある程度のKMIが誘発されることが分かった.
  • P2-9
    白石壮大 (明治大学大学院理工学研究科)
    嶋田総太郎 (明治大学理工学部)
    「この運動は我々が起こしている」と感じる感覚を共同運動主体感という.本研究では,共同作業中の2者の脳波を同時計測し,共同運動主体感と2者の脳波同期の関係から共同運動主体感の生起に関わる脳領域を調査した.実験の結果,相互に協調し合う共同作業課題において,リーダーの右前頭葉とフォロワーの右側頭頭頂接合部(rTPJ)のθ波の活動同期が高まり,共同運動主体感も脳波同期とともに高まることが示された.
  • P2-21
    渋谷賢 (杏林大学医学部統合生理学教室)
    畝中智志 (北翔大学生涯スポーツ学部)
    座間拓郎 (理化学研究所 脳神経科学研究センター)
    嶋田総太郎 (明治大学理工学部)
    大木紫 (杏林大学医学部統合生理学教室)
    我々は,ラバーハンド錯覚誘発中の偽の手の運動観察が,感覚運動野を活性化する現象を発見した.本研究は,脳波独立成分クラスタリングにより,この現象の妥当性をさらに検討した.錯覚は,運動観察時の感覚運動野活性を高めたのに対し,後頭葉の活性化には影響を与えなかった.頭頂葉の活動は,逆に錯覚が無い場合により活性化した.本結果は,感覚運動野と頭頂葉の活性化が自己と他者の身体運動認知と関連する可能性を示唆する.
  • P2-22
    井岡裕也 (認知脳科学研究室、明治大学、理工学研究科)
    嶋田総太郎 (明治大学理工学部)
    視覚情報と運動情報の統合によって仮想の手に対して運動主体感および身体保持感を感じるロボットハンド錯覚がある. 本研究では, ロボットハンドの指先と手の平の向きを変化させ, さらに動作に遅延を加えた場合, どのように錯覚が生起するかを調べた. その結果, 実際の手とロボットハンドが, 時間的または空間的に不整合のとき身体保持感は生起しないこと, 一方で、時間的整合性さえ成り立てば運動主体感は生起することが確かめられた.
  • P2-23
    畑野圭佑 (電気通信大学 情報理工学研究科 人間情報学講座)
    阪口豊 (電気通信大学)
    主観的な運動規範が身体運動に与える影響を明らかにするため「仮想的身体知覚に基づく教示」がもたらす効果を実験的に検討した.右上肢の到達課題において,「手先経路が直線になるように動かす」場合と「まるで自分の手が上から引かれているように感じながら動かす」場合における手先軌道,関節軌道,筋活動を解析したところ,2つの条件でほぼ同様の手先直線性が得られる一方で,身体運動のキネマティクスやダイナミクスには違いが生じることが明らかになった.
  • P2-24
    高埜悠斗 (東京電機大学情報環境学部)
    日根恭子 (豊橋技術科学大学情報・知能工学系)
    アスリートは重要な試合で最も良いパフォーマンスを発揮したいと考えるだろう.先行研究より,中程度の緊張状態が最も良いパフォーマンスを発揮できることが示されている.しかし,過度の緊張のため,良いパフォーマンスが発揮できないことがある.そこで本研究では,特別な練習を必要としない緊張緩和方法を検討した.その結果,急激に運動をした後,休息することで,パフォーマンスの低下を防げる可能性が示唆された.
  • P2-36
    関根和生 (慶應義塾大学)
    児玉謙太郎 (神奈川大学)
    清水大地 (東京大学大学院教育学研究科)
    本研究では,ラップ中の手の運動がラップの音響特性にどのような影響を与えているかを検討した.プロのラッパーに参加してもらい,手の動きを抑制したり,自由に動かせたりする条件下でラップをしてもらった. 手の動きを抑制すると,ラッパーは大きい声を出すようになること,手が動かせる条件下ではピッチが高まることが示された.以上の結果から,ラッパーの手の動きは,単なる視覚的効果だけではなく,ラップの音楽・言語活動を促進させる効果もあることがわかった.
  • P2-60
    児玉謙太郎 (神奈川大学)
    山際英男 (東京都立東部療育センター)
    安田和弘 (早稲田大学)
    本研究では,綱渡りのようなバランス・スポーツ“スラックライン”のトレーニング効果の検証を目標にする.本発表では,その効果を評価する方法,課題について検討した予備実験の結果を報告する.予備実験の結果,スラックラインによるトレーニングの効果は,不安定なバランス課題(片脚立ち,支持面が不安定な条件)で,より顕著な変化(姿勢動揺の減少,持続性相関の強化)が観察された.今後,さらにデータを収集し統計的に検証したい.

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