研究分野別一覧

自然言語処理

  • sP1-26
    加藤龍彦 (北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    四項類推を行う能力は人の推論の特質とされるが,近年自然言語処理分野では四項類推課題がモデルの意味の獲得精度の指標として用いられている. 本研究ではSkip-gramモデルに着目して分析,その四項類推が一部単語クラスにつ いて最適化されていないことを示す.その上で既存の四項類推演算を拡張した演算を提案し,この演算によりモデルの類推能力を人 により近似することが可能であることを示す,
  • sP1-30
    張寓杰 (ベネッセ教育総合研究所)
    加藤健太郎 (ベネッセ教育総合研究所)
    寺井あすか (公立はこだて未来大学システム情報科学部)
    中川正宣 (大妻女子大学人間生活文化研究所)
    本研究では大規模言語コーパスから計算された単語間共起頻度のデータベースを用いて,名詞と動詞の「語彙組み合わせ問題」を難易度別に自動的に生成できるシステムを開発した.今回は,このシステムを用いて「名詞(主語)が動詞(述語)」と「名詞(目的語)を動詞」二種類の組み合わせに対して,同じ手順で自動的に問題を生成した.さらに,自動生成した問題を用いた実施テストの結果,想定された難易度がテスト参加者の正答率と十分一致していることが実証された.
  • sP1-44
    井上雅勝 (武庫川女子大学)
    藏藤健雄 (立命館大学)
    松井理直 (大阪保健医療大学)
    本研究では、「すべての2回生が新入生を世話した先生を呼び止めた」のような構造的曖昧文の名詞句の量化詞を操作し、関係節主要部のガーデンパス(GP)効果量を比較した。その結果、GP効果量が疑似量化(量化詞の作用域を計算しない解釈)の割合 (藏藤他, 2017) と関連することが示された。疑似量化では即時に文の解釈が決定されるが、標準的量化では決定が一時遅延される、という観点から論議される。
  • sP1-52
    布山美慕 (北陸先端科学技術大学院大学)
    日髙昇平 (北陸先端科学技術大学院大学)
    文章理解の機序解明に向け,著者らは,読者が読みつつ文章情報を意味のまとまりごと圧縮し保持する“オンライン要約”に注目した.本研究では,オンライン要約の基礎過程の一つである意味のまとまり範囲推定(意味的段落分け)時に,読者が利用する情報を調べた.実験の結果,意味的段落分けは当該段落内部の情報のみでも一貫性をもって可能だと示唆された.この結果は,意味的段落分けが,段落の意図の記述の必要十分性の認識に依拠するとする本研究の仮説に整合的である.
  • sP1-86
    犬童健良 (関東学園大学)
    本論文では古典的な知識表現の一つであるフレームを用いて,日本語文の理解を解釈した.語彙ネットワークは,語フレームの結合によって文フレームを組み立てるサプライチェーンと同型とみなされる.また助詞「は」と「が」の交換による文の意味の微妙な変化を,ネットワークの安定性の問題として定式化する.これにより,従来インフォーマルに論じられてきた総記や対比,情報の新旧,非言語的コンテキストの影響などを,厳密に認知モデル化することが可能になった.
  • sP2-16
    太田博三 (放送大学 教養学部)
    昨今,自然言語処理における対話システムや対話生成が注目されている.チャットボットのコールセンターへの普及により,正確な人間性な対話応答が求められ ている.一方,社会学のエスノメソドロジーや談話分析・会話分析における定性的な相互行為は有益である.そこで,もう一度,国立国語研究所の提供する日本 語学習者会話データコーパスを用いて,効果を検証し対話破綻の傾向や対話生成に適用することを目指した考察である.
  • sP2-17
    山口琢 (フリー)
    小林龍生 (スコレックス)
    高橋慈子 (株式会社ハーティネス)
    大場みち子 (公立はこだて未来大学)
    パズルを適切に設計して,パズルを解く操作を測定・分析することで,プレイヤーの思考を推定する手法を提案する.パズルとは「人に考えさせるコンピューター・アプリケーション」である.例えば,ジグソー・テキストは,ランダムに並んだ文を,プレイヤーが適切と考える順序に並べ替えて完成させる,文章のジグソー・パズルである.時間的に近くで操作対象となるピース間には何かの関係があると考えられ,操作の時間的な共起分析が,パズル操作の分析に有効と考えられる.