スケジュール順

[OS04] OS04 フィールドに出た認知科学3

9月15日(金) 13:00 - 18:10 会場:301講義室
  • OS04-1
    伝康晴 (千葉大学大学院人文科学研究院)
    本研究では、広大な野外において会話する人々の身体の空間配置が、物理的環境や相互行為的文脈に応じていかにさまざまに変容するかを例示する。野沢温泉道祖神祭りの準備作業の事例を微視的に分析し、会話参与者たちが円形配列・横並び配列・C字型配列のF陣形やH陣形など、さまざまな身体配置を取ることを示す。これらの事例分析を通じて、陣形の形成・変容に関わる物理的・相互行為的社会的要因を検討する。
  • OS04-2
    共同作業における指揮者の掛け声と身体動作  -- 野沢温泉村道祖神祭りの里引きの事例から --
    ※大会ホームページでの公開が許可されていません
    細馬宏通 (滋賀県立大学)
    多人数が一つのゴールを目指して共同作業を達成しようとするとき、各メンバーの動作のタイミングをいかに調整するかが重要になる。本稿では、北信州の野沢温泉村で行われる道祖神祭りにおいて、多人数が巨木を移動させる「里曳き」場面を観察対象とし、指揮者とメンバーによって発せられた掛け声がどのような身体動作と同調しているか、それが年々どのように変遷し、声と身体の時間構造にはどのような規則性と変異があるかを明らかにする。
  • OS04-3
    榎本美香 (東京工科大学)
    高梨克也 (京都大学)
    本研究では、現場指示の「これ」と「それ」のフィールド場面における使用をみる。野沢温泉道祖神祭りの準備活動6年分を対象とし、以下の3点を事例により示す。(1)話し手と聞き手が同一の共同行為に従事しているときには「これ」、(2)話し手が聞き手が異なる行為に従事しており、聞き手の操作する対象物は「それ」、(3)同一作業中に複数の参照物があるときには、話し手と聞き手と対象物との相対的距離によって「それ」と「これ」が使われる。
  • OS04-4
    西田紘子 (九州大学大学院芸術工学研究院)
    横森大輔 (九州大学大学院言語文化研究院)
     本発表は,プロおよびアマチュア音楽家による練習活動におけるメタファー表現について考察する.音楽の理論的・分析的言説に照準した先行研究や,指導の場を対象とした逸話的研究とは異なり,本研究は,室内楽集団の相互行為に特有のメタファーを明らかにする.5団体による約33時間の録画データに基づき,慣用的なものを除くメタファー表現の事例候補を240件集め,ターゲット領域・ソース領域および身体動作の傾向を特定した.
  • OS04-5
    藤井晴行 (東京工業大学 環境・社会理工学院)
    篠原健一 (日本大学 生産工学部)
    写真日記という媒体を用いて環境との関係の理解を方向づける空間図式を探究している.この探究方法は固定した様式をもつものではなく,実践を通して構成され続ける探究方法である.ものごとの探究を通してものごとの探究方法の実践と探究を同時に行なっている.人工物の創生や使用における人と環境の関わり方を探究する認知科学の方法のひとつとして,写真日記の作成と構造化によって空間図式を探究する方法の意義と実践における気づきを議論する.
  • OS04-6
    南部美砂子 (公立はこだて未来大学)
    福島由佳 (NECネッツエスアイ)
    ジャニヲタと呼ばれるアイドルファンを対象とした質問紙調査とインデプスインタビューにより,彼女たちのソーシャルメディアユーザとしての実態や,心理・社会的特性について検討した.とくに友だちづくりのための独自の情報環境デザインと,それにともなう社会文化的な学習のプロセスに注目して分析を行った結果,彼女たちはソーシャルメディアを活用して主体的にファン活動や他者との関係性を最適化していることが明らかになった.
  • OS04-7
    篠崎健一 (日本大学生産工学部)
    藤井晴行 (東京工業大学・環境社会理工学院)
    沖縄本島北方の離島伊是名島の伊是名集落に暮らす生活者の語りから,伊是名集落の民家にそなわる空間の特徴を抽出しその空間図式を明らかにする.語りの採集は,民家において民家の実測調査と同時におこない,生活の場全体に目を向け,多様で生活に密着した語りを記録する.語りはすべて単文に分け,必要情報を補ったテキストを基礎資料とした.これを用いて,伝統的な民家における生活と空間の関係を考察する.
  • OS04-8
    名塩征史 (静岡大学)
    本研究では、統率された枠組みの中で行われる空手の基本動作の練習場面を取り上げ,そうした統率を自らその場に要請しながらも,その統率の枠を超えて自由に動き,各練習生が抱える問題に個別に対応する師範の指導行為を分析・記述する.また、この教授と練習の場が,師範−指導者−練習生の多様な組み替えと重複を含む三者間相互行為によって共創される様相を具体的な事例をもって示す。
  • OS04-9
    山田雅之 (星槎大学)
    本研究はアイスホッケー初心者が熟達していく過程について,「学習者の姿勢」と「コーチと学習者の間合い」を可視化した.分析対象は初めてスケートを履き氷上で立つことのできない初心者1名の8回分の練習であった.結果から学習者が滑れるようになる前後で間合いが変化していることが示唆され,姿勢をカラーバーの形で可視化すること,間合いをピクセル数から可視化することによって,スキル獲得過程を読み取れることが示唆された.
  • OS04-10
    川端良子 (国立国語研究所、千葉大学)
    伝康晴 (千葉大学、国立国語研究所)
    複数の人々が協力して,特定の目標の達成を目指す共同的活動では,活動を円滑に行うために,将来の行為に関する情報を共有するということがよく行われる.この共有される情報のことを「共有プラン」と呼ぶことにする.本研究では,日常会話コーパス(CEJE)を用いて,共有プランがどのように会話を通じて構築されるか,その構築過程の分析を行う.そして,従来のモデルとは異なる共有プランの構築過程について,その要因を検討する.