プログラム順

[OS12] フィールドに出た認知科学

9月18日(金) 13:10 - 18:30 会場:総合校舎D号館D33
  • OS12-1
    諏訪正樹 (慶應義塾大学環境情報学部)
    伝康晴 (千葉大学)
    藤井晴行 (東京工業大学)
     
  • OS12-2
    高嶋由布子 (日本学術振興会/東京学芸大学)
    日本手話を心理言語学的な方法で調査するとき,2つの問題があった.生まれながらに聞こえない「見る文化」のろう者の知覚の問題と,社会言語学的な問題,すなわち言語のパワーバランスや規範の問題である.これらの問題は,日本手話を第一言語にする聞こえない人,すなわち「ろう者」と共に,実験準備から実施,分析まで行うことで解決した.これを通して,実験環境という人工的な場を作る営みには,多くの知見を要し,それ自体に分析する価値があることを示す.
  • OS12-3
    坂井田瑠衣 (慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科)
    諏訪正樹 (慶應義塾大学環境情報学部)
    3者以上の多人数インタラクションにおいて,話し手はしばしば任意の聞き手を宛先として特定しようとする.しかしフィールドの活動に埋め込まれた相互行為では,身体配置や環境の制約を受け,宛先の特定は必ずしも容易でない.本発表では,歯科診療のフィールドにおいて,歯科医師から患者/歯科衛生士への宛先の特定に曖昧さが生じる事例を分析する.その上で,同じく多人数インタラクションに特徴的な傍参与という構造によって,宛先特定の失敗が回避されうることを示す.
  • OS12-4
    榎本美香 (東京工科大学)
    伝康晴 (千葉大学)
    本研究では野沢温泉村でのフィールドワークの成果を報告する。祭りの支度を共に行うことで、共同体〈心体知〉が経年的に習得されることを示す。心は成員たちの価値観や見識というエートス、体は力や身体配分などの共同活動技法、知は祭具の名称や用法などの共有知識を指す。祭りの準備活動3年間分の相互行為データと当事者の内省的叙述を分析する。参与者たちの動きは経年的に状況に応じた相互連携性を帯び、共同活動への参与技法が〈身体知〉であることを示す。
  • OS12-5
    篠崎健一 (日本大学)
    藤井晴行 (東京工業大学)
    片岡菜苗子 (日本大学)
    加藤絵理 (日本大学)
    福田隼登 (東京工業大学)
    空間図式の身体的な原型(prototype)を,私たちの空間の経験を通して探究し明らかにするこころみである. 実在のフィールドにおいて実際に生活することを通して見いだされるものごとの断片を写真と言語によって表現し,それらの断片を合議しながら組織化することによって,表現,断片の組織化を方向づける空間図式を明らかにする. そして,そのこころみの意義を考察する.
  • OS12-6
    坊農真弓 (国立情報学研究所コンテンツ科学研究系・総合研究大学院大学複合科学研究科)
    本講演では2012年から継続して行っているロボット演劇フィールドワークで得た知見を紹介する.この知見を通し,ロボット研究者がロボットを携えてフィールドへ出て行く姿勢の問題点について指摘する.具体的に本研究は,実証実験などによりロボットをコミュニケーション(≒井戸端会議)の中心に据えるといった,従来のロボット研究のフィールドへの出方を批判し,ロボットが会話の周辺から井戸端会議に参加する様子をロボット演劇創作場面でのやりとりから観察・記述することを試みている.本研究がとる「研究者がフィールドにいるいないに関わらず実世界に存在する現象」に対するアプローチは,ロボット研究者による「ロボットの中心性」 を排除することに成功している.しかしながら,社会における「ロボットの異質性」をむしろ浮き彫りとする結果を得ることになった.本研究の成果を通し,ロボットと人の共在のあり方について議論したい.
  • OS12-7
    牧野遼作 (総合研究大学院大学複合科学研究科)
    古山宣洋 (早稲田大学人間科学学術院)
    坊農真弓 (国立情報学研究所コンテンツ科学研究系・総合研究大学院大学複合科学研究科)
    本稿では,実験環境会話データとフィールド環境会話データと分類されうる2種類の会話データの収録冒頭部分の比較検討を行った.参与者たちが自発的に環境を構築し,研究者の介在がなくても会話を行ったのかという観点から,実験/フィールド環境は区別されている.しかし,この環境の差異に関わらず,参与者はそれぞれの環境中で適切な参与者として振る舞うことをしている点では,同様のデータとして扱うことができることを示す
  • OS12-8
    山田雅之 (日本教育大学院大学)
    本研究はアイスホッケー初心者の子供を対象にスケートを滑れるようになるまでの過程における補助者のコーチング方法と認知の過程をフィールドで採取した研究である.本論文では初めてスケートを履いた4歳10か月児1名を対象に,約40分間の映像と音声について学習者の姿勢および,補助者が与える課題について検討した.結果から,補助者が学習者の状態に対して適宜課題を変えている可能性が示唆された.
  • OS12-9
    松香敏彦 (千葉大学文学部)
    小谷慎吾 (千葉大学)
    伝康晴 (千葉大学)
    牛谷智一 (千葉大学)
    本研究では、フィールド調査で得た知見をコンピュータ上にモデル化し、現実の条件とは異なる条件での結果と比較することで、そのフィールドの本質が何であるかにせまることを試みる。具体的には、小谷(2002, 2010)のフィールドデータのエッセンスを反映したコンピュータシミュレーションを用いて、無作為な作付け行動がまさにこのフィールドにおける文化的回復力の源となっていることを示す
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