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: 4. 仮説の設定 : あいづちを統制したコミュニケーションにおける 助詞 ねの頻度の変化 : 2. あいづちの定義と機能

3. 助詞の機能

助詞は,古くは時枝により研究された[時枝時枝1951].時枝に よると,助詞は,『国語における一種の感動詞であるが,詞に付いて, それに対する感動を表現するというよりも,聞き手を同調者としての関係に置 こうとする主格的立場の表現』であるとされている.また,saji は,助詞を,『話しかけ問いかける気持ち』を表現するとしている. 続いて watanabeは,助詞を相手への呼掛けを示す助詞に分類した.さ らに,kitagawaは,助詞は『発言が二人称事項に関するも のであることを表示する』と述べ,対人関係に関連した機能を果たしているこ とを指摘している.最後に,cookは,『話し手と聞き手両者がお 互いに賛同していることを示すが,その賛意は特にとりたててある話の内容に ついての賛意であるとは限らず,概して賛同しているということである』と述 べている.ここで重要なのは,を発話した話し手は,自分だけが会話を しているのではなく,聞き手を意識して,コミュニケーションを密にしようと しているのが,助詞の働きであるということである.



日本認知科学会論文誌『認知科学』