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: 3. 助詞 ねの機能 : あいづちを統制したコミュニケーションにおける 助詞 ねの頻度の変化 : 1. はじめに

2. あいづちの定義と機能

yngveによると,あいづちは『話し手がyesとかuh-huhなどの短 いメッセージを,自分の発話権を譲らずに聞き手から受けとる時認められる』 3とされている.ここで重要なのは,話し手が発話権を譲らないことで ある.現象的には,あいづちという発話で,発話権を譲ったように見えるが, 意味的には発話権を譲ってはいない.主たる発話権は依然としてあいづちを打 たれた側が引続き持つ.現象的にはあいづちは以下の5つに分類される [DuncanDuncan1977].


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ここで注目すべきなのは,あいづちは必ずしも言語表現とは限らず, (5)のように,頭を振るなどの非言語的行動も含まれる.これは,あいづちを, 話し手の発話に対する聞き手からの応答としての言語現象としてだけではなく, コミュニケーションの現象として捉えているからである4

次に,あいづちの機能について述べる.あいづちは,kendon67によると, 『話の内容に聞き手が注意を払って いること,そして内容を理解していることを伝える機能を果たしている』と考 えられる.次にduncanも指摘していることだが,あいづちは聞き手が 会話に参加する手段を提供しているものだと見ることもできる.更に schegloffが指摘するところの『続けてというシグナル』あるいは『訂正』 をする機会を放棄するシグナルとも言える.

maynard94は,このようなあいづちの機能を次の6つに整理し, 『会話管理のストラテジー』5として重要視した.


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日本認知科学会論文誌『認知科学』