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: 5. 実験内容 : あいづちを統制したコミュニケーションにおける 助詞 ねの頻度の変化 : 3. 助詞 ねの機能

4. 仮説の設定

あいづちは会話管理のストラテジーとして重要な役割を持ち,助 詞はコミュニケーションを密にしようとする働きを持つ.見方を変え ると,コミュニケーションの円滑さに対して,あいづちは聞き手側の寄与を示し, 助詞は話し手側の寄与を示していることになる.このように考えると, 聞き手側の寄与が小さくなれば話し手側の寄与が大きくなることが見込まれる. つまり,聞き手側のあいづちの出現数が減ると,話し手側の助詞の出 現数が増えると考えられる.

もちろん,コミュニケーションの円滑さに対する話し手側の寄与は助詞だけではなく,他の終助詞・表情などいろいろ考えられるし,聞き手側の 寄与についても,あいづちだけではなく,表情・視線などいろいろ考えられる. 本論文では,まだ関係がよくわかっていないこれらについては考慮せずに,あ る程度の相互関係があることが分かっているあいづちと助詞に焦点を 絞った.



日本認知科学会論文誌『認知科学』