研究分野で検索

推論・問題解決

  • O3-1
    宮田真宏 (玉川大学大学院工学研究科)
    大森隆司 (玉川大学工学部)
    対人インタラクションの理解の鍵となる要素として本研究では感情に注目する.コミュニケーション場面をはじめ,感情は動物にとって重要な機能を持つ現象である.しかし,これまでに多くある感情研究の大部分は現象面からの解析と分類であり,感情の発生する認知的なプロセス,さらにはその計算論的役割を検討したものは少ない.そこで本研究では,感情とは行動の意思決定のための価値計算システムであると想定し,その計算モデル化の可能性を検討する.
  • OS05-2
    小田切史士 (青山学院大学社会情報学研究科博士課程後期)
    鈴木宏昭 (青山学院大学 教育人間科学部教育学科 教授 博士)
    人間が潜在情報をワーキングメモリなどの何らかの貯蔵庫に保持し,洞察問題解決時に参照している可能性があることを踏まえ,正解画像を閾下呈する際にワーキングメモリに負荷をかけた場合の影響を検討した.先行研究はタッピングによる負荷をかけると解決が促進されていたが,本研究では変化検出課題を用いたところ,関係制約緩和率において閾下情報の保持に干渉が見られた.このことから潜在情報の保持にワーキングメモリのリソースが用いられている可能性が示された.
  • OS05-4
    山川真由 (名古屋大学大学院教育発達科学研究科)
    清河幸子 (名古屋大学大学院教育発達科学研究科)
    新しいアイデアを生み出す時には,事物を新たな視点から捉える必要がある。本研究では,そのために有効な方法として2つの対象間の共通点の探索に着目し,その過程について発話プロトコル分析を用いて検討した。その結果,活性化した属性を照合するだけではなく,共通点となるように表現を言い換えることで独自で面白い共通点が発見されること,関連性が高い対象間での共通点の探索に比べ,低い対象間での共通点の探索において,より言い換えが用いられることが示された。
  • OS05-5
    福田玄明 (東京大学大学院 総合文化研究科 助教)
    北田萌香 (東京大学)
    植田一博 (東京大学大学院 総合文化研究科 教授)
    創造性は認知科学における大きな問題の一つです。しかし、これまでの多くの先行研究は定性的な記述がされており、創造性の基礎となる認知プロセスについては、まだあまりわかっていません。 本研究では、定量的な評価のため、創造性と計算モデルを用いて推定された意思決定における行動特性との関係を調べました。結果は、情報探索傾向が創造性と相関することを示しています。この結果は、創造性が情報探探索傾向の認知プロセスと共通基盤をもつことを示唆しています。
  • OS06-5
    白砂大 (東京大学)
    松香敏彦 (千葉大学文学部)
    二者択一の推論場面において,これまでは選択肢に対する「再認」や「熟知性」の面が注目された。本研究では,選択肢のみならず問題文に対する熟知性にも注目した。行動実験から問題文の熟知性が低い場合はより熟知性の低い選択肢が多く選ばれることが,またメディアを利用した実験からその方略が一定程度の生態学的合理性を持つことが,それぞれ示された。ゆえに,「熟知していない」こと自体も推論手がかりとして有益になりうることが示唆された。
  • OS06-7
    本田秀仁 (東京大学大学院総合文化研究科)
    松香敏彦 (千葉大学文学部)
    植田一博 (東京大学大学院 総合文化研究科 教授)
    本研究では、人間が実世界の事象に対して持つ、記憶に基づく誤った信念が推論に与える影響について検討を行った。直感的には誤った信念は推論に対して負の影響を与えるように思える。つまり、信念の誤りの大小によって推論パフォーマンスの個人差が予測できるように思われる。しかしながら本研究では、人間の誤った信念は系統的な性質を持つために、推論パフォーマンスの個人差には寄与しないことを、計算機シミュレーションならびに行動実験を通じて示した。
  • OS09-5
    榎本美香 (東京工科大学)
    伝康晴 (千葉大学文学部)
    本研究では、予め誰が何をするか決まっていない協働活動に参加するために、(1)目前の出来事に関心を向け、(2)手助けの必要性に気づき、(3)参加できる位置にいて、(4)手助けする能力があるという必要条件がどう満たされるかを分析する。手助けが発話により要請される場合、その発話を契機として関心や気づきが生じることを示す。また、参加要請がない場合、目前の作業の流れや周囲の他者の認知状態に関心を寄せ、自身の為すべき行為が発見されることを示す。
  • OS14-3
    中野優子 (東京大学大学院学際情報楽譜)
    清水大地 (東京大学大学院教育学研究科)
    岡田猛 (東京大学大学院教育学研究科・学際情報学環)
    本研究では,ダンスを専門としない大学生を対象に,創作に注目したダンスの授業を,著者らの先行実践を踏まえて,現役のダンスアーティストと協働でデザイン・実施し,その教育的効果を多様な観点(授業時の感想文と身体表現,質問紙やレポート)から測定した.結果,授業での経験を通して,受講者は自分や他者に関して様々な気づきを得たり,コミュニケーションが促進された様子が示された.この結果に基づき,デザインの有効性と更なる発展に関して議論を行った.
  • OS14-5
    清水大地 (東京大学大学院教育学研究科)
    岡田猛 (東京大学大学院教育学研究科・学際情報学環)
    観客を前に共演者とパフォーマンスを披露することは,芸術表現の熟達にいかなる影響をもたらすのか.本研究では,ブレイクダンスにおける練習と実践を通した熟達について,熟達者3名へのフィールドワークによる検討を行った.領域技術の変化について,技術自体の質や前後も含めた連なりの内容など,3点から分析を行った結果,熟達者は練習で内容や質を十分に生成・改善した上で実践に用いたこと,実践の前後で新しい内容を活発に生成していたことが示された.
  • P1-10
    齊藤都 (名古屋大学大学院国際言語文化研究科)
    佐治伸郎 (鎌倉女子大学)
    廣田昭久 (鎌倉女子大学子ども心理学科)
    本研究は4,5歳児において,これまで難しいとされてきた視点の入れ替わりのある物語を使用した類推問題において,自発的な言語化がどのような影響を与えるのかを検討した.結果として,言語使用はベースとターゲットの構造化を促し,類推を促進した.一方で,視点の入れ替わりを言語化する際に,正しく言語化できた子どもよりも,できなかった子どもの方が転移に成功しやすいことが示された.言語化によるラベルづけが類推に影響与えていると考えられた.
  • P1-23
    水野陽介 (名古屋大学大学院情報科学研究科)
    三輪和久 (名古屋大学大学院情報科学研究科)
    小島一晃 (帝京大学ラーニングテクノロジー開発室)
    寺井仁 (近畿大学産業理工学部情報学科)
    問題解決型学習における認知活動についてオセロ課題を用いて実験的に検討を行った.認知負荷理論で定義された3種類の負荷に関して,それぞれの負荷を発生させる3種類の認知活動を操作した.課題外在性活動はオセロ盤面の視認性,課題内在性活動は最善手ヘルプの提供,学習関連活動は教示によって操作し,課題への反応時間によって活動量を測定した.実験の結果,これらの操作によって3つの認知活動が操作可能であることを確認した.
  • P1-24
    髙岸悟 (放送大学大学院)
    洞察問題解決の研究を進めることは、その認知過程が同じであるといわれる創造性を高めることにつながる。本研究の目的は、洞察問題解決の特徴であるインパスをもたらす制約を取り除く方法の開発である。題材は、1997年以来洞察問題研究で最も多く用いられているTパズルとした。だれもが同じ間違いを繰り返す行き詰り状態に陥ることなく問題を解決すれば、その問題はもはや洞察問題とはいえない。しかし、結果は失敗に終わった。
  • P1-25
    池永将和 (筑波大学大学院 人間総合科学研究科心理専攻)
    原田悦子 (筑波大学人間系)
    企業の異なる部署間のコミュニケーションには葛藤が生じると言われている。谷川・鈴木・加藤・福住・原田(2015)は、その背景にHiggins(1997)の制御焦点 理論における異なる制御焦点があるという仮説を示唆している。そのため本研究では、実験的に二者の制御焦点を操作し、制御焦点が同質(異質)ペアによる協同問題解決を行った。結果、コミュニケーションの主観的評価における制御焦点の影響や、課題評価に対するペアの同質・異質の影響が見られた。
  • P1-36
    髙木紀久子 (東京大学大学院学際情報学府)
    横地早和子 (東京未来大学こども心理学部)
    岡田猛 (東京大学大学院教育学研究科・学際情報学環)
    本研究では現代美術家が作品コンセプトの生成を行う初期段階について,実際の創作過程に関わる制約の変更を検討した.結果から,アイデア生成のための概念操作による連続的なドローイング過程で,美術家は何度か「そもそも自分は何をしたいんだろう」といった,制作活動そのものの省察が起きていた.また,創作行為の制約の変更を伴う連続的なドローイング過程では,外化したドローイングのフィードバックを利用し,美術家の内的基準に基づく新しい図像の探索が起きていた.
  • P2-10
    前東晃礼 (名古屋大学大学院情報科学研究科)
    三輪和久 (名古屋大学大学院情報科学研究科)
    小田昌宏 (名古屋大学大学院情報科学研究科)
    中村嘉彦 (苫小牧工業高等専門学校)
    森建策 (名古屋大学情報連携統括本部)
    伊神剛 (名古屋大学医学部)
    本研究では,肝切除手術現場を想定して,3次元(3D)イメージと3D印刷されたオブジェクトの利用が肝構造の推測に与える影響について実験的検討を行った.その結果,3D印刷されたオブジェクトの利用は,3Dイメージよりも,迅速かつ正確なメンタルモデルの形成を促進させ,正確な空間的推論を促すことが明らかとなった.
  • P2-19
    田村昌彦 (立命館大学)
    本研究では,モンティ・ホール問題を改変した実験をとおして,既存の選択を放棄し,新しい選択を行う条件について検討した。検討対象は事前確率となる扉数と,既存の選択を放棄するために必要となる価値とし,これらを実験的に統制した。その結果,扉数の効果は認められず,事前確率が無視されている可能性が示唆された。また,選択変更のために必要となる価値は,対数ロジスティック関数に当てはめて説明できることが示された。
  • P2-20
    松室美紀 (名古屋大学情報科学研究科)
    三輪和久 (名古屋大学大学院情報科学研究科)
    物理問題の解決において,思考実験を通した内的モデルの修正を阻害する要因の検討を行った。検討には思考実験を外化するシステムであるTE-extを用いた。実験の結果,内的モデルの修正に有効な思考実験の実施を阻害する3つの要因を同定し,うち1つについては教示による緩和に成功した。
  • P2-21
    頓部有以子 (名古屋大学情報科学研究科)
    松室美紀 (名古屋大学情報科学研究科)
    三輪和久 (名古屋大学大学院情報科学研究科)
    本研究の目的は、思考実験を通して、学生に物理問題解決における内的モデルを修正させることである。内的モデルを修正できるか否かは、新しい内的モデルを構築できる状況をどのように操作すればよいかが重要になる。内的モデル修正へと異なるプロセスをたどると考えられる内的モデルの共通点、相違点を利用した2種類の状況を考えた。糸巻き問題を実験題材として扱い、各問題状況において内的モデル修正への効果を検討した。
  • P2-26
    張寓杰 (東邦大学理学部情報科学科)
    張亜麗 (清華大学外国語学部日本語学科)
    寺井あすか (公立はこだて未来大学システム情報科学部)
    王婉瑩 (清華大学外国語学部日本語学科)
    菊地賢一 (東邦大学理学部情報科学科)
    中川正宣 (大妻女子大学人間生活文化研究所)
    本研究では、中国語の大規模言語データの統計解析に基づき、述語動詞の影響を考慮した帰納的推論の計算モデルを構成し、心理学実験を行い、計算モデルの妥当性を検証した。さらに本モデルと張他(2013)で構築された中国語の計算モデルと比較し、本研究で構成した計算モデルが中国語の帰納的推論における述語動詞の影響をより正確に表現できていることを実証した。