あいづちは会話管理のストラテジーとして重要な役割を持ち,助 詞 ねはコミュニケーションを密にしようとする働きを持つ.見方を変え ると,コミュニケーションの円滑さに対して,あいづちは聞き手側の寄与を示し, 助詞 ねは話し手側の寄与を示していることになる.このように考えると, 聞き手側の寄与が小さくなれば話し手側の寄与が大きくなることが見込まれる. つまり,聞き手側のあいづちの出現数が減ると,話し手側の助詞 ねの出 現数が増えると考えられる.
もちろん,コミュニケーションの円滑さに対する話し手側の寄与は助詞 ねだけではなく,他の終助詞・表情などいろいろ考えられるし,聞き手側の 寄与についても,あいづちだけではなく,表情・視線などいろいろ考えられる. 本論文では,まだ関係がよくわかっていないこれらについては考慮せずに,あ る程度の相互関係があることが分かっているあいづちと助詞 ねに焦点を 絞った.