研究分野

人とコンピュータのインタフェース

  • O3-004A
    西川 純平 (静岡大学)
    森田 純哉 (静岡大学)
    音声の認識を支える音韻意識が未熟なとき様々な発話の誤りが表れる.本研究は,個人に対応づけた認知モデルを用いて個人の誤りパターンを推定するシステムを提案する.本稿では,成人を対象とし,音声フィルタにより音韻処理に困難のある子どもを模擬する設定で予備的検証を行なった.結果として,特定の音声フィルタ下のモデル選好に参加者間で一貫性があることが示された.これは提案手法による音韻意識推定の可能性を示唆する.
  • P1-001A
    藤崎 樹 (東京大学)
    楊 鯤昊 (中央学院大学)
    植田 一博 (東京大学)
    近年、私たちはオンラインサイトを通じて商品への他者の意見を手軽に入手できるようになった。筆者らは既に、商品の購買相手(自分/他者)が他者の意見の捉え方に影響することを示している。ただし、そこでの「他者」の状況は詳しく分析していなかった。本研究では、「他者」の状況として、実質的には強制的な状況と、純粋に贈与する状況を検討した。その結果、両状況で、購買相手が自分の場合に比べて、分散の大きいレイティングを持つ商品を回避することが判明した。
  • P1-008
    大田 琉生 (金沢工業大学)
    中野 稜介 (金沢工業大学)
    金野 武司 (金沢工業大学)
    人間が発する言葉には字義通りの意味と言外の意味が二重に込められている.この仕組みの解明に取り組んだ先行研究の計算モデルには,1つの記号に異なる意味が割り当てられた状態を解決できない問題があると考えられた.我々は,記号の意味が重複した時にその意味を一つに定めずに両方の可能性を残す方法を考案した.人-計算機間での実験の結果,我々の計算モデルは人どうしでの実験と同程度の成功を実現することができた.
  • P1-013A
    岩根 榛花 (筑波大学)
    原田 悦子 (筑波大学)
    生活の情報化が加速する今日も,ネットスーパーの利用率は限定的な上昇に留まっている.本研究では,ネットスーパーにおいて,高齢者と若年者を対象にユーザビリティテストを行った.本研究ではそこで生じた介入を必要とした事例の質的分析を報告する.その結果,情報の視認性が影響した操作上での使いやすさの問題が高齢者に出現すること,目的商品の探索過程ではシステムとのカテゴリ不一致による探しにくさが年齢群を問わず障壁となっていることが明らかとなった.
  • P1-016
    粟津 俊二 (実践女子大学)
    古庄 歩未 (実践女子大学)
    女子大生を対象に,整形への関心度と,顔加工アプリの使用経験との関係を調べた.整形関心度によって,加工アプリの使用頻度,自身の顔に対する感じる違和感に差が見られた.また,アプリの使用頻度と違和感には正の相関が,加工程度と自身の外見に対する動機づけには,負の相関がみられた.自身の顔の加工というICT技術を用いた仮想的な知覚運動経験が,現実の自身の顔の認知に影響し,行動を通して現実の知覚運動経験も変容させていく例と考えられる.
  • P1-018A
    徐 韵 (同志社大学)
    天野 梨咲 (同志社大学)
    坂本 晶子 (ワコール人間科学研究所)
    正田 悠 (立命館大学)
    阪田 真己子 (同志社大学)
     他者の存在を意識し,他者が自分に対して抱くイメージを操作することを自己呈示という.自己呈示の意図に基づく手段には動作も含まれるにもかかわらず,実際に自己呈示の意図がいかにして動作に反映されるかを定量的に確かめた研究はほとんどなかった.そこで,本研究では「歩容」に着目し,自己呈示の意図の強さが歩容にいかに反映されるかを確かめる実験を行った.実験の結果,自己呈示の意図の強さや承認欲求の強さによって,歩容が変容することが確かめられた.
  • P1-041
    鷹阪 龍太 (筑波大学)
    安久 絵里子 (筑波大学)
    目黒 文乃 (筑波大学)
    葛岡 英明 (東京大学)
    原田 悦子 (筑波大学)
    本研究では,腹話術形式の講話能力をとりあげ,アバターならびに音声変換技術を組み込んだ仮想的 2 者対話形式のシステムを用いることによる講話支援の可能性について,練習およびその前後の講話パフォーマンスを話者の主観評価から検討した.その結果,アバターの操作スキルについては短時間の練習で習得可能であることが確認でき,アバターによる支援の可能性が示唆された.一方,話者の主観的評価における講話能力の向上は確認されなかった.
  • P1-050
    南部 美砂子 (公立はこだて未来大学)
    吉兼 刃矢 (公立はこだて未来大学)
    Googleストリートビューを用いたナビゲーション実験にもとづき,リアル空間での主観的な方向感覚に応じてバーチャル空間におけるふるまいにどのような差異が生じるのかを定性的に検討した.方向感覚の上位者は,その空間を個々の目印からではなく全体的な意味のまとまりとして把握しようとしていたのに対し,下位者は,目の前の風景のみを手がかりとして位置を把握しており,個々の目印については意味的な処理をしない傾向があることなどが明らかになった.
  • P1-058
    小島 隆次 (滋賀医科大学医学部)
    本研究は、バーチャルアバターを用いた授業動画の学習者への効果に関して、バーチャルアバターのジェスチャーがもたらす効果を検討した。その結果、バーチャルアバターの適切なジェスチャーは授業動画の視聴しやすさ評価に効果があることが示された。また、学習者が授業動画において、教授者の振る舞いの自然さなどの要素を重視するのか、あるいは授業で伝達すべき情報を重視するのかによって、バーチャルアバターのジェスチャーに対する評価が異なることも示唆された。
  • P1-059A
    森本 崇哉 (関西学院大学)
    工藤 卓 (関西学院大学)
    本研究では身体の空間的連続性が断たれた状態でバーチャルハンドイリュージョンを実現し,バーチャルハンドと本身の手との空間的な関係性が自己所有感に及ぼす影響を解析した.内観報告とC3-C4脳波同期とは強く相関し,体験的な自己所有感を評価する内観報告書の質問項目のスコアは高かった.また,より感覚的な自己所有感を問う質問項目のスコアが低かったことから,体験した自己所有感は思考的に生成されたものである可能性が示唆された.
  • P1-063
    原田 悦子 (筑波大学)
    安久 絵里子 (筑波大学)
    鷹阪 龍太 (筑波大学)
    目黒 文乃 (筑波大学)
    葛岡 英明 (東京大学)
    アバター技術の新たな利用法として,仮想的な二者対話=腹話術型会話支援システムを構築するに当り,「かわいい」音声がアバター評価に与える影響を検討した.音声の物理的特性に対応した「かわいい」感情は若年成人には生起するが高齢者には見られないこと,音声のかわいい評価は高齢者でのみ外見のかわいい評価と相関を示すことが示された.音声の「かわいい」感情,かわいい感情と加齢の影響について検討が必要と考えられる.
  • P2-013
    新川 涼子 (沖縄女子短期大学)
    本研究では,園務支援システムにおけるシェアの高いCoDMONの幼稚園への導入と活用についてフィールドでの質的調査を行い,問題点を検討した.その結果,幼稚園での業務に即していない部分がある,使いにくい機能があるなど,CoDMONの機能的な問題点が示された.システム導入にあたっての抵抗感では,ドキュメントを読む際に認知的負荷がかかること,画面上での読みが業務中の読みに適していない可能性が示された.
  • P2-014A
    二宮 由樹 (名古屋大学)
    下條 朝也 (コニカミノルタ株式会社)
    寺井 仁 (近畿大学)
    松林 翔太 (名古屋大学)
    三輪 和久 (名古屋大学)
    自律エージェントの行動を理解するには,何が入力情報かと,対応する出力が何かを理解する必要がある.本稿は,入力情報の顕著性が,エージェントの行動ルールの推定に与える影響を検討した.結果,顕著性の高い情報と低い情報を入力情報とするエージェントの行動を言語的に推定すると,低い情報が使われにくかった.このことは,入力情報の顕著性によってルール推定の際の利用のされ方が異なることを示すとともに,行動ルールの推定における言語隠蔽効果を示す証拠である.
  • P2-023
    池ヶ谷 啓伍 (金沢工業大学 工学部 電気電子工学科)
    金野 武司 (金沢工業大学)
    清水 悠生 (金沢工業大学 工学部 電気電子工学科)
    長原 瑛吾 (金沢工業大学 工学部 電気電子工学科)
    人と機械のインタラクションで実現できないことの1つに自然なターンテイキングがある.先行研究で行なわれた単純な視覚的インタラクション実験では,予め用意された確率分布で主従関係を切り替える計算モデルを用いると,それは相手に応じて主従関係を切り替えるようになっていなくとも,参加者は相手が人であるか計算機であるかを区別できなかった.対して我々は,動作的な主従関係を意識できるような手掛かりを示すことで,それが区別できるようになることを報告する.
  • P2-024
    伊藤 崇 (北海道大学大学院教育学研究院)
    子どもが家庭での日常生活においてどのように電子デバイスを使用しているのか。4歳から10歳の子どもたちの視点から見たときの使用実態を明らかにするために,11の家族にビデオカメラを渡して2日間の日常生活の様子を撮影してもらい,その映像を分析した。その結果,保護者の死角において電子デバイスを視聴していたことや,従来の使用とは異なる形で電子デバイスの機能の発揮に子どもが貢献していたことが示された。
  • P2-037
    尾関 智恵 (愛知工科大学)
    寺田 和憲 (岐阜大学)
    髙木 寿 (岐阜大学大学院)
    上野 将敬 (近畿大学)
    牛乳や乳製品は,健康維持に役立つという知識があっても青年期に摂取率が激減する.この要因を探るアンケート調査が多数実施されているが,先延ばし行動の理由の収集が難しい.そこで牛乳や乳製品を題材に,インタラクティブエージェントによって,言いにくい本音や自覚していない状態の報告内容に変化が起こるか要素ごとに探索的に検討する予定である.
  • P2-047A
    瀬田 稀介 (静岡大学 情報学部)
    大本 義正 (静岡大学 情報学部)
    自閉スペクトラム症スクリーニングの診断補助を図るべく、機械による協調運動能力の分析を実現するため、判断基準の客観化・定量化を目指した実験を行った。方法として実験参加者にバランスゲームを行ってもらい、スコアと協調運動の因果性パターンを分析した。結果として、高スコアと低スコアの運動協調パターンに大きな差が見られ、自閉スペクトラム症スクリーニングを行う際、今回の手法を利用した新たな評価枠組みを構築できる可能性が確認された。
  • P2-048
    松室 美紀 (立命館大学)
    本研究では,ACT-RとUnityを接続することにより,3次元空間における課題のシミュレーションを容易に実行できる3D-AGIの開発を目指す.特に,様々な方向を向いて課題を遂行することを想定し,Unityから視野内の情報の送信,ACT-Rからのモデルの状態やコマンドの送信を,短い周期で定期的にやり取りできる環境を構築した.この環境を用い,頭を動かさないとターゲットを見つけることのできない探索課題をACT-Rモデルに遂行させた.
  • P2-059A
    下條 志厳 (立命館大学人間科学研究科)
    林 勇吾 (立命館大学総合心理学部)
    本研究では,ワーキングメモリと共感性がそれぞれ協同学習におけるテキストの知識利用と関連するのか検討する.方法としては,実験室実験とコンピュータシミュレーションを用いる.実験室実験の結果,ワーキングメモリとは関連があることが分かったが,共感性とは関連がないことが分かった.シミュレーションでは,同様の結果であったが,共感性に関しては極端な値をとると知識利用がうまくいかないことが分かった.